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娼婦 イレーネが「時間を進める」を選択しました。
[ユーディットの反論に僅か、思案の素振りを見せるものの、こちらもそれ以上は言わずに。
投げかけられた問いに軽く目を伏せつつ、ピアノの前に戻る。
鍵盤の上を滑る指が、音を一つ、紡いで]
さて、今のやり取りからは、どう見えたかな?
[問いに返すのは、どこか冗談めかした口調での、問い]
[静かな村の中を駆け、目的の場所へと辿り着く。
気配を発することなく中へと進入、感覚を研ぎ澄ませ、獲物の位置を探った。
ややあって感じ取る生の気配。
口端を釣り上げると、一つの部屋へと静かに潜り込み、そこに居た人物に背後から襲い掛かった。
手を爪へと変えて下から背を引き裂く。
短い悲鳴が相手の口から漏れそうになると、すかさずその喉を掴み上げた]
……騒いでもらっちゃ、困るんだよ。
[悲鳴はくぐもった声へと変わり、片腕で持ち上げるように力を込め。
目の前には僅かに膨らみが分かる腹部。
にぃ、と口端を持ち上げると、躊躇いなくその膨らみへと爪を減り込ませる。
肉を裂く感触を愉しみながら、その奥にある小さな命を掴み、一気に引きずり出した]
…は、ちっせぇの。
腹の足しには、なっかな。
[引きずり出したそれをロストへと見せびらかしてから口へと運び、一口で飲み下した。
当然、それだけでは足りず、女の腹を引き裂いて、その肉を喰らっていく。
その最中、不意に背後の扉が開いた]
フッ。
まだ他者に気付かれぬ程度では仕方ないでしょう。
[こちらに胎児を示してみせるエウリノへと嗤う。
新たな命を楽しみにしていた女性に向けていた感情は、そこには一切存在しない]
ですがまごうことなき命の欠片。
力の足しには…。
[風が動く。エウリノの声が響く。
扉を開けた女性が絶句している間に、灰色に染まった腕を躊躇い無くその首へと向けた]
間の悪い方ですね。
いらっしゃらなければもう少し永らえもできたでしょうに。
[鋭い爪に喉を切り裂かれ、崩れ落ちる腹部に腕を突き込む。
温かい液体が腕を伝う感触にニンマリと嗤った]
[入り口付近を探しただけでは収穫はゼロ。
諦めて鉱山から村の方へと降りていく]
……なんか無駄に時間使った気分。
[眉根を寄せながら呟いて。
暗くなった道を歩いて行った]
『私の最高の親友。イレーネと出会えて良かった!
例え、私が見えなくなっても、いつも一緒にいるよ。』
…。
[書かれていた言葉は、まるで親友が口にしたように頭に届いた。
暫く、絵と親友を交互に見ていたが、小さく息をついてベットの縁に背を預ける。そこから間近に見る親友の寝顔。
親友の死に顔は安らかで、それには胸が温かくなった。
こつりと、頭を乗せ、目を閉じた。
何かを思い出すように、あるいは―――感じ取るように。]
[外に出ると未だ日は高かった。、一度宿に戻り、昼食を口にする。
此処数日というもの、面倒をかけたくないからという理由で、上の姉の申し出を断り食事は自分で作っていた]
そう言えば、バウムさんは?
大分飲んでたけど。
[交わす会話は何時も通りのようで、何処か、距離がある。
食事を終えた後には、客が来ない中でも何時も通りの雑事。空が朱く染まりゆく頃には一通り終わり、ノーラがやって来た。
弟の姿に、昨日の言を思い出したか、心配そうな眼差しを向ける姉に笑みを返して、行き先は告げず、入れ違いの形で出かけて来ると言い残して外に出た。
――いってらっしゃい。
投げられる言葉を、背で聞いた、それが、最期]
工房徒弟 ユリアンが「時間を進める」を選択しました。
……エーリッヒ様って、最近アーベルに似てきましたよね。
[問いには、拗ねたような顔で返し]
正直言って、判りかねます。
お二人とも、言葉の投げ合いを楽しんでるような感じで……。
……そう、悪友同士、みたいな。
[あれ、っていうことはエーリッヒ様はアーベルを疑ってない? と考え込む。]
[赤い赤い世界の向こうで、命の弾ける様子が感じ取れる。
まだ人の身で、それ自体に悦を感じる事は出来ないが。
主らの満たされてゆく感覚には、微笑む。]
おいしい?
[くすと、尋ねた。]
[結果から言えば、目的は果たせず終い。
診療所まで赴くも、タイミング悪くオトフリートは不在だった。
その上、自衛団員に捕まったのは不運としか言いようがない。聞き飽きた言葉をぶつけて来る男を、普段通りの、観察するような眼差しで眺めていたのが余計に悪かった。とは言え、それも相手の不安を発散させる手段なのだろうと、好きにさせておいたが。
結局、医師の姿は見当たらず、時間だけを無益に潰して帰途に着く事となった]
全く。
使えれば、未だ楽だったんだろうけれど。
[両耳に通した丸石を弄りながら、呟く。
また小言を食らうのだろうか、そんな暢気な事を考えつつ、裏口から中に入る]
青年 アーベルが「時間を進める」を選択しました。
[引き抜いた腕の中にはまだ動いている心臓。
それをゆっくりと口にして、恍惚の表情を浮かべる]
ああ…。
[再び手を差し込んで、うっとりと呟く。
血肉の齎す甘美さに酔っていたその表情が、不意に曇った]
ッグ、ハ。
[口元を押さえて、膝を突いた。
甘美なる餌は一瞬のうちに苦い供物と化していた]
召使い ユーディットが「時間を進める」を選択しました。
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