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…。
[もう一度謝りかけましたが、口を噤みます。]
ええ、でも完全に見えないわけでは、
[再び声を紡ぐ途中で、
ひゅ、と風を切る音がしました。
こちらに振り下ろされるものが何だかは分かりません。
ただ滲む空気に少しぞくりとして、少しだけ身動ぎました。
避ける動きにはなっていなかったでしょうが。]
いけませんね。誰もかれも怪しく見える。
まさに、疑心暗鬼を体現していますね。
[いけないいけない、とばかりに目元を押さえる。
目が疲れたのか、両目ともささやかに赤が滲んでいる。]
少し気分転換です。歩きましょうか。
[自室に戻ると、メモ帳とペンを2本取って部屋を出る。
運悪く1本はインクが漏れていることに気づかない。
ポケットを黒く染め、床に滴り落ちている。]
[少年の答えに、女は二度瞬いた]
[おそらく正確には捉えられておらず、探る眼差し]
人が死ぬのも。
[口の中で反芻する]
[薪と旋律を探すと言う声に頷いて、女はその背を*見送った*]
─城内廊下─
だって一人より二人の方が早く見つかるかもしれないじゃない。
[共に歩いて居たらあまり効率は変わらないのだろうが、そんなことを言い。ナサニエルを引き連れて廊下を歩いて行く。イザベルが居そうな場所、彼女の事だからあちこち歩いて居るような気もしていたが、行動範囲が限られている中。歩いて居れば見つかるだろうと言う算段で移動しながら探し始める]
─音楽室─
[ほんの気晴らしのつもりが、いつの間にか熱が入っていたのは白と黒の鍵盤が己が身に親しかったが故か。
霞の奥の遠い記憶、その更なる深淵。
音色を紡いだ記憶は遠く、慕わしく。
鍵盤に向けられた蒼氷は、どこか遠くを見つめるが如く静かで、そして、虚ろだった]
[ニーナが僅かながら動いた分、空を切る皮鞘のナイフがぶれ青い前髪を掠めて止まる。鈍色の眼がはっきりと凶器を捉えてない様子を見て殺気を消してナイフを戻した]
どうやらはっきり見えてねえのは確かなようだな。
その割にゃ…まあいい。
[泉の水面が反射した光を見間違えたかと言葉を切り、首をごきりと鳴らす]
空気を吸うのは勝手だが終焉の獣がうろついてるんだ。
あまりふらふらしてるとやられるぜ。
いや、その前にどぼんか?
膝の付く深さとは限らねえし、せいぜい気を付けるんだな。
[手を適当にひらひらさせて城へ歩き出す。重いブーツは緋の中にまっすぐな道を*作っていく*]
[閉まる扉の音を背で聞き、ふと頭上を仰いだ。
先程は意識にも留めなかったが、
外には夕闇が迫る頃か。
厚い天井に覆われた空は移ろいを見せない。
かぶりを振り、緩やかな流れを逆しまに進みゆく。
源泉に辿り着くまで、そう時間はかからなかった]
[辿り着いたのはキッチンだった。
料理には苦手意識を持っていたが、空腹も感じるし
この奇妙な共同生活がいつまで続くかわからず、
それ相応くらいの技量は欲しかったのだ。]
えーっと。これとこれ……これもかしら。
[適当に材料を取り、フライパンを熱し始める。
そして、静かにベーコンを置いた。]
[ふ、と感じた他者の気配。
蒼氷は緩く瞬き、現在を映す。
白と黒、それが置かれた空間は、記憶の彼方のそれよりも冷たい]
……誰か、いるのか?
[最後の音節を紡ぎつつ、投げかけたのは静かな問い]
[何処から見られていたかなんて知りませんから、途切れた言葉の続きは、わたしには分かりません。
ただぴりと張り詰めた空気が緩んだのは分かって、息を吐き出しました。]
…そうですね。
ありがとう、ございます。
[終焉の獣、注意するような言葉。
口では礼を述べながら、わたしは泉を振り返ります。
――口許に浮かべた笑みは、彼には見えなかったでしょうか。]
熱ッ………熱ッ!!
[ベーコンの脂が、彼女の手の甲へと弾ける。
面倒くさそうな表情でフライパンを握る。]
ああ、だから嫌なんですよ。
ひっ!?
[必死の形相で、弾け飛んでくるベーコンを避ける。]
……特に何も無い。
変なところだけ聡いんだな。
[会話の相手には見えないはしないが]
[困ったように前髪をかき上げた。]
[そうして再び眼を戻します。
焦茶色はかなり遠くに見えていました。
傍に置いていた杖を手に、立ち上がり。
赤の中、茶の地面が見えている場所をゆっくりと*辿り始めました。*]
─城内廊下─
[出発地点は二階の奥の部屋。来た道を思い出し、その通りに戻って行く。ややあって差し掛かるのは客間が並ぶ廊下。そのまま進んで行くと、とある部屋から何かぽつぽつと、続いて居るのが見えた]
…何かしら、あれ。
[近寄り、黒い何かを覗き込む。床に染み込むそれは、酸化した紅の雫にも似ていた]
ずーっと続いてる。
この部屋って誰か使ってたっけ?
[ナサニエルに聞いてみるが、首を捻られる。同じく首を捻るが、別の何かに気付いたナサニエルに声をかけられ思考は途切れた]
うわ、何これ!
誰よこんな落書きしたの。
[壁に書かれた文字。読めない文字と読める文字が左右の壁に並んでいた]
これ……私の名前?
あ、こっちはナサニエルの。
……もしかして、イザベラかしら。
いつも何か書いてたのって彼女くらいよね。
[黒い染みが現れている扉の近くに書かれた文字。誰が書いたのかの当たりを付け、しばし考える]
……これ辿って行ったらイザベラ居るかしら。
そうじゃなくても、この染み、気になるわね。
[よし行くわよ!と染みが続くのを辿り歩み進めて行く。ナサニエルも、仕方なしにその後を着いて来た]
[一時手は止まったが、ゆっくりと開く。
最後の一音が尾を引いて隙間を抜けていった]
あ、ヴィーだー。
[下がった語尾は拍子抜け と言ったふう。
未だ薄く開いた扉の傍に佇んだまま、
旋律を作る白と黒に眼差しを向けた]
ピアノ、弾けるんだ。
腕は平気なの?
―城内廊下―
[困ったように前髪をかき上げたが]
[それでも拒否はせずに、引き摺られるようにシャーロットの後をついて行く。*]
……俺じゃ、まずかったか?
[下がった語尾に、何となくこんな言葉を返して]
ああ……ま、手遊び程度だが。
腕は、口煩いのが多いんで、清めてきた。
元々、大した傷じゃなかったからなんて事もない。
[問いに答えつつ、右手で白を軽く弾く。
左の腕を包む白に、今は紅の陰はない]
もう嫌……。
[顔は青ざめ、涙目になっている。
残ったベーコンを皿に乗せる。黒こげだ。]
せっかくだから、ゆで卵も欲しいところですね。
これなら、私にもできそうですから。
えーっと……。
[きょろきょろしていると、箱形の調理機器を見つけた。
にんまりとし、その中に生卵を入れる。]
これは発電機ですかね。古い型の発電機なんて、
とても珍しいものがありますねえ。
[感心するイザベラとは裏腹に、卵は回る。]
─キッチン─
[黒い染みを追いかけ辿り着いたのはキッチンだった。中で何かしている音がする]
む、誰か居るわね。
[ひょい、とキッチンの中を覗き込んだ。何だか悪戦苦闘する後ろ姿が見える]
…イザベラ?
んー。
女の人が弾くイメージがあったからさ。
[記憶を辿るように首を捻る]
煩いから、なの?
そんなにすぐ清められるものなら、
もっと早くにやっておいたら良かったのに。
ん…ああ、シャーロットさん。
[バツが悪そうに、頭を掻きながら向き直る。]
妙なところ見られてしま―
[キッチンの中にパァン!!という甲高い爆発音が
響いたのは、それと同時のことであった。]
[ミルクを持ち、廊下を歩くのは、どうにも違和感があってたまらないものだろう]
[男にとっては、大した問題ではないが]
[頭痛が治まるとき、それは記憶についてを考えないときと同義だが、廊下へ出た]
[音は止まっていたが、音がしていた方へと歩く]
[イザベラとすれ違うことはなかった]
まあ、女の方が見栄えがするのは確かだが。
[イメージ、という言葉に軽く肩を竦め]
ああ。
顔つき合わせる度に突っ込まれるぐらいならまだしも、いきなり吹っ掛けられるようじゃ、さすがにやりきれんからな。
[疑問の声には軽く、返すものの。
続いた言葉に、蒼氷は緩く伏せられる]
……色々と、あるんだよ。
[空白を経て零れた呟きは、やや、掠れて]
/*
>ネリーメモ
うーん、確かにねぇ…。
怪我が無いとしても、影響が後から出て来る可能性あるし。
一応合わせておこうかな。
村長の娘 シャーロットは、見習いメイド ネリー を投票先に選びました。
[仰向けに倒れながら、シャーロットの方を向く。]
す…すいませんけど、手を貸してくれませんか。
腰抜かしてしまったようです。
[照れくさそうな表情をしてはいるが、顔は青ざめている。]
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