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[交わされる会話に、頭痛がするようで、眉間に皺をよせたまま沈黙していたが]
ともかく、今重要なのは絵筆の行方だ。
[無理矢理話題を集中させようと口を開いた]
何か見聞きしたものがあれば絵師殿に知らせろ、いいな。
あ、ああ。まあそういうこと。仲が良いことは良いんだがなぁ。
[笑みを浮かべるエルザに、それに対しては同意。誤解だったらしいけど]
いや、俺が言ったんじゃなくて聞いた話ですよ。
[と、ミリィに。それがなかったら誤解することもきっとなかったのにとかぶつぶつ]
……いや、ほんと、真面目に大丈夫なんでっ。
[無駄に自信有りげな笑顔がなんだか怖いのだが。
普段の不摂生からすれば、説得力は皆無なのは明白]
って、あのねぇ。
……まぁ、仕方ないが。
[大げさなため息は、自身の運命にか、それとも、アーベルの表情を見たためか。
ともあれ、『絵筆』に関しての詳細は、滅多に外には出さない以上、わからないのも無理はないのだが]
タイミングもありましたしね。
[アーベルにはやはり苦笑を向けて]
…で。
盗まれるまでの間、一体何をしてらしたのですか。
兄さん。
[ぐるり。
傍観体制の兄に向けるのは、ちょっと種の違う笑顔。
と、普段彼に対してだけは使わない筈の敬語]
[オトフリートの言葉に、アーベルから視線を移して
こくり、頷く。]
はぁい。
お仕事場でも、みんなに言った方が良いのね?
[それから、エーリッヒに向うミハエルを
目を丸くして、見た。]
……ああ、そだね。
じじ様に知らせるとうるさそうだし、俺にこそっと教えてくれると助かるなぁ。
[幼馴染の言葉に乗るように、皆に告げる]
何事もなく、戻ってきてくれれば、俺はそれでいいから……うん。
[長はそれですむかというかも知れないが。
絵筆の『力』が無闇に使われるのでなければ、実質、実害は全くない。
それ故に、強く咎めるつもりはなかった]
/*
10>9>7>5>3>1
占霊守聖共呪智信村
……うーむ。
怪しいのはエルザ・オトフリート・ミハエル。
そして、村人は一人だけ……か。
エーリッヒ占いで、良いよなぁ。
聖痕者もいるのだから。
え……なに、って?
[唐突に、弟から投げかけられた問いに、きょとり、瞬く。
口調が丁寧なのが、妙に怖いのは、多分、気のせいじゃない]
ああ、ええと。
採取に、行ってた。
なにごとも、なく。
…うぅん、だいじょうぶ。
ちゃんと、手伝うから。
長のこころがあれば、きっとつよくて。
[表には出さず
くすくすと笑みは、心の中でこぼれる。]
わすれもの?
わかりましたー!
[にへらと笑って、受け取った本を見る。
ついぺらぺらと捲ってしまうのは、学生なので仕方ない。]
はへ?
[いきなり呼ばれて、少女は彼を見上げる。
言いかけてやめられて、きょとんとしたまま、撫でられた。]
おてつだい、だもんね。
[本を読みながら、少女はそんな風に伝える。
思うと伝えるがおんなじで、ちょっと不思議な感じだった。]
はーい。
[気まずいのとか色々合って、オトフリートの意図に気づいたので返事したが]
ぁー。でも絵筆が盗まれたってことらしいですけど
[ため息をつくエーリッヒを見てやっぱり重要なのだろうとか思うが、重要さがいまいち実感もわかないとかで]
絵筆なんて他にもあるし、なんか他と違う特徴とか…ぁ、それに変わりのじゃ駄目なんすか?
「リディ、ちょっと、聞いたの?」
んー、なにを?
今本読んでるのー
「自分のじゃないでしょ、さっき言われてたやつでしょ。
で、絵筆が盗まれたんだって。」
絵筆?
絵筆なんてそこらにあるんじゃないの?
「違くて! 絵師様の!」
[そんなわけで情報収集はちょっと遅かった。]
僕の記憶が正しければ。
あの時、「逃げるな」と。
言った筈なんですが。
[妙に区切りつつ、変わらず笑顔で。
言外に「逃げたんだ?」と問いつつ]
採取に行って、肝心の絵筆盗まれてちゃ、元も子もないじゃないですか。
もし、長様をちゃんとできたら、
他の人のも集めないと。
そういえば、絵、描かないとなんだよね。
一緒にかく?
ひとりでかく?
隠れて描かないとばれちゃうよね。
代わりというか、つがいの一本は、俺の手元に残ってる。
[アーベルの問いに、視線をそちらへ向けながら答える。
弟の視線から逃げてるなんて、そんなことはない。きっとない]
でも、一本だけじゃ、だめなんだよ。
二本はつがいの一対、揃っていないとならないんだ。
だよな…そうだよな。不可抗力だよな
[気まずい思いをしたりとか全部それのせいだーとか内心八つ当たりしつつも、やっぱりそういう噂はあまり関わらないほうがいいな。と昨日からの連なりで思った。…とはいえ今思うことは後々忘れることなど多々ありつつも、ミハエルのいつもとは違う雰囲気にきょとん]
そう、おてつだい。
[言ってから、ぱち、と目を一度瞬いた。]
あら?あらあら?
近くに居なくても声が聞こえるのね。
素敵ね、すてきだわ。
[耳じゃなく頭に響く声が面白かったから、
ぎゅ、と、鞄を手で握り締めた。]
えふで、のおかげなのかしらね?
ね、あなた、ひみつのはんぶん、よね?
[区切りながらの問いかけに、視線はどこかを彷徨ったまま]
ああ、まあ、そうだけど。
絵の具が尽きてたからなあ。
どうしても、青色はすぐになくなっちまうし、気がついた時に補充しとかないとならないから。
[この辺り、嘘は言っていない。
空への願い、祈りを込める絵であるが故に。
背景には、空の青を使う事が多かった]
……というか、普通、盗まれるとか思わんって。
正直、そんな事を考えるやつがいた事自体、驚きなんだから。
そうね、かくれてかかないと、だわ。
見付かったら大変、だもの。
[聞こえる声に頷く。
幸い、誰かと話しているわけではないので
不審な動きは気がつかれなかった。]
いっしょに、かくかしら?
そろそろ「よる」だし、あなたが眠いならひとりでもだいじょうぶ。
まだ眠らないなら、いっしょに描きたいわ?
[絵をかくのは、ひとと一緒がたのしいから。
只それだけの理由だけれど。]
大変なことだねって言おうとしたんだけどさ。
[なんだかぼーっとしながら、思わず言葉がこぼれていた。]
ミリィせんせー、本当は絵師様狙い?
[まわりの人にちょっとずつ広がってゆくのは、仕方ない。
そのうち背びれ尾ひれがつきまくることは想像に難くないが、少女には知る由もないのだった。]
さっき、おぼれかけたときに、聞こえてたよ。
ふしぎだよね。
[それから、こくりと頷いた。
でも行動にあわせてはいないのだから、まだ良かった。]
うーんと、一緒に描く。
ねむくないよ、多分。
だいじょーぶ。
そんなもんなんですか
[視線から逃げてるとか思わず、もう一本ないと。というのに、絵師がいうからそうなのだろう。と思いつつ兄弟の会話の邪魔のならないように少し黙ってる]
/*
まだ先だけど
リディ的にはユリアン残したいかんじ?
エルザてきには…だれかなぁ。
もうちょっと様子見しないとわからないなぁ。
[「遠慮」するエーリッヒには、大丈夫だとかなんだとか、
やはり真意を理解していない答えを返して、
弟に詰問を受けるさまを他人事として眺めていた。
途中、アーベルの言い訳(事実)に鋭い目を向けたりしながら]
……ああ、そうだ。
[ぽつと呟き、エーリッヒの背後に回ると手を伸ばす。
爪先立ちになったのは、仕方がない]
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