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おや、 オリガ が来たようです。
オリガは、霊能者 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
― 森 ―
[空が炎の色に染まる。
土に薄汚れた靴先から伸びる影が随分大きく見える頃。
宿を営む父に夕食に使う食材野草を摘んでくるよう言われたオリガは
いつしか森の奥深くへと迷い込んでいた。
くるり、振り向き来たはずの獣道を見遣る。
向き直り、これから進もうとしていた獣道を見比べる。
赤く染まる森の小道は意識研ぎ澄ませなければ見失いそうなほど細やか]
――――。
[長い沈黙を置いて息のむ音が微かに鳴る]
[森にのまれたような感覚が芽生え、拭えない。
不安を感じ引き返そうとした矢先、足元の土に何か落ちる気配がした。
目を凝らせば色濃くなるその一点。
オリガは空を仰いだ。
ポツ、と頬にあたる雨粒に目を眇める。
受け皿のような形の手を差し出せばポタポタと肌を濡らす]
やだ、雨……?
早く帰らなきゃ。
[踵を返せばふわりとスカートの裾が広がり波打つ]
[不意に、コエが聞こえた。
呼びかけるそのコエにオリガの視線が声の主を求めて彷徨う]
誰?
[向けた声は森の木々にのまれて余韻さえ残らない。
次第に雨の匂いが濃くなり水の気配が辺りに満ちる]
気のせい、よね。
――――……。
[後ろ髪引かれるような思いを抱きながら
父の待つ我が家に帰ろうと歩み始めた]
[空にあの赤はない。
かわりに空を裂く稲光が見えてびくりと身体を震わせる。
続いて聞こえる轟音に竦んで思うように足は動いてくれない。
既に泣きだした空の下に泣き出しそうな顔をして
声にならぬ悲鳴を喉奥で詰まらせた]
…………っ。
[早く帰らなきゃ。
己を叱咤して枝木を掻き分け森を進む]
[そうした先に見えるのは、目指した場所ではなく
古びた屋敷が大粒の雨の向こうに在った]
え。
[来た時には見かけなかった。
だから道を間違えてしまったのだと思う]
うそ。
[途惑い含む声が漏れて不安げに辺りを見回すが
屋敷の他に其処からみえるのは暗い空と鬱蒼とした森]
[そうしている間にも雨は降り注ぎオリガを濡らす。
冷たく感じる雨に避ける為に屋敷へと向かった。
扉を叩き待てば、無表情なメイドの出迎えがあり]
御免下さい。
道に迷ってしまいました。
雨宿りさせて頂いても宜しいですか?
[願えば快い返事とともに屋敷の中へと誘われる]
ありがとうございます。
たすかります。
[何も知らぬままオリガは屋敷に足を踏み入れた**]
おや、 キリル が来たようです。
キリルは、村人 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[とある村の、とある家。
静まり返った居間の壁には、絵が飾られている。その昔、父親がとある絵描きに頼んだものだ。
額縁の中ではその家の住人である家族が3人、楽しそうに笑っていた]
空耳……?あ、
[空に目を移した直後、ぱたりと音がして、水滴が頬を伝っていく。
ここまでの道程で額に浮かんだ汗とは違う。思わず瞬きした目からでもない。
空から水が落ちて来たのだ]
[まずい、雨だ、そんな言葉はすぐに激しくなった雨音に飲まれた。
一瞬の逡巡の後、走り出す。
当然ながら宛てなどない、そのはずだった。
雨は容赦なく薄汚れたフードを濡らし、重みを増す、そんな中で]
『 ―― ……オカエリナサイ? ―― 』
……え、っうわ、ぁっ!
[また聞こえた声に、気を取られた刹那。
ばしゃんと盛大に音をたてて、転んでしまった]
……やっちゃった……。
っ、いた、ぁ。
[ぎりぎりで顔だけは庇ったものの、フードは泥で完全に汚れてしまった。
慌てて起き上がろうとすると、痛みが走る。どうやら膝を擦り剥いたらしい。
顔を顰めながら、ゆっくりと身体を起こし、……不意に瞬く]
あれ。
お屋敷……?
[存外近い位置にそれはあった。今の今まで気が付かなかったのが不思議なくらいに。
首を傾げるけれども、未だ止まない大雨の中、敢えてその屋敷を避けるという選択肢は無かった]
― 屋敷の前 ―
[膝を庇いながら辿りついた扉の前で、被っていたフードを脱ぐ。
すぅ、と息を吸い込み]
……こん、ばんはぁ!
どなたか、いらっしゃいますかぁ!
[挨拶に少しだけ迷いながらも、張り上げた声は少し掠れた。あとで、少しばかり咳き込む。
口にあてた手は細く、頬はよく見れば少しこけている。
程なく扉を開けたメイドはそのことに気づいたのか気づかなかったのか、表情一つ変えなかったから分からない]
えっと、その……よかったら、雨宿りを、させてもらいたくて。
あ、ありがとうございます!
[程なく了承の返事をもらって、勢いよく頭を下げた**]
─ 屋敷/エントランス ─
[借りたタオルで水気を拭っていると、同じように雨宿りを求めて駆け込む者が次々と現れる]
(……何気に、人、多くね?)
[聞いた話と違う、と思えど、そんな思考は心の奥底。
顔にかかる、微かに湿り気残る金糸の如き髪をさらりと払い、浮かべるのは懐っこくも見える表情──所謂、営業スマイル]
……雨に泣かされたお仲間さんは、予想以上に多いようで。
しかしこの降りだと、しばらくは動けそうにないねぇ。
[開いた扉越し、垣間見えた外の様子にため息つけば、雨が止むまでは客室で休んでいてくれ、とメイドから声がかかる。
どうやら、濡れた服が乾くまでの間の着替えも用意してくれているらしい]
(……至れり尽くせりですこと)
[淡々と告げられる言葉にまた、内心で首を傾げるものの。
ゆっくりできるというならば、それを厭う心算はなかった。**]
おや、 メーフィエ が来たようです。
メーフィエは、囁き狂人 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
― 森 ―
[その時、メーフィエはびくりと身体を震わせた。
左右を見回した。後ろを振り返った。
夕刻の半端な明るさの下、目に映るのは森の木々、踏み越えてきた土と下草。
その景色の中に、人影と思しきものはひとつとして見えなかった。]
アイツじゃ、ない。
[何処からか聞こえてきた気がした、声。
怖れている相手の声とは違う。まずはそう感じ、溜息ひとつ。
けれどその声の主らしきものの姿が見えないことそのものに、不思議さは抱いていた。
まるで誰かに――自分に?――問い掛けるような、誘うような、迎え入れるような、声。]
誰か、いるの……
/*
つうか、りある雷がだな(汗。
ちと調子も悪いし、今日は無理せんとこ。
縁をどうするか、も全員揃わんと出しようがないしねぇ……。
[身体が震える。
毛皮のコートを濡らす雨は激しさを増し、冷えた身体を雷鳴がまた震わす。
メーフィエは稲妻に照らされる森を駆けた。自分がどちらに向かっているのかも判らないまま、ただ駆けた。
もともとただ当てもなく走り出して、この森の中まで逃げ込んできた訳だったが――
気が付くと、目と鼻のすぐ先に古びた扉があった。]
……誰か、いる?
[開いた扉の奥で待ち受けているのは、「アイツ」の顔と此方に向けられた銃口――そんな一瞬の想像を振り払う。
今度こそとメーフィエは声を張り上げ、扉を叩いた。]
すみませんッ、
雨宿りさせて、もらえません、かッ!
―屋敷/エントランス―
[果たして出迎えてきたのは、無表情なメイドがひとり。
メーフィエは、はっきりと顔に安堵を滲ませた。]
ありがとう、ございます――
[屋敷の中へ促したメイドが、何かを握った手をメーフィエへと伸ばしてきた。
メーフィエは咄嗟に身構えたが、メイドが差し出したものがタオルだと察し、今一度の礼と共にそれを受け取った。
まず拭ったのは顔と髪。コートの毛皮に染みた雨水を軽く払ったのはそれから。]
そうですね……。
部屋まで案内して頂けると、助かります。着替えも、もし頂けるなら。
[安堵から、それまで抑え込んできていた疲弊が一気に表に出てきた。
それでも人の居る手前、ふらりと倒れ込むことはしなかった。
こうしてメイドのあとから、客室へ行こうとして――。
メーフィエは、一度立ち止まって、その場をそれとなく見回した。]
─ →屋敷 ─
[大粒の雫が大量に零れ落ちる中、僕は左足を引き摺って先を急ぐ。
その先に何があるかなんて知りもしなかったけれど、次第に立ち込める木立が左右へと開き。
雷光煌く中に屋敷が一件、浮かび上がった]
や った、あそこで雨宿りさせてもらおう!
[建物の中なら雷が落ちても焦がされはしないだろう。
何よりこの大雨を凌げ、きっと温まることも出来るだろうから、見つけた建物を無視する道理は無かった]
あのっ、すみません!
しばらく雨宿りさせてもらえませんかー?
[玄関の扉を数度ノックして、屋敷の中にも届くよう声を張り上げる。
泥だらけになったタオルの下で、左足首がズキリと悲鳴を上げるように痛んだ。
それに対し顔を顰めた直後、叩き続けていた扉が僅かに軋みながら開かれる]
っ……あ、の。
え と、雨宿りを───。
[出迎えてくれたのは屋敷に仕えているらしいメイド。
あまりの無表情さに僕は思わず息を飲んだ。
何となく、不気味さを覚えたのだ。
たどたどしく雨宿りを請うと、メイドは表情を変えぬまま身をずらして中へと招くような仕草をする。
そうして付け加えられた言葉に、僕は一度瞳を瞬いた]
あ、ありがとう、ございます……。
[屋敷の主人に雨宿りを望まれる理由が分からず、口にした謝辞も面食らったようなものになる。
リュックサックを抱え、左足を引き摺りながらエントランス内へと入ると、メイドから綺麗に乾かされたタオルを渡された]
助かります。
……他にもどなたかいらっしゃるのですか?
[僕が中に入る前に、既にエントランスの床が濡れていたことから、メイドに対してそう問うてみる。
返事は是。
どうやら僕と同じように雨宿りに訪れた人達が居るようだった]
へぇ、他にも同じ境遇の人が居るんですね…。
急な雨だったもんなぁ。
[自分が登山していた山の麓だと思っているため、登山客が多いのだろうと勝手な解釈。
それから再び痛んだ左足に顔を顰め、小さく息を吐いた]
あの……実は左足、捻挫してしまったみたいで。
手当てするものとか、ありませんか?
サックに入れてた物ほとんど落としてしまって…。
[人差し指で左足を示して、手当てする術が無いことをメイドに告げる。
無表情なメイドの視線が僕の左足へと向かい、再び僕の顔へと視線を戻した後に、承諾の返事が返ってきた]
ありがとうございます。
…分かりました、移動するくらいなら、何とか。
[手当が出来ることに僕は安堵の笑みを浮かべ、大広間へと言われたことには頷きを返す。
大広間への移動の間に客室のことを聞き、着替えもあると告げられて。
そこまで用意してくれることを不思議に思いながらも、ありがたすぎて申し訳ない気持ちにもなりつつあった]
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