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シスター ナターリエは、旅人 ハンス を投票先に選びました。
[エルザをしっかりと抱きとめる]
[今彼女を向かわせるわけにはいかない]
エルザ、落ち着いて。
[彼女には死が見えてしまうだろう]
[それでも二日続けて直接その場に居合わさせたくはなかった]
どの道……
[間に合わないと思う、とは流石に言えずに]
[ただ彼女を抱きしめている]
[何かと思えば急な挨拶に、少し拍子抜けたかふっと笑って]
ええ、お久しぶりです。
[やはり思い出すのは、彼女がひたすらに頬張っていた、ニョッキ]
[そこからまた急に言葉が、声が変わった事に驚いて]
…。
如何言う、事ですか?
[言って軽く目配せをし。少しその場に居た者達から距離を取った場所へ移動する。]
・・・・・ひ
[また殺された。
殺されたのは旅人の男?――否。
下で転がるのは僕自身。]
――あああァあああッ
[叫ぶ。隣の神父の拍手など掻き消さんばかりの声。
けれど今其れが届くのはきっと、蒼の髪の青年唯一人だけ。]
[動けない。近づけない]
[支えてくれるミハエルの手をにぎって。ごめんなさい、と言う言葉を必死でこらえた]
ミハエル…。
[自分のために、エーリッヒを殺してしまった、小さな手]
[あたしが、あたしだけが汚れればよかったのに]
…ありがとう。助けてくれて。
……っ!?
[声が聞こえた。
紗を通さない、叫び声]
また、錯乱かよ……。
っとに、始末におえねぇヤツ……。
[ぐしゃり、と前髪をかき上げつつ、呟く]
[オトフリートにふっと微笑まれれば困ったように首をかしげ。
移動を促されれば、その通りに。
袖はつかんだまま]
・・・狼を、倒せる?
[さっきより、もっと小さく訊く]
[そんな少女を優しげに、抱き上げるのは神父の手。]
さあさ行こうか、ベアトリーチェ。
それともまだまだ起こすかい?
そうだね神の試練には、
彼らが勝てるか見てみたい。
[白い頬についた薔薇、赤い赤い花びらを
一つ口接け愛しげに。愉しそうに笑いましょう。]
[耳をそばだてて、ああ。落ちたのかなと思う。]
神の腕に包まれた安らかな眠りを。
苦しみも悲しみも、すべてが安らかになりますように。
[その言葉はしんと。
宵闇に、すいこまれるように。
いつしかアーベルの無残な姿は、消えていた。]
[脳に響く低き声には困ったようにふっと笑って]
忘れる訳がないではないですか、神父クレメンス。
私は貴方がたなしでは生きて行けないと。
そうも申し上げたはずです。
[彼は、生かされている事も知っている。]
[周囲で交わされる会話は気にはなるのだが。
絶叫の主が、何をしているのかと気にしてしまうのは、ある種の連帯感でもあるからなのだろうか。
死した男。
少女を抱き上げる神父。
それらに静かな蒼を一瞬だけ向けて。
ふわりと、跳ぶ。
割れた硝子をすり抜けて、上へ]
[日常を送る上ではあれ程強固だった仮面は、突然降り懸かった非日常を前に脆くも崩れさって。
死してからも未だに僕の顔に戻る事は無い。]
厭だ・・・・ッ
なんで、何でこんな・・・
[だが、クレメンスは思いを馳せる。
既に人狼達から喪われた人間性を色濃く残すオトフリートが、
喩え裏切りに走ろうとも、驚きに値しないかもしれない。
そしてその時は、
きっと刃と牙を交える事だろう。]
[彼はイレーネの言葉に唖然として、彼女の顔を真正面に見た。]
…
[距離を取ってよかった。そう思う。
こんな事を、あの場の者全員に聞かせるわけには行かなかっただろう。]
…誰か、分かったのですか。
[こちらも極めて小さく。]
[今、死した男の部屋へと飛び込めば。
一目でそれとわかる、狂乱状態に陥る青年が目に入る]
なんで、なんて……そんなの誰にも、わかりゃしねぇ!
……わかってるのは。
泣き叫んでも、どうにもならねぇってこと。
……特に、俺たちには、どうする事もできねぇんだ。
さあ、行こうか、ベアトリーチェ。
彼らが神の試練に勝利し得るだけのもの達かどうか…
そして、君からは「起」こさないとね。
[くすくすと微笑む。
クレメンスの唇についた血を、舌が舐め取った。]
[オトフリートの問いには、眉を寄せ首を振って]
狼が、もし特定、できれば、倒せる?
[視線はこれ以上ないくらい真っ直ぐに、オトフリートの目を捉えている]
あたしと一緒に。
[シスターの祈る声が微かに聞こえた。]
安らかな眠り・・・?
そんなのは嘘だ。
だったら如何して、僕は・・・ッ
[如何して未だ怯えなければいけない?]
[クレメンスはベアトリーチェを抱いて、裏庭へと歩き始める。]
君が私を先に起こしたいなら、起こそうとしても構わないよ。
[ベアトリーチェの産毛を震わせて耳元で囁く]
[青年の声にびくりと其方を見る。何時入って来たのか、男に釘付けになっていた所為か気付かなかった。]
そんな事、分かってるよ・・・ッ!
けれど、何で・・・なんで見なくちゃいけないんだ!
どうせ何も出来ないなら、せめて、無にしてくれれば・・・・
[最後の声は掠れて小さくなって。]
おや、ナターリエ。
何だか騒がしいようだね。
何だか空気が掻き乱れているよ。
それに──血の匂いも漂っているようだ。
[ベアトリーチェの身体を大切に扱っているようだ]
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