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[名を呼ばれてブリジットを見る]
[いつもの声とは少し違うように感じて]
私もあなたが大好きよ、ブリジット…
[きっと、それは月のせいだと]
[ブリジットではなく、月が悪いのだ、と]
[それは影として、唯誰かを護る為と。
友と云うよりは従者のように]
[走る。
ハインリヒの僅かに後方を]
[集会場の扉を開け放てば、いくつもの足跡に紛れて、二人分の靴の痕が遠くへと伸びていた]
[外は満天の星空。
陽のひかりの射さぬ夜空には、
寂しげな色を放つ月と、
それに寄り添う星々のひかり。
月明かりに照らされて、
白い雪原に寄り添うような長い二つの影。
夜風は、少しずつ強くなる。
黒い雲が、風に乗って流れ、
空を覆い始める。
雪原へ飛び出し、
足跡を追う、
二つの長い影。
]
壁|・)o〇(*業務連絡 地上・墓下双方へ*
エピローグ入った後、ストーリーの〆は地上のみで行い、エンド後フリートークという流れにしたいと思っておりますー。
もし、墓下の方でエンドストーリーに絡みたい、という意見がありましたら、待避所の方へ御願いいたしますー)
歌姫 エルザは、探偵 ハインリヒ を投票先に選びました。
あなたはしあわせに……
[はじめてのなかまの声に、聞こえないだろうと思っていてもそう返す]
[否][聞こえても聞こえなくてもいいのかもしれなかった]
[ふと。
途切れたものがつながった。
痛み。
熱さ。
それらは。
何一つ、残っていなくて]
……ああ……。
解放……されたんだ。
[こぼれたのは。かすれた呟き]
[深み…それは、月の下で踊る狂気は持ち得ないもの]
[感情の深さ]
[ブリジットが奪われたもの]
[沢山沢山奪われたもの]
[そして]
[集会場で沢山沢山貰ったもの]
[声が聞こえる]
[そちらを向いて][微笑む]
[それでも声をかけることはなくて]
[視線を窓の外に]
[すがた][ふたり][ふたりがふたくみ]
ようやく。
自由に。
自由になれた。
人の想いも。
病魔の痛みも。
聖痕の痛みも。
なにも。
ないんだ……。
[途切れがちの言葉は、ぼんやりとして。
でも、どこか。嬉しげで。
紡ぐ唇には、笑みが浮かんでいた]
[初めてブリジットを見たとき]
[怯えて、心を閉ざしていた小さな少女]
[今、その少女は自分の手を握っていて]
[それはとても、とても大きな事で]
[だから]
[この手を離してはいけないのだ、と]
…エルザ!!
[ようやく声の届く距離まで追いつき、叫ぶ。]
エルザ!そいつから離れろ!!
[ずきり。
胸の奥の痛み。
抱きとめたその、細い身体。
たどたどしく歌う、あどけない笑顔。
まるで、姉妹のような、ふたり。]
[ふ、と。
近くで聞こえる声に気づいて。
自然な笑みと共に。
同じように窓の外へ目をやる。
走る影たちが、見えた]
……生きる意思があって。
この、下らない因果から。
逃れる意思があるなら……。
[逃げてくれ、と呟く。
それは、かつての自分が成し得なかった事]
[こえを聞いて、そちらを向いて]
[微笑みはかわらぬままに]
あの子は、人を喰わなくてもいきていられる子ですから。
きっと逃げてしあわせに
[手を握る]
[ブリジットの思いに応えるように]
私はずっとあなたを守るわ。
大切な…私のブリジット……
[遠く、遠く]
[誰かが呼んでいるような気がしたけれど]
…大丈夫
[手を、強く握り締めて]
[風は頬を刺すように痛みを与えるけれど。
痛みを受けるのはユリアンであって]
[それでは無い]
[心の痛みを受けるのも]
[震える銃口を目に映し。
懐から赤い木を取り出す]
[継ぎ目の上下を握り、捻り、引き抜いて]
[闇の中でも、白銀の刃は僅かに光を帯びていた]
人を、喰わなくとも……。
[投げかけられた言葉。それに、安堵を感じた]
そうか。
それなら、大丈夫だな……。
俺と同じようにはならない。
喪わず。生きられる。
[雪に残された足跡][手を繋いだ二人の影]
[それを見詰め][瑠璃の双眸が僅か細められ]
[月光を受けて][透き通った身体は淡く輝くか]
Who killed Cock robin?
I, said the Sparrow.
With my bow and arrow,
I killed Cock Robin.
[古いふるいマザーグース。誰が殺したのかと問う歌声]
[生きるものには聴こえない][死したものにだけ届く聲]
殺した… 殺した…
誰が殺した… 誰が殺した…
[叫び声、遠く、背中から]
[振り返る、鮮やかに、笑って]
…ハインリヒなの?
どうして?
何故この子を……?
この子は…ブリジットは何もしていないわ!
[ブリジットを庇うように、抱いて]
[叫ぶ]
…ハインリヒ…… …ユリアン…
[横髪がブリジットの顔を覆い、振り返れば]
[風は逆向きに]
[ブリジット達からハインリヒ達へと吹きつけた]
[冷たい風]
[拒絶するように]
[そして]
[何故?と問いかける]
………
[何故?]
[言葉は聴いているのか][微笑みのまま]
[ただ窓の外を見つめる]
[ふたり][ふたり][逃げて][しあわせに]
[目を閉じて願う]
[あかいめを]
[追う。
何のため?
止める?
…いや、殺すため?]
…離れろエルザっ!! 喰われてぇのか!?
……その子は…
[告げようとした、声が掠れる。]
風が吹く、運命に抗う者をあざ笑うかのように風が吹く。
夜闇は白い大地をことさらに浮かび上がらせ、その上に蠢く者共を照らし出す。
[窓の外。
対峙する影と影と。
ぼんやり、見つめた]
……役割……。
それに……囚われても……。
[いい事なんて、何もないんだ、と。
声にする事はなく、呟く。
追う者たちへと向けて]
職人見習い ユリアンが「時間を進める」を選択しました
[何故、ブリジット、を]
[その答えを知っているような気はしたけれど]
ブリジットは何もしていない!
だって、そうでしょう?
ブリジットはずっと私と一緒に居たのよ?
この子は何もしていないわ!
[たとえ、ブリジットがそうであっても]
[守ろうと]
…離れろ。
[迷いを押し殺すようにして、
エルザに抱かれたブリジットの顎へと銃口を突きつける。]
…この子の母親がどうなったのか、聞かなかったのか?エルザ。
………どうして…
[人間を食べた事はない]
[仄かに黄色味がかる白い眸の色]
[さえざえと空に輝く月の色]
[けれども]
[今そこに在るのは]
[狂った色などではなく]
[夜]
[幼子を抱く手]
…ハインリヒ………
ママのように、殺そうとするの…?
[まざる][混ざる][記憶の混在]
[母と娘のような][ふたり]
[男の言葉――母親がどうなったのか]
[娘の言葉――母親のように]
[真っ白だった服が、緋色に、染まる。]
[あかいあかい、ちのいろ][べっとりと纏わりつく]
…それは、これから先…ブリジットが…人を襲うと?
本気で?
これから先、そうなるかも知れない…
そんな理由で…ブリジット、を?
そんなことにはさせない!
私がさせないから…この子は…
[声が、震える]
[白い、小さな手が触れる。
ソーダのグラスを受け取ったあのときのように。
迷いに震えた銃は、
あっけなく、雪原へと転がった。]
[ハインリヒの声は真剣で]
[銃口、ブリジットに向けて]
…聞いてるわ。ブリジットの母親は、人狼に襲われたらしい、と。
だけど、だからと言ってブリジットが殺したという証拠は無いはずだわ。
そうでしょう?
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