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君が、取り残される、ね。
それは随分とヘマをやったものだ。
[そんなことはありえないだろう、と思っているのがやすやすとわかるような口調で、揶揄う。
シスターの好まぬ、という言の葉は、随分とまともに思えた。]
再度封印をしたとして、また斯様なことが起きないという保証もあるまい。
君は、何を考えているの、クレメンス?
ふるい付き合いだ、教えてほしいと思うよ。
[もっとも、挨拶だけだけれど、と。
言の葉は小さな笑みとともに。]
−南通り・商店街−
[アマンダは、目を覚ましてから商店街の方へと移動していた。
千花がティルから木の実をもらったと言う話を聞いて、そろそろ食料を補給しないと怪しまれる事に気付いたから]
「はい、まいど! アマンダは小食だねー。
そんなんじゃ成長しないよ! ほら、おまけだ!」
ん、ありがと。またね。
[日持ちしやすい果物を多めに買って、一度帰路に着く。
千花は定位置で、おまけしてもらった不揃いの苺を一つ齧っている]
…さて、どうしようか。
自警団はハインが、遺跡は…オトやブリジが行きそうだ。
…木を隠すなら森、石を隠すなら土。
書を隠すなら…図書館でも、行くかな?
[苺で口いっぱいな千花の返事は期待せず、一度工房へと向かう]
−Kirshburm:店内−
[二階から降りてきたその表情はえらくぐったりとしたもの。
昨日からの歪みの影響は人間の自分にはあまりにも大きく、今日に限っては楽器を手にする気力もないらしい。
とりあえずカウンターに陣取れば、べしゃりと上半身をカウンターに預けながらアイスジャスミンティをハーヴェイに所望する]
難しい……そうですね。
それを行なう事には、慣れているのだけれど……今は、そのための力は抑えられていますから。
[こちらを見上げる眼を、困ったような色彩を宿した翠の双眸で受け止めて]
っと……やあ、ミハエル。それにブリジットも。
も、という事は、君たちも?
ああ、そうだ。
[ポケットから輪を取り出そうとしたのですが、それは後ろからかけられた声に止まり、顔だけをそちらに向けます。金いろと、茶いろの髪が眼に入りました。]
ミハエル、ブリジット、こんばんわ。
ベアトリーチェは外に行ってはいけないのだけれど、
オトフリートとヴィンターが見に行ってきたそうだよ。
み、ミハエルさん、足はやいのー。
[小走りのままついてきた。
どちらかというと彼女が遅いのにも問題があるのだが]
あ、こんばんは。オトフリートさん、ベアトリーチェ。
何か見つかりましたか?
[オトフリートがここにいるということは、と期待をしながら聞いてみた]
……へ?
いついなくなったか判らない?
[おいおい、冗談だろとぼやいた。
自警団の団員が団長の行き先を知らない等という事は、
ありえないはずなのだが。
まあ、昨日の昼頃までは無事だったのだろうと思う。
イレーネの言葉が正しければ、だが。]
うん。うかつなことはしない。
[...はダーヴィットの姿を見て]
ちょっと鈍い、火の竜。
[ぽつり声にならないコエで呟く]
そうだ。
お前は遺跡へ入れたのだな。
[オトフリートへ頷いた。
ブリジットを振り返る。遅い、とは言わないが言わないだけ。彼女の質問への答えを半ば期待して、オトフリートを見ている。]
……?
[途切れたベアトリーチェの言葉にきょとん、としたのも束の間。
ブリジットの問いに、翠の双眸はわずかに翳り]
……なんといえば、いいのやら。
[とっさに口をついたのは、こんな一言]
だってだって。
[目は口ほどにものを言う。特にその手のは伝わりやすい。
反論しようとしたけれど、先にオトフリートの言葉が届き]
何かあったの?
[きょとんとして聞き返した]
ー教会・礼拝堂・現在ー
[笑みを浮かべたまま、ゆっくりと、背にした祭壇に両の肘をついてもたれかかる]
かつて、一人の吟遊詩人が、魔界の奥、堕ちたる光の王の座所に迷い込んだ。
王は彼に謎をかけた。
「我が恐れるものを謡ってみよ、見事に謡いきれば望みを叶えよう。しかし適わねば、その魂を永遠の闇に繋ごう」
詩人は、竪琴を取り、謡った。
そして、望みのものを手に入れた。
……で。
ありうると思うか、これ。
[ユリアンとダーヴィッドに聞いてみる。]
俺はありえないと思ってる。
こりゃ本格的に『消された』か……?
[首を掻き切る、物騒な仕草。]
行方不明か…。
[自衛団は、団長捜索に大わらわで、とてもじゃないが、鍵の書探しに協力を願えるような状況ではないようで。]
えぇ、見かけたらお知らせします。
[逆にこっちが頼まれる始末。]
―詰め所・今朝―
ギュンターさん、家にも帰ってないの?
――無断欠勤なんてギュンターさんらしくない。
あの人はそういうの一番嫌いだから。
『これってやっぱり「消された」のかな……?』
[最後の言葉は自警団の人には聞こえないようこっそりと]
……何か、というのは、俺自身が聞きたくてね。
追跡のために飛ばした輪……ブリジットは、確か見ていたかな。あれが、消された。
[何に、どのように、とは、今は口にはしなかった。
そして、それから導き出された一つの説も。
それは、たどり着いた先の強大さを知るが故の忌避か。
……単に、往来のど真ん中で話せるような事でもないから、というのもあるのだが]
−工房−
[アマンダは工房へと戻り、食料を仕舞う。
人を装う為の食料は、人気のない時間に森で動物達に分け与える。今は、まだしないけれど。
再び出て行こうとして、置かれたままの仕事用の油に目を留める。上質のそれは、イレーネが持ってきてくれたもの]
そう言えば…代金が、まだ。
先に、寄って行こうかな。情報があるかも、だし。
「チッ」
[アマンダの呟きに、千花は口元を前足で拭いつつ鳴いたのだった]
…。
[口元へ指をあてて、オトフリートの言を聞く。
彼の竜の追跡を”消した”という事実を、反駁しながら]
つまりは、追跡しきれなかったのだな。
それは、我々も”消される”可能性が多分にあるな。
…相手が人間の子供へどういう対応を示すか解らないが。
[ベアトリーチェをちらと眺め]
輪?
[首をかしげたまま、今度こそ輪を取り出しました。無限のかたちをした、不思議な輪。てのひらに収まるくらいの大きさです。これとおんなじものだろうかと考えます。]
……だよなあ。
[二人の言葉を聞き、嘆息。]
じっちゃんは犯人と関わった線が濃厚、か。
証拠固めが出来りゃいいんだが、『鍵の書』の形状すら
知らない始末だしなあ……。
[腕を組んで思案中。]
あの時のが?
[思い出すのは昨日の夜。少しだけ身震い]
それって……
[流石にそれを口にするのは避けた。
ここにいるのは自分達だけじゃない。何も知らない冒険者達もいるのだから]
いやな感じ。
[最近何度と無く呟いた言葉を再び呟いた]
/中/
多分、悩んでいるな!
いや、だってほら、この人デフォで狂気の主だし(・・)
こんなんとまともに話し合おうとする方が無理よ?
―今朝・詰め所―
僕はギュンターさんが遺跡の見回り中に何かを目撃してしまったんじゃないかと思うよ。「鍵の書」を盗んだ犯人の姿とか……。
[大丈夫かと尋ねるマスターの言葉に大丈夫と答えながらシロップを入れて、ストローでくるりとまぜて一口]
[ふと、いつになく店が静かだと思う]
…ああ、そうか。
『少年や少女やオジサマの姿が見えないからだ』
[まだ中天に昇りきらない午前の太陽を窓越しに何気なく見上げて]
人間だからとか、関係ないんじゃないかな。
だって特にベアトリーチェの力は。
[強いし何だか普通と違うし、というのは流石に本人の前で言葉にすることが出来ず。もごもごと口の中で]
気をつけないといけないのね?
[どう気をつければいいのかは分からなかったけれど]
―現在/教会 礼拝堂―
僕の心は君にやるものではない。
僕の心は既にただ一人にやった。
その意味はわかっていよう?
君は僕にその歌を歌わせようというのか?
歌えば君が持つ情報を、教えるとでも?
[ほのえみ浮かべ かれに近づく。
シスターを一度、見ただろうが。
しかしその暗緑の瞳は、すぐにその姿を映すのをやめる。]
一度、やってしまったものを、君にやるなどできぬこと。
君とてそのようなものはほしくあるまい。
それともそれで、契約を成すか?
ああ、そうだろうな。
[ユリアンの意見を肯定する。]
……まあ、『魔法使い』ならじっちゃんを消すくらいわけないよなあ。
容疑者絞りきれんな、おい。
[腕組みを解き、頭を抱える。]
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