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……あのなぁ。
[はあ、と。
思わず零れた、ため息。
刹那、瞳に過ぎった限りは見えたか否か]
俺だって言えた義理じゃないのはわかってる、けど。
……こっちだって、心配してるのは。
ちゃんと、わかれ。
[短い言葉が静かに重ねられ]
そう、思わん、リディ?
[傍らに来た少女に同意を求める時には、その様子はいつもと余り変わらないもの]
[玄関先でのやり取りに心が重くなっていく]
『こんな無防備な人を撃つなんて』
[それだけ真剣なのか、ただこちらを「悪しき物」と決め付けているせいか。
いずれにしてもこれはやりすぎではないかと思う]
[その思考に重なるような言葉に顔を上げる]
あ…マテウスさん。
用意は終わりましたか?
すみません、もすうぐです。
[ハインリヒの声に応えながら。][イレーネの分けた薬草を礼を言って受け取り。]
[湧いた湯に黒い粉を入れ、イレーネが分けた薬も纏めて入れて、少し煮立たせ煎じ、それをカップ一杯より少し多目に注ぐ。]
[少し量が多いが、これ以上煮詰めれば苦すぎて飲めないし、量を減らすわけにもいかなかった。]
[まだ熱いそれをもって急ぎノーラとハインリヒの方へと戻り。]
ノーラさん、薬湯です。
ちょっと熱いからゆっくりで、量があるけど我慢してくださいね…。
[言って冷ましながら、口元へと運ぶ。]
[クレメンスの言葉には、一瞬困ったような顔をして]
・・・はい、そうさせていただきますね。
[ハインリヒの叫び声を聞きながら]
[不安を押し殺すように][天井を見上げる]
[やがてブリジットが薬湯を持ってきてくれた]
ありがとうございます。
・・・やっぱり、苦いのかしら?
[と言って小さく微笑んだ]
[口元へと運ばれた薬湯に口をつける]
ああ、待たせちまったな
[と、木箱とずた袋を背負って軽くナターリエに手を挙げて応じ、一旦広間を覗くようにしてノーラの治療の様子を確認し]
もう俺は行ってもいいんだが
[そして今度はアーベルを、先程までの会話を聞いていないマテウスにはアーベルたちがじゃれあっているように映ったりしつつ]
アーベル…来れるか?
[急いで広間へと薬を運ぶブリジットを見送って。
自分はその場を簡単に片付け始める。
もっとも、材料関係は分からないので触れなかったけれど]
…もう少し、お湯沸かしておこうかな。
お茶とか淹れたら、他の人達も…。
[無意識の内に、戻るのを躊躇しているのだった]
[やはり集会所からしばらく出られないという事実に、動揺がが奔っているが、想像より落ち着いている事にほっとした。
ハインリヒのかけてくれた毛布を肩まであげると、疲れすぎて眠れなくなった眼をゆっくりと開けた]
ノーラさん、変な事(霊魂になる)言うから痛いんだよ。反省して、しっかり薬を飲みましょう
[そう嗜めつつ、自分も前頭部の痛みが酷くなってきているのを自覚して、冷たいもので熱を取ろうとキッチンに向かうべく立ち上がる。
途端、眩暈がして少しからだがふらついた]
まったくだよ。
[アーベルの言葉に其方を見て、鷹揚に頷いて見せた。
腕を組んでいるが、傍から見れば勿論威厳はない。ユリアンにとっては如何かは分からないが。]
シリアスがどーのこーのより、説明することがあるんじゃないかな。
[ほんの少し睨むような視線を込めて、再びユリアンに向けられる。]
あ、ちょっと待って。
[マテウスの声に、視線をそちらに]
この素直じゃないのの話聞いたら、すぐ行く。
時間かかりそうなら、先行ってて。
すぐに、追いかけるから。
[彼に素直じゃない、と言われるというのはかなり不名誉だと言えそうだが。
言ってる本人は気にしちゃいない]
あれもこれも嫌、か。我儘な。
わかるか、二つしかない道が。
貴様が壊れるか、貴様の大切なものが壊れるか。
そのどちらかしかない事が。
大切なものは貴様を殺す。貴様は生きたいという願いは潰える。
目を逸らすな。現実を見ろ。逆らえば痛みは追い続け止む事はない。
貴様が人狼である事実からもはや逃げられないのと同じようにな!
[銀は大きく咆哮するように。][ヴィントに、アベルに。][吼えて。]
[胡桃色から深い青色へと視線を戻したところで、アーベルの声]
……いや、まあ……
言っても、さ。
どうなるものでもないから。
[言葉を濁したものの、ようやく戻って来た視界に翳りを認めてしまう。
自分が二人の立場だったら、どうしていたかなんて、言うまでもなく。
二人を交互に見、目を伏せて、息を吐き出した]
普段は普通に見えているんだから、大丈夫。
ただ、……ひかりが遠いと、ちょっと辛いだけで。
ん。わかった
まあ死体を集めるのにも時間はかかるから先いっていてもいいが
今日中には済ませたいが、急ぎすぎることでもないし、どうする?シスター?
[と、すぐに行くか。アーベルを待つか。シスターに聞く
どちらにせよ。死体に触れるのに慣れている...が*率先してやることにはなるだろう*]
[やがて男は、薬湯を飲むノーラの傍から立ち上がり、声をかけてきたミハエルに振り返った]
なかなかいいこと言うじゃねえかぼうや…て、おい!大丈夫か?
[ふらつく様子に声をかけた]
ええ、少し。
[なるだけ苦味を抑える配合はしてあるが。][それでもかなり苦いだろう事は知っていたので。]
[ノーラの微笑にはどこかほっとしたように。][ゆっくりカップを傾けて、彼女が全部飲み干すのを確認し。]
あとは安静にしていてれば大丈夫です。お湯につかるのも暫く我慢して下さい。
[それだけ言えば、ようやくほっとして。][その場に少し座り込む。]
仲がいいとは、なんか違うような。
[シスターの感心を含んだ声に、つい、突っ込みを投げる]
……まあ、小さい頃からの付き合いですから。
とは言え、離れていた時間のほうが長いですけれど。
[思ったより量のある薬湯を黙って飲んでいた]
[ミハエルから声をかけられ][言われたことを理解すれば微笑み]
そうですわね。せっかくミハエル様に助けていただいたんだから、しっかり薬飲んで早く治さないといけませんわ。
さっきはありがとうございました。
[キッチンに向かうミハエルを見ていたが]
危ない・・・っ
[ふらつく様子に慌てて声を出し][飲んでいた薬湯をむせた]
[謝罪するハインリヒにはふるふると首を振る。]
いえ、すみません遅くなって。
[言って座ったまま微笑んだら、彼がミハエルの元へ駆け寄るのを見て、自分も立ち上がり、近づいた。]
ミハエルさん、大丈夫ですか?
・・・・ベルにぃが言うことかな、それ。
[そこだけはユリアンと見事に被った。]
言ってどうなるとか、ならないとか、そういう問題じゃないの。
ぼくはまぁ・・・こないだ再会したばっかだし、仕方ないかもだけどさ。
ベルにぃには前から会ってたんだよね?
[説教めいた言葉をつらつらと述べた。
続いた言葉に嘆息を零す。]
ひかりが、遠いと……つらい?
[言われた意味は、上手く掴めなかった、けれど。
ただ、はっきりと見えない時がある、という事は感じ取れて]
……まあ、確かに、俺に言っても仕方ない事かも知れんけど。
でも、何かおかしいのに、わかんないままってのは、さ。
……あんまり……いい気、しないもんだぜ?
[掠めるのは、苦笑。蒼は少し落ち着いたように、穏やかに]
……つーか、言われたくないなら、言われるような事、するな。
[最後の突っ込みには、呆れがこもったかも]
[床にぺたっと座り込んだまま、ソファーに背を預ける。]
…あんまし無理してる気はねぇんだけどな。
痛いだけ…
[無理するなとの言葉に渋々頷く。]
[なにやら思った以上に心配をかけていると察して、どうしてだろうと考え、そして自分の右腕がノーラの血で染まったままなのを思い出した]
あ、大丈夫ですよ。
ちょっと立ちくらみしただけですし……。それに、この血は私のじゃないので、貧血って訳でもないですよ。
[やはり頭をぶつけて少し回転が悪いのか、見当違いな弁解をしている]
[明らかに無理をしたミハエルの表情に、男は内心で溜め息をつく。問答無用で寝かしつけてやろうかと一瞬考えたが、男児相手にそれはあんまりかと思いとどまった]
せっかく姫君を助けて帰ったんだ。ここで倒れちゃ騎士の名が泣くぜ?
[代わりに軽い口調で釘を刺す]
ま、とにかく。
そんな状態なら、尚更無理するなよ、な?
[ふう、と息を吐いて言いつつ、手を離す。
避けられなければ、頭を軽く、小突いて]
……リディ……と。
あと、ザフィーア!
[室内を振り返り、カラスを呼ぶ]
俺、ちょっとマテウスさんたちと一緒に、色々片付けてくるから。
ユリアンの見張り、任せる。
[また駆け寄ってきたブリジットに、男は視線を向けた]
多分この騎士殿の怪我はたんこぶくらいだ。冷やしとけば大丈夫だろ。それより嬢ちゃん、昨日から病人や怪我人続きで少しも休んでないんじゃねえか?
だって、お婆譲りだしさ、多分。
なんで、僕に譲られたかは謎だけれど。
[本来なら、受け継がれないはずのものなのに。僕には]
前からアーくんと会っていて、
それでも気づかれなかったくらいだから、
大丈夫っていうのは認めて欲しいなあ。
[それは、会うのは外であることが多かったからなのだが。
実際、外ならば、大抵の場合は問題なかった]
[ブリジットから注意を受けると]
お風呂はお預けなのね。仕方ないかしら。
[少し悲しそうな顔をした]
手当てしてくださって、ありがとうございました。
・・・疲れているでしょうに、お仕事増やしてしまってごめんなさいね。
[一瞬座り込んだブリジットを心配そうに見た]
[ミハエルからは大丈夫との言葉を聞いて安堵する]
そうですね…
[マテウスの問いにアーベルの方を見て]
もう少し掛かりそうですし、先に行って支度だけは済ませておいたほうがいいかもしれません。
[そう答えて、場所を知っているだろうマテウスに付いてその場所へと向かう]
あっ、はい。
[ミハエルの言葉に頷いて、台所へと戻り。
まだ使われていない布巾を濡らし固く絞って広間へと]
…大丈夫ですか?
[頭痛を堪えている様子のミハエルにそっと差し出しながら尋ねる。
そうした辛さはここ最近自分も体験し続けているから]
人工的な光は、採取しにくいみたい。
……だから、こっちに戻って来たのもあるんだけれどねえ。
[あまりぼかしても追求を受けるだけだから、端的に]
[向けられる苦笑に、眉じりを下げて、苦笑を返す]
ん、……ごめん。
心配かけたくなかったんだよ。
気づかれなかったしさ、今まで。
[呆れを含んだ言葉には、聞こえない振り]
っていうか、見張りって何さ!
アーくんのほうが必要だって、絶対。
[銀の咆哮が響く。
力の差に、押し潰されるような感触を感じつつ]
……例え、そうでもっ……。
俺は……あきらめたく、ねぇ、よ。
[振り絞るような声は、微かに幼さを残した蒼の風のそれというよりは、蒼の青年のそれに近かったやも知れず]
わがままでも、何でも……。
そんな簡単に、選べないっ!
[痛みは鋭さを増すけれど。
それに、耐える。
どこかは壊れそうになっているけれど、それは、押し止めて]
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