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[頭に触れる、白く細い指。
小柄だからか、いろんな人に良く撫でられた。
悪い気は、しないんだけど。
カプセル一つ一つをノックして歩く男の姿を、ぼんやりと眺める。]
リーチェの説明なら頑張って聞いちゃうんだがなぁ…。
[笑って見送ると、少女の助言には
笑みが苦笑へと変わり、カプセルの中の住人を覗き込む。]
優しく…ねえ。
つれなく返されそうだ…。
[ばらばらに砕けた石には、茨が絡みついていた。]
― 大広間 ―
[返らない笑みに、頓着した様子は見せず。
変わらずに穏やかな微笑を湛え、頷く。]
はい。先程目覚めたばかりですよ。
あ、僕はエーリッヒ=A=エンツェンベルガー。
エーリッヒと呼んでください。
僕の名字、舌噛みそうでしょう?
[ちゃめっけを乗せて、
柔らかく細められた医大生の眸もまた緑。]
[ゲルダの頭から手を離し、自分の右手を撫でる。痛みは感じないが動かない。右手は利き腕だから困るな、とぼんやりと思う。一時的に麻痺してるだけだと考えてやり過ごす。]
[ハインリヒの声を背後に聞きながら、別の声を探す。
声はいくつかの方向からか聞こえてきた。一つは、ハインリヒに話しかけていた女性。少女は、彼女が呼ばれていた名を思い出した]
あの人は、ツヴァイさんも知ってるみたいだったからいっか。
知ってるだけなら、名乗りあってる声が聞こえてくるから知ってるけど。
[女性二人の声を頼りにそちらへ歩き出す。杖の先は所々でカプセルへと当たり、その度に小さく回り道をする]
[手を振るおじさんにコッチも片手を上げて。]
玄関は茨が沢山で埋まってたよ。
あれ引っぺがしてたら…軽く半年はかかるかも。
[あまり喜ばしい事ではない知らせ。眉をハの字にして答える。]
あとは…、
あ、剣があったよ。おとぎ話の王子様が使うような。
でも…そんなのあっても、しょうがないよね。
助けに来てくれる王子様なら、大歓迎なんだけど。
―大広間―
同じね。
[名前を名乗られれば、自分にも名前があったのだと思いだしたような面持ちになった。
先刻会った2人の名も知らぬままだ。面識さえあれば何とかなると思っていた故ではあったが、自らも名乗ろうと彼の緑を静かに見詰める。]
ノーラ=Z=アストリアスよ。
ノーラで良いわ。
…
[長い名字と聞けば、細い唇が僅かに揺れる。]
ふふ…、そうね。
[こちらへ少女が来るのを見つけ>>392、様子から目が見えないのだと気づく。動こうとするが、声をかけるだけに留めた。]
止まって。正面、装置が。右。
[ハラハラしてるのが声からもわかるだろうか。誰かが少女を助けるなら、ほっと胸を撫で下ろして黙るが、そうでないなら口頭で無事な方向を伝える。]
─安置所─
[名乗った直後、少女がもらした呟き>>386。
『変人』は自覚もあり、自称すらするものの。
『学者』と続けられた事で不機嫌の度合いが増した事に気づいたものはいたかどうか。
いたとしたなら、直後になんだ、とでも言いたげな天鵞絨の瞳を向けられた当の少女だけやも知れないが]
[そんな、意識が泡沫に沈む前の事はさておき]
……いばらで埋まってた、って。
どんな状況なんだ、それ。
[聞こえてきた、状況を告げる言葉>>393に、思わず呆れたような声を上げる。
同時に働くのは、ほんの少しの好奇心、なのだが]
…そうね。他の方も、いるし
[カプセルに手を添え、少しの間沈黙した]
…じっとしているよりは
マシだと思ったのよ。
[動きはハインリヒに比べれば
遥かに緩慢だった。
時おり立ち止まる。
声がするならそちらを向いて]
…剣?
[聞こえた言葉を聞き止め、
怪訝そうに繰り返した]
そんなものがありますの。
前時代的な―――装飾かしら。
[王子様という表現には少しばかりあきれたように]
石?
[こつん、と音がして、けれども杖の先はそれを乗り越える。伸ばした足の先に当たる感触は、少し大きめの石。なだらかな面が、足先に伝わった]
嫌な感触ね。
[たどり着くのに苦労していると、>>383別の方から声が聞こえてそちらへと杖を伸ばす]
あなたも新しく起きた人?
[声をかけると、先ほど向かっていた二人の片方から声がした]
杖が教えてくれるから、大丈夫、だよ。ナターリエ、さん?
[聞こえていた名前で呼びかける]
― 大広間 ―
ノーラさんですか。
ノーラさんの、名字も……結構長いですね。
[表情が薄く見えた相手の、唇が微かに揺れた。
それに気を良くしたように、揶揄するでなく、
そう云って笑みを深めた。]
あ、でもアストリアスってどこかで聞いたことがあるけれど、
なんだったかな……。
[少し首をひねった。
語幹に何か引っかかりを覚えた理由は、
彼女の名字と同じ名の曲を、
いつだったかギター演奏で聞いたことがある。
というだけのことだったのだけれど。]
[呟きに反応してライヒアルトが不機嫌の度合いを増したことを読み取る。]
……ふぅん。話には聞いていたけど、本当に変わってるな
[口元に手を当てる様は、愉しげな色を滲ませるか。]
―大広間―
エーリッヒ程ではないわ。
…そのアストリアスは良い音色を奏でていて?
[長い名字と言われる頃には表情は常のものへと戻っていたけれど、人の笑みを見るのは悪い気はしない。
だけど]
人好きの笑みね。
悲しみの中、笑う必要がない時も
貴方なら周りのためになら笑うのかしら。
[人の顔を見、感じた事を告げるのは職業柄。
そして彼の首の数字が自分の倍以上だった事もあっての言葉。]
あぁ、でも…王子様のキスより先に目が覚めちゃったらダメか。
[一人で勝手に合点して、ハインリヒの揶揄に目を瞬く。]
ぅ、別にそんな意味じゃないよー。
[血色の悪い頬に、僅かに赤みが差したりとかして。]
[そして、その後の今に至るまでの出来事の詳細については省略する。]
[だが、全体を通じて私は一歩引いた位置から観察するという姿勢を通していただろう。]
─安置所─
[揶揄するよな言葉>>402は、聞こえていたが。
この手にムキになると疲れるだけ、というのがある種の持論故に、意識に乗せぬよに努めていたとかいないとか]
……ん。
どうか、したか?
[向けられた視線と、その後の仕種>>403。
訝るように眉を寄せ、問いかける]
[少女に名前を呼ばれて>>399微笑む。]
そう、ナターリエ。
[ちらりと王子様とか言ってたゲルダを見てから少女を見る。]
ゲルダが起きた時には起きてたから、古い、かも。でも、寝てたから新しいかな。
[たどり着くと、イレーネという名を聞く]
私はベアトリーチェ。呼び方は何でもいいわ。
私も起きてそんなにたってないの。
[左手に触れる感触は、先ほどの石とは違う柔らかくて温かいものだった。向こうに、と聞かれると頷く]
うん。でも、先に立つのはイレーネさんの方がいいと思う。私の足、遅いから。
― 大広間 ―
良い音色……ああ。
[与えられたヒントに、やはり浮かぶのは笑みで。
そして、続けられたノーラの言の葉に、
緑の眸を一瞬、見開いた。]
……あ〜、まいったな。
ノーラさん、心理学者かなにかですか。
[微笑に苦さが混じる。
相手の視線の先。
自身の体調を示す数値は自覚している。
頭を、照れくさそうに掻いた。]
[短い金の髪を煩わしそうに左手でかきあげる。
じっとしてても情報はあまり集まらないみたいだし、そろそろ行動に移ろうかと考えている。]
―大広間―
私も良い音色をずっと奏で伝えたいわ。
[遠回しな言い草をして、緑の瞳が開くのを見詰めていたが
見なかった事にするように一度深く瞼を落としてから]
貴方の…エーリッヒに宿る星を
詠もうとしていただけよ。
多少でも合っているのなら…
まだ空には星があるということかしらね。
[見えないと解っているから天井を見上げる事はせず
再び開いた瞳は先刻よりは柔らかな視線を彼に向けた。]
…無理はいけないわ。何事もね。
――王子様ね。
[待っていたのは、王子ではなく。
だだひとり、肉親の手だったが
それもまた似ているのだろうか。
眼を伏せてゆるく頚を横に振った]
夢見がちだこと。
[口をついたのはそんな言葉だった。]
ベアトリーチェ。リーチェ。
そう、やっぱり同じなのね。
[呼び方は自由と言われて、それらしい音を選んだ]
ううん、隣を歩かせて。
ちょっと足が痺れてて。
[まだなのか、もうなのか、自分でも分かってはいない。
引きずるほどではないが左足が重たかった]
─安置所─
……俺に?
[口ごもる様子>>414に、す、と天鵞絨が細まる]
一介の『園芸家』に、満足が行く返事ができるかはわからんが。
……そちらは今、忙しいようだし、手が開いた時にでも声をかけてくれ。
[何かしら、言い難い事なのは察しがついて。
軽く、肩を竦めて言いながら、ずっと緑に触れていた手を離す]
さて。ここで壁に張り付いていても詮無い。
その、いばらの封印とやらを、実際に見に行くか。
[愛でるか否か。
それは、現物を見るまで判ずる事は叶わぬもの。
いばらもまた、彼にとっては愛しむものではあるけれど]
夢、大事。
結構大事だよ?
[夢見がち、といわれた言葉に人差し指を立てて。]
夢、無くしちゃったら人生灰色だよ、って父さん言ってたし…。
/*
アンカーこそ引きませんが。
その振りは美味しすぎます。
拾わずにはおれんかった。
[めっさ真顔った]
しかし、あれだな。
無茶振りきたらどないすべ。
それで希望通ると、根底から色々と組みなおさないとならんからなぁ、あっはっは。
……あいの方向に、がたぶるしておこう。
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