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ああ、それはわかってるわよう。
貴方が信じようが信じまいがそれはどうでもいいの。
今、この場ではね。
[にこり、笑って。
彼女の祖先たちは、それで沢山たくさん、殺されてきた]
貴方だっていつまでもここにいるわけにはいかないでしょう。
子どもたちだって今は合宿気分ですむでしょうけど。
一月も閉じ込められてごらんなさい。
気が狂っちゃうわ。
[言葉だけはそう軽く流して。お互い結局、上滑りだ。]
[安堵したのも束の間のこと。]
――え?
[険しい顔のエーリッヒを見た。
スプーンは見なかったことにしよう。
じわりと肩が熱を帯びる。忘れていた違和感。]
[どこへ向かえばいいのかは、当然わからなかったのだけれど。
狼の遠吠えが聞こえた方へと、足は自然に向かった。
集会場から僅かに離れただけで、異変は感じられた]
……て、ちょっ……。
なんで、血の臭いとかっ!?
[嫌な予感は、少しずつ、募る]
[大きく息を吸って、吐いて。
シスターの声に室内を見回して。
エーリッヒの姿を見つけるよりも前に]
ハインリヒ、さん?
[扉の前に移動していた人物を見て、首を傾げる。
エーリッヒの様子もあり、変化したその場の空気にフラリと立ち上がり、ハインリヒのほうへと向かう]
[その破壊的な音のすぐ後に、微かに何か別の音が聞こえた、気がした。]
[エーリッヒが、急に立ち上がり外を見る。]
[シスターもそれを尋ね。][どこか、空気が。][先ほどまでとは違うような。]
…なに?
[怯えた様子で外を見ようと。][ふらり、ハインリヒのいる扉の方へ。]
事実を言ったまでです。
[きっと、あの音を耳にした誰もが賛成するに違いない]
[指し示された場所を視線で追う。
黒い衣服の上に、確かに、十字架の煌きは存在しないようだった]
代わりに?
[……と言われても、その形は捉えられなかっただろうから、続きは紡がれなくて正解だったと言えるかもしれない]
……心配はありがたいですけれど。
貴方に心配される覚えはないですよ。
いろんな意味で。
[普段の行動だとか、涙目になった原因だとか。
一風変わった調子には驚いたが、それはそれ、これはこれだ]
[だが...は破滅的な音以外の音。
獣の遠吠えのような音も聞こえ連続殺人事件には奇妙な噂。狼の群れがいたことを思い出すと、木箱を軽く背負いなおすと]
ああ、そもそも人狼と言うこと自体、俺にとってはそれほど信じれるものでもないからな。
ただ出るためには…郷に入っては郷に従えと。最も、自衛団長殿は固すぎだが、俺もさっさと解放されたいからな
…ところで、レディ。集会所にいったほうがいい。外は冷えるからな
[と、アマンダに告げると返事も聞かずに、駆け出した]
[しばらく走る。
目に入ったのは、倒れた何かと、その周囲のあかい色彩。
そこに群がる幾つもの黒]
……って……え?
[見回せば、そんな様子がそこかしこに]
……なんだよ、コレ……。
[倒れているのが自衛団員と。
群がっているのが、先の遠吠えの主と。
理解した瞬間]
……なん、で……。
[本人はやっぱり自覚がないので、そのあたりは流そう]
[そしてなんだか目を細くする彼に、ふと、思いついてピースサインを作ってみた]
[距離は引いてある]
どういう意味ですか、本当に。
子供はね、やせ我慢はしないものですよ?
ユリアン君、見せてごらんなさい?
それとも、そうですねぇ…
ブリジット君に、苦すぎる薬をもらってきましょうか?
[立ち上がり険しい表情のエーリッヒ。
同じように険しい表情で扉の前に立つハインリヒ]
あ、あの…一体何が…?
何かあったのですか?
[胸元のロザリオを握り締める]
[胸騒ぎ]
[そんな言葉では片付かない不安が募って]
ん、んーんーんー…
[人と話す時は口に咥えているものを放し、
口の中のものを呑みこんでからにしましょう。]
…あぁ、いや……なんか嫌な予感がな。
取り越し苦労ならそれに越したことは無いけど。
[窓の外の月はいやに大きく見えて、胸騒ぎと不安を煽る。]
さっき帰ってきたときも、見張り居なかったし…
様子、見てきたほうが良いんかね?
[防寒着に袖を通そうとして、名残惜しそうにカレーをちらり。]
[獣の遠吠えのような声と、誰かの駆け出す背中。
集会所に戻れと告げられて、広間と彼らとに視線を迷わせ]
さすが紳士ね、カッコイー!
[口笛を吹いてちゃかすと、傭兵のあとを追いかける。
どんどんと引き離されても、おいかけるだけだ]
ばか!
一対一じゃ、どんなに強くっても、勝てないのよ!!
待ちなさい!
……くっ!
[立ち止まっているヒマはなかった。
それでは、自分も危険だからと。
走って狼がまけるかどうか、という意識はなかった。
とにかく、走らなければ、と。
……叫び声、咆哮、様々なモノが交差する中を。
とにかく、滅茶苦茶に。
ただ、真っ直ぐ集会場には走れない、とそんな意識だけは抱えつつ]
[目的地は遠吠えが聞こえた方角。
同じことを思ったのは他にもいたらしい。夜の雪を駆けて行く背中を追うようにして追うと
異変はすぐに感じ取れる。己にとっては馴染み深い
血の臭いと嫌な気配。自然と五感が鋭さを帯びて、すっと懐にあるコインを軽く握って]
拘留だけじゃお気に召さないか…ってことか
[己にとっては先を予告するコインの、死神の面に向けて呟き、駆ける]
…え。
何か、声が…?
[静寂が戻ったことによって、微かに届いた遠吠え。
その響きは古い記憶を刺激する]
銀の満月。
狼の遠吠え。
……父様?
[最後は囁くように呟いて。
向かう先に居たはずの人物の姿も意識から外れて。
その扉に手を掛けようとした]
/中/
あっ。ブリジットと行動被ってる!
考えることは一緒ですか、Tさんw
ハインリヒさん、二人も一気にで困られてたらごめんなさい!
[扉の前に寄りかかるようにして佇んだまま、僅かに笑みを浮かべる]
今は外に出ない方がいいと思うぜ。なんとなく、そんな気がするんだ。
探偵の勘ってやつだな。
予感、ですか?
それは、過去の研究から得た物でもあるのですか?
[様子を、と言うエーリッヒに不安は感じたけれど]
そう…ですね。
どこか、何かおかしい感じはします……。
[手を挙げるのが見えた。
別段、不自然な仕草とも思わなかったから、追求はせずに]
もうすぐ19ですよ。
[続いた言葉には肩を竦める]
だから、手当てはして貰ったんですし、平気ですって。
……なんで、腕の怪我で薬を飲まないといけないんですか。
[付き合っていたら、本当に風邪を引きそうだ。
それに、どこか、嫌な感じがした。彼に対してか、他のものかは、わからない。
くるりと向きを変えて、扉に手をかける]
[みんなが唖然としている。
自分もその一人だった。しかし、ハインリヒが止めているにも関わらず、消えかけていた不安が鎌首を擡げ、それにあわせるように外へと続く扉にふらふらと近づいていき――。
ドアノブに手をかけた]
[伸ばした手は、大きな手に止められた]
…兄様?
だって、父様だけがここにいない。
探しに行かないと…!
[過去の再現。
本当はあの時出ようとしたのは姉だったけれど]
[どこどう走ったのかとか、その間に何があったとか。
覚えていられる明確な意識はどこにもなかった。
ただ、夢中になって、走って、駆けて。
息が切れて、立ち止まって。
目の前にあるモノが一瞬何だかわからなくて]
……あれ?
[ぽかん、と。
本当に惚けた声が、零れ落ちた]
で、でも。
[ハインリヒに遮られ。]
外、誰かいるかも…。
[彼の笑みにも、不安は拭い去れない。]
[だがすぐ隣に居たイレーネの様子が、ハインリヒすらすり抜け外へと出ようとする彼女が、どこか、様子がおかしい気がして。][外へ出ようとする意識は一旦、薄れる。]
ちょっと待ちなさいって…!
ああもう、まったくユリアン君は意地っ張りですね。
[あわてて後を追う]
[奇跡的に何も落とさなかった]
[…それは本当に奇跡なのか]
こら、ユリアン君
[と、廊下に出るとさすがに他の騒ぎもわかる]
[しかし今はどちらが重要か]
…アーベル君や、リディ君に言いつけますよ?
[遠吠えは数を増し、イレーネの表情にはどこか尋常ではないものが感じられる]
嬢ちゃん……イレーネ!
[身上書の中にあった名を思い出して呼んだ。]
落ち着け、ここがどこか判るか?
[それでも耳が拾うのは、宴に沸き立つ獣達の声。
窓の外を走っていく、大きな背中に気がついて。]
俺も行く!
[傍観者に袖を通すのももどかしく、出ていこうとして立ちふさがる男。
…師匠と同じ銘柄の煙草の匂い。]
心得もあるし、武器も帯びてる。
何より、外にも人居るんすから!
[そこを通せと、押しのけようとする。]
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