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嗚呼、いえ。
無理はなさらずに。
[残したと謝罪する2人にはそう告げる。全て残されるよりは幾らかましだ。
それから自分の分を完食して、女性へと視線を。]
…ごちそうさま。
[静かに立ち上がり、語りかける]
みんなに聞いて欲しいの。
あたしが感じたのは、「死」だけじゃなかった。
あの子を死なせた誰かが言った、奇妙な言葉も聞いたのよ。
今なら、たぶんその言葉の意味が分かるの。
[エルザの声を聞きながらも、甘いにおいが...を襲う。]
嗚呼。
喰らいたいと思うのは。
――神よ。主よ。
あなたはそれを赦してくださっているのでしょうか
[ある一カ所の窓をじっと見つめながら]
死に行く子は、こんな言葉を聞いたの。
『一人、多すぎた』
『二人で十分なのに』
『余分な駒は、片づけよう』
あたしはその言葉を感じたわ。でも…昨夜は、意味が分からなかった。
それでは残しておきましょうか。
[シスターに微笑み。
それから話し始めた女性の言葉に。]
彼、・・・は何と?
[男なのか女なのか、それすら分からない。“彼”と称することに少し躊躇ってから、尋ねる。]
余分な駒……。
はん……随分と、好き勝手に言ってくれるもんだねぇ……。
『不良品、不用品は即消去……ってか?
『協会』といい勝負……いや、あっちよりもタチ悪ぃ、な』
[冥いものを帯びた言葉は、心の奥でのみのもの]
シスター。
あの子を殺めた者は、あたしには分からない。
でも、神だとすれば、それは、あまりに…。
ねえ、何故、その子が「余分」と言われたか分かる?
[手が震えた]
[じっと見つめていた窓に向かって歩いていく]
こんなこと、信じたくないけど確かめなくちゃ。
あの子の霊が、あたしに分かれば。
[それは、庭に面した窓。少女の首が見つかった穴に最も近い]
[窓を開ける]
[エルザを照らす、少し欠けた月。なにかを抱き止めるように腕を広げる]
おいで…。
[吹き込んでくる風]
[呆然と、言葉を返すことも出来ずに聞いていた。
けれど最後の言葉は何故か聞き逃すことが出来ずに]
何故、余分と言われたのか?
[聞きたくないと思いつつも、続く言葉に集中していた]
[駒という言葉への不快感は...は持たなかったけれど。]
no,わたくしにはわかりません。
そして恐らく、その主は神ではありませんわ。
神は無意味な殺生を嫌っておられますもの。
[言うと少し楽になる。]
…余分と、言われた理由は?
[袖が、風を孕んでふくらむ]
[長い髪がなびく]
[高い声で、不意に歌いだす]
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
[哀しみに満ちた絶唱]
[エルザの頬を涙がこぼれ落ちる]
…ああ、ああ。やっぱり。
殺された子は、人狼だった…!!
[食べた食器を片付けて、ソファーの前にちょこんと座る。
籠からお人形を取り出して、ちょこちょこあそんでいるようで。]
「よいではないか」
「あーれー」
[黒髭のお人形が、青髪青年を襲って見えるのはきのせいきのせい。]
[駒、という言葉が不快で、余分と言われたことへの反応が遅れた。
女性を見ると、彼女は歌い出し。]
・・・・・な、
人狼?
[軽く目を見開いて。]
[呆然と歌うエルザを見つめる。
言葉を発するどころではない。全身の震えが止まらない]
[やがて届く少女の呟き]
[視線はのろのろと彼女の方へ]
[この子は何を知っているのだろう]
[絶唱と、それに続いた叫び。
投げられた言葉。
昼間、書斎で仕入れた『伝承』と、昨夜の会話と。
複数の情報から、一つ、答えを弾き出す]
……ようするに、だ。
集められた血脈の内、三人が、先祖帰りを起こした……と。
だが、二人以上はいらない。
だから、処分した。
……そういう意味と見て、いいんだな?
[問いかける声は、いつになく低く、冷たく響いて]
[確認する青年の冷静な、否、冷たく感じる言葉]
[その冷ややかさは...を現実へと引き戻したが]
どうして、そんなに平然としていられるんだ?
[心の中で思ったことが、呟きとなって毀れた]
…馬鹿げたルール。人数合わせね。
流浪の芸人がカードで遊んでいた人狼のゲームを見たことがある。
12人なら、人狼が2人、狂人が1人、占い師1人、霊能者1人、守護者が1人…。
ええ、そんなカードだったわね。
[…ベアトリーチェをじっと見る]
[言葉が聞こえて少女のほうを見る。
けれどすぐに女性に視線を戻したので、少女が持っている人形にまでは気付かなかった。]
要らない、だと・・・・
[低い声を洩らす。完全には隠し切れなかった不快感は死した少女への哀れから来るものではない。自分も同じものとして、彼―創造主―には見られているのであろうから。]
みっきーも、あそぶ?
[お人形の籠を差し出して。
何の変哲もない良くある着せ替え人形。
けれどもその年恰好や髪の色。
そして着せられた服装も、何処となくココに集められた者たちに似ていた。]
[i weep for her dying...
the 'vox' is full of woe.
彼女の死がかなしいと思った。
コエは悲しみに溢れている。言葉が届かずとも。]
…ベアトリーチェ。
[問わずにいられなかった]
殺されてしまった子は、あなた?
それとも、あなたの…。
[姉妹、と問いたかったのか?]
[ミハエルの呟きに、冷たい蒼がそちらを見る。
口元に、微かに浮かぶのは、艶を帯びた──幻魔の笑み]
取り乱して泣き喚いて。
何が、変わる?
今、やるべき事は、手にした情報を生かす方法を考える事。
……そうして、生き残る事だ。
感情に流されて、術を、そして生命を失うつもりは、俺にはない。
[淡々と、淡々と。
その言葉は綴られて]
…あ、お人形。
[彼女が手にする着せ替え人形。
それはどことなく集められた者達を模しているように見え]
[エルザの言葉。カード遊び]
[ギュンターの言葉。神の戯れ]
あそび…
[くらり、と眩暈がした。
慌ててテーブルに手をつき、身体を支えて]
ねえ、ベアトリーチェ。
それはここで見つけたもの?
[胸に今も鳴り続ける歌]
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
突風に埋もれる足取り
倒れそうになるのを
この鎖が 許さない
心を開け渡したままで
貴方の感覚だけが散らばって
私はまだ上手に 片付けられずに
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
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