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営業妨害もいいとこだろ。
[じとりとした視線を向けたまま店の主である男は言った。
容疑を掛けられたのだから客など来ないだろうと返る声がして
苦々しい表情を浮かべ黙りこむ]
……………。
[睨み合ったままの時間が続く。
先に動いたのは相手の方だった。
増援を、と漏らしながら踵を返そうとする男に
容疑を掛けられた男はギリと奥歯を噛む。
思い悩むのか葛藤するのか、眉を寄せていたが
相手が二歩、三歩踏み出して扉に手を掛けた所で再び口を開いた]
行けば、……いいんだろ。
[渋々といった様子で絞り出された声には*悔しさが滲む*]
― 屋敷 ―
[屋敷へと向かう道すがら、容疑の対象とならなかった村人からの視線を感じる。
けれど女はそんな視線を気にしないように、髪をかきあげ欠伸を一つ。
村を通り過ぎる旅人相手の仕事をしているから、村での評判はあまり良くないのは知っている。
疑われる事を気にした様子もなく、廃墟へとたどり着き]
っつ……ったく、乱暴なのはどっちなんだか。
[強く背を押されて屋敷の中へと足を踏み入れ。
文句を呟きながら、とりあえず屋敷の中を見回した]
―屋敷・広間―
……そうね、いない方が良いわ。
いなかったりするのかしら?
闇雲に探さなきゃいけないのかしら?
誰が人狼かだなんてどうやって見分ければいいの……。
[手に布が巻かれると、アレクセイの問いに首を振る。
手当が終わるともう一度礼を述べた]
深い、穴? じゃあ、ナイフを使いたくなければ突き落とせと言うこと。
……どっちが残酷なのかしらね。
[少し考えるような表情の後、立ちあがった]
上を見てくるわ。一日目って書かれてるってことは、何日か泊まることになるのでしょう?
鍵の掛かる部屋を確保したいもの。
[黙って村外れへと導く自警団員の傍ら呟く言葉は
特に何の感情も滲ませず、顔色も飄々としたものだった。
他の村人たちからの視線を感じても、なお飄々としていた。]
しかし、人狼の容疑、とはね――。
確かに得体が知れないだの何だのと
言われたこともあったけれど。
[今、己の他に邸宅に住んでいるのは少ない使用人のみ。
その使用人らも付きっきりではなく、無実を訴えることも無い。
この男自身、家の財産のお蔭で暮らしに困ることも無く、
湖を臨みながら絵を描いて過ごす自由な身分。
疑われた背景にはそれもあるのだろうと男は思う。]
―屋敷・広間―
居ないんなら、誰も死なない。
そういう事だろう。
――本には、占い師だとかもあったけどな。
[知らん、と言い捨てた。
礼には、いや、と小さく答え]
突き落とせ、なのか、外に出ればすぐに落ちるのか。
どうなんだろうな。
何にせよ、どちらにしても人は死ぬ。
――殺すという事だろう。
そうだな、行ってくると良い。
俺はもう少しここにいる。
部屋は女から取るべきだろう。
[そしてフィグネリアを見送り、救急箱を棚に戻して。
一度置いておいたナイフを、感情もなく、ただ見た]
7人目、 ヴィクトール がやってきました。
ヴィクトールは、智狼 を希望しました(他の人には見えません)。
ええ、よろしく、はしてられないと、思います。
一日一人を処刑、と書いてありましたから。
[テーブルに書いてあった言葉を口にして、聞こえた声にもう一人男性がいたことに気付いてそちらを見た]
……貴方も?
[タチアナと名乗った女の言葉を聞けば、いいところの息子なのかと見当をつけて]
まずは広間に、いってみたら如何でしょうか。
アレクセイさんも、広間にまだいらっしゃいましたし。
私は、部屋を探しに2階へ上がってみます。
それにもう一人いると言うことだったから。
―屋敷/広間―
[書かれた名前の中には、親しい人物も、他の人物のものもあった。
殺すのか、殺されるのか。そもそも誰も死ななければ良い。
ソファに近付き、ナイフを取り。
床に置いたままにしていた袋に入れた。
話し声が聞こえ、戸の方へと目をやる。
入ってくる人に、やあ、と声をかけ]
必要なものは机の上だ。
名前も全部、書いてある。
趣味もだけれど、こんな風に準備がいいのは、今までもこんな騒ぎがあったのかしら。
[タチアナも広間へ行くらしいとその背を見送り、もう一人の男へも少しの会釈を]
ええ……ここに来る人はみんなそうなのね。
でも、人狼だと、判断した理由ってなんなのかしら。
[ベルナルトが広間に向かうのを見てから、2階へと足を向けた。
一つ一つの扉は内側から鍵が掛かるようで、扉は簡単に開いた。
一番端の部屋だけが、扉が開かない]
……誰か、いる?
貴方がここに、最初に訪れた方?
[ノックをしてから声をかけた。
眠っているのか、返事は無く。
けれども、他の部屋が無人だったことを考えれば、ここにもう一人の容疑者がいるのは間違いない]
― 屋敷/広間 ―
ホンットーに……悪趣味だわァ……
[机の上を確認して悪態をつく。
ナイフが用意されているところが嫌らしい。
それでも、用意されたものに手を伸ばす]
まー、どんな基準で選んでるのか、さっぱりわからない名前だわね。
[容疑者の名前リストをまじまじと見やり。
書店の青年が疑われる立場なのは一人暮らしだからだろうかとちらりと彼へと視線を向けた]
[結局返事を貰えないまま、部屋の一つへと身を滑らせた。
鍵の掛かった部屋より二つほど離れた部屋。ベッドとテーブル、サイドボードが置かれていてベッドにシーツは敷かれていた物の少しかび臭く埃が落ちていた。
サイドボードに荷物とナイフを置くと、シーツを簡単に叩いてからベッドに腰掛けた]
……どうしてこんな事に。
[――逃げてきた。遠くへ行こうと思った。もういやだった。
母親は幼い頃になくなった。
父親は賭け事が好きで、当然のように借金を作った。
返済のために働き始めたのは15の時。
体を壊した父親は、完済を待たずに亡くなってしまった。
借金がなくなって少しの貯金が出来たのが、一ヶ月前――]
―屋敷/広間―
ナイフもあるし、人の名前もある。
序に言えば、良くない報せも有る。
[確認する様子を眺めて、緩く息を吐いた]
悪趣味すぎるが、兎に角今日、何も無いことを願うしかない。
殺したくも、殺されたくもなければ。
――そうだな。何がしかあるんだろうが。
俺は聞いていないが、お前は理由を聞いたのか?
[向けられた視線に、何ともなしに答え、問い返す]
涙も出やしないわ……。
[右手にナイフを撮り、その銀を見つめた。
左手は手当てされたまま、もう痛みはそれほどない]
誰か、一人。
さっき、会った人たちを……ううん。
[全員が村人なら、よそ者の自分は、と嫌な未来を想像して、俯く。
怖い、と*思った*]
[ 時は春。
東西北を山に囲まれ、南に湖の広がる村。
柔らかい催花雨の満ちる森で、その旅人は見つかった。
死体を見つけたのは、猟師とも農夫とも森に落とし物を探しに行った子供とも、落ち着きなく騒がれ、最初は正確な情報は掴めずに居た。
人の往来があったとして、たかだか100人程度の村。
自警団を始め、役場の者達もまた現場へ向かうこととなる。]
[ 森の中にあった死体は、傷痕は深く、獣に襲われた外傷だと見てとれた。
唯一、不思議な点があったとするなら、
旅人の目は事切れた時の恐怖を映し込まず、どんな理由があってか、目が閉ざされていた。
獣の仕業、理性的な行動。
相反する事実が、村人達の恐怖の引き金を引いた。]
「人狼だ!」
[と。
それが昨日の話だった。]
― 屋敷/広間 ―
あら、ここに集められて殺しあえって言われてる以外にわるいコトでもあるのかしら?
[アレクセイに首をかしげ。
手持ち無沙汰に口元に手をやった]
さァ……疑わしいのだろう名前以外になんで疑われてるのかわからないのが混じってるのが不思議だわねェ。
……御伽噺にでも縋ってるのかしら。
[理由は聞いていないと首を振り、暗い色の髪が揺れる。
それはどこにでも伝わっているような御伽噺だろう]
人狼だとか言い出したのが誰だかしらないけれど。
いないということがわかって直に開放とかってならないかしらね。
―広間―
やぁ、タチアナに――アレクセイ。
[名を呼ぶだけの挨拶の後、視線は机の方へと。
呟きには暫しの間があったが、顔色は変えなかった。]
……成程、確かに。
乱暴で悪趣味な用意は整っているようだね。
[机の方に近づき、その上の紙を、容疑者の名前の羅列を。
そして置かれたままのナイフを眺める。
ナイフの本数は既に名前の数よりも少なくなっていた。]
――…仕方ない、な。
[低くごちながらも結局、ナイフの一本を手に取り手荷物鞄へと。
その場のふたりの声を聞きながら、ソファに腰を下ろした。]
人狼の食欲を増す香料だとかそんな話だったな。
[肩を竦めて]
先に来た彼女も、熱で休んでいたとか聞いたよ。
そこで会っただろう? 声が聞こえていた。
単純に体の良い、隔離場所なんじゃないかとすら思えるな。
――縋るようなもんでもないだろうにな。
もし人狼がいるなら、窓の外にだって出られるだろうに。
[ちらと視線を窓へとやる。
打ち付けられた板、人狼の存在の伝承を信じれば、そんなもの無意味ではないのかと言いたげで]
一日、待てば、開放されるんじゃないか。
誰も被害者がいなければ。そこに書いてある通りに。
――やぁ、ベルナルト。厄介事にまきこまれたな。
[書かれた名前の人物を見る目は、既に名を知っていたから揺らぐ事は無い]
― 屋敷/広間 ―
ハア……
[ベルナルトも確認した様子を見ながらアレクセイの言葉に、特大のため息を吐き出し]
容疑者は人狼へのイケニエでもあるってわけね。
まあ、ほんと、イイ趣味してるわァ……
[誰が決めたのかは知らないが、舌打ちを一つ零して瞳を剣呑に細める]
ほんと、一日立ってなんにもなくでられたら、村の人たちさんざん莫迦にしてあげなきゃだわ。
[手にしたナイフを袋へといれて、また口元に手を当てて]
アタシ、二階を見てくるわ……
[ぐるりと広間を見渡した後、二人へと軽く手を振って、二階へと上がっていく**]
「人狼も、襲った相手を
想う心を持っていたのかもしれない。」
[ それが切欠だったに違いない。
ヴィクトールがぽつり零した言葉は、次期村長を狙う男の耳に入った。
人狼の立場に立つような言動であると。
その男は躊躇するなく槍玉にあげた。
体良く言えば人狼騒動の容疑者だが、
ヴィクトールは嵌められたとも言える。
現村長に、その立場からすれば正当な範囲で目にかけられ仕事をこなすヴィクトールだったが、その男からすれば、目障りだったのだろう。]
[ 容疑者にあげられた一人にアレクセイが居たのも、その男の理論を押す材料となった。
或いは、ヴィクトールが居たからこそアレクセイもまた容疑者にあげられたのだろうか。
アレクセイ。
家が近い事もあってか、年は離れているが本当の兄弟のようだと感じていた。
ヴィクトールからすれば、アレクセイは友人であり何かと目が離せない弟のような存在だった。
今でこそ村役場で働いているものの、書店を営んでいる彼と両親が居なければ、勤められなかったのではと思っている。
アレクセイの両親が死んで以後は更に何かと気をかけ、時には夕食を共にと誘うこともあったろうか。
アレクセイと共に過ごす時間は、楽しく、幸せな時間だ。]
―屋敷/広間―
そんな風に馬鹿にするから、こんな所に呼ばれるんじゃないのか。
だが、その気持ちは俺も同じだ。
[やりはしないが、と言いながら、彼女の動きを見つめる。
二階へ行く、というのには、手を振り返さず]
あぁ。
鍵も壊れているかもしれないしな。
好きな部屋に入っていればいい。女は、鍵があるほうがいいだろうし。
[だから自分は後でいい、という意思を示して、見送った]
―広間―
生贄を一緒に置いておくことで、人狼を逃がさずに。
だとしたら――人狼でないとしても
別に死んで構わない、ってことか。
[アレクセイとタチアナの話を聞きながら、単調に述べる言葉。
大きなため息も舌打ちもしないまま、憂いだけは言葉に込めていた。]
しかし実際、何でこの面々なのかって言われても、
正直、不思議としか思えない名前もね――、
[二階へとタチアナが向かうのを目で見送ってから、
男の目は、もう一人の彼の方へと。]
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