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[サリィが、台車を持つ。台車なら持たせても、大丈夫だろうと思ったから、ミケルは声をかけなかった。
ミレイユの様子もおかしいし、二人の様子を見ていて。
だから、その一瞬、何があったのかさっぱりとわからなかった。
いきなり、消えたのだ。
消えた。
人が。
サリィが。
今ここにいたはずの彼女が、どこにもいない。
手に持っていた荷物が、地面に落ちた。
困惑のまま、ミレイユを見る。
それから、サリィのいたはずの場所を見て。]
……サリィちゃん?
[呆然とした声で、ただ名前を呼んだ**]
絵描き ミケルが時計を進めました。
― 都市の通り ―
[こちらの言葉に、クレイグはなんと答えただろうか。
いずれにしろ、軽い別れの言葉を交わし、その場を離れようとした]
[異変に気付いたのは、その時のこと]
……クレイグ?
[ふっと力が抜けたように傾ぐ、クレイグの体]
ほら、食事を抜いてばっかりいるから……
[苦笑を浮かべたのは、まさかそんなに早くその刻が来るなんて、思っても見なかったから。
支えようと伸ばした腕を擦り抜け、クレイグは倒れる]
くるくるり。
輪がまわり。
時がすすみ。
くるくるり。
さあ、集めましょう。
さあ、行きましょう。
[何かを送るように、
何かを受け取るように、
両の腕を差し伸べて]
……さあ、咲かせましょう。
クレイグ! 一体、どうし……
クレイグっ!!
[触れた手に雪の冷たさを感じるのも一瞬。
クレイグの体は、とけるように消えていく。
――父の時に、見たような光景]
あ、…………
[膝を着いたまま、立ち上がれなくなって。
もう何もない地面の辺りを、いつまでも見詰めていた]
薬師 コレットが時計を進めました。
覚書でも残ってたら次は助かるんじゃないかな。
――…寝食忘れるくらいだから、仕方ないか。
[時間が取れなかったというクレイグに呟き]
なぁ、クレイ…
[呼び掛ける響きが途中で止まる。
繋がっていたはずの何かが途切れたか。
それまで感じていた気配が、感じられず]
クレイグ?
[所在を問うような不安げな呼び掛けだけが響く。]
やぁん俺は寝食しっかりしてますぅー。
…いやクレイグがな、苔の広場で転寝かましてたんだよ。
嵌り込み過ぎるとああなるんかなーと思ってな?
[不気味なだけのシナを作ってさらりと元通り。
怪我の個数に触れられたら全力で目を逸らしただろうが]
言葉の力ってのは結構偉大だと思うぜ、俺は。
いいんじゃねえの、今後ってことでさ。
まだまだ伝える時間はあると思うぜ。
[テレーズが、今、どうなっているか。知らぬ故に。
知れた後にはきっと、残酷な棘に成るだろう、言葉]
[随分と軽く告げられる言葉にはたりと瞬く]
へぇ、それも『力』のひとつなんかね。
俺は何にも聞こえないから、同じ印はいねーのかなー。
化粧師 ノクロは、ランダム を心の中で指差しました。
化粧師 ノクロが時計を進めました。
装飾工 メリルが時計を進めました。
本当かー?
ま、いいや、そういう事にしとくから
ああならないように、な?
[シナ作る様子に困ったように笑い誤魔化されておく。
それる視線に気づけば自覚あるものと思いそれ以上は言わず]
伝える時間、あればいいんだけどな。
いつ終わりが来てもおかしくないんだよなぁ。
[小さく溜息混じりにノクロに返してしまう。]
不思議な『力』だよな。
色んな話が出来ておもしろくはあるけど
[筒抜けなのはなー、とぼやきかけた所で、動きが止まった。]
[背を撫でていたサリィの手が離れて、ゆっくりと体勢を整え。
後をついていこうと、台車を持つ彼女の、背中に目を向けて]
[その瞬間、未だ少し残っていた強張りが、目の奥の恐れが、
すべての感情が、その表情から抜け落ちた]
/*
ちょっと早寝しなきゃなのでミーちゃん待てなくてごめんねしつつ。
私これで初回襲撃何回目かしら。(
そのうちまたお前かとか思われそうだ。
……クレイグの気配が。
[不意に漏れるのは途惑うような響き。
ノクロへと視線向けて]
何かあったかもしれない。
クレイグの声が、聞こえない。
気配も、感じられなくなった。
[異変を感じ、伝える声が僅か震える。
クレイグが何処にいるかは聞かぬままだったから
結局探すあてもなく、ひとまずは当初の目的地を目指そうとして**]
織師 ミレイユが時計を進めました。
織師 ミレイユは、ランダム を心の中で指差しました。
織師 ミレイユは、ランダム を力(堕とす)の対象に決めました。
[それだけ言って、がくりと頭を下げる]
黙っていてごめんなさい……メリルさん。
『死神』が降る刻には、命が刈られていくんです。
それでクレイグは……!
[絞り出すような声で、告げるのは謝罪の言葉。
そのまま頭を上げられず、肩は微かに震えていた]
はーい。
[いいこのおへんじ。のような声で返して笑う。
自覚あっても直さないというか直せないのがこの男だが]
…ま、『死神』に『糧』だもんなあ。
乗り越えた先を信じるとしようぜ。
[よいしょと荷を持ち直してしまったから、その背を叩けない。
出来るのは少しだけ首を傾いで笑うだけだ]
俺は何にもないからなー、何かあれば……、エト?
[急に止まる動き。
余分に一歩進んだ足を止めて振り返る]
…聞こえない?
筒抜けだったくらいの声が?
[震える声が異常を思わせる。
『印』も『力』も異常ではあるけれど、それ以上に]
……『死神の降る刻』。
俺たちの『命』を刈って、天上青の糧とするものが、『降りて』きた。
[一言一句、違わずに。
苔の広場で伝えられた言葉をなぞる]
…冗談じゃねぇ!
おいエト急ぐぞ!テレーズに伝承訊かんと何もわからん!
[動きの鈍ったエトに向けて声を荒げる。
焦り速まる足の先で、操手を失った台車と遭遇するかは、判らない**]
─ 都市の通り ─
── しに……がみ……?
[焦燥は消えぬまま、ユーリが紡ぐ言葉>>16を耳にする]
刈られる とか、 力に飲まれた とか、 それって ───
[全てを言い切る前にユーリから真実>>17を告げられ、『死神が降る刻』に起こることをようやく知った。
抱いていた疑問の答えはしばし言葉を失わせる]
────────……………
そ、 それじゃあ、クー は
[本当に死んでしまったのだと、理解した途端、足から力が抜けてその場に座り込んでしまった。
視線はしばらくクレイグが倒れた箇所を彷徨っていたけれど、ユーリが顔を上げずに肩を震わせているのに気付き、右手が動く]
ユーリ、謝らない で。
驚いた し、 すごい、 悲しい けど。
避けられることじゃ ないんでしょ?
この、『死神の降る刻』って。
[目まぐるしく状況が変化する中で、遠い昔に両親から聞いた話を思い出した。
そう、忘れていたけれど、聞いたことがあったのだ。
『死神の降る刻』についてを]
花が咲くまで、 続く。
それは避けられない運命みたいな もの。
悲しい けど、 乗り越えなきゃならないもの なんだ。
[浮いた右手はユーリの左肩へ。
震え続けるようなら、宥めるように何度か肩を擦るつもりだ]
[メリルの手が触れる辺りにある蓮華草。
そしてこちらの視線の先、先に見た時より色鮮やかに咲く蒲公英]
クレイグにも、しるしは表れていました。
恐らくは、待宵草が。
[それを口にした女性の姿が脳裏を過ぎるも、口には出さず。
ただ、少し滲んだような眼差しをメリルへと向けた]
─ 都市の通り ─
──…そっか、やっぱり、そうなんだ。
[一年に一度廻り来ると聞いて、視線が僅かに落ちた。
避けられないのは仕方が無いとは思えるが、続いた言葉に視線は再びユーリ>>22へと向けられ、瞠目する]
──── ッ
そんな、 これ が…?
[それだけでも驚きだというのに、更に耳に入る内容に、一瞬呼吸が止まったような気がした]
…………クー、も。
そ……か。
引き寄せやすい って、本当 なんだね。
[刈られたのかまでは分からないけれど、クレイグが刻に巻き込まれたのは事実で。
それが真実となり、伝承の信憑性を増すことになる]
……うん、わか った。
教えてくれてありがとう、ユーリ。
[未だ思考の整理は済んでいないけれど、状況は理解出来たため、ユーリに礼を言って。
滲む眼差しを向けてくる相手に、少し迷いながらも彼の左肩を擦っていた右手を頭へと伸ばした]
─── しょうがないって、直ぐには割り切れない けど。
あんまり悲しんでても、あの子は多分、喜んだりはしないだろうから。
アタシ達は、アタシ達のやれること、しよ?
[笑みを浮かべてはみたけれど、物悲しさはどうしても消しきれなかった]
― 都市の通り ―
[驚愕した様子のメリル>>24を哀しげな眼差しで見詰め、小さく頷く。
――こんな表情を見たくはなかったから、出来れば秘めておこうと思っていた。
けれどクレイグが消えた今、全てに目を背けたままではいられないと思った]
……ごめんなさい。
あの時、言えなくて。
[初めから全て打ち明けているべきだったのかは、今もわからない。
ただ、礼を言う彼女に頷いた。
頭に手が伸ばされるのに気付けば、少し照れた顔をしつつも、素直に受け入れた]
はい。
僕も……そうしようと思います。
メリルさんに頼まれた仕事のこともありますから。
[物悲しさの残るメリルに向かって、どうにか微笑みを見せようとする]
では、僕、そろそろ行かないと。
[断りを入れ立ち上がろうとしたその時、鞄から覗く真新しい本に気付いた。
ふっと目元を緩ませて、表紙の文字を指でなぞる]
やれる事をやる、ですか、まったく。
[奇しくも姉と似た言葉を遺した青年を思い、苦笑に似た溜息をひとつ]
貴方の力……まだまだ借りますからね?
覚悟してくださいよ。
[本に向けてか、それを記した者に向けてか。
そう呟いて、少しだけ瞑目した**]
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