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[鸚鵡返し>>*4には、おぅ、と短く返すに留まったが、名乗り返しの声>>*5を聞くと驚きは一層強まった]
いっ、カルメン!?
何で俺とカルメンがこんな風に話せんだ?
…あーと、昔親父と喧嘩した時に木に逆さ吊りされた俺を知ってるカルメンなら俺の知ってるカルメンなはずだ。
[まだ腕白に駆け回っていた頃の話だが、同じくお転婆だったカルメンであれば見かけたこともあるはずだ。
何ともな証明方法ではあるが、疑問の一つはこれで解消することが出来ようか]
うーん、何で話せるのかは俺も分からん…。
内緒話出来るのはちょっと楽しいけど。
[楽観さが混じる辺りはイヴァンたる由縁か。
結局、何故話が出来るかは、現状では分からず終いのようだ*]
─ 屋敷の中 ─
[薪運びが終われば朝食前の一風呂へ。
途中誰かと会うことがあれば、氷の堤により橋が壊れてしまったこと、しばらくは小島から出られないが直に架け替えが行われるだろうこと、湖を渡って脱出しようとしないことを伝えた。
堤を見に行くと言うなら、気を付けてな、の一言も添える]
[そうして向かった大浴場は、温泉を利用しているため常に温かく、脱衣所に入っただけでも冷えた身体が温まるようだった。
泊まる予定なくの宿泊だったために着替えはない。
湯で温まった後は再び同じ服を身に付け出ることになった。
身体が大きいため服を借りるのも難しいだろうと割り切っているため、その辺りに躊躇いはなかった]
あれ、ユリアンは?
[一通り顔を合わせたかに思えたが、約一名姿が見えないことに疑問を持つ。
部屋を特定出来たなら(一通り客間を確認した)、ノックをしてみて様子を見る。
風邪だと判明するならば薬師見習いのエーファに頼んだりもするだろう]
[そうして手伝いをしたり、黒猫を構ったりなどするうちに、時間はどんどん過ぎていく**]
[>>*6聞こえるコエは、こちらの名を聞いてやはり動揺した様だったけれど。
続いたコエが自分の知る彼らしさを感じるものだったから、こちらも少しだけ落ち着きを取り戻せて]
…逆さ吊りのまんまお腹すいたから寝るって言って寝ちゃったイヴァンだったら、私の知ってるイヴァンだわ。
[あの時はまさか寝るとは思わなかったイヴァンの父が彼を下ろしたのだったか、それとも他の人だったか。
少なくともこれで互いの証明にはなっただろう。
何故こうして話せるのかは彼にも分からないと聞けば不安は残るも、内緒話と称されるとどこか楽し気に感じるのはこちらも同じで]
そうね。
理由はわからないけれど、イヴァンと話せるのは楽しい。
[気負いせずに話せる数少ない相手だから、と微笑んだ後。
部屋を出た理由を思い出して、あ、と声をあげてから]
ね、イヴァン。
私さっき、誰か叫んでる声が聞こえた気がして目がさめたのだけど。
何か知らない?
[自分が目覚めた理由について、彼に問いかけた*]
─ 翌朝 ─
[部屋を出たものの、あてがある訳ではない。
とりあえず一階に行けば広間なり厨房なりに誰か居るだろうと、階段を下って行って。
念のため外も見ておこうか、と玄関から出て周囲を見回した所でその異変を目の当たりにした]
……え…?
これ、橋…?
[氷の堤によって壊された橋の惨状に、続ける言葉を失くして。
>>10近くにオトフリートがまだこの場に残っていても、暫く気がつけぬまま立ち尽くした。
声をかけられるか、ようやく気付く余裕が出来たなら彼に向かって。
誰も居ないなら、独り言のように「皆にも知らせないと」と小さく呟いた後、屋敷の中に戻っていった**]
あはは、合ってる合ってる。
[何も出来ないし腹が減るだけなので寝てしまえ、と。
後で様子を見に来た父が呆れて下ろしたと言う話は、父の飲み仲間の間でも語り草らしい。
ひとまず互いの証明は出来たものの、話が出来る理由は分からず。
けれど内緒話、と表現したことはカルメンも不安を軽減することが出来たようだ>>*7]
これはこれでありだな。
あー、実は橋のところで氷の堤が出来ちゃってさ。
壊れちまったんだよ。
橋が壊れたことは多分すぐに伝わるだろうし、架け替えも準備してくれると思うんだけどね。
[架け替え作業の中心になるのが自分の父であるため、その辺りに関しては疑うことはない。
それをカルメンにも告げ、これ以上の不安を与えないようにした**]
/*
業務連絡ー。
旅の詩人襲撃、プランがあるなら任せますが、特に無いならこちらで動きますよ、と。
今日はこれにて失礼ノシ**
[>>*9こちらの答えに、合ってると笑うコエ。
落ち着いてくれば、それは確かに自分の知るイヴァンのものだと解った。
わからない現状ではあるけれど、子供の頃から肝が据わっているイヴァンとならば大丈夫に思えてきて。
けれど、続き問いかけた答えは、大丈夫とは言い難いものだった]
…そんな。
じゃあ、暫く橋は渡れない、のね。
[橋自体の架け替えは滞りなく済むだろう、とはこちらも分かっている。
見知らぬ人も居るが、此処には知己が居るのだから不安に思うことも無いはずだ。
なのに、どうしてか分からないけれど──閉じ込められた、という意識が不安を感じずにいられなくて。
実際に氷の堤に壊された橋を見にいったのは、矢も楯もたまらなかったから**]
/*
業務連絡ありがとうございますー
正直ノープランなので、動いていただけるなら助かります。
こちらも今夜はこれでお休みなさいしますねノシ**
―翌朝―
[顔を点き合わせてみたところで橋が壊れたと言う事実はやはり変わらず。
昔馴染みを「さん」付けで呼んだのは、困惑半分と寝起き半分だが当人はそれと気付かぬまま]
この村に腕のいい大工さんがいたことに感謝するよ。
きっとおじさんならすぐに何とかしてくれるよね。
[多少落ち着いたか口調は普段の物へと戻り、イヴァンの信念の籠もった言葉>>15に頷く]
みんなにも言っておくよ。
焦ってもいいことはないしね。
[冬の湖に落ちる事がどれほど危険かもいつもの皆なら承知のはずだけれど、念を押して置くに越した事はないから、その件についても承知して]
[やっぱり、と声を零し首を傾げるエーファ>>17には]
あぁ、ほら、大きな声が聞こえたからさ。
こんな時間に起きて外の様子を見に行くのは君だろうと思ったから。
[そんな風に声をかける。
決まり悪そうな声を上げ、朝食の準備をと屋内に戻るのに]
こんな時こそいつもどおりの温かい食事が大事だね。
おいしいの期待してるよ。
[と見送って、残ったイヴァンもあの声で起きたんだなと呟きから察する>>18
薪の用意をすると言う彼に]
力仕事は任せた!
俺でも出来る事があったらいつでも言って。
[と作業を任せやはり見送ると、もう一度橋を見て一つ息を吐いた]
[さて、戻ろうかと思った矢先、背後から声>>22が聞こえて振り返る]
あ……カルメン、おはよう。
そう、橋。壊れたってさ。
でも大丈夫、すぐに向こうも気付いて直してくれる。
だから、今は落ち着いて?
[呆然とした様子のカルメンに声をかけ、簡単に状況を説明する。]
そうだね、皆にも知らせないと。
それに、いつまでもここじゃ冷えてしまう。
エーファが朝ご飯を作ってくれるっていうから中に入ろう?
[皆に、と呟くカルメンに頷き、中に入ろうと促す。
焦っていても仕方がない。
橋は落ちて、ここは孤立してしまったのだから。**]
─ 回想・広間にて ─
[楽譜を脇に置いた>>0:20男から声をかけられ、
「覚えてないかもしれないけど、雑貨屋の息子のオトフリートだよ」>>0:165
と自己紹介されると、
思いがけない再会にユリアンは目を丸くする。]
え……と、確か……村を出て行った?
[顔にはさっぱり見覚えがないけれども、
雑貨屋を営む家に、兄より少し年上の子どもがいたという話は聞いたことがある。
なさぬ仲の両親>>0:21に反発し、村を出ていってしまったと。]
ご無沙汰しています、が……。
戻ってこられたんですか?
[狭い村のこととて、家庭内の事情も大概筒抜けだ。
兄の口調は世代の近いオトフリートに同情的だった。]
[黒猫のモリオンに小さく手を振っていた>>0:166オトフリートは、ユリアンの顔つきに気づいたらしく、
「何か気になることでもあるのかい?」>>0:166
と問いかけてきた。]
ああ、いえ……。
[気になることはある。
けれども、初対面に近い相手に伝えてどうするとも思え、ユリアンは曖昧に微笑んで俯く。]
氷の堤を見に来る町のひとも多いですからね……。
[「ご家族は元気なのかな?」>>0:166
続けられた問いには頷いて。]
兄も母も町へ移りましたが、おかげさまで元気ですよ。
[その後、会話が途切れれば、カルメンに声をかける彼>>0:167を見送るだろう。]**
─ 回想・広間にて ─
[華やかな雰囲気の女性が広間へ入ってくる>>8と、合わせたわけでもないのに、皆の視線はそちらへ向いただろう。
「カルメンって……あの?」>>0:167
と声をかけるオトフリートとは年齢も近いし、子どものころ親しかったのかもしれないと、ユリアンは勝手に解釈して。
村では数少ない若い女性。
しかも、着飾らなくとも目立つ容姿だ。
ユリアンとしては、第一の顧客になって欲しかった、のだけれども。
エーファに話しかける>>9カルメンから視線を外し、傍らの愛犬へ手を伸ばす。
その黒い毛を撫でながら、誰にも聞こえない声でつぶやいた、]
残念……。
[仕立て屋を仕事としてやっていけるかどうかわからず、意気込んでいた時期だった。
婚約の噂を雑貨屋の客のおしゃべりで聞き込むと、確かめもせずに彼女の屋敷へ向かったのだ。]
[資産家夫妻の迷惑そうな表情も、まだ公にしたくないだけだろうと軽く受け取ってしまい。
たぶん、あの時点で夫妻は娘の婚約を快く思っていなかったのだ。
カルメンの両親をこの村から離れ>>12させた原因が、自分の売り込みにあったことは知らない。
しかし、その後の相手の対応から、何か気まずい事情があったのだろうとは察している。]
ほんとう、残念だよ……。
[頭の中で思い描いたウェディングドレスのデザインを、この手で形にしてみたかった。
そして、彼女に着てほしかった。
窓の外に視線を向け>>11、何か考えているらしいカルメンをちらちらと意識しながら、ユリアンはため息をこぼす。]**
─ 翌日 ─
[ときおり咳き込みながら寝台で震えていたが、断続的には眠っていたようだ。
朝、騒ぎになっている声>>0:175、>>0:179、>>1はなんとなく聞こえていた。
寒気と寝不足と咳でぼんやりする頭では、それが何を意味するかまで考えられず。
休んでいれば少しは回復するだろうとの淡い期待から、そのまま寝具を被って横になっていた。
うとうとしていたのは、数十分か数時間か。
ふと気が付くと、鎧戸とカーテンを閉めたままの窓は暗いままで。
廊下の足音を聞きつけたビルケが、短く鳴いて知らせたのはノック>>21とほぼ同時。]
あ……、朝…だよね…。
[ユリアンはのろのろと起き上がり、馬布のコートを寝間着の上に羽織って扉を開ける。]
[イヴァンと顔を合わせれば、]
風邪を、引いた、みたいで……。
[掠れた声でそう伝えた。
エーファに薬をもらっても、その日は客室にこもって安静にしておくだろう。
誰かが様子を見に来れば、扉を開けて少し対応するかもしれない。]**
仕立て屋 ユリアンが「時間を進める」を選択しました。
─ 橋が壊れた日の夜更け ─
[心配事など何一つないはずなのに、イヴァンはその日の夜、寝付けずにベッドの上で寝返りを続けていた]
……ぅ……
[借りた客室の中だけで零れる声。
魘されているかに思えるそれは、けれどイヴァンの意識はきちんとそこにあって。
やがてゆらりと上半身を起こし、右手で額を押さえた]
…なん、だ……?
[身体や心がざわざわと落ち着かない。
冬だというのに汗が噴き出て、部屋が随分と暑く感じた。
ベッドを下りると、空気を入れ替えるために窓へと近付き、カーテンを開け片方の窓だけを開く。
ひんやりとした空気が通るのを感じ、一つ息を吐いたところでそれは起きた]
ぐっ…!?
[ぐるん、と視界が回転するような感覚を受け、身体がミシミシと変化して行くのを感じる。
何が起きているのか、と思うよりも早く、変化の起きたイヴァンの身体は窓縁を蹴り、外へと飛び出していた]
[空には真っ赤な月。
湖に作られた白い堤が月明かりで赤く染まっている。
紅い光が降り注ぐ中、真白の雪に降り立ったのは漆黒の獣だった。
その中で、金色の目だけが爛々と輝いている]
[獣の行動は迅速だった。
小島の一角から控えめな演奏が聞こえる。
食欲をそそる匂いがしている。
獣は本能のままに駆け、そのままの勢いで見つけた旅の歌い手に飛び掛っていた]
ぐるるる……
[飛び掛りの一撃は歌い手が腕を掲げたお陰で致命傷にはなり得なかった。
獣は歌い手に向き直り、身を低くして狙いを定める。
逃げようと後退る歌い手を追い詰めるようにじりじりと距離を詰め、獣は一息に飛び掛った。
仰向けに押し倒すように爪を立て、歌い手の喉に牙を突き刺す。
恐怖で声も出なかったらしい歌い手は、その一撃で美しい声を永遠に失った。
引き千切るように獣が顔を動かすと、喉の傷は広がり紅が大量に零れだす。
獣は動きの減った歌い手を一瞥すると、血塗れた牙を腹部にあて、一思いに食い千切り、中の臓物、そして心臓に喰らいつき、歌い手の中を空にしてしまった]
[満足した獣が口の周りを舐め上げ、歌い手の上から退くと再び部屋の窓側へと戻り、窓から部屋の中へと戻って行く。
ベッドの上には安眠するイヴァンの姿。
自分が今何をしたのか、今のところは夢現*]
― 翌朝 ―
[修道院の朝は早い。
場所が変われど体に染みついた習慣は消えはしなかった。
早朝、寝台から起き出し身なりを整えて祈祷を行う。
そうしていれば館の主も起き出す頃合いになろう。
一泊の礼と挨拶をしてから発とうと思っていた。
朝の静寂は思いのほか早く破られる。
上がる声>>0:175は驚きゆえのものか。
聞き覚えのある声音に伏せていた視線があがる。]
この声……、
[何かあったか、と、立ち上がる。
部屋を出ようとドアノブに手を掛けたところで違和に気付いた。]
[利き手である右の甲、手首に近いその位置。
うっすらと色が変わり痣のようになっている。]
――…ん。
何処かで打ったか?
[思い返してみるがそのような覚えはない。
首を傾げながらその痣を怪訝な表情で見据える。
何か見覚えのある形に思えなくもないが
その輪郭はまだぼんやりとしていた。
普通にしていれば袖口で隠れる位置。
痛みもないことからさして気にせず、
そのままにして部屋を出る。]
[泊まるつもりはなかったから荷物は殆どない。
声が外から聞こえた、とまでは分からず
防寒着は部屋においたまま。
階段を下りて辺りを見回す。
少しばかり出遅れたせいで、
そのころにはすでに橋の有様を見た者も
帰ってこようとするところかもしれない。
厨房ではすでにエーファが竈に火をいれていた>>19。
視線を落とせば黒猫が静かにそれを見守っている。]
おはよう、エーファ、モリオン。
少し前に、声がきこえたんだけど、何かあった?
[声を掛ければ、氷の堤の件は聞けるだろうか。
外に出られぬ事を知ると少し考える素振りをみせてから
広間へと行き、暖炉に火をいれ、悴む指先を温める事にした。**]
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