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違った、全てのカードが云々って書いてた。
そして相手キャラのスタイルが決まらなくて困る。
途中かなりの勢いで寝てたけどm
─森─
[楽しめそうな獲物を探し、木々の枝を飛ぶ。どの場所に居ても極彩色の男の姿は良く目立つ。それ故か、その後ろから追いかけるようにして地面を駆けて行く気配が一つあった]
デートんお誘いかのぅ。
[ちら、と少しだけ視線を向けると、追いかけて来ているのは女性。ふざけてそんなことを言いつつ、探す前に見つかったようだし、と動き回れそうな場所を探し誘導して行く。森の中の少しばかり開けた場所で、男は枝の上でその足を止めた]
ワシん何ぞ用かいのぅ?
[姿を見せずに声をかける。相手の女性は見失ってしまった男を探し視線を巡らせながらその声に応じた]
『ここに居て用と言ったら一つしか無いでしょう?
貴方のカード、もらい受けに来たわ』
[不敵な笑みを浮かべた女性は、手にした銃で枝の上目掛け手当たり次第に発砲する。場所が特定出来ないことに少しずつ苛立ちを覚えて来たらしい。その射撃を避けるように、男は枝の上から降りて来た。その肩に小猿の姿は無い]
それもそうじゃな。
美人さんがデートに誘いに来たんか思うたが、当てが外れたわい。
……おんや。
[からりとした笑いを漏らした後、何かに気付き男はマジマジと女性を見つめた]
おーおー、なんぞ見たことある思うたら。
一昨年辺りん『遊戯』ば参加したにーちゃんの妹か。
形見ん銃ば愛用しとるようじゃな。
『なっ……。
どうしてそれをっ…!』
[女性に動揺が走る。その様子を楽しげに見やっていた男だが、隙は見逃さず即座に女性へと肉薄した]
[嗤う気配を含めながら女性の耳元で囁き、その腹部にボディーブローを一発叩き込む。囁きに更なる動揺を誘われた女性はその一撃を諸に食らい、後ろへと吹っ飛んだ]
『がっ……は……。
そ、んな……はずは、ない…!
これを届けてくれたのは、お前では無かった!』
じゃけぇ、こげな顔じゃったろう?
ほんで、おまはんばにーちゃんはこげな顔じゃったか。
[不意に顔を覆っていた仮面を取る。そこに現れたのは女性にとって見覚えのある顔。驚きに声を無くしている女性を後目に男は再び仮面を顔に合わせ、言葉と共にまた取り外す。次いで現れたのは、女性が良く知る肉親の顔だった]
『!?
貴様……一体……!』
サービスはここまでじゃあ。
ワシんこと教える気ぃはさらさらなかとよ。
『遊戯』ば関係者とだけ言うておこか。
『……くそぉ!!』
[頭に血が昇ったのか、立ち上がった女性は男に対し牽制の銃撃を二発。男が避けるのを見越し、腰に据えてあったエストックを抜き、避ける軌道上目掛け突きを繰り出した。仮面を直しながら避けていた男の腹部をエストックが襲う]
『取った!!』
[確信染みた声で女性が叫ぶ。手応えもあり、エストックは確かに男の腹部を貫いていた]
[しかし]
ざーんねんじゃのぅ、ワシゃこっちじゃて。
『!?』
[男の声は背後から。そして女性の首元には男の得物──刃を併せ持つトンファーが当てられていた。エストックが男の腹部を貫いているにも関わらずに]
そっちは偽もんじゃあ。
証拠に、血ぃ流れとりゃせんじゃろ。
『馬鹿、な。
いつの間に、入れ替わった…!』
さぁいしょっからじゃて。
尤も、そっちんもワシに間違いはありゃせんけどの。
ほんじゃ、チェックメイトじゃて。
[嗤う気配を乗せ、男は女性の首へとあてていた刃を離しながら、逆の手の刃でその背中を一刀の下に切り捨てた。悲鳴を上げなかったのは女性の念持からか。くぐもった声を漏らしながら女性の身体は地面へと倒れ行く。偽の男を貫いていたエストックが抜け、それは闇色の塊となり。女性同様に地面へと落ちた]
ま、死にやせんけぇ。
治るまで大人しゅうしとくんじゃな。
[意識を失おうとしている女性へそう声をかけ。与えた傷を気にすることなく女性を仰向けにする。どこからともなく現れた小猿が女性の懐を探り、所持していたカードを見つけ男の肩へと登った]
おぅ、見つけおうたか。
……女教皇のぅ。
ま、ええか。
[カードを見てびみょーと思ったらしい。それでも獲得したことには変わりないため、男はそれを懐へと直す]
さぁて、こん後ぁどぎゃんしたろうかねぇ。
[楽しげな雰囲気で、小猿を肩に乗せた男は森の奥へと入って*行った*]
─湖・水上─
……Sturm,Anfang!
[湖上に響く、凛とした声。
銀の蔦が同じ色の輪に転じ、細い手に確りと握られる]
ってーいうかね!
アンタ、しつっこいんだよ、オバサン!
はっきり言って、いー加減、ウザイ!
[鋭い刃を水平に突きつけつつ、飴色が睨むのは水面に首を突き出す魚竜型のクリーチャー──ではなく、その背の上に悠然と立つ、真紅のドレスの女]
「嫌われたものねえ、『新種』のお嬢さん?
とはいえ……我が財団の研究テーマを完成させるためには、複数の『新種』の遺伝子を受け継ぐサンプルが必要なのよ。
複数の『始祖』の直系にあたる貴女は、その条件に最適なのよねぇ……」
そんなの……ボクが、知るかっ!
[嫣然と笑う女に向けてきっぱりと言い放ち、背の翼を羽ばたかせる。
水面を滑るように翔けて距離を詰め、水面に突き出した魚竜の喉元を切り裂こうとするが、それよりも一瞬だけ早く、女が手にした鞭でぴし、と魚竜の首筋を叩いた。
それが何かの指示になったのか、魚竜はこちらの到達直前に水面下に潜めていた尾を強く振る]
……っとと!
[とっさの急上昇でその一撃は避けたものの、それによって距離が開いた。
更に、追い討ちを駆けるかのように噴き出される、水のブレスを飛び退く事で避け]
あー、も、面倒なんだよね、この『キメラ使い』!
[自らは戦わず、遺伝子操作によって作り出したクリーチャーを使役して戦う『キメラ使い』。
自分を追い回す研究施設の幹部でもある女は、あらゆる意味で『タイプ』ではないのだが]
……ここで捕まって、挙句、カードまで取られるのは、さすがに情けないからなぁ……。
[小さく呟き、距離を測る。
相手は、実質水棲クリーチャー。
何度となく倒している、『慣れた』相手だ。
ただ、問題なのは野生のクリーチャーではなく、人の指示で動いてくるところ]
ま、対処法はわかってんだし……やる事は、一つ。
[小さく呟き、右手の輪に念を凝らす]
……Sturm,Teilung.
[呟きに応じ、輪は、一回りほど小さな二つの輪へと転じる。
女は、有効距離から外れているためか他に理由があるのか、仕掛ける様子は見えない。
否、わかっているのだろう。
こちらが仕掛けるには、向こうのフィールドに飛び込まなくてはならない事が。
それ故の余裕は、口元の笑みからも読み取れる]
……ホント、気に入らないオバサンっ!
[吐き捨てるよに言いつつ、二つの輪を両手に一つずつ持つ。
飴色の瞳が、す、と細まり、翼が大気を打った。
魚竜へ向けて急降下し、そのまま斬りつける──と見せかけ、直前で失速。
自由落下で魚竜と、そして、女の視界から姿を消す]
「……どこへっ!?」
[野生のクリーチャーであったなら、反射的に気配を追う事もできたかも知れないが。
操者の指示に忠実にあれ、と作られた魚竜は、顎の下に潜り込む気配に対処しきれなかった]
……もらうよ!
[声と共に左手の輪を魚竜の喉元に突き刺し、後ろに向かって大きく飛んで距離を開ける。
女は痛みに暴れるクリーチャーを制御しようとして、こちらから意識を逸らした。
その隙を、雷光天使は的確に捉える。
クリーチャーが暴れて立てる波を避けるよに舞い上がり、残っていた輪を女へ向けて投げつけた]
「……っ! しまっ……」
[しまった、という言葉は途切れ、紅が舞う。
その動きを目で追いつつ、戻ってきた輪を受け止めて]
……これで、おしまいっ!
[再度の降下。
右手の輪が、魚竜の額に喰い込んだ。
絶叫とも取れる咆哮が響き、やがて、その身体が沈み始める]
「……ちっ!」
[舌打ちと共に、女は魚竜の背から飛び退き、岸へと降り立った。
しかし、先の傷が響いているのか、その動きは鈍い。
故に、捉えるのは容易かった]
……Sturm,Kombination!
[声と共に、輪を頭上に翳す。
声に応じるよに、先ほど魚竜の喉元に突き刺してきた輪が水中から飛来し、二つの輪は重なって一つの輪に戻った。
本来の大きさに戻ったスライサーを、女の背へとためらいなく投げつける。
再度、真紅が舞い──それで、勝負はついた]
……っとに、いきなりやーなのに会っちゃったなぁ。
他にも、気が滅入るのがいるってのに……。
[ぶつぶつと文句を言いつつ、倒れた女の横に降り立つ。
目当てのものは、すぐに見つかった]
……『エンプレス』、か。
ま、ある意味お似合いだったかも、ね。
[皮肉るような口調で言いつつ、それを胸ポケットに入れる]
……さあて、と。
まずは一勝、かぁ。
あー、なんか疲れた。どっかで一休みしよっと……。
[それから、は、と一つため息をついて。
ゆっくりと、*歩き出す*]
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くろたんの方がノーマルバトルになるので、あえてこっちは変則にしてみた。
……ネタ的に、某案山子のアレをちょっと引きずってるのは、否定しないよ!
―廃墟中央部。一際高いビルの屋上―
ん〜。やってますね〜。やってますね〜。
[ビルの派手な爆音。森の方向から二つの力の衝突。
それを遠くから確認するように屋上に立ちながら、帽子から出したリンゴを齧る]
しかし…見渡せるわりにあまり把握は出来ませんね〜
[そりゃ当たり前である]
―廃墟・建物の屋上―
[噴き上げる炎が起こす風に青の髪が弄られる。
幾らその内に鎮火しようとも、炎という力は侮れない]
清めの炎、かな。
[崩れ落ちることはない。
半端に終わるソレは廃墟を悪戯に傷付けるだけで終わるのだろうけれど]
[不意に肘をついて体重を掛けていた屋上の手摺を持ち直す。
床を蹴れば細い鉄の上で倒立をするような体勢に]
[どうっ]
[今先程まで立っていた足元を炎が焦がす。
火災現場から飛んで来たものではない]
…久しぶりですね、こんなところで会うなんて。
[逆さまの朽葉色が瞬く。
炎を放った相手、銀色の髪を持つ男に]
『うん、僕も驚いたよ』
[男は柔らかく、先程の攻撃を放ったことすらも忘れたように笑んでいた]
『そうしてると「吊られた男」そのものだね。
君には似合わない気がしてたけど、そうでもなかったのかな』
はは、…俺もどうして選ばれたのかわからないんですけどね。
[手摺を弾くように跳び上がる。
空中で回転をこなし、再び手摺の上に正立で着地をして]
貴方も似合いませんよ、「皇帝」なんて。
どちらかと言えば「魔術師」じゃないですか?
ねえ、――「焔の支配者」?
[双方の口元に笑みが浮かぶ。
傍から見れば穏やかなソレなのだろうけれど]
[鏡像のようにそれぞれが片手を薙ぎ払う。
軌跡に残る複数の短剣と炎]
[ どぉ ん ]
[背中側の火災現場から響く爆発音。
戦闘開始を告げるのはソレで充分だった]
[放つタイミングは同時。
短剣は炎を切り裂き、炎は短剣を包み溶かした]
[同時に手摺を蹴って肉薄する。
眼前で見開かれる深い藍色に、にこやかな笑みを返して]
残念、checkだ。
[勢いを殺さずに身体ごと突っ込む]
[魔法を得手とする男は腕力の方はからっきしで、体当たりを耐えられる筈もなく無様に吹き飛ばされ床に転がり。
勢い良く振り下ろされた右足に胸部を押さえ込まれた]
「あの時」は遠くから撃って終わらせたから、知らなかった?
[鈍い音が足裏から響く。固い靴裏と肋骨とが擦れる音]
ま、とりあえず。
[握り締められていた男の拳。
開くと同時に強大な炎が膨れ上がるが]
[知っていたかのようにその掌の中央を短剣が貫く]
寝ていてくださいな。
[苦痛に歪む男の眼前に生まれる短剣。
重力以上の速度を持って落下し――]
[ごぃん]
[眉間に直撃した短剣の柄で男はあっさりと気絶した]
…ほんっと、体力ないなあ。
戦法にも変化がないってのもどうかと思うけど。
[男の胸元から足を下ろし、長いマントを引っ繰り返す。
幾つかのポケットの中からカードを引き抜いて]
それじゃ、貰っていきますよ。
[『エンペラー』のカードを手に、朽葉色は楽しげに*笑んだ*]
―廃墟・その一角―
…さぁて、どうすっかなぁ。
[廃屋から出て暫くうろついて、もちろん不意打ちを受けぬように警戒などしながら。
ふとカードを眺めれば、既に何枚かのカードがその主を変えていた]
っと、こりゃのんびりもしちゃいられないかぁ?
[とは言いながらもやはり急いている様子はない。
うろうろしているうちに物陰に一つの影を見つけて立ち止まる]
んー?
ま、いいか、あまりのんびりしてて他のやつに持ってかれても困るしな。
[そう一人呟くと、その影に向かって静かに駆けていく]
[駆け寄って、ある程度間合いを詰めたところで空気の刃を一つ放つ。
それは目的の人物を掠めてその向こうの壁に小さな傷を作った]
はぁい、お嬢さん。俺と遊ばないかぁ?
[刃が掠めたことでこちらに気付いた影が、男を見て身構えるのにへらりと笑みを浮かべて、そんな場違いな言葉を掛ける]
『…風刃』
おー、俺の事知ってたのか。
光栄だね、そりゃ。
[目の前の女が通り名を呟くのににやりと笑って、じり、と一歩歩を進める]
それじゃ、ますます丁重にお相手しねぇとなぁ。
[笑う。それは獲物を見つけた獣の笑み]
[女が剣を抜き放つのを見て口笛を吹く]
また随分無粋じゃねぇ?
ま…こんなところで二人っきりなら…やるこたぁ決まってるよなぁ?
[口角を上げて。値踏みをするような視線を這わせて。
男が踏み出そうとするのを見るや、女が斬りかかってくる。
その間際、手首を返した男の手の内には漆黒のロッド]
…「いい声」聞かせてくれよ…なぁ!
[斬りかかる剣をロッドで跳ね除け、そのまま先端で相手の鳩尾を突く。
僅かに呻き声は上がるが完全には入らなかったようで、女はそのまま数歩下がって剣を構え直した]
おやおや、意外と身持ちが堅いこって。
そんじゃ、こっちから行かせて貰おうかねぇ…っと!
[言い放って、男は踏み込んでロッドを振り上げる]
[振り上げられたロッドを見た女は、それを受けようと剣を構えて]
[だが]
[女の手前で振り下ろされたそれから刃を一つ飛ばして、そのままロッドを地に突き立てると、それを軸にして体を浮かせて蹴りを放つ]
『な…っ!』
[最初の刃を避けた女は、次の行動には対応が遅れて、蹴りの直撃を受けた体は大きく飛んで壁に当たって落ちた]
ん、いい声。
[女の上げた呻き声に心底楽しそうに笑いを零し]
状況判断ってやつが甘いなぁ。
想像力が足りな…っとぉ!
[歩み寄ろうとした男に剣が突き立てられる。辛うじてそれを避けたが脇腹に僅かに赤が滲んだ]
まだ動けたとは、あんたもしぶといねぇ。
でも、あんまり時間掛けてる場合じゃなさそうだし…
名残惜しいけど終わりにしようかねぇ?
[ロッドを構え、軽く旋回させる。無数の小さな空気の刃が現れる]
…喰らいな!!
[そう言ってロッドを振り上げると、それは一斉に女へと降りかかりその体を切り刻む。
浅く浅く、傷は残しても決して致命傷にはならない、それ。幾つかは動けぬように要となる場を傷つけてもいたけれど。
もっとも数が数だけに痛みと出血はかなりのものかもしれないが]
…顔に傷をつけなかっただけでもありがたいと思ってくれよなぁ?
[崩れ落ちて呻いて、それでも睨むような目を向けてくる女に、男はそう言って肩を竦めた]
さぁて、っと…それじゃ、頂くもん頂いちまおうかねぇ。
[にやりと笑って、もはや動くことま儘ならぬ女の元に近づいて。
女は怯えたような目をして逃れようと身を捩る]
んー、いい顔してるねぇ。
でもな、俺はあんたの体にも、ついでに命にも興味ねぇんだわ。
殺しちまったらその「いい顔」がみらんねぇし。
俺が今興味あんのは…なぁ…。
[男は女の体に視線を這わせ、衣服の隙間から覗くそれを目に留めて、手を伸ばしてそれを女から奪い取る]
……『ワールド』か。
お前さんには過ぎたカードだったみてぇだなぁ?
え、『斬り姫』さん?
[最後の最後に女の名を口にして]
[手に入れた『ワールド』のカードを暫し眺めたあと懐にしまって]
まずは一枚、っと。
さて、次はどうなるのかねぇ?
[それはもう楽しそうに][笑って]
[男は女を振り返ることなくその場を*立ち去った*]
[そしてまあ、何がどうしたのか。あれこれなそれこれで――つまり]
廃墟でバーベキューもおつなものですねぇ
[言葉通りのことがおきてました。
まあ小規模に、さほど大きくもない七輪を使ってイカをやいたり。魚介を焼いたり。じゅーじゅー]
腹が減ってはなんとやらですもんねぇ
[昨日喋った男との会話を思い出しつつ呟く。]
─森の中─
……ふーん。
結構、動いてるんだなぁ。
[森の中を歩きつつ、小さく呟く]
に、しても。
いきなり験の悪いのに会っちゃったよねぇ……冷たいったら。
[水飛沫を掻い潜りながらの戦闘の後、という事もあり。
服や髪には濡れた後が残っていたり]
後で、街の方もう一回見て回ってみよ。
シャワーだけでも、使えたら嬉しいし。
[はあ、と零れ落ちるのは、小さなため息]
―森―
…あぁ、はじまりか。
誰にも会えないままより、全体を見れなかったのが問題だな。
[少なからず、この森の中に居る限りには、無数の武具があるに等しいが。
気配にそう悟くなくとも、回りの木々が教えてくれることもある。
道なりに歩めば川へと辿り着き、足を止めた]
――…。
[樹木に身を寄せ、対岸から紅のドレスを隠す。
紫紺の眼差しは、此処で初めて人影を見た。
そうして、隠れたこちらに、はっきりと相手の視点が向いたことをも]
[そこに一つ現る気配に目を向ける。そこにいたのは、このディエルフィールドを構築した。女性]
おや…あなたは〜『御霊狩りの星詠み』さん?
ご機嫌はいかがですかね〜?
ああ、私は今は相手しませんよ〜。次のときが来るまでは、ね
ところで…匂いにつられてやってきたのでしょうか〜
[矢継ぎ早に挨拶。やっぱり遠慮がない上最後のほうは失礼でもある]
[ざわ、と川の水が盛り上がり、矢の形を成して宙に浮いた。
弓なきそれは、一直線に飛び、隠れた樹木を打ち貫く。
隣の樹木へ駆け、樹木ごと貫かれるのを防ぐと、一度その樹木を掌で撫でる]
…なるほど、実戦とは、こんな感じか。
[口元に笑みをのぼらせ、荊鞭を左手に生み出す。
的になるように木々から一歩踏み出し、相手が生み出す矢を荊鞭で弾いていく]
…届きませんわね。
[眉根を寄せ呟く声は確実に届かない、そんな距離。
荊鞭も、また届かない。
幾度矢を弾いても、眼前にある川から無限の矢が再生されるのは理解していた。
多少なり片口や腕に傷を追い、それでもあえて身を晒したのは――…]
…ん。
[相手の背後を確実につく為に]
[先程撫でた樹木の根が川向こうまで土を裂き、伸びて。
水の矢を用いる相手を地中から這い出で立た枝が隙間なく包み込む。
ただし、カードを入れてあった相手の鞄だけは、枝の牢屋から弾いた。
枝の牢屋を打ち破るために新たに生み出される水の刃を、荊鞭で阻害し。
川の上に、蓮の葉を生みだし向こう岸へ渡る]
素人だと、油断して下さってありがとうございますわ。
他の方々に手の内を悟られないための一辺倒なやり方なのでしょうけれど。
『恋人』のカードは、既に私の手の内に…。
[諦めるよう告げようとしたところで、戦意喪失の気配もなく、生み出される数多の水の矢。
溜め息混じりに枝を撫で、その内側の枝を増やした。
悲鳴が聞こえるとともに、矢はただの水に戻り、川へと落ちていく]
─回想・湖近くの森 枝の上─
[戦う気配に誘われ森の中から移動し。見通しの利く場所でその終わりを見やる]
ありゃりゃ、もうちょい早う来れちょったらのぅ。
[見ることが出来たのは、エリカが使役者を倒しカードを奪うところのみ。戦いぶりを見れたのは最後のほんの少しだけだった]
翼に、念動力。
前者はあん時ん子のを受け継いどったりするんかのぅ。
いやぁ、ほんに見てて楽しゅうて懐かしい。
[もう何年前になるかも分からなくなった記憶を掘り起こし、それを思い出しながら枝の上で小さな笑いを漏らす。立ち去ろうとするエリカには聞こえたか否か]
お相手はんは……ああ、あの財団の。
あ奴ん孫が連中の手に負えるはずがなか。
力量見誤もうとるのぅ。
おまんらの手に負えるんやったら、ワシらがとうに捕まえとる。
[かつての『遊戯』の時に『始祖』である青年を。倒れ伏す使役者を見て、男は鼻で笑うのだった]
─回想・了─
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