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―→1F―
[階段を下りる、その足は軽く。
覗いた足元は涼やか。
少しヒールのある靴は、危なげなく床を、絨毯を踏む。]
…あら、音が。
[微かに聞こえたそれに、彼女は首を傾げた。]
/中/
執事の薔薇講座。
薔薇の花言葉は多彩で、一般には「愛」や「美」を意味しますが、
色、部位、種類、咲き方毎に、細かく分類されています。
白ならば「純潔」、赤ならば「情熱」、黄ならば「嫉妬」、
葉は「希望」、蕾は「告白」、棘は「不幸中の幸い」などなど、
蕾の数、色の組み合わせ等によっても更に分かれるので、
表記し切れないほどですね。
幻と言われていた青薔薇は「不可能」の象徴でしたが、
現在では開発も行われ、「神の祝福」と言われているようです。
尚、レインボーローズという薔薇も作成されました……が、
私にはあの魅力は些か理解し難く思います。
花言葉は「奇跡」「無限の可能性」だそうですが。
邪魔、しちゃわるいかしら…?
[首を傾げたまま、裾を揺らす。]
庭も、邪魔になるかしらね。
おわったところを見せてもらえばいいかしら。
たまには、骨董品ではないものを見るのも良いものね。
[縺れる事無く、慣れた旋律を指が走る。
…僅か短い旋律を奏で終えれば、苦笑気味にくつりと零して。
つ、と。軽く黒のキーを撫ぜる]
随分、触れてなかったが。
……しっかし、相変わらず柄じゃねーな。
[大分鈍ってる。と独り呟きながら笑みを崩す事無く。
再び、左手だけで弾く簡素な旋律。]
[暫し本へと向けられていた意識がふと途切れ
耳に届いてきた微かな旋律に顔を上げる]
…珍しいの。
誰か客人でも弾いておるのかの?
[この邸でこの音を聞くのは、はて、何年振りであったか、と首を傾げ]
……楽器……ピアノの音だな。
「うん。おと、きれいー。どこかなー、どこかなー」
[呟きに、カーバンクルが妙に嬉しげに鳴いて尻尾を振る]
……探しに行くか?
[妙にはしゃぐ相方の様子に苦笑しつつ問えば、カーバンクルは元気良くみゃう! と鳴いた]
[楽器の音。
音を聞くのは嫌いじゃない、けれど。
自分も時々歌を口ずさむから、音楽も好きなのだけれど]
……ん……。
[音に近づくにつれて、何か。
内側に、ざわめく気配]
…………大人しく、しろよな居候…………。
[掠れた呟きに、ざわめきはやや、鎮まったようだった]
「……エーリ?」
ん……大丈夫だ。
『あいつ』が、ちょっと騒いでるだけ……。
[それだけだから、と。その呟きは、自分自身に言い聞かせるようで]
オルゴールってどないなものなんだろうなー
[一通り、知恵の輪を使って遊び終わると。
今回の披露する品について考えてみる。
実は...は、オルゴールの逸話なんて知らないのだ。ただ見せたいものというぐらいだから、宝石などをこれでもかというぐらいちりばめた豪奢なものなのかね。
と、見せたい=自慢。という感覚からそんなことをぼんやりと思っている。]
興味がわけばいんだけどなー
[ただ豪華なだけならあまり興味はわかないだろうなーと思うが、変わった物であればそれなりに面白いだろう。
どんな風に。どんな想いで作られたのか…]
ま、それも見ればわかるっと。
[声に気付いてゆるりと振り向けば、
黒には及ばず、白には程遠く、灰とも違う色の髪が揺れる]
ご機嫌よう、フラウ。
このような格好で、失礼致します。
[鋏を手にしていたからか、そう断ってから、一礼して]
丁度終わったところです、御覧になりますか?
[片手を広げて、執事の後ろに広がる緑を指し示す]
[スタッカートの混じる、端的な音。
かつん、と当たる音に僅かに目を見開く。
奏でていた旋律を止め、掌を返して指先を見れば僅かに伸びた爪]
……サボった分のツケが来たかな。
[忘れてた、と小さく舌打ちして。
後で爪の手入れでもすっか、と内心決意する。
…した所で、恐らく頻繁に鍵盤に触れる事は無いのだろうけど。]
─音楽室─
[そっと、音を立てないように気遣いながら、扉を開けて中を覗き込む]
…………。
[そこにある、漆黒のピアノと、その前に佇む蒼い髪と。
その組み合わせはやや意外だったためか、つい、声が出そうになったが、一先ず抑え。
カーバンクルにも、声を上げるな、と身振りで示しておく]
[時折途切れがちではあるが、その旋律に耳を傾けつつ]
しかし、一体誰が弾いておるのやら…
[昨夜居合わせた者達の姿を思い浮かべてまた首を傾げる]
……見に行った方が早いかの。
知った所でどうなるものでもなかろうが。
[そう呟くと本を置いて立ち上がり、音の聞こえる方へ、と]
――→音楽室――
[辿り着いた先には既に先客があり、無言で中を伺う様子に]
……どうしましたかな?
[と、極力抑えた声で訊ねる。
肩に乗ったそれが「静かに」と言いたげに此方を見るのには気付かなかったが]
―庭園―
執事さんが庭を手入れするなんて、庭師さんはやめてしまったの?
邪魔をしてごめんなさい。
終わったところ、だったなら良かったのかしら。
[広げられた片手を追い、見る風景に彼女の色づいた口唇が微笑みに]
いつ見ても、綺麗。
満開になったら、きっともっと綺麗なんでしょうけど。
そのときが、楽しみね。
[アーベルに、声をかけていいものか、ちょっと悩んでいた所に声をかけられ]
あ、いや……。
何となく、邪魔しちゃまずいかな、何て思いまして。
[一つ、瞬いてからこう答える。
その肩からカーバンクルがぴょん、と飛び降り、とてとてとピアノの方へ]
[ふわり、主音に触れて。静かに響く低音に柔い弧を浮かべる。
弾くように、上主音、中音。と室内に響き。]
[…ふと。ピアノへと近寄るカーバンクルが視界の端に入る。
そうして漸く金髪の青年と老人の訪れに気付けば、僅かに目を見開いて。
何処か狼狽たえた様に視線が一瞬彷徨えば、僅かに口を開く]
…ぁー、と。
……コンニチハ。
[もっと言う事はあるだろーに]
ええ、体調の方を崩してしまいまして。
次の者が来るまでは私の担当になっています、
前任者に比べれば未熟でお恥ずかしい限りですが。
[先の問いかけには小さく頷いて肯定の意を示すも、
邪魔を、と言われればとんでもないとばかり、首を振った]
いいえ、お客様の為とあらば。
[柔らかく微笑みを浮かべながら、
彼女が観望しやすいよう、一歩横へと退く]
そうですね。
後数日もすれば見頃になるでしょうか。
赤や黄の薔薇も美しいですが、
この黒と白のコントラストは他では見られないかと。
[アーベルから投げかけられた言葉に何か言う前に、そちらに近づいたカーバンクルがみゅう、と元気良く鳴いて尻尾を振る。
その様子に何となく、苦笑しながら音楽室の中へと足を踏み入れて]
ん、こんにちは。
……邪魔したかな?
[にこりと笑いつつ、こんな問いを投げかけて]
[血の様な赤よりも、光の如き黄よりも、
自然の宿る緑よりも、宙を映した青よりも、
他の多彩な色のどれでもなく、
黒と白、その二色に惹かれるのは、己が性故か]
やー、全然。
戯れに弾いてただけだし。
[カーバンクルが尻尾を振る様子に、へらりと笑みを返しつつ。
はた、と気付いた様に首を傾げれば、]
そーいえばお揃いで…何か探しに来てた?
[俺の方が邪魔してた?、と僅か慌てたように席を立って。
まさか、音が零れてたとか音を辿られてたとか、思いも寄らない。]
[どのような想いがこめられているのか。
それには興味がある。
宝石なども綺麗は綺麗だが。あまり興味はわかない。
デザインが美麗なのもそれはそれでいいが、ただただ豪奢なだけなものは見ていて気持ちが萎える
それとは逆で、イレーネの作るランプはこっそり...のお気に入りだったりする。
最もそれを口にも態度にも出したことは無いけれど
そういう意味では全部とは言わないが、ここの邸の主の趣向は悪くないなと思う。
ホールにあったのをいくつか見ただけの評価ではあるが。
ならばオルゴールも楽しみにしていいかもしれないと考えつつ]
……ちょっと腹減った。
[露骨に現実的欲求が広まっていった]
[エーリッヒの肩から下りたそれに気付いてか、戦慄の主が此方に目を向け声を掛けてくるのに若干苦笑を浮かべ]
こんにちは。
いや、これは驚きましたな。
[それを奏でていたのが、他でもないアーベルであった事に少しばかりの驚きは隠せずに]
大変ね。
体調を崩してしまった、って、大丈夫かしら?
未熟なんてとんでもないわ、とても綺麗。
[黒と白の薔薇に見入っていた彼女は、視線を戻して微笑みかけた]
数日後、楽しみね。
ここしか見れないから、この季節に、招待状をくれて嬉しかったわ。
探してたと言えば、探してたかな?
[アーベルの問いに、ほんの僅か、表情に悪戯っぽいものが宿るか]
ローゼが、音がどこから聴こえるのか知りたいって、せがむんで、探し回った結果、ここにたどり着いたんだから。
[とりあえず着替える。
別に洒落た服装など着替えない。
そもそもそんなものはもっていないし、あっても着ないだろう。
それほど代わり映えしない格好になって。]
よーし。朝食だー
[時間的には昼食というほうが正しいのだが、...にとって起きたときが朝で寝るときが夜だ。
日の昇り降りなど関係ない
とりあえずホールへと移動することにした]
そうですな、恐らくは其方のお方と同じ理由でしょうな。
[探し物、との問いにはそう答え]
この邸で、この音色を聞くとは思わなんだがの。
[続く言葉は小さく、呟いて]
[エーリッヒの言葉の意味を辿りきれば、目を見開いて。
漏洩の事実を悟れば、何処か乾いた笑いが零れる。
思わず、今更はぐらかす様にぱたり、と鍵盤の蓋を閉じて]
……あははは。…や、聞き苦しいものを。
少し前に齧った程度で。とても聞かせられるものでは。
[老人の言葉に、へらりと笑みを浮かべつつ。]
元々、かなりの高齢でしたから。
今は、実家で娘夫婦と共に暮らしているそうですよ。
一ヶ月程前、現状を伝える手紙が来ておりました。
[世間話をしながらも、客人から賛辞を受ければ丁寧に礼を、
微笑を受ければ、似たような、けれどやはり形式的な笑みを返す]
ええ、本当に。
私としても、お客様に御覧頂けるのは嬉しく思います。
宜しければ一輪、お部屋にお飾りしましょうか?
―ホール―
[ホールにやってきた。
だがなんともなれないものだ。使用人に世話はもちろん食事の一つを頼むのもなんとも慣れない。勝手に並べられていたら楽なのだが、それは晩餐ぐらいなのだろう。
いっそ、厨房と材料だけ借りて自力で作ったほうが気が楽だとか。地味に窮屈な思いをしながら、さすがにそれは駄目だろうと諦め。
そこにいた使用人…サクヤとかいったか。ぎこちなく食事を頼む。
そんな姿をアーベルに見られずにいて心底良かったと思う。]
[鍵盤が閉じられる様子に、カーバンクルはやや、不満げな声を上げて尻尾を振る]
ローゼ、わがまま言うな?
[もっと聴きたいのにー、という訴えを苦笑まじりに諌めつつ、周囲を見回して]
それにしても、こんな部屋があったんだなあ。
俺、書庫と庭くらいしか行かないから、今まで気がつかなかったよ。
そうね。
元気になっているのなら良いけれど。
無理をさせてしまうのは、よくないものね。
[有能な執事の態度に、彼女はくすくすと笑みをこぼす]
でも、手折ってしまうのはかわいそうよ。
ここに咲いていたほうが、綺麗で、生きていられるもの。
だからもらうことはできないわ。
[アーベルが笑いながらさらりと言うのに、いやいや、と笑い返し]
そうは聴こえませんでしたがの。
それなりに弾きこなせなければああはいきませんぞ?
[エーリッヒが部屋を見回し呟く声にふと気付き]
其方の方はご存知ではありませんでしたかの…?
[そう口にした後で考え込む。
話しても良いものかと悩むような仕草で]
うん、俺も知らなかった。
ぶらりと彷徨ってたら、さっき初めて見つけてさ。
[思わず無断で、とエーリッヒの言葉にへらりと笑いつつ。
老人の言葉に、有難う御座います、と会釈を返して。]
いえ、まだまだ…堂々と誰かに聞かせられる程では。
弾いたのも随分久方ですし。
…また、誰も居ないときにな?
[大分鈍ってました、と。苦笑交じりに呟いて。
カーバンクルの不満げな声に、僅か肩を竦めればしゃがみ込んで。]
ええ。
曰く、「第二の人生」を楽しんでいるそうですから。
[かわいそうだと言う客人の言葉に、改めて花を見やる。
蕾を綻ばせた花は、朝に注いだ滴もすっかりと乾いて、
今は陽の光を受け、静かに其処に佇んでいた]
そうですね、申し訳御座いません。
貴女様には白の薔薇がお似合いになるかと思い、
つい、差し出がましい事を。
[謝罪の言葉を述べて、深々と頭を下げる。
顔を見せる時には、再び笑みが浮かんでいたが]
ナターリエ様は、お優しいのですね。
/中/
あ、あれ?
寡黙なじーさんのつもりだったのに、発言数が多いよ?
余り関係作らず初回吊りくらいの気持ちなんだけど、ワシ。
『気まずい…』
[運ばれてきて並べられた食事。
形式ばった一礼をして去っていった。サクヤという女性使用人。
だがその後も他の数人の使用人が幾度もホールを行き交っている。
どうやら明日の食事会の準備で忙しいのだろう。
そんな中一人ぼけっとしているのが……
それでも食事はしっかり取っている辺りやはり図太そうだ]
/中/
オトは、占い師か霊能者…かなぁ。
(黒と白っつー色だけで考えてる人)(それは…)
どっちが潜伏か判らないけど、占い師なら避けた方がいっかな…。
絡みたいなーと思ってたんだけど(しょんぼり)
ええ、全く。
俺は専ら、書庫に世話になってましたからね。
それに、楽器は……不得手ですから。
……何か、訳ありなんですか、この部屋?
[ザムエルの問いに頷いて答えつつ、不自然に途切れたようなその言葉に不思議そうに瞬く]
……無断って……まあ、御大なら気にしない……かな?
[アーベルの言葉には、どこか呆れたように。
カーバンクルは、投げかけられた言葉に嬉しそうにみゅう! と鳴いて、尻尾をぱたぱたと]
/中/
はーい、希望どおり囁き狂人ゲット
ただし、赤は暫く潜伏。反応を楽しませてもらおう
まあ、設定は考えてるけど応用なんていくらでも利くから
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