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[仲間のからだが、小さな女の子に壊されていきます。
今は人間の時間。いきなり飛びかかられてしまったら、抵抗することも出来ません]
ああ、なんということじゃ。
逃げ出すのが難しくなってしまったではないか。
[けれどベテラン人狼のおじいさん、仲間が死ぬのもなれっこです。
ドロテアに何か感づかれていたというなら、遅かれ早かれこうなっていたことでしょう]
ああ、なんてこった。
[ふわふわと羊雲のように浮かんだ羊飼いは、アナとフリーが牧師さんに向かっていくのを悲しそうに見つめました。牧師さんは人狼だから、アナの方が食べられてしまったかもしれません。だから、これはしかたないことかもしれません]
ああ、ああ、なんてこった。
[それでもやっぱり、なんだか悲しくて、アルベリヒは頭を振りました。泣いても涙はもう零れないのでした]
嬢ちゃん……。
[おじいさんは、アナの色が変わってしまった服を見詰めました。取り返しのつかないことだと、おじいさんは思います]
……辛いことをさせてしまったのう。
[けれど、アナは何よりそれを望んでいたのかもしれません。
だって、兄を奪われたのですから]
……メルセデスが、狼だと思ったんじゃな?
[旅人は、あっ、と声を上げました。
いいえ、ほんとは声なんか出なくて、ぽかんと口が開いただけなのですけれど。
きらきらしていた旅人の短剣は、真っ赤に真っ黒になりました。
羊も、アナも、牧師だったそれも、みんなおそろいの色をしています。]
[旅人は口を引き結んで、とんがりぼうしを引き下げました。]
辛い?
アナは、辛くは、ありません。
でも、なんだろう。
なんだか、とっても、空っぽの気がします。
〔ベリエスの足元には、アナの手から離れてしまったランタンが落ちている。〕
ドロテアお姉さんが言っていたの。
花が黒く咲いたのは、牧師さまの色なんだって。
アナは知っていたの。
黒い森に住む、双子のおはなしを。
黒い子が、白い子を食べてしまったのだって。
……でも、アナは、悪い子です。
だって、お姉さんにどうしたいのか聞いたのに
お姉さんにさせてあげなかったのだもの。
〔フリーのからだはアナにも負けないくらいあかい色。
月は、そろそろ、昇る頃。
夜を待っていたみたいに、ランタンに灯りがともる。
けれど、その色は、闇を取りこんだみたいに真っ黒だった。〕
うむ……そうか。
アナは強い子じゃの……。
[そして、アナの話で、ドロテアの籠に揺れる黒い花を思い出したのです]
黒い子が、白い子を……。
じゃあ、黒い色の牧師どのは。
[足もとに落ちたランタンにも、いつの間にやら同じ色が灯っていました]
……そうじゃの、ドロテアの望みは違っていたかもしれん。
でも、嬢ちゃんにはこうする理由があったじゃろう。
誰も嬢ちゃんを責めはせんよ。
[おじいさんは、二度もひとりぼっちになったアナを見詰めました]
……今夜は、どうするんじゃ。
家に一人では辛かろう。
人狼さん。
〔迷いもなく言ったアナは、
人のかたちをしたものと、
ランタンに灯る炎を見た。〕
アナは、牧場に行きます。
だって、フリーたちのお世話をするひと、いなくなってしまったもの。
これから起こるかなしみは止められても、起こってしまったかなしみは、もう、変えられないんでしょう?
そうか、そうしなさい。
[こうなっては誰も信用出来ないだろう、という言葉は呑みこみました]
羊たちがたくさんいるから、あそこなら寂しくないじゃろうな。
[そして、アナの言葉に頷いて、ぽつりと呟くのです]
そうじゃのう。壊れたものは、元には戻らん……。
……これから起こる悲しみ、か……。
[アルベリヒを納めても、背高のっぽなはずの体は極普通の棺に簡単に収まってしまいます。
いいえ、それどころか棺が大きすぎて見えるほどでした。
そんな羊飼いの棺を前にしてゼルマが語る言葉を、木こりは黙して聞いています。]
……夜、元の獣の姿にだな。
覚えておく。
[じっと見つめる老婆を見返して、木こりは重く頷きます。
話が本当なら人狼を見つける手がかりになるのですから。]
〔双子のおはなしには、続きがある。
ひとりは、もうひとりの色を、知っていた。
それでも、それでも。
いっしょに居たいと、思ったんだ。
満ちれば減り、減っても満ちないものがあると、知りながら。〕
はい。
〔ベリエスの、いろんな言葉。
アナは、たったの一度、頷いた。〕
ベリエスお爺ちゃん。
ベリエスお爺ちゃんのこころは、どんな色を、していますか?
けれど、無事でよかった。
[しばらくして、小さく小さくつぶやいたのは、だれについてのことだったでしょう。
旅人はぼうしを少しだけ上げて、*昇りはじめた月を見るのでした。*]
[老婆と弔いの準備を追え、木こりは教会の鐘を鳴らします。
ゴーン、ゴーン。ゴーン、ゴーン。
弔いの鐘は羊飼いと旅人、そして牧師の為に響きました。
老猫も物悲しく鳴いています。
戻ってきたドロテアに手伝ってもらい、やがて牧師のいない弔いが始まるのでした。**]
[羊達の世話をするというアナの言葉に、アルベリヒは眉尻を下げました。ルイの呟きを遠く聞きながら同じように月を見上げます。どんなかなしみが襲っても、月は変わらず輝いていました**]
くすんだ色。
……アナのこころは、どんな色をしているんでしょう。
もしかすると、同じかもしれません。
〔あかい羊が、あかいアナに、身をすり寄せる。
怪我をしているのかいないのか、まるでわからなかった。
アナは、落ちていたランタンを拾い上げ、空を見上げる。〕
夜になっちゃう。
ベリエスお爺ちゃん。
早く帰りましょう。
旅人さんのお弔いをしなくちゃ。
牧師さまも。
牧師さまが、人でもあったというのなら。
いや、アナの心は、きっと澄んでおるよ。
[だってアナは、間違ったことをしていないのですから]
そうじゃのう、早く帰ろう。
こんな時だからこそ、弔いを忘れぬようにしなければ。
[そして二人は、並んで帰るのでしょう]
悲しいことは、ずっと続くのです。
[少女の問いかけに、
牧師は穏やかな声で告げます]
人は生きている限り
悲しみから、逃れることはできないのです。
だから、みんなで神様にお祈りをするのですよ。
そうして、いつか。
遠い空の向こうの楽園へと、辿り着けるように。
[しゃがみこんだ少女に
牧師は一歩、また一歩と近づきます]
それに。
人も、獣も、人狼も。
一つとして、同じものがないのでしたら。
悲しみの色も、またそれぞれに。
[牧師の眸には、目の前の少女の背中が映ります。
続く質問に、牧師は不思議そう]
私が、どうして牧師になったのか。
きっと……この職業は
の匂いが、近いから。
の匂いが、近いから。
[牧師はアナの背中に手を伸ばします。
そうして、牧師は見るのです]
〔ふたりと一匹で帰り、亡くなった人のことを報せたあと。
身を清めるように言われたアナは、宿のお風呂へと入ることになる。
水に流されて、あかい色は見えなくなっていく。
洗われたフリーも、白い毛並みを取り戻す。
けれど、消えないもあるって、アナは気づいていたに違いない。
ぽた、ぽた、ぽた。
たくさん、しずくが落ちていく。
* 黒い炎はいつの間にか消え、鐘が長ぁく、鳴り響く。*〕
月の光は、黒い森には届きません。
黒い花は、手向けの花には向きません。
銀の刃は、悪しき物を打ち祓います。
赤い羊は、主人の仇にめぇめぇめぇと。
そうしていつしか、森は静けさを取り戻します。
牧師の形をしていたものは、もう何も語りません。
獣の時間にも、人の時間にも
何も語ることは*ありませんでした*
[弔いの鐘が鳴り響く。
牧師さんもまた、弔いの箱のなか。
だからみんなが見よう見まねで、祈りを捧げるよりありません]
[おじいさんも、祈りました。旅人と牧師のために。
羊飼いにも、祈りました。心の中で、ごちそうさま]
[ドロテアの籠の黒い花。
メルセデスの色を映した黒い花。
そういえば、メルセデスも言っていました。
どこか様子がおかしかったと。何か感づいたのかもしれないと。
おじいさんにだけ聞こえるように、言っていたのです]
[弔いの儀式が終わったあと、おじいさんはもう一度、教会へと戻りました。
そこにはドロテアが、ひとり取り残されたようでした。
彼女が不思議そうに首を傾げると、おじいさんは言ったのです]
ああ、ちょっと忘れ物をしたんじゃよ。
今夜のおかずを忘れてたんじゃ。
[おじいさんが帽子を取ると、そこには毛の生えた三角耳が。
おじいさんが口を開けると、鋭く尖った獣の牙が。
そしておじいさんのふりをした狼は、ドロテアの体をもぐもぐ、ごっくん]
うむ、なかなか美味じゃった。
[狼は、長い舌でぺろんと口を舐めました。
赤いしずくがぽたりと落ちます]
ドロテアは、不思議な力を持っていたようじゃの。
これは心の色を見る力か。
[狼は、満足そうに頷くと、お腹をさすりさすり自分の家へと帰りました。
月明かりに照らされて、しっぽが機嫌良く揺れました**]
[一度に色々な起きた一日でした。
起きすぎたような気がしました。
それでも、お弔いの間は、気丈な様子で通していたのです。
まだ、終わっていないのがわかっていましたから。
それでも、一人きりになると気持ちはふわふわと揺れて。
蛍も心配そうにふわふわとして。
御隠居様が戻ってらしたのは、そんな時でした。]
……忘れ物……?
何か、ありましたかしら。
[お弔いの後のお掃除では、それらしいものなんてなかったから、御隠居様の言葉はとても不思議でした。]
ええと、何をお忘れになりましたの?
[首を少し傾げて尋ねます。]
『今夜のおかずを忘れてたんじゃ。』
[返ってきたのは、こんな言葉。
目に入ったのは、三角の耳と、大きなお口に並んだ牙。]
[あかい、あかぁい、いろがみえました。
それから、世界は真っ暗になります。
いつも側に居た蛍も見えません。
このまま、まっくらになるのかしら。
このまま、なにもみえなくなるのかしら。
おばあさまもこんなふうだったのかしら?
たべられてしまったおばあさまも。]
[それから、時間は過ぎたのでしょうか。
それとも、全然過ぎていないのでしょうか。
それは、よくわかりませんけれど。]
……ここ、どこ?
[いつの間にか、そこには子どもが一人。
側には小さな螢火がひとつ、きらきら、ふわふわ。]
[子どもはぐるりと周りを見回します。
かあかあ、かあかあ。
どこからか、からすの声が聞こえました。]
……からす、きらい。
[ちいさなこえで呟くと、子どもはそこから離れます。
小さな螢火が、慌てたようにその後をおいかけました。**]
/*
というわけで、幼児化なのですわー。
決して、言い回しに疲れたとか、そういうことではないのですわー。
[本当ですか]
まあ、流れ次第で元に戻るとは思われますけど。
どうなりますやら。
[アナとベリエスから、メルセデスの死の知らせが届きます。
木こりは声にならない口を大きく開け、がこんと閉じて奥歯を噛みしめました。]
牧師さんが人狼?
そんなはずねえ。そんな……
[唸るような呟きは、皆の祈りの声に紛れて消えまっした。
大男は教会から白布を持ち出し、のっしのっしと歩きます。]
[ベリエスが冥福を祈り、アナが宿で血を洗い流す頃。
木こりは川辺でむっすりと顔を顰めました。
二つになった旅人と、赤くなった黒い牧師。
木こりが渋面も露に口を引き結んでも、何か言うものは誰もいません。話せません。
いえ、アナならもしかしたら何か聞こえたのでしょうか。]
………。
[大男は厳つい背を屈め、赤い黒の牧師を白で包みます。
そして弔い途中の旅人を睨むと、土の下へと埋めました。
もう起きだしてくるなと言うように何度も土を掛けました。]
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