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―診療所―
はぁい、お大事にー!
[相手の姿が見えなくなってから、ぱたん、と扉を閉める。
勢いで取り付けられた小さなドアベルがチリリと鳴った。]
[最後の患者を見送って、今日の営業はこれでおしまい。
今日もお手伝いありがとう、と笑みを浮かべて告げる看護婦に
こちらこそありがとうございました、とぺこり頭を下げて
手伝いついでに、いそいそと帰宅の準備を始める。これもいつもの事]
「そういえばニーナちゃん、昨日サーカス見にいったんでしょう?」
[いいわね、行きたかったわ。楽しかった?と、
笑顔で次から次へ問いかける言葉に
一度きょとりと瞬いた後、…へらりと曖昧に笑みを返した。
……まさか、羨ましがっている人の前で、
苦手なので楽しめませんでした、なんて言える筈がない。
これ以上の言及から逃れるように、急いで帰宅準備を終えると
お疲れ様でした!と挨拶と共に診療所を飛び出した。
少し慌しすぎて、あからさまだったかな…?
チラリと頭の端でそんな事を考えて、──やめた。
明日までの備品の買出しも頼まれたし、きっと言い訳も出来る。
…多分。]
……。
ログ読んだくせに、皆がどこにいるか把握してな(ry
…えっと?
レベッカさんが雑貨屋でー。
ハーヴェイさんが、メインストリート?
リックんもかな。 でもリックんは離席か。
……忘れる所だった。
[家に帰る前に、買い足さなければならないものがあったのだ、と。それを思い出して]
本気でこれ、元が取れんとやってられんな……。
[言いつつ、視線を向けるのは肩から提げた鞄。正確には、その奥底の天鵞絨の包み。
とはいえ、現状はどうしようもなく。
一つ、ため息をつくと、裏通りに踏み込みかけた所からくるり、踵を返して道を戻っていく]
よし、決めた。
その林檎で。
えーと。ひのふの……五つくらい?
うん、ジャムにしようかと思って。
あとは、まあパイとか?
……主婦とか言わないで、頼むから。
だって、あの母親だよ。
料理させたら血まみれだよ
言い過ぎじゃないんだ、悲しい事に。
砂糖と塩を間違えるとか。
醤油とソースを間違えるとか。
あ、はい、お金。
え? 栗?
嫌いじゃないですよ……って
/*
りんごじゃむ
http://www.geocities.jp/anyrecipe2/cake/recipes/applejam.html
*/
メモ、メモ。…と。あった。
んー、と。
[ごそ、と鞄の奥底からメモ用紙を引っ張り出す。
診療所で使う消耗品の買出しに、と渡されたもの。
ひの、ふの。指折り数えて、一つ頷く。あの場所なら幾つか揃えられそうだ。
ちらりと、腕に嵌められた時計を見やる。
…夕刻も近いが、まだ空いているだろうか。
駆け足混じりで、目的の店へと向かって。]
― …→雑貨屋 ―
それにしても、切り詰めてくれ、って言ってるのに、ちゃんと聞きやしねぇんだから……。
[ぶつぶつと文句を言いつつ、道を歩いて果物屋へ。
なぁう、と鳴く黒猫の声に視線を上げれば、見慣れた姿が目に入るだろうか]
……や、買い物かい?
[そちらへ歩み寄りつつ、金髪の少年に声をかけ]
いえ、特には。
ただ、少し変なモノを見た人も居たみたいですけど。
でもほら、サーカスですし。色んな仕掛けがあっても別に可笑しくな、
嗚呼。
―メインストリート―
さあ、今夜は華麗な軽業のショーが開演ですよ!
美少女のブランコ乗りが命がけの演技をお見せします。
どうぞ皆様お越しください!
[宣伝文句も高らかに、道行く人や店先にビラを配って歩いている]
そりゃ、買い物もしないのに店に寄るって、よほどの事でしょうな。
[リックの問いにくつり、と笑って。
声をかけてくる店主に挨拶をして、林檎と、他に数種の果物を選んで包んでもらう]
―雑貨屋―
もしもーし、レベッカさーん。
…まだ、あいてますかー?
[扉を少しだけ開けて、少しだけ薄暗い雑貨屋を覗き込む。
きょろ、と店内を見回して]
そそ。
あいにく、おれはそんなに暇じゃないからさ。
招待券をもらってくれる人もいないハーヴェイさんは、暇なのかもしれないけどね。
[ふいに路地から出て来た男に、ぶつかりそうになる]
おっと、失礼……
……はい?ええ、確かにサーカス団の者ですが。
[じろりと睨むアーヴァインに、困ったような笑みを向ける]
はあ、往来の迷惑、ですか。
それは申し訳ありません。はい、気をつけますので……
え?興行の時間ですか?
遅過ぎると言われましても…それは団長の決めることですし。
暇じゃないのは、いい事だねぇ。
[にこにこと笑いつつ、例によって届くようならぽふり、と。
高さ的にちょうどいいのかも知れない]
ま、確かにいないが、それはそれ。
いなくても、全く暇じゃありませんの事よ、俺は?
[にこにこと笑いつつ。
きょときょととする黒猫の様子に気づけば、やや、怪訝そうに首を傾げるだろうか]
……だから手。
はァ。なんど言ってもわかんないなぁ。耳まで遠くなった?
ま、悲しい一人身の強がり、か。
かわいそうなハーヴェイさん。
いやあ、高さ的に丁度よくてね。
ま、今の内だけだよ、頭撫でてもらえるのは。
[今の内に撫でられときなさい、と、と笑って言って。
後の言葉は聞き流しつつ、足元の黒猫を見やる]
どうした、ウィッシュ?
[問うた所で、猫からの返事は鳴き声のみなのだが]
[じいっと紙を見つめていたけれど、
厳めしい貌で道を歩んでいく男を、
きょとりして見上げる。
どうやらサーカスの方へ行くようなのに、
陽気な音楽にはちっとも似合わない。
相手のほうは少女を気にした風はなくて、
のしのしと歩いていくのを見送った。
[二人の話を静かに聴いていたが、興を引かれて口を開く]
おや、団長自らお相手をなさるのですか?
あまり美しい魂ではなさそうですよ……騒ぎ立てられて興行の邪魔をされるのは確かに不愉快ですが。
…もちろん、団長の指示には従わせていただきますがね。
[言い添えたのは、先日の出来事ゆえか]
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