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ふーん。そんなもんなんか。
[いうからにはそうなのだろう。その仕組みなどは知らないまでもユリアンが嘘をつく理由はなく]
いや、役に立たないなんてこたーねえが…まずいな。
[そうして、オトフリートが現れる。
笑顔で手を振ると、その手に布で包まれたものをそっと、
渡された。]
これ…?
[彼は、微笑んで頭を撫でてくれたかもしれない。
彼女もにっこりと満面の笑みを浮かべ、]
ありがとう!
[お礼を言った。
少女はそれをぎゅっと胸元に抱きしめて、
自宅への道を駆け出した。
そして彼は、図書館へと入っただろうか?
背中に、蜜蝋を噛む音が聞こえた気がした。]
[少し考える。心を封じる絵。というのは絵の描くものの趣味趣向で構わないのだろうか。それとも一定の描きかたでもあるのだろうか。エーリッヒは穏やかな顔をしていたが]
ここで考えてても仕方ないな…で、動けるか?動けないんなら寝てろよ。ああ、それとリディはそこな。
新しい話は…特にでてきてないはず…診療所にずっといたからわからんけど
[早口でそんな説明をユリアンにして、立ち上がったところでふと、止まり]
…なぁ?もしもの話だが、ユリアンが絵筆を持っていってたやつだったとして、だったらどこかに隠すか?それとも離さずに持ってるか?
ん。まずいって?
[アーベルの言葉に首を傾げる。続いた言葉には]
んあ。……ん。大丈夫、動ける。
それに寝てるわけにはいかないしな。
リディは……ん。大丈夫そうか。
ってか、はえぇ。寝起きにそんな一気にまくし立てるように言うなよ。
[苦笑いを浮かべる。しかし、続く言葉にスッと目を細め]
ああ、もしもの話だけどな。
もし俺が筆を持っていたら、絶対に誰にも探されねぇ場所に隠す。
自分で持っていたら、探られればすぐに露呈しちまうしな。
なら、目が届かないところでも普通探されねぇ場所に置いとく。
……その方が、逃げて追われてても、時間の勝負だが少なくとも絵を描く時間が確保できる可能性があるし、な。
[忌憚のない自分の考え。]
―自宅―
[軽い足取りで家へと入ると
大きなキャンパスを広げその脇に、
受け取ったばかりの布に包まれた絵筆を、置く。]
あ、そうだ、言われてた事をやらないと。
やる事があるってすてき、素敵ね。
[言いながら、鼻歌を歌いながら。
鳥と魚の彫り物のある絵筆を鞄から取り出し、
絵を描いていく。
単眼鏡の部分には、水晶花の花びらをはりつけて
空の青には、綿毛の雲。
描いていて、ふと昨日の事を思い出して
一瞬ぴくりとしたけれど、
どうやら何もないようで、ほうと息を吐き。
司書の絵を、描き終えた。]
[がたん。
椅子の倒れる音]
…嘘、だ。
まさか。
[見開かれた瞳は揺れる。
そんな筈はないと、信じていたから、周囲を必死に探して。
本当にない――盗まれたのだと理解した時には、大分時間が経っていただろうか]
ああ、率直に言ってまずい。
ギュンターのおっちゃんやベアトリーチェが…二人は年取ってたり、幼いしな。
[直接的な意味は口にはせず手短にいって]
だからはえーのも許せ。
俺はお前のような血族でもなければまして絵師でもなんでもないから焦っちまうんだよ。なにすりゃいいのかとかな
[そしてユリアンの考えをゆっくりと咀嚼するように聞いて]
そっか…それなら。ってこともないが、リディが犯人の一人だった。だったらもう一人もある程度知ってるやつかね?とも思う…絵を描いたのは多分リディだろうし、渡すにしろ隠すにしろ。連絡取れないと無理だろうしな
[それだと俺ら怪しいけど。なんて内心苦笑して]
そっから絞って探せばなんとかなっかねーっと…いつのまにかミハエルも絵師になってっし
[物理的な頭数はそこから、など、それでいいのかどうかわからないが出来ることと考えた上でそう思ったのだが]
ユリアンは何か考え…あるか?
─アトリエ─
[違和感を感じつつ、幼馴染の訪問を見守っていた。
交わされるのは、平時のよなやり取りで]
……思い過ごし……か?
[呟きには、そうであって欲しい、という気持ちも幾ばくかあったかも知れないが。
そんな思いがあったからか、瞬間の動きは見過ごした──もっとも、見えていたからと言って、止められる訳でもないのだが]
[そして、幼馴染が立ち去った後。
会話が平常的であったが故に──消えない違和感から、アトリエを見回し]
……って!
[は、と気づく。
気配が、ない。
自らの生命の一部を込めたそれが]
あいつっ……なんでっ!
[それが消えた理由は一つしか思い至らず。
弟に視線を向けた後、ふわり、外へと出る]
……どっちだ……図書館、か!?
[他に、行きそうな所も思いつかずに、そちらへと意識を向けた]
[向かった先は図書館。
いつも通りの挨拶も忘れて、戸口から中を見渡し。
やはり中には人がいて、驚いたような目で見て来るが、その中に目的の人物がいないと知れば、早足で中を進む。
そうして、書庫の扉を勢いよく開き]
[前方に現れた
海水通路へ入り込む。
泳ぎは得手ではない
体の束縛を離れても、そんな記憶に影響されたか
底をもがき漂って行くような体裁だったけれど。
小魚の群れがぱっと舞い。
緑がかった透き通った青、深い蒼へと、
水の色合いが濃くなっていった]
─図書館前─
[たどり着いた図書館前、目にした光景に、一つ、瞬く。
二人の間のやり取りを知らぬ身には、その意は図り知れず]
っとに……何がなんだか。
[状況は見えていても手を出せない現状が、ほぼ全てとも言える事実を知りつつ、語るを許されぬ自身に容易に重なり。
苛立ちを感じつつ、しばし、その場に留まる。
ちなみに、意識が一方向に囚われていたためか。
長には気づいていない。らしい]
/*
せっかくなので、じじ様をいぢってみよう。
しかしこれ、決着はいつつくんだろうか。か。
あんまり長くはおきてられんのだが。が。
……そういうことか。なるほど、確かにまじぃな。
[事情を把握して、チッと舌打ち。]
てか、俺だってそんな大したもんじゃねぇよ。
……リディの変化にも気づいてやれなかった間抜け野郎、だしな。
[自嘲気味に呟き。だが、気を取り直すと]
……しかしもう一人、か。
確かに連絡はとれねぇとかなると、未だ筆がみつからねぇ道理が通んねぇしな。
となると、限られてくる、か。
[ふむと思考に沈みかけるところでアーベルに問いかけられ]
ん? ……考えね。
…………いや。わりぃ。
[仕事仲間の少女から聞いた話が思い出される]
[この先には何があるんだろう、
どうなっているんだろう、その一心で]
[だけど]
あれ??
[ある地点で
何かに当たった具合に、跳ね返される]
あれ、どうして?
どうしてよ。
[何度もそこへぶつかってみても、それ以上は進めない]
[どうしてどうして。幾度も繰りかえす]
いけないの…? もしかして
ふうじられた、から? 出られない、の?
[倒れ伏す男の姿。
一瞬、己が何をしにきたのかを忘れた]
…っ、
[慌てて傍へ。
程なく、それが絵筆で封じた者と同じ状態であると悟る]
…これは。
どういうこと、だろう。
[絵筆を盗めるとしたら、彼しかいない筈だった。
だかその彼は眠り。
困惑し、眉を寄せる]
ま、初めっから悠長にできるようなものでもなかったけどな
[単にこの中ではその二人が危険になるのが速いというだけ、いずれは]
そうはいってもなぁ。俺は不安になって体調崩したのやら喧嘩したのやらの世話するブリジットの手伝いばっかしてっしなぁ。すっげー裏方だ…仕方ねえけど
……言ってくれないもんはそうそうわかんねーよ。
[自嘲的にいうユリアンには、己への言い訳めいた慰めをぼそりといって]
リディが逃げたときからは誰かに渡すこともどっかに隠すこともできなかったろうし、リディを封じられてから、ミハエルは襲われたんだろ…こっから何かわかるのかわからんのかは考えながらいくか
[そう促しつつ、向かうのは診療所より出てアトリエの方向]
… … …。
じゃぁ、おんなじか。
「あっち」にいたころと。
ちがいは。
じぶんが空へ行く…行けるかもしれない、か、
いつかは、ほかのひとを運ぶ力となる、か。
[現時点での心の力の集積量などは知らない。
満月夜まであとどれほど必要であるかも]
[ぼんやり、上の方へ意識を向ければ、
何かが漂っているのがみえたようだった。
お魚の影かな、と考え、
水の流れへ身を浸す、つもりになってみた。
そうしてみれば、気持ち良かった*]
―自宅―
[それから、オトフリートから預かった布をゆっくり開いた。
鈍く光る、つがいの片割れ。
にこりと、これほど無い笑みを浮かべて、暫くみつめる。]
白練の歌子 エルザは、奏者 ミハエル を能力(襲う)の対象に選びました。
[思考が巡る。
リディが兄の絵を描いて、けれど絵筆は見つからず。
オトフリートが絵筆を持ち出して、けれどこうして封じられて]
じゃあ。
…誰か、別の人が?
[小さく、言葉を洩らし]
/*
容疑者を絞れた上で、推理でも考えでもすればできるだろうけど容疑者町の人全員だとかだとーと色々考えて上手く動けない気がががががが
― 図書館/書庫 ―
[その場から動けずにいた。
ゆえに、ずっと見ていた。
雄弁な口は何も語らず、赤い眼差しは光景を捉える。
――目に映れど、何処まで意識に入っていたかは別の話だが]
[床に散らばった綿毛を取り、布に居れ。
そうっと絵筆を2本、揃えて。]
これで、さみしくないわ?
つがいだもの、ね。
[笑いながら話しかけていたが、はたと思い出し、
鞄からエーリッヒから借りたままのハンカチを取り出して包む。]
これでもっと、寂しくないわ?
[嬉しそうに言うと、鞄へとそっと閉まった。
それから、描き終えた(といっても大した出来では無いのだけれど)絵を見て、首を傾げる。]
これで、良いのかしら?
そっか。…………ありがとな。
[ポツリと呟き]
ん。そだな、行動しねぇとわかるもんもわかんなくなっちまうしな。
[そう言って、アーベルとともにアトリエへ。]
[書庫から出て、館内にいた男性に倒れた司書を頼み。
誰かが彼と接触していなかったか、1人1人に尋ねる。
そうして得たのは]
…エルザ、さんが?
[1人の少女の名前]
まぁな。行動してわかるんなら俺としてはありがてぇ
[そしてブリジットに告げてから診療所を出てユリアンとともに真っ直ぐアトリエまで向かって]
―アトリエ―
[アトリエには見張りなのかなんなのか。そのものに止められ]
ミハエルに会いてえんだけど…あ?オトフリート先生が尋ねてきてその後しばらくしてから出た?どこに向かった?
…なんか変な様子だったって…
[そんなので黙って見送ったのかとばかりに睨みつけるが、そういってもはじまらないと、いった道を聞いて]
図書館…かね。やっぱ
[と言うかそれ以外該当するのが浮かばないが確認するようにいって同意が帰れば今度は図書館へと]
―自宅前―
[自宅の中、奥の扉を開き。
桃色の花の上にそっと、絵を置いた。
小脇に抱えられる程のサイズのキャンパスだが、
何処かに誰にも見られずに運ぶ自身が無かったから。
そうして、鞄に大事に絵筆を入れたまま、家を出る。
鍵もかけずに出るのは何時もの習慣。
誰かが家に入れば、綿毛を敷き詰められた床の向こう、
中庭へと通じる扉を開けば、
くらりとする程の良いとはあまり言えない芳香を放つ桃色の花の中、
まだ染料の乾かないキャンパスが見付かるだろう。
少女は、ゆっくりと自宅を離れて歩く。]
[図書館の前で楽しげに歌う彼女を、何人もが覚えていて。
何かを手渡していたようだ、という者もいて。
疑念は確信に変わる。
少女の自宅の場所を聞き出すと、即座に駆け出した]
[アーベルと連れ立ってアトリエにやってきたわけだが、]
んだよ使えねーな。
[アーベルが目で訴えてることをこっちは口に出して言ってみる。
行った道とアーベルの言葉には]
だな。…………つーことはまさか。
……とりあえず俺らも行くか。
[そう言って、図書館へと歩き出す。]
─図書館前─
[思索を打ち破ったのは、微かな震え。
それは、『絵筆』が使われる時の、特有の震えで]
……俺、どんだけ寿命削られるんだろうか……。
[思わずこんな呟きをもらす]
……じゃなくて。
今度は、誰……が?
[絵筆を持って行った少女。
彼女が誰を描いたのかと。
そう、考えた所に駆けてくる弟。
図書館の中から聞こえる声を聞けば、おおよその状況は掴めて]
……ほんと、何考えてんだ……。
[口をついたのは、呆れたような呟き]
ああ、こんなときだから…なんもなかった。なんてことは多分ねーだろうしな
[もう結果的に見ながらも立ってただけの人は無視して図書館のほうへ向かった。
現在図書館から出て行こうとしているなんて知らない]
[2人が図書館に向かう道を、司書を診療所に運ぶ一団が通り過ぎるかも知れない。
探されているとは知らず、聞いた方向へひた走る]
…く、
[時折つまづいたりしながら、歯を食いしばる。
己の体力のなさを呪いながら、それでも止まろうとはしなかった]
[図書館を飛び出し、駆け出して行く弟の姿。
逡巡している暇は、なかった。
今は、なんら干渉はできない身ではあるけれど、しかし、追わずにはいられずに]
……まったく、だから少しは身体を動かせって……!
[辛そうに走る様子に、思わずこんな言葉が口をつく。
緑の瞳に浮かぶのは、弟を案ずる光のみ**]
/*
さすがに、限界、ですよ、と。
思わぬアクシデントだったが、大丈夫そうで何より。
つうか、テンション高いなみんな、大丈夫か。
そして、話はどこに着地しますやら。
[図書館へ向かったところで、誰かを運んでいるのが見えて]
ん?今度は何…ってっ。オトフリート先生?
[運ぶ一団を押しのけて近くで見れば間違いなく。更にそれは最近よくみた症状であって]
まじかよ……ちっ!…でこれどこで?…図書館でミハエルが…か。
そんでミハエルは!?
[一団の一人に詰め寄って聞けば]
エルザ…?おいっ!?エルザがなんなんだよ!言え
[胸倉を掴んで揺すれば、歌っていた。とか。オトフリートと喋っていた。ミハエルが家の場所を聞いて向かった。と言われそれ以上は知らないらしく。一団の他のものに止められる。]
………いくぞ。ユリアン
[一団を見送る暇もなく低く呟く。
何があったかまでは詳しくは知らない…内心どこかで、知りたくないということなのかもしれないが]
エルザの家は知ってる。
[ついて来いというように*駆け出した*]
―綿毛畑―
[立ち入り禁止の紐を跨いで入り、ぺたり座り込んで鞄を開ける。
座り込めば、荒らされたとは言え、まだ大分綿毛の残る畑にに
頭のてっぺんまで、隠れてしまう。
中にモノが入っているのを見て安心すると、ふと、鞄の底に黒い石が連ねられたペンダントを見つける。]
……――
[無言で引き摺りだして、首にかけようとするが
やはり、首の後ろで留め具を着ける事が出来ず、
結局手の中に握りこんだ。]
…何時かしら。いつかしら。
ふふふ、ねぇ…――?
[きゅ、と握った手を鞄の上に置き
綿毛畑の中、小さく歌声が、響いた**]
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