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……そんなの俺の勝手っ!
[声が途切れた。
鈍い音]
……たはぁ……このドジっ……。
[口をつくのは、昔と変わらぬ悪態。
とにかくこれ以上、歩き回るのは止めさせなくては、と。
不本意ながらも、そちらへ向かい]
[目ではなく、鼻頭だったのは不幸中の幸いかもしれない、が。
痛いものは、痛い。
歪んだ視界に映りこんだ人影目がけて、
上着を脱いで左手に持ち、思い切り投げつけた]
[二人の言葉に混じる物]
[それらは疑問を確信へと変えていく]
[ブリジットがこちらを見たような気がして]
[一つ、大きく息をして]
……何のお話をしていますの?
[声を掛ける]
[戻れない一歩とわかっていたけれど]
……っとに……って!
[見慣れた姿をみつけ、そちらに近づいた矢先]
……へ?
[さすがに、上着が飛んでくるとは思わず。
ストレートに顔面直撃]
おや、シスター
[突然声をかけられても、驚いたそぶりも無い]
さて、何の話だと思いますか?
俺の方は、まぁ、聞いての通りですけれどね。
[瓶の欠片が散乱していること意外に異変はあまりない。
誰かと争ったというわけではないだろう。]
ここにいても仕方ないか
[それだけ確認すると部屋を後にする]
…さぁ。予想だけならいくらでも。
大罪人って言うくらいだから、ただの人殺しとも違うデしょ。
そうですね…そう、大がつくくらいだから。
沢山人を殺す、その手助けでもしましたか?
アナタは何に与していたのか。
[くすくすと笑うその笑みは。][この場に神父しか居なかった事で慣れきってしまったのか。][だいぶ少女のものとは様相が変わってきて。]
でもいっそ、下着泥棒とかお似合いデスよ?
[笑みは、深まる。]
あー、寒っ!
[ただでさえ寒いのに、更に、上着を失った状態。
両腕で自分の身体を抱えこむようにするも、寒さは変わらない。
それどころか、危うく傷口に触れかけた]
……どうせ、寒そうな格好してるんでしょ。
よく平気だよねえ…… 馬鹿は風邪引かない、だっけ。
こんばんは、シスター。
[少女の声で、挨拶だけならあまり差はないだろうか。]
[そうして立ち上がり。]
お話の途中で悪いですが、用事を思い出しました。
それじゃあ、また後デ。
続きはシスターとでも楽しめる話題ですし、ね。
[そう笑み。][一人広間を離れて二階へと向かう。]
[最初は勘、そして今は単純な消去法で、男はアーベルが人狼と呼ばれる者に間違いないだろうと半ば確信していた。そして、ユリアンも、男がそう考えていることを知っているはずだった]
死ぬつもりか…?いや…
[それとも、また…いや、今度こそ…?]
[言葉は途切れて白い息に変わる]
下着泥棒は遠慮しますよ。
ほら、俺は神に、一応仕えていましたからねぇ。女性の下着に手を出そうとは思いません。
――ま、そんなところですか。
俺は…俺たちは、人狼を研究していたんですよ。
残念ながら先日、壊滅させられてしまいましたけどね。
ええ、また後で。
ブリジット君。
神父 クレメンスは、小説家 ブリジット を投票先に選びました。
どうせ寒そうって、なんだよ。
[確かに、上着の類は持ってはいないが。
その辺りのコントロールはできるようになっており、その辺りは気にならなかった]
……俺は、大丈夫だから、ちゃんと、着てろ。
[はあ、とため息をつきつつ。
上着を雑に肩にかけ、一歩、離れる]
[怒声にはただ、深い笑み。][嘲りと。楽しさと。そして含むのは微かな。][細い糸のような微かな。]
…そうだ。いや、そもそもドゥンケルは始めから在った。
我等はそこから分かれ生まれ。
故にドゥンケルは我等自身。
ブリジットに尤も遠く、そして尤も近いモノ。
[紡ぐ言葉はどこか謎めいていただろうか。]
…さぁ、な。
[大丈夫か、にはそう答えた。]
イレギュラーな事はすでに起こりすぎている。
これがシステムという事なら。その環の中に在る以上、我等にも、先は読めぬ。
[そう言って、意識は細い音へとも向けられる。][誘われるように。][願いと。][甘い香りに。]
[声を掛けるのに驚いた様子もなく笑うのを、ただ見返す]
[逃げるように立ち去るブリジットを一度だけ見て]
[それから、真っ直ぐにクレメンスを見る]
……あなたは…あなた方は、どこまでご存知なのですか?
[それだけを、問う]
[声は少し震えていただろうか]
[男は、二度、止めようとした。そうして二度とも失敗した]
三度目の正直、か?
[腰のダガーを抜く。狼の群れはどこにいるのだろう?]
だって、アーくんだし。
[色と形だけでは、何を身に纏っているか、まではわからない。
かけられた上着に触れることなく、伸びてきた手を掴もうと]
[いつもの嘲りと、楽しげな口調。
微かに感じる、いつもと違う感覚には、気づいていたか]
……ブリスに近くて、遠い。
俺、とは、違うんだな。
[蒼の風と『アーベル』は元々境界線も曖昧で。
システムへの反抗を心に、ココロに決めた今となっては、同一の存在と言えるだろうか]
……システム……か。
もしかして。
システムに逆らえば……それが、起きるのか?
[ふと感じた疑問を投げつつ。
緋色の世界を介して響く音色に、目を細めた]
探偵 ハインリヒは、青年 アーベル を投票先に選びました。
…なるほど。
[だからかと、ある程度の事には納得し。]
[去り際のクレメンスの言葉には、振り返り呟いて、穏やかな微笑み浮かべた。]
[月明かりに照らされたそれは、彼女らしい、穏やかな笑みで。]
[そのまま、ふらりと二階へと上がってゆく。]
[音の元を探し、部屋の前をゆっくりと、一つづつ調べて。]
[途中でマテウスと出会い、こんばんはと会釈した。][挨拶だけならば、少女のそのままに。]
[丁度彼女の立ち止まったのは、イレーネの部屋の前。]
そりゃ、どういう意味だよ……って。
[低く、問いつつ。
伸ばされる手。
とっさに引こうとしたところに、また、激痛が走る]
……いっつ……。
[思わず零れた声と共に、動きは止まり。容易く、手は取られる]
[灯は小さなランプだけ。
薄暗い部屋の中、窓際に立っている]
……。
応えて来てくれたのなら、入ればいいのに。
[小さな小さな囁き]
そういう意味。
[零れた声。
目を眇めて、アーベルを見た。
霞がかり、表情を窺うことは出来なかった]
[両の手を添え、しっかりと捕える。
その力なんて、たかが知れているけれど]
……どっか、怪我してる?
[こんばんは。というブリジットの言葉にはつられるように、こんばんは。と返し、すたすたと歩いていくブリジット
挨拶だけは普段通りではある…あくまで挨拶だけは
その姿は…ノーラの遺体を前にしいたときのブリジットの姿とは被らない]
[蒼が2つ。それを探すのも蒼。
何時ものような遣り取りを、色を失った胡桃色は笑みすらせずに眺める。
其処に少女が入り込むことは出来ないから、ただ無感情に。
肩の蒼が僅かに痛んだのは、きっと気の所為だろう。
痛みなどある筈がないのだから。]
[気付かぬうちにリディも殺されていた。
その様はノーラと同じで、喰い散らかされたような感じだった]
もう少しも待っていられないじゃないか。
[...は父親へ兄の派遣を願う上申書を書くと、広間を通り――かけて、中に人が居たため、こっそりと裏口から集会所の外へと出た。
まだ雪は深かったが、それでもかき分けて自衛団員を探して歩く。
――アーベルとユリアンが外に居る事など気付いていない]
……わけわかんないから、それ。
[思わず、呆れたような声が出た。
捕えられた手は、簡単に振り払える。
だから、今は払わずに]
……怪我なんか、してねぇよ。
[言葉に偽りはなかった。
手に負っていた幾つかの怪我も、力を取り戻した事で既に癒えていたから]
……ただ、さっきからっていうか、昨夜から。
頭、痛くてな……。
ま、仕方ねぇらしいが、コレ。
[マテウスに会釈した後、イレーネの部屋の扉を叩き、微かに返事が聞こえれば、中へとそっと入る。]
[足音は、しない。]
こんばんは、イレーネ。
なんて、弾いてたの?
[何を、ではなく。][なんて、と尋ねる。]
[月明かりに照らされた、窓際の少女を見ながら。][笑みは、いつもと変わらない。]
[視界を染める赤。焼き付いたままの赤。
聞こえる音色を追うように、手探りで這う。
しかしいつしか、それも聞こえなくなり、
赤い世界に放り出された迷子。]
仕方ないって、何さ。
[問うような声。
けれど、答えを求めてはいなかった]
……まあ、いいや。
戻ろうよ。
寒くて凍えそうだ。
在り方…いや、成り方か。
それが違うからな。我等と、貴様と。
[身を守る為に人格を割った弱い心は。][10年前の彼女、には仕方のない事ではあったが。]
[今迷い悩みそれでも進もうとする風とは、違う。]
[それは進むことを諦めてしまっているような。][どこか、澱んだもの。]
やもしれんな。
…………ならば。場合によっては。
[微か気づいたような、口調で。]
[胸の中で、卵が震えた。]
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