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[立ち去り際。
空いているほうの手で、ぽふり、とイレーネの頭を撫でた。
彼女がまだ、石と化す前に。
半ば無意識の内に、これをやっていたのは、多分。
『彼女』と少し似ていたから]
……じゃあ、な。
[短い言葉。
天鵞絨はふ、と階下への階段の方へと移ろう。
そこに至るには、時間が足りないが。
リディに向けて、同じ言葉を心の奥で落として]
さて、行くか。
[歩き出す。
先へ、進むために]
星詠み ノーラは、写眞家 アーベル を投票先に選びました。
─ 実験室 ─
[扉を見たところで、何か紙切れがドアに挟まっているのが見えた。
ダーヴィッドに負担が掛からないよう、そっと立ち上がり、扉を開いて紙を取る。何かの書類のようだ──とヘルムートの手元に、散っていた白い花弁が飛び込む。
廊下には、白い花の下、同じように様々な書類が落ちている。
──その内の一枚に、見覚えのある署名。
エグランティエ財閥の…ブリジットの父親のサイン。
別の一枚には、ヘルムート自身の父親の事務所の、第一秘書の署名。
驚いて思わず、ダーヴィッドの元へ戻りその話をしようとするが。]
…………。
タイムリミット か。
30分。
[先刻と比較するとマシだったが、ダーヴィッドの表情を見ると随分と遠くに居るように感じられた。]
[ベアトリーチェが呼びかけてくれる声]
どういたしまして。
こちらこそ、いつも希望を、ありがとうございます。
常に前を見ている強い姿に、どれだけ救われたか。
[にっこり、笑う]
[その近くで。白の茨とともに在る、ブリジットを見た。
その姿は、悲しみがありながらもまっすぐで。
目を細める]
……行ってらっしゃい、ミズ。
お気をつけて。
[多分、もう少しだけ。彼らの結末が分かるだけ。
猶予時間は残されている気がしたけれど。
そう、言葉をかけた]
星詠み ノーラは、消防士 ダーヴィッド を投票先に選びました。
[迷う。一人で降りたら、どれだけで上ってこられるだろうか。何度か昇った階段。
でも、時間がない]
ううん、戻ったら、先生に怒られるわ。
行こう? ノーラさん。早く行かないと、崩れ始めてしまう。
[ノーラの手を取ると、屋上へ続く奥の階段へ向かい歩き始めた]
[ しなないで ]
[ いきていて ]
[ おねがい ]
[ …おねがい ]
[届かなかった少女の願い…傷だらけになった手に負わせた責。]
[痛みの届かぬ華奢な手が、紅く白くなっていくのがこわかった。]
[流す涙を拭うことすらかなわない]
[祈るように、眸を伏せる…せめて、ひとつだけ]
[ライヒアルトの指に指を絡める。]
ありがとうライヒ。だいすき。
[実験室にはブリジットが声をかけていた。]
まだ議員達いるみたい。
[心配で扉をじっと見た。]
/*
あるいは一人で隠してるかもしれませんです、ね。
かっこつけてです。
----------------------------------------------------
ばれない内に行ってくれてよかったです。
あのお人好し軍団は壊れること知ったら共倒れになっても残ったに違いありません、でございます。
[ヘリの中ではまさか城が崩れるなんて思ってもいないだろう。
だけど、それでいい、そう納得しながら飛立つヘリを見送った。
気付けば休憩室に足を運んでいた、最後の場所はここしか考えられなかった。
ピアノを弾きながら、もういない彼女を思った。
きっと皆を助けたことを彼女は喜んでくれるだろう、そんなことを考えながら崩壊の時までをすごした**]
----------------------------------------------------
…そうね、時間がないわ。
[糸を手繰り寄せるように手を取り合って
屋上へと続く階段へと向かう。]
―――、…く
[右足が麻痺しているせいか足を地面につけても
ついている感覚がしなくてぐらついてしまう。
それでも、階段をのぼる事は止めないだろう。]
―実験室前―
ゼルギウスが、待っている、と。
[語りは、続く。もしも扉が開いたならそのままで。
ピューリトゥーイの、ダーヴィッド。
中和剤は――「無い」
どんな顔をすればいいだろう。
怪我をした手に布を巻いてくれたのも
間違いなく、彼であるのに。
ヘルムートが手にした書類。
――自身の父が関わっていたこと、深くは知らず
屋上へと向かって、再び歩き始める。]
/*
アーベルは、死にたいのに死ねないですね。
大変でございます……。
死亡フラグ掠め取ったお前が言うなといわれそうでありますが……。
ヘリが動くようになったの、か?
ブリジット!
[一瞬、胸に苦しさを感じた所為で言葉が遅れたから、ヘルムートが了承の印に頷いたように見えただろう。ブリジットは屋上へ向かって進み始める。
ブリジットに、書類の話を聞きたい。あの星座の形をした薬物の正体の話を。
ピューリトゥーイはまだ他に1体居る。
ゼルギウスに対面しなくては、ならない。
使命の為だと信じて、殺してしまった者達の命を背負っている事を。
──道は、続いている事を思い出す。
未来へ向ける、橋をかけると誓った、過去を。
否、忘れる事等出来ないのだが──。]
令嬢 ブリジットは、写眞家 アーベル を投票先に選びました。
[左の手]
[ジーンズのポケットへと突っ込む]
[右の手]
[カメラの電源を落として同じように]
[カメラは左側に]
[自分の指の破片が消えていった先]
[そこには何もないけれど]
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