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何処だろう。
[きょろりと辺りを見回して歩み出す。
城の間取りに詳しくはないが、自然と臭いから逃れ歩み行く。
程なくして、他とは違う扉が眼前に現れた]
わー。立派。
[暢気な声を上げ、扉に手をかける]
この地は咎人のためにある。
罪は、彼らの忘れられた記憶の中に。
罰は、彼らが求める想い出の中に。
そうして我らは終焉という名の救済を齎す。
[暗いあかの髪を持つ男の声]
[布の裂ける音]
[リィン]
[驚きに身を竦め、手首の鈴が跳ねた]
ありがとうございます。
[口調は変わらぬ平静なもの]
[けれど、伸ばした指先は微かに震える]
[言外に滲む意味に気を回すほど神経は細かくなく、その響きだけ受け取る。開けた目を眇め、舐められても首を傾げるだけの様子に見えてないことを再確認して布を巻き直す]
あ゛ー気にすんな、こっちの話だ。
見えてねえのはよーくわかった。
掴まれんのが嫌なら自分で掴んでろ。
[巻き終えた右手の甲をぽんと叩いて自分の左袖に促し、今度こそ*先導を始めた*]
[これで戻っていなければどうするか。他の人に指摘されて何と言えば良いのだろうか。不安が心を支配する。戻れと念じ、鏡越しに自分の右目を凝視した]
……戻っ、た?
[左右の瞳は同じ色。明るい紅紫が現れている。ほぅ、と長い安堵の息を漏らし、ついでに髪やリボンを直した]
[直後に聞こえる扉が開閉する音。ハッと、勢いよく音のする方を見た。小さな扉は開け放したまま。身体に緊張が走る]
[彷徨う視線は開いた扉へと行き当たる。
多少の警戒は窺えるものの好奇の方が勝るか、
足は其方へと向いた]
……あれ。誰か、いる?
[ギルバートは、緋色の園に立ち尽くしている。
その傍らには、無惨な死体となったハーヴェイの身体。
いくら鍛えているとはいえ、成人男性を担いで歩くのは、一介のダンサーには困難を極める。]
はぁ……っ、はぁ………っ!
[ハーヴェイの腕を肩に担ぎ、泉の周りをズルズルと歩く。夜明け前に運び始めたというのに、いつの間にか太陽はすっかり森を照らしていた。]
流れ者 ギルバートは、お尋ね者 クインジー を投票先に選びました。
[茶色のコートは血に染まり、髪や首筋、皮膚のあちこちにもハーヴェイの血がこびりついている。
それでも、彼はハーヴェイの身体を城近くの場所に運ぼうとしていた。]
あ……誰か、誰か………!
居ないか………!
[声が掠れる。
顎からは幾つもの汗が、赤黒く染まって落ちる。]
獣が………彼を………!
[結び目を切っ先に掛けて裂き]
[腫れた指先を、軽く押し付ける]
[ぷつり]
良く、切れるのですね。
私では、確かに何の抵抗も出来ないかもしれません。
[引いた指先に浮かぶあかを、眠る少女の唇へと]
[キャロルが仕込み刃で切った後、腕の金具へと戻す]
[と、何か音が聞こえた]
[男は目をそちらへ向け――その先、人の姿に気付き、そちらへ向かう]
…、そうですか。
[その時は未だ、言葉の意味には思い至らず。
布が元通り巻かれた指と、促された先の布の感触、そして声に、やや躊躇いましたが。
指先だけでそっと掴んで、誘導されるまま進みました。]
[立てられた音にはビクリと。けれどどこか抜けたような声にそっと戸口へ姿を現した]
……ラッセル?
何してるのよ。
[赤の少年の姿を見つけ、身を抱える体勢のまま、短く問うた]
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