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[神父の話の最中、扉が開く音が聞こえて息を飲む。
そっと振り向けば、緑の髪の少年が扉を開けて入ってくるのが見えた。
自分とそう年の変わらないように見える少年。そして、同じく年の変わらないように見える少女を見る。
自分達はまだ、何も知らないのに。何の力も持たないのに、ここに閉じ込められて、為す術もない。
大人には分からない不安を、無力感を。
二人に話し掛けて、共感を得たかった。]
[30年前と聞いて、今まで何度か出てきたそれに姿勢を正してじっとルーサーを見る。
その姿はいつもと違って見えて。
それは服装のせいかも知れなかったけれど]
…いったい、何が?
[一言だけ呟いて、その言葉を待つ]
むかしむかしのお話。
人狼が巣食ったある村に、一人の異端審問官がやってきた。
彼は、『人狼を探したいが身内を疑うなど出来ない』と言う村人にこう言ったのです。
「無条件に相手の言う事を鵜呑みにする事は『信じる』とは言わないのです。
言葉を交わし、互いの意志を確認する事で初めて『信じる』事が出来るのですよ」と。
「どうしてもその手を汚したくなければ、私が裁きましょう。
あなたたちは、ただ誰を裁くかを選ぶだけでいい」とも言いました。
そして村人は処刑する人間を多数決で決め、処刑はやってきた異端審問官が行ったのです。
人狼は全て退治され、平和が訪れました。
しかし、無実の罪で殺された者がいないわけではなかったのです。
家族や友人、恋人を失った者達は嘆き悲しみました。
数日後。
異端審問官が、教会の一室で毒を飲み倒れていました。
マグカップには冷めかけた薬入りのホットミルクが、
隣には赤ワインの瓶とグラスが2個が置かれていたという。
書きかけの報告書が残ってはいたが、遺書は終ぞ見つからなかったそうな。
愉快なハナシだな。
[ 何方に向けたものか、言葉とは裏腹に興味の成さそうな様子で囁く。]
人間にとっては自らが、人狼にとっても自らが、……“正義”か?
[ ならば、自身は何方なのだろう。
人狼として生を受けながらも、人間として生きてきた己は。獣の力を持ち人の心を持ち、更に尚も半端な、ハーヴェイ=ローウェルと云う存在は。]
そうやって人間は、お互いに疑い合い、殺し合う。
そうやって滅びた村を幾度も見ましたよ。
[それは、己もその中で生き延び、滅ぼしたということで。]
『人狼審問』は村の外れにある、吊り橋一本を隔てた山の中にある建物で行われていました。
その建物は非常に頑丈に出来ており、窓は嵌め殺し。容易に脱出など出来ません。
そのうえ、不測の事態が起これば吊り橋を燃やすだけで。
すべて、丸く収まるのです。
多くの村人達はこの建物――『集会所』と呼ばれていたそうです――の存在を知りません。
何故なら、そこに送られた者のほとんどは。
……生きて、帰ってこないから。
[くすり。
ルーサーが、笑ったような気がした。]
[途中から入ってきた彼には、広間に満ちる空気はよく判らなかったけれど。なんだか邪魔をしてはいけないような気がして、そのまま扉横の壁にもたれて静かに佇む。]
[赤い髪の少女の眼差しと、金の髪の少女の微かな微笑に、ひとつ瞬いて。
自分と年の代わらない少女達に心配はかけたくなくて。
「だいじょうぶ」と口の動きだけで伝えて、微かに口の端を上げ笑みを形作った。]
[少女はルーサーの昔話に、嘆きの念を込めた溜め息を漏らす――]
無実の…罪で――
[語られた内容は、少女が事実体験してきた物と然して変わらず…。
ただ、違うのは――少女が居た村には…平和など訪れなかったという点のみ――]
[ 曖昧に頷くトビーを見留めれば其れ以上問い掛ける事も無く、口唇を引き結び黙して神父の語る昔話を聞く。何時の間にか男と少女とが運んで来た花籠は卓上に乗せられ、其の内には幾らかの色彩が覗いていた。死した館の主が流していた液体とは異なろうが、酷く鮮やかな赤は其れをも思わせようか。]
……そんな事が…?
[ルーサーの話にそれしか言えなくて。
そしてふと思い出す]
ホットミルクがダメなのは……
[その、異端審問官は……それは訊く事が出来なくて]
奇しくも同じ状況、
[ 神父の言葉を次ぐように、周囲を見渡して呟く。]
……と云う訳ですね。
[ 組んだ手で隠された口許は歪んでいただろうか。]
……ふふ。
書類上は服毒自殺ですよ。
『無実の人間をも殺した事への後悔』がその動機、だそうです。
[ナサニエルに向かってにこりと笑う。]
[ルーサーの語る、その建物。
それはとても自分が知っている場所のように思えて]
まさか、此処が……?
[知らず、口の中が渇く。
……生きては帰らなかった
それが意味することは……]
……俺達も、同じ…?
[嵌め殺しの窓、焼け落ちた橋。符合するいくつかの言葉。]
神父さんは、人狼審問を始めるの……?
[彼がその服を着ていることの意味は問わずとも明らかだったけれど、それでも尋ねたのは、自分で推測できる事実とは逆の答えを期待していたから。]
[語られた『昔話』に、目を伏せて。しばし、言葉を、さがす]
……そうやって……死んだひとが。
何者か知るために。
必要になったのが……ボクらの一族の力。
人の死を視て。
声を聴く。
霊視の巫女。
そして、30年前でいうなら……それは、ボクの、ばーちゃんだった……。
そういう、事、で、いいの、かな?
[今聞いた話と、祖母から聞いた話と。
二つを組み合わせて出た結論を、問いとして、投げる。
薄紫の瞳は、いつになく、無表情で]
[彼の家では、ホットミルクは水よりも良く口にするもので。
そんなものに毒を、という想いと。
――まさか、という両親の面影。]
霊師の巫女……?
[聞きなれない言葉に首を傾げ振り向けば、感情の見えない薄紫の瞳。
それははじめて会った日の笑顔とは遠く離れた表情。]
[ 問いを投げ掛けるメイの薄紫を見遣る黒の瞳が僅かに揺らぎ戦慄く。無表情に紡がれた言葉を聞けば、昨晩の彼れが何だったのか、結び付けるのは難なく。]
……其れじゃ。
[ 館の主――アーヴァインの死を視、声を聴いた。然ういう事なのかと、声にはせずとも内心で推測する。……したとて、彼には理解の及ばぬ事ではあれども。]
[少女は重苦しい空気から逃げようと、扉の近くで佇む少年を見る。
僅かに動く唇が発した言葉に…何故だか少女自身が救われたような気分になり、微量の安堵を浮かべながら、再び神父の話に耳を傾け――]
逃げられない…牢獄――
繰り返される…悪夢。
またしても…神は…
なんて…意地の悪い――
[浮かぶ笑みは冷笑か微笑みか――]
[そして聞こえて来たメイの言葉に――]
これで…役者は揃った…みたい。
悪夢の…始まり――
[小さく呟くと、少女は背中の傷に意識を飛ばし――]
今度は…生き延びられるかしら…
[自嘲の笑みを零して――]
[生まれた時から、何の疑問も持たずに接してきた牧師の――否、神父の語りだした”昔話”に、半ば口を開いたまま聞き入って。
そうして、告げられた内容と、今の状況にようやく思い至り先程までとは違う意味の――言葉をなくしての、沈黙。]
……ぇ…?
[それから、同じく良く見知った村人の――メイの言葉を、ゆっくりと反芻して。人の悪い牧師の”物語”ではなく、本当にあった事なのだと、血の気が引いて。]
[『人狼審問』と言う言葉、語られた昔話、そして、この場所。
符号が合い過ぎていて
そして吊り橋は燃やされた]
……俺達に…殺しあえ、と?
疑わしい者を……
[だけど
知っていた…解っていた
それしか生き残る術はないのだ、と]
……本当に、馬鹿げている。
[ 其れは此の選択をした自らを指しての後悔か、危機に晒される事に対しての苛立ちか、将又其の様な愚かな事を行う人間共への嘲りか。]
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