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あー…。
[真顔での切り返しに、そうかも、と思ってしまった]
なるほど、サービストークも相手次第って?
まあそうだなぁ。
[妹みたい、というのにも同意を含む反応を返して。
厨房へと入っていった]
いいねぇ、もてる男は。
[エーリッヒの言葉に続いて]
ゲルダにも気をつけるようによく言わないとか?
[からかうように笑い]
ああ、万が一があったらそれなりの報酬でうけてやるよ。
ヨハナさん口説けたらゼルギウスのこと尊敬するわ。
婆ちゃんは口説くと言うより懐くだ。
[どんな力説]
そ、後でごたつくのは嫌だからね。
それでお得意様逃げられたりしたらたまったもんじゃない。
[それだけ返して、厨房へと向かうエーリッヒを見送った]
救わなくても。
…裏切らないだけでも、良いんです。
余裕のある範囲、無茶の無い範囲で。
[逸れた視線ごと、翠玉の眼差しが見つめる]
きっと貴方が倒れても、エーリッヒは悲しむから。
[淡々とした声。乗せる思いは分かりにくい]
…ウェンデルが、教会は人狼の存在を肯定していると言っていたから。
ライヒアルトさんも、そういう前提でエーリッヒに話したのかと思ったんです。
[流れる調べに瞼を伏せて、聴き入る]
…そりゃ言うまでも無く。
[マテウスにはそんな言葉を残して]
お邪魔するよ。
俺も食事欲しいんだけ…。
[声を掛けながら入った先、聞こえてきた言葉]
『獣の仕業だと、これだけは、断言できる』
…へえ。
[声を落とし。ウェンデルの反応を横目に見ながら奥へと進む]
良いだろう。
[無駄に誇らしげに言った]
ゲルダちゃんは……口説いたら食堂のオッサンにとっちめられそうだし。
他の若い衆にボコられそうだし。
そんなん割に合わん。
[この村でも冗談の利く相手にはちょこちょこやってるらしく]
[そのせいで逆に目をつけられてるとか]
いや、婆ちゃんは無理だって。
なん、でしょうね。
[正式なところはわからない。
だから、返す答えも、曖昧なものとなる]
見かけた事のない子が、今に。
奇妙なタイミングですよね。
よりによって、今の時期に訪れる者ばかりがいるときに、事件が。
……犯人は、狙っていたんでしょうか。
[犯人。呟く単語には、違和感]
ああ、ナターリエさんは、…ご覧になったんですか。
[左手を押さえる]
ただの獣の仕業だと。
そう断じられたのなら、良いのでしょうね。
けれど、……やはり。
人ならざるもの。人に仇なすもの。人を騙る、獣の――
人狼の仕業では、ないかと、…そう、考えています。
そして、そうであれば、争いは避けられぬとも。
[願いの言葉には、何も言わなかった。
否、言えなかった、というべきか]
……俺がどうなろうと、他者には関わりないだろうに。
まったく。
[代わりに、口をついたのはこんな悪態]
……確かに、教会は人狼の存在を認めている。
神に抗い、仇をなすものとして。
そして……俺自身、それを否定する要素を持ち合わせては、いない。
[エーリッヒには軽く手を上げて見送り]
ゲルダって結構人気者なのか。
[少し誇らしげな表情をして]
村にいられないようにはなるなよな…。
[少し心配する声は若干まじめそうだったとか]
うん、結構。
食堂の看板娘だしねー。
だから冗談でやったりしたら袋じゃ済まない。
そんなの割に合わない。
俺は俺の身が可愛い。
[両手で自分の身体を抱えるようにして]
[心配げに紡がれた言葉に身震いした]
―厨房―
どうなんだろうな。
仮に犯人が居たとした場合、犯人があの子をここに連れてきた可能性もあるのかもしれない。
[言いながら、左手を押さえ耐えるようなウェンデルに、微か頷いた。]
死を見、送り、安らぎを守る為の手助けをする。
それが私の仕事だからな。
[そして続いた言葉をじっと聞いた。
表情はやや硬く。
ウェンデルに気を張っていた為、背後の気配に気づくのは大分遅れる事になる。]
!っ、…エーリッヒ、か。
[急に現われたように見えたエーリッヒに、若干驚いた様子で。
だが聞かれた内容に嘘偽りもなく、また酷く隠したい、という内容では無かったため、視線は再びウェンデルに戻る。]
人狼の仕業の可能性は高くて。
そうなった場合、争いは避けられない…か。
[ウェンデルの決意めいた言葉にやや視線を落とし。
再び目を伏せ、視線をずらしたまま。]
人狼は御伽噺…。
私はそう思ってる。
いや、そう思いたい、というのもあるかもしれない。
それを疑うという事は、あの場に居る者を疑うという事になりかねんからな。
…疑いたくないよ。あそこには、知り合いが多すぎる。
それも、他より親しい者がな。
[そう吐く息と共に言葉を落とした。]
それは、教会の人間としての推測?
[視線を外し、奥でスープをよそいながらウェンデルに問う]
それとも確信があるのか。
[危なっかしい手つきは、話しているせいだけでもないのだが]
それによって動き方も変わってくるかな。
……ああ、エーリッヒさん。
お食事ですか。
そうだ。
ナターリエさんも、準備に来たんでしたね。
お引止めして、申し訳ありません。
[丁寧な口調は、他人行儀に響く。
やや早口に並べ立てた]
エーリッヒだから。
[名前を理由にすると言う、荒業。
明確な答えが無い事には気付いていたけれど、それ以上を告げることは無く。
調べを辿るよう、指先で拍を刻む]
だから、人狼は滅ぼさなきゃ、ですか?
でも。
その言い方だと、まるで否定したいみたいですね。
[横目で奏者の様子を眺めた]
[スープをよそうエーリッヒを見る。
何か忘れている気がする。
ウェンデルの言葉に、あ、と小さく声をあげ。]
…そういえば。
マテウスに配膳するって言ったんだっけか。
忘れていた。
[本人が聞いたら酷いとか言いそうな台詞を呟いて。
エーリッヒと同じように食事をよそった。
…よそいながら、ふとまだ何か忘れているような、何かが頭を掠めたり。
エーリッヒを見る。
何か、駄目な。]
……ええ。
私も、それには同意します。
ですが、人狼が居るならば、その存在を赦すことは。
[出来ない。それだけは、明確な意志。
しかしエーリッヒの問いには、彼から少しずれた位置に視線を移して]
教会の人間としての、………確信、でしょうか。
[答える言葉には、確信とは程遠い揺らめき]
動き方、とは。
ゲルダなかせたら、お兄ちゃんも黙っておりませんよ。
[笑いかけて]
本気ならそれで問題ないけどな。
[身震いする様子に]
こと食べ物と色恋沙汰は騒動になりやすいからな。
憎悪や騒動は人を恐ろしい化け物に変えることもある。
[肩をすくめながら]
そういった意味で今回の騒動、
こうして隔離されるだけにいたってるのはまだましなほうか?
俺が見てきた村にはつまらない騒動でつぶれた村なんかもあるしな。
そんなに驚かなくても。
ちゃんと声かけながら入ってきたよ。
[先ほどとは違ってわざとではなかったから。
ナターリエの反応には困ったように笑って]
…ん。
食べないとお腹減るからね。
[ウェンデルがどこか他人行儀なのはいつものこと。
ただ早口になったのに軽く振り返る。翠に映る、包帯の白]
……家主殿だから、ね。
[荒業に、掠めたのは苦笑]
教会の下らん口伝をそのまま引用するなら、そういう事だな。
[滅ぼさなきゃ、という言葉には一般論からの肯定を返す。
もっとも、それが現実であるという認識もまた、強くあるけれど]
否定、か。
……否定できるならば、全てを……。
[否定したい、と。
言いかけた言葉。
遮るように、走る、頭痛]
……っ!
[右手を鍵盤に突き、左手を額に当てる。
乱れた音が、室内を跳ねた]
まあね。
命が掛かっているんだから。
[ウェンデルの声を聞きながら、よそい終わったスープ皿を脇に]
でも、そこがやりにくいよな。
疑いにくい、疑いたくない相手ばかりが揃ってる。
[ナターリエの声を聞きながら、新しい皿に手を伸ばす]
確信だと、言い切りはしないんだ。
ああ、御伽噺だと言わなければ、やらなきゃいけないことはあるんだろう。
簡単にできることでも、な……あ。
[つるり。重力は常に地上にある]
うちらが手をくださずとも…、
そう人間は勝手にあらそって殺しあったりもする。
戦争にしかれ、小さな争いにしかれな。
俺にとっては人を殺す場になにも困らないのはありがたいことだが。
[心で呟く言葉、愉悦のこもった小さな心の中の呟き]
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