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ー礼拝堂ー
[掴まれる前に手を引く]
問いにはすでに答えたのだよ、ティル。
だが、君には解るまい。君は、すでに、心を他に手渡してしまったのだから。
あっ、悪い悪い。
八つ当たりはよくないな。
[ブリジットの声に頭をかきながら答える。
皆のいる庭の窓に近づくと聞こえたベアトリーチェの問い]
「寂しい」ね……。
[対極の属性の持ち主を見れば、木の下で微睡み中
...は対を失った少年に思いを馳せ、コエを飛ばす]
―礼拝堂―
退屈だった?
[引かれた手を追うこともない]
あぁ、うん。そうだね。
僕の心は僕にない。
否、あるといえばあるけれど……かの女にあげているのだから。
……君が、とったのか? クレメンス。
[最後の問いは、もう、それを、そうとしか思えなくなっているような、響きで。]
「楽しいとも、天の子よ」
[淀み無く言葉は返る]
「私は全てを感じるのだ、全ての悲嘆、全ての喜び…常に心は楽しんでいる」
『未だ、知らぬは、ただ、ひとつ…』
[最後の言葉は伝えられることなく]
……かたちあるものは、いつかは壊れる。
[いつかとおんなじ言葉を、ベアトリーチェは繰り返します。]
かたちのないものは、どうなのだろう。
[首をかしげますと、金いろの髪が光を受けて揺れるのでした。ブリジットの声は、きちんと聞えていたでしょうか。オトフリートの呟きに続くかのように、ただ、変わらないぼうっとしたかおで、ぽつりと小さく云います。]
ベアトリーチェは、足りないのだって。
「貴方の求めているものが、私には解らない。」
[それは感情を楽しむという事だったろうか、
それとも、彼の真意が理解出来ないという事か]
形あるものはいつか壊れる。
それは、不変なる時の理の一つ。
だが、それは何かへと還り、再び何かを創り上げる輪転の理でもある。
形のないものも……壊れたり、傷付くことはある。
時には、失われる事も。
[静かな口調で言って。
それから、ぽつりと呟かれた言葉に、瞬きひとつ]
……足りない?
それなら、世界も壊れてしまうのかな。
[ベアトリーチェの見たことのない、外の世界。見ることの出来ない世界に、存在の意味はあるのだろうかと思います。
……それなら、自分の生きる意味はなんなのでしょうか。]
―礼拝堂―
…………君にそれを渡すように頼むかな。
それは人目にふれてはいけないもの。
それは誰かが持っていてはいけないもの。
渡さないというのなら
[一呼吸]
さて、どうしよか
/中/
変化を嫌っているわけではないのですよと。
欠けたままになっているのがブリジットには不快というか苦痛なのであろうというだけで。
寂しいというのも嘘じゃないですけれど、これはどちらかというと現状ではなりきっているために人間的な感情に引き摺られているような感じで。
ちょっとだけ補足でした。ここでしても仕方ないかな?
うん。
足りないの。
いろんなものが。
[その答えはちっともたしかではなかったでしょう。けれどもベアトリーチェ自身がそれを感じ取るのは、とても難しいことで。説明なんて出来はしないのでした。]
……ほんとうは、命も足りなかった。
それを、 メーラが呉れたんだよ。
[一ぺんそらを見上げて、それから俯いて、小さく云うのです。]
痛い……
僕もアマンダさんを失ったらそう感じるのかな?
これから先、鍵の書の力でまた対を失う人がでるのかな?そして「喪失の痛み」を感じなければならないのかな?
……早く消そうね。あれを。
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