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[駆け込んで来たベアトリーチェはすんでのところで避け、]
ああ、ええと。
ベアトリーチェさんはこちらをお願いします。
[端的に指示を出して、広間へ。
辿り着いた先には、イヴァンの姿があり]
……イヴァンさん?
二日酔いじゃあ、ありませんよね。
[つい確認したのは、恐らく幼い頃の恨みの所為]
ん、おはよ。
そっか、ゲルダちゃんか。
なら味の保証は確かだね。
[いつもの笑みを浮かべようとして、逆に弱々しいものが浮かんだ]
[未だ精神の安定が取れていないのだろう]
[ウェンデルに返しながら流しへと向かい、グラスに水を注ぐ]
[薬箱から安定剤を取り出すと、グラスの水で流し込んだ]
…っは…。
ん、何か言った…。
[遮られた言葉を聞き返そうとして]
[聞こえた「倒れそう」との言葉に声のする方に視線を向けた]
…どうも、仕事みたいだな。
俺のはその内戻るから、大丈夫。
[再びウェンデルへと視線を向け、浮かべた笑みはいつものものに少し戻っていた]
平気、今行くよ。
[固まってしまったベアトリーチェに苦笑を漏らし]
[すれ違いざまにその頭にぽんと軽く手を乗せて直ぐ離して]
[幾分しっかりとした足取りで広間へと歩を進めた]
[ヨハナの後について、ゆっくりと、自分の足で階段を降りる。見知らぬ顔ばかりの人々の前に立つと、頭も下げずに、子供は、じっとその一人一人の顔を見つめた]
え、ここをって、えー…
ゼルギウスさん、大丈夫です?が、頑張ってー
[わたしは、自分でも見当違いかなぁ、と思う努力を*続けた*。]
[イヴァンが言葉に詰まる様子を翠玉が眺めた]
あの子の名前、ベアトリーチェ。
私も詳しくは知らないけど。
[駆け出した少女の背を眼差しが追って]
あれを見るに、良い子。
─ 一階・物置─
[扉の向こうの気配には気づくことなく。
旋律に乗せるのは、虚ろな物思い。
それは、思わぬ形での『過去』との遭遇によるものか。
自身にも、推し量る事は叶わぬけれど]
……こうやって、呑気に過ごせる時間。
それを求めることも、許されんのかね、俺は……。
[旋律に紛れ。
零れ落ちたのは、小さな呟き]
─広間─
何だ、倒れそうってイヴァンなのか?
怪我以外で俺の世話になるってのも珍しいな。
何がどうなってる?
[イヴァンが座るソファーの前にしゃがみ込んで]
[症状を伝えるように促した]
うん?
[言葉の内容までは聞こえなかった。
ただもう聞きなれてしまった声と、続いた小さな猫の声に弾き手が誰であるのかに気付く]
へえ、弾けたんだ。
[旋律の流れを見計らって、軽くノック。
そのまま応えは待たずに扉を開けた]
[ヨハナに手を引かれ、厨房へと向かう途中で、もう一人見覚えのある薬師とすれ違う。自然にその姿を追って、その先に具合の悪そうな男の姿を見つけると首を傾げた]
[ゼルギウスに促されて、らしくもないのろのろとした口調で]
朝起きると頭がな。何かに締め付けられているように痛てぇんだ。
それに……歩くと少しふらつく。
[それだけ言い終わるのに、結構な時間がかかる]
イヴァンって、そもそも二日酔いになれるの?
[乏しい表情でぽつりと零す。
どうやらザルの印象があるらしい]
薬師様。
[酷く怠そうな様子に場をゼルギウスに譲り。
自身は皿を片付けに厨房へ]
貴女がエーファ?
[見知らぬ少女に抑揚に乏しい声を掛け]
……っ!
[軽いノックの音と、扉の開く気配。
はっとしたよに手を止めて、振り返る]
…………。
脅かすな、家主殿。
[そこに立つ、見慣れた姿に。
零れ落ちたのは、ため息まじりの短い言葉]
[イヴァンが症状を伝え切るまでじっと待ち]
…頭痛と足がふらつく、と。
二日酔いに似てるけど、酒飲んで無いみたいだしな。
足のふらつきは頭痛からも来てる可能性があるか。
締め付けるような痛み……こっちのが良いかな。
[数ある薬の中から症状に見合う薬を取り出し]
[粉薬であるそれをイヴァンに差し出す]
ひとまず症状緩和の薬飲んで。
効かないようなら調合考えてみる。
[途中、エーファが自身の手から離れていくのに気づいて、思わず目で追った]
……エーファちゃん?
[その先には、顔色の悪いイヴァン、それからゼルギウスの姿]
……優しい子じゃあないか。
あの二人は他の人も見てるし大丈夫でしょうかねえ。
男の子は少しぐらいほおっておいても、勝手になんとかするしね。
さて、それじゃ、食事でもよそおっておきましょうか。
[言って、ヨハナが勝手知ったる自分の家という具合に、容器などを勝手に用意して、自分の分と、エーファの分を二人分盛り、広間へと戻っていった]
エーファちゃん。
ここにおいて置くから、冷めないうちに食べるのですよ?
[と、言いながら、*スープを飲み始めた*]
[厨房へ向かうゲルダを見送り、自身はその場に残る。
おろおろとゼルギウスの後をついて来たベアトリーチェには、苦笑を零れかける]
少し、様子を見ていましょう。
素人が手を出せることでもありませんから。
[それを抑え、声をかけた]
一応ノックはしたけど。
[そのまま入れば意味はない。
どこか精彩を欠く相手に、唇の端を上げてみせる]
他に誰も居ないなら丁度いい。
…お前は何を知っているんだ?
[後ろ手に閉めた扉に寄りかかり、翠は静かに見下ろす]
ああ、すまん、な……
[ゼルギウスの薬を受けとるとカップを持って厨房へ。水をくみ直して薬を飲むと、再び広間へ戻ってさっき腰掛けていた椅子にまた座り直す。もちろんゼルギウスの顔色が自分に負けぬほど悪いことなど、気付かぬまま]
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