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― → 客室 ―
[何時も借りている慣れた部屋。
扉を開いた先には少し前に入ったときよりもきっちりと整えられ、無造作に置いたはずの鞄さえも綺麗に並べて置き直されていた]
[あまりきつく締めてもいない喉元を更に緩め、ゆるり、息を吐く。
描き掛けのスケッチブックは鉛筆ごとサイドボードへ置いて。
視線の先では木々が更に酷く揺られていた]
……嵐、
[視線を落とす。映り込むのは鞄。
膝を曲げ、しゃがみ込み、口を開いて中身を探る]
……気の所為なら、それでいいんだが。
[引き出した掌の中に、粗く削られた水晶のような一柱]
[握り込み、息を吐く。脳裏に刻むのは――]
……勘違いでは、ない、か。
[零す声音は落胆。
視線の先、開いた掌の上で一柱が仄かな光を放つ]
『闇夜に一度、真実を映す石。
所有者に危機が近付く時、其の力は光放つ』
――だった、かな。
[つまり、光を纏ったこの石が示すのは]
……石の伝承も加味すると、多分。
人狼、なんだろうね。
[寝台に手を付き、そのまま転がり込む。
握ったままの石は仄白く明滅し、真実を静かに秘めていく]
……さすがにこの時間はやめておくべきだろうね。
明日……聞かれる訳にもいかない、早朝か。
まだ、間に合えばいいけれど……
[言葉は次第に途切れていく。
外で低く高く吹き荒れる風の音にさえも遮られる事無く、深い、ふかい眠りへ]
― 翌朝 ―
[眼が冴えるのは朝日の差す時間。
身体を起こし見遣る窓の向こうは吹き散らされた雲の隙間から覗く青。
まだ時折強い風が吹くけれど、橋は渡れない程度ではないだろう]
……風は収まった、か。
もう起きている時間だろうかな。
[できるだけ他の人に話は聞かれたくない。
そうでなければこの館は一気に混乱に陥るだろう。
軽い身支度を急ぎ整えて、部屋を出て]
[急ぎ歩む廊下、響くのはひとつぶんの靴音のみ。
目指すのはこの館の主の――]
[けれど、全ては手遅れだったと知る]
― 翌朝/主の寝室 ―
[真っ先に飛び込んできたのは、赤。
元より赤い髪の持ち主ではあったけれど、それより更に鮮烈な色]
[次いで認識されたのは、錆びついたような匂い。
鼻の奥を突き、どろりと纏わりつくように]
……アー、ヴァイ、ン……?
[最後に焼き付いたのは、その傷。
深く切り裂かれた肢体は力無く、部屋の中に横たわっていた]
アーヴァインっ!!
[駆け寄る靴先が赤を跳ね上げる。
伸ばした手が捕えた顔は、酷く沈んだ色合い]
[幾ら声を荒げてももうどうにもならないのだと。
――気付いて居ても、止められなかった**]
/*
メモミスしすぎだろう俺…[顔覆った]
きっぱりはっきりと占い師COも突っ込んでみた。
ユージーン白は何処で出そうかなあ。
あとこのヒューはアーヴのこと好きすぎると思う(
― 前日・食堂 ―
[お客に些細な悪戯など日常らしいのは、ラッセルの弁からも伺えるだろうか。>>1:98 耳に届けば「心外ですよ」とそっと通り際に囁きもしたが。
なおラッセルには現在の様付けもそうだが、以前忘れ物だか伝言だかを、届ける際にスッと気配を殺して、彼が吊り橋にさしかかる所を見計らって、後ろからとんと背を押した事がある。無論、落ちないよう橋の方へと位置と力の調整はしておいたつもり、だが。その時も今と同じような笑みを浮かべていた事だろう。
>>1:95給仕の最中にヒューバートに声をかけられたら、お客への非礼にならぬよう、こっそり耳元に手を当てるようにして囁いた。普段なら届かない場所へも、相手が座っているなら届いただろう。]
食べられる物なだけ良心的ですよ。
[そう言い明るい、そっと離れると笑みを向ける。]
(食べられるだけマシだもの。ねぇ神様?)
[とは笑顔の裏の胸中だが、口にも顔にも毛ほども出さずにいた。]
― 前日・食堂 ―
[適度なタイミングで食器を取り替えたり、水を差し入れたり。食事を終える面々の、食器は逐一下げていく。給仕の手際の方はそれなりに、見れる物だった。ここでは手際よりも丁寧さが優先される事くらいは理解しているような働きぶり。]
調理法次第では、クセもだいぶ取れますしね。
新鮮な物はまた味もちょっと、違いますし。
[>>1:91感心したように言う様には、仕事の合間にそう微笑む。知識を告げただけのそれは、やはり明るい物だった。]
はい、ぜひに。
料理長もお客様からそう言ってもらえると、喜ぶでしょうねー。
[言伝を頼まれれば、それにも同じような笑みで受けて答えた。
>>1:96ヒューバートの言伝もまた、同じように料理長に伝えるつもりで。
退出する物には静かに腰を折り見送った。]
― 前日・台所 ―
あー疲れた疲れた。
料理長、お客さんたちが美味しかったって。
[食堂を後にしたのは、オードリーの給仕が終わった頃になるだろうか。言伝はまとめて簡単になったが、喜んでいるような素振りが見えたので、口の両端を上げてニヤニヤ笑っておいた。
片付けしている料理長に習うように、隣で台所掃除を手伝う。かまどの火が消えていないおかげで、館の端のこの台所もそれほど寒さ厳しくもなかった。
何人かの使用人の出入りを眺めながら、適時お湯を沸かしたりとお茶の準備もしておく。この寒さ、何時呼び出されても良いようにとの配慮だった。]
[暫くしてから、料理長がなにやら口を開きかけたと同時に、あっと声をあげて。]
忘れてた、オードリーさんからお嬢様にも言伝頼まれてたんだった。
ちょーっと行ってくるわ。
料理長、ここもういいよね?じゃお休み。
[何か物言いたげな人へひらひら手を振ると、すリ抜けるように外に出て、その足でまっすぐ館の小さな主の下へと向かう。
途中で足音ひとつ立てずに歩いているのに気づくと歩みを止めて、2度、3度とその場で足踏みして、溜息代わりに肩を下げた。]
いかんいかん。
まだ癖は抜けてないなー、こりゃ。
― 前日・ヘンリエッタの部屋 ―
[扉を叩くと気配二つ。片方はメイド長かと思いながら、名を返し入出の許可を得てから扉を開ける。]
失礼します。
お嬢様、オードリーさんが、後で時間が欲しいって。
届けた服を着て着心地を確かめて欲しいと。
[それは今日になるか、明日になるか。おそらく明日かとは思いながらも、そこは彼女らとメイド長の都合に任せる事にした**]
/*
お嬢様どんあり…!エーン
そして投票どーしよっかなー。今日(明日)からなんだよね。デフォはユージーンなのだけどここはなぁ…。
─ 前日/広間 ─
[ヒューバートに撫でられて>>20、くすぐったそうな、嬉しそうな笑みが浮かぶ。
メイド長が迎えに来た時には、ぴょんと席から飛び降りて]
おやすみなさい、ユージーンさん、ヒューバートさん。
またあした!
[元気良く手を振って自室へと戻って行った]
─ 前日/自室 ─
[メイド長に伴われ自失へと戻り。
就寝の支度をしていたところに訪問者>>31を示す音が響く]
はぁい、どうぞ。
[名乗りを聞いて入室の許可を出し、夜着姿で用件を聞いた]
うんと……。
[ヘンリエッタはメイド長を見上げる。
問わずとも通じたようで、明日にして頂きましょう、と返ってきた]
じゃあ、明日オードリーさんにお声かけるね。
お洋服楽しみ。
[明日は楽しみがいっぱい。
そんな様子で言って、その日は眠ることに*]
― 前夜/客室 ―
[部屋へと引き上げ、大きく息をつく。
元々、人付き合いは得意な方ではなかったのだが]
今日は、本当に出会いの多い日でしたね。
それに、まさか、ここがあの時のあのお方のお屋敷とは……
これは、如何なる運命の導きなのでしょうね?
[そんな風に零すのは、育った環境故か。
そんな思考を揺らすかに、ゆるりと目蓋が落ちかけて]
流石に疲れましたね……
それにしても、こんなちゃんとしたベッドは久しぶりですね。
[くす、と笑って寝台へと。
風の音と慣れぬ場に不安はあったけれど、山歩きの疲れはそれを凌駕して
ゆるり、眠りに落ちて
そして]
― 朝/客室 ―
[眠りを破ったのは、声。
叫ぶような声と、それそ前後して起こるざわめきと、悲鳴のような、声。
そうして、幾つもの足音が通り過ぎて]
……何か、あったのでしょうか……?
[外は、まだ明け切らぬ空の色。
身支度を整え、部屋を出て、見かけた使用人と思しき姿に声を掛ける。
しかし、それは「旦那様が……」「人狼」と言う言の葉の断片を残して足早に、逃げるように]
人狼、ですって?
[無意識に表情が険しくなり、その言葉を頼りに、この舘の主の姿を探して]
― 朝/主の寝室 ―
[その場には、人影は殆どなかった。
寝室の場所は知らなかった、けれど、開いたままの一つの扉。
そして、其処から聞こえる、呻くような叫ぶような、聞き覚えのある、声]
ここ、でしょうか。
[開いてはいる、けれど、一応、中に人がいるならと2・3度ドアをノックして]
失礼します……っ……
[嗅覚に届くのは、錆びた鉄にも似た匂い。
視線の先、膝をついて声を上げているのはヒューバートで、そして]
……アーヴァイン、様?
[ヒューバートの影、見えた顔は確かにその人で、だけど、もうそれは。
ふる、と一度頭を振って、部屋へと踏み込む。
そうして、確認する、変わり果てた主の姿を]
[その傷には、覚えがあった。
切られたのではなく、抉られたような、引き裂かれたような、傷。
そうして、明らかに欠けた、肉の痕]
これは……人狼……まさか、そんな……
[昔、故郷を離れた元凶、姉を亡くした、そして自身が片目を失った、あの時の]
ヒューバートさん、大丈夫ですか?
[傍らの彼を見遣って声を掛ける。恐らく、自失はしてはいまいが]
他の人に、報せなければいけません……ね。
[ヒューバートからは、何らかの返事が返るだろう。
それがなんであれ、一度、その場を後にして]
― 朝/廊下 ―
[起きた事を、誰かに伝えるべく歩いて
先ほどまで騒いでいたはずの使用人の姿が絶えた事に気付く]
おかしいですね……先ほどの様子では、もう知っているはずなのに……
なのに、主の元に誰もいないなんて。
[そういいながら、巡らせた視線の先に……吊り橋が見えた]
……あれは…?
[見えたのは、吊り橋を我先にと渡る人々…恐らくは使用人で。
最後に、男が渡りながら、何かを撒くような仕草を見せて]
何を……あっ!
[渡り終えた男の手元、離れていてもわかる、炎の影。
急ぎ、窓を明け、叫ぶ]
何をしているんです!
やめてください、そんな事をしたら……!
[声は届かなかったか、或いは無視されたか。
いずれにせよ、男の手から炎は橋へと投げられて。
恐らく、撒かれたのは油。それを舐めるように炎が伸びた。
そうして、先の男は何かを……恐らくは鉈のような何かを振り上げ
振り下ろし……吊り橋を支えるロープを、断ち切った]
な……っ
[折りしも、強い風が吹いて、支えを失い、炎で弱まった吊り橋を、煽って
耐え切れず、いともあっさりと、吊り橋は崩壊し、落ちた]
なんて、ことを……
[起きた出来事に、ただ呆然と。
誰かを呼びに行く事も忘れて、立ち尽くす**]
[深夜──]
[未だ嵐吹き荒ぶ時分。
ヘンリエッタの中で様子を窺っていたハーノは自分の意思で身体が動くことに気付いた。
そのことににまりと笑むと、ベッドから降りて夜着のまま廊下へと出る。
目指すのは、親の温もりが感じられる場所]
─ 深夜/父の寝室 ─
おとうさま おとうさま
[普段のヘンリエッタよりは拙い声。
けれど今の状況では嵐に怯えているようにも聞こえよう]
おとうさま いれて いれて
[軽く扉を叩いて呼びかけると、父が扉を開けてくれた。
どうした?と問われたが、それ以上は何も言わず、父から視線を外して少しだけ周囲を見た。
その仕草に父は何か合点して、おいで、と部屋の中に招き入れてくれる。
ハーノは父から見えないところでひっそりとほくそ笑んだ]
──あのね おとうさま
[部屋の中に入ってから、ハーノは父に声をかける。
振り返り視線で先を促す父を見上げ、短い両手を精一杯伸ばした]
だっこ だっこ して
[一人で眠るのは嫌だからここへ来たと勘違いしている父は容易にヘンリエッタ──ハーノを抱き上げてくれる。
目線が上がるのを感じて、ハーノは嬉しそうに微笑んだ]
あのね おとうさま だいすき
だから ───── あかいの ちょうだい?
[普段おねだりするのと同じ調子で言葉を紡ぎ、ハーノは牙の覗いた口を大きく───開いた]
[ぐちゅりと父の喉が牙に貫かれる。
ごりっと抉られた喉の骨が小さな口の中で砕ける。
鮮やかな赤が迸り、ハーノを支えていた父の腕からは力が抜け、ハーノの身体は自由落下を始める。
けれど少女は手を獣の爪へと変え、父の胸に突き刺すことで落下の速度を抑えた。
それに伴い爪は父の身体を引き裂き、大きな傷を作った]
んっ ふ あはぁ
おいしぃ
[床へ降り立つと同時、父の身体は倒れて。
ハーノはダークレッドの毛並みをした仔狼へと変じ、傷から零れ出たモノへと喰らいつく。
傷口の中へと鼻先を突っ込んで、噛み千切りながら赤を散らして行った]
おにいちゃ ごちそ さま
[同胞にはどの辺りから気付かれていたか。
満足するまで喰べると、わらいながら食後の挨拶をした]
─ 翌朝/自室 ─
[夜中のうちに嵐は過ぎ去ったらしく、目を覚ますと風の音はしなかった。
普段は起こされるまで眠っているのだが、その日は廊下に響いた音>>25で眠りの淵から意識が浮上し始める]
んんぅ……。
[意識が浮上してもしばらくはぼんやりとしたまま。
カーテンの隙間から差し込む朝日をじっと見詰めて]
………おてんき、よくな、った?
[ふぁ、と大きな欠伸をしながらようやくベッドの上に身を起こした。
床に下りて窓際のカナリアを見遣ると、バサバサと落ち着き無く翼を羽ばたかせている]
イェニー?
どうかしたの?
[問うてみるも、カナリアが返事をするはずもなく。
首を傾げながらもヘンリエッタは夜着から赤いケープのついたワンピースへと着替えた。
勿論、銀と赤を首から提げるのも忘れない]
─ →廊下 ─
[朝起きて先ずすることは、父への朝のご挨拶。
身嗜みを整えて廊下に出たのは、靴音がしてからだいぶ経ってからのことだった]
……???
[廊下に出ると、どことなく屋敷の中がざわついている。
バタバタと使用人が走っているらしい音も響いていた]
なに…?
[不安を煽る音。
嫌な予感を漂わせる雰囲気。
ヘンリエッタは怖くなって、同じ階にある父の部屋へと駆け出した]
─ →父の寝室前 ─
[最初は自室にも近い書斎へと駆け込んだ。
けれど扉には鍵がかかっており、中に父が居る様子はなくて。
それなら、と更に屋敷の奥にある父の寝室へと駆けて行く。
ユージーン>>37とは入れ違いとなったらしく、顔を合わせることはなかった]
お父様……、…!?
[父の寝室へと近付いて初めて気付く、嗅ぎ慣れない匂い。
駆けていた足がピタリと止まった]
[扉はまだ遠い。
けれど開け放たれたその場所から垣間見える、赤いいろ。
普段好んで身に付けている色と似ているようで全く違うそれ]
や………
おと…さま おか…さま
[1年前の、封じていたはずの記憶が蘇る。
ヘンリエッタは廊下で固まったまま、動けなくなっていた]
/*
火狐のセッティングやっと終わった…
急いで追いつかないとだわね。
頭数になれたら位で入ったとはいえ、動けてなさすぎて泣ける。
― 朝/客室 ―
[起床はいつもよりも遅い時間だった。
今は客人であるという事も理由であるし、昨夜遅くまで本を開いていた事も原因であろう。
家への土産は開封されないまま机の上にある。
点けっ放しだったランプを消し、カーテンを開くと]
ふむ、これなら――……?
[差し込む光の眩しさに細めた目は、そのまま訝しげなものを浮かべる。
吊り橋を渡る人影が幾つもあった。
同じような格好をした人間が、幾人も向こう岸へ]
……あれは、此処の使用人共ではないか。
そう言えば何やら騒がしい気がしたが……
[顎に手を当て、部屋の出入り口を振り返る。
今は殆ど物音も聞こえてこない。
少しして、そちらへ歩き出す]
― 朝/廊下 ―
[廊下に出、誰かしらの姿を探す。
程無く1人>>38を目に留めるのと、彼が窓を開け放つのは殆ど同じタイミングだった]
おい、何が、
[問い掛けの声は続いた叫び声にかき消されるか。
急ぎ足でそちらに向かい、背後に立つ。
と同時に見えたのは]
……、!?
[炎の色。
認識した一瞬後、目を僅かに見開いた]
[先程まで、確かにそこには吊り橋があった。
今橋の先にいる使用人たちが渡るのを、この目で見ていた。
某メイドの悪戯>>27以来、輪をかけて不得手になった吊り橋は、それでも唯一の連絡手段である事には変わりない。
それが無くなったという事は、つまり]
……おい。
[言葉を失っていた時間は短い。
目の前の背中>>39に声を掛け、その肩に手を乗せた]
何が起こっている。
[ユージーンがそれで振り返るならば、そちらに向ける表情には隠しきれない困惑と苛立ちが乗る]
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