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[ランプを拭き終えると、裏手の大きな油瓶の、上の透き通った部分を小さな壷に移す。
その後、背負う用の大きな瓶に油をたっぷり移して背負い、壷は手に持って町へと向かった。]
「…遺跡へ………鍵が……」
[家を出る背中に、奥から声が聞こえた。
やはり冒険者達なのかな、と思いながらも、話かける事もせずに自宅を後にした。]
−北の工房−
[朝。ベットから身を起こし、上着を羽織りかけて。
薄くヒビの入った腕へと応急処置に包帯を巻き、階下に降りる。
精霊であるアマンダに睡眠は必要ない。
けれども、アマンダはその本質ゆえか、眠るのが好きだった]
…おはよう。
[階下に降り、時間をかけて十分に冷まされた玉を取り出し、柔らかい布で拭く。
現れる焔と火花、青い稲妻を、光に透かし目を細める]
きれいだよ、愛しい子。
だけど、もしも…気に入られなかったら。
私の所に、還っておいで?
[アマンダは玉に優しく語りかけ、飴色の布に包み、懐へと仕舞う。
蘇った玉を渡し、それから腕は直すつもりだった]
-町-
[街灯ひとつひとつに、油を足して行く。
町の門の所で大きめの街灯に油を足していると、警備員から呼び止められた。]
「ランプ屋の姉ちゃん、遺跡の方にも行ってくれないか」
…遺跡?
「どんどん人が増えててさ、色々危ないから自警団が増えたんだよ。
夜の為に灯りを増やしたんで、油足しに行って欲しい」
…終わったら、いく。
「頼んだよ」
[頷いて、返事をした。]
[そのまま街灯をめぐりつつ、アマンダの工房へと向かった。
ゆっくりとした足取りで、ひとつの漏れも無く街灯をめぐる。
ここ暫くは人の増えと比例して街灯がついている時間が長く、油の減りが早かった]
−北通り−
[暖かな日差し、大気には濃い花の香りが漂う]
…後で、見に行こうか。
そろそろ、見頃だろうし。
「チッ」
[町一番の桜の木を想い、千花に微笑む。
アマンダが一番好きなのは、散り際の大地へ降り注ぎ還り行く様。
けれど、今を盛りと咲き誇る姿も、生命の息吹が感じられて美しい]
[そんな事を思いながら、服の上から玉を撫でる。
この子も、美しいと言って貰えるだろうか。
賑やかを越えて、騒がしい遺跡付近とは真逆へと、のんびり歩いた]
[アマンダの工房にたどり着くと、いつも通り外に出されているきっちり空になった油壷に、壷に入れてきた透き通った上澄みを足した。]
…今日のは、良い。
[ひとりごとを呟いて、きっちりと蓋をした。]
[油を持ってきてくれたイレーネに、歩み寄って声を掛ける]
おつかれさま、精が出るね。
[壷を戻すイレーネの呟きに、嬉しそうに微笑む]
そう、イレーネが言うなら、上物だね。
次の玉は、透明にしようかな。
[すっかり次の構想に夢中で、腕の事は忘れてしまいそうだ]
[嬉しそうなアマンダの顔を見て、少しだけ口の端を僅かに上げる。と、ふと気がついて]
…腕。何か…?
[アマンダの腕あたりに、違和感を感じた。]
−朝/ベアトリーチェの部屋−
[あおいそらの遠くには金の薔薇が咲いており、柔かに降り注ぐ日ざしは、ベッドの上に座り込んだベアトリーチェの横がおを照らします。けれども前髪に隠れてしまって、その眼の輝きを窺うことは出来ません。
小さなてのひらの上に乗せられた輪はへんに捻れていて、裏も表も、そして果てもありません。それが無限を意味しており、時空の属性を象徴するものであるとベアトリーチェは知りませんでしたが、触れていると、ほっとするような、ざわりとするような、不思議な感じがするのでした。]
【悠久なる領域を司りし力よ。
無限の輪より解き放たれて、此の世界に出でよ。
そして、愛し児のうちに――天の子のうちに、還り給え。】
[零れた声はすきとおっていて、まるでベアトリーチェのものではないようでした。
お日さまよりも眩ゆい光が輪の中から溢れ出して、昨日の夜のようにあたりを包んだかと思うと、小さなからだへと吸い込まれてゆきます。ふわり金糸が揺れて、顔があらわになると、眼が閉じられているのがわかりました。]
[光が消え、神の御子はゆっくりと眼を開きます。ほんの少しだけ、気をつけて見なければわからない程度に淡くなっていた髪のいろが、眼のいろが、肌のいろが、元のとおりのいろを取り戻していました。]
……お早う。
[宙に眼を向けながら、ベアトリーチェは微笑って、朝の挨拶をします。]
[昨夜は運良く、時空の竜の力により事無きを得たが、安心は出来なかった]
「……おはよう、ベアトリーチェ。
私から貴女に、御願いがあります。」
[彼女は優しい声で、幼子に語り掛ける。
内心の動揺を悟られないように、そっと]
クレメンスに、指環を?
[いきなりの言葉に、ベアトリーチェはまたたきをしましたが、フィロメーラの云うことに間違いなんてないと思っています。だって、彼女はベアトリーチェの友達で、命の恩人で、天の御使いなのですから。]
うん、 。
きっと、それがいいのだろうね。
[ひとりごとのように云って、首から提げていた指環をきゅっと握りしめます。
そしてベッドから下りて朝の仕度を済ませると、扉を大きく開いてぱたぱたとお父さんとお母さんのもとに向いました。朝ごはんを食べたあとには、いつものとおり、教会へと*駈けてゆくのでしょう。*]
[イレーネが微笑むのにも気付かずに、扉を開けて壷を中に仕舞う。
冒険者と言う名のごろつきに、せっかくの油を零されては敵わない]
ん? ああ…大丈夫だよ。
明日には、直るから。
[怪訝そうなイレーネの視線と声に、さすがは生命の愛しい子だなと感心しながら笑う。
けれど、アマンダは上手く説明できないし、する気もない]
お仕事の邪魔して、ゴメンね?
御代はまた後で、宿に届けるよ。
[上着の袖の下、微かに見える包帯の手を振って、踵を返そうと]
―昨夜・Kirschbaum―
[カウンターの隅から、一連の騒動を黙って眺めて居たが、やがてオトフリートが立ち去り幾つかの談笑が戻って
子供がするように、アイスティーに浮かんでいた氷を口へ含んだ。注文してから長く経って居たが、グラスの中の氷に溶けた様子は無く、運ばれたときの角を残したままだった。]
[短い挨拶を交わし、空になったグラスの横へ代金分の小さな銀貨を置いて店を出た。]
[少女の放った、強い天聖の力。
この街へ来てから何度か聞いた神童、という言葉とこの日の朝感じた強い天聖の気配とが、ベアトリーチェへ繋がった。]
[袖から包帯が見え、その白さに暫し目を奪われる。
そっと指を伸ばそうとしたが、アマンダが早口に話した事や肩がもう後ろを向こうとしている所を見て、]
…邪魔、じゃない。
気を、つけて。
[伸ばそうとした手を胸元に引き寄せ、そっと手を振った。]
―昨夜・広場、時計の下―
[夜は静まりかえっていた。大時計の、歯車が軋みあう律動までもが消えたように。]
ティル、ベアトリーチェ=ブルーメンガルテン、そしてお前。私もおまえたちの事など何を解るでも無いが……給仕が訳も分からず呆けていたな。
[遠巻きに眺めた蹲る姿に、寄り添う白梟が夜闇の中、さえざえと映える。]
[舌の上に残っていた氷欠を、噛み砕いた。]
[咎めるように、淡々と抑揚無く。]
[アマンダは、イレーネの伸ばされかけて戻された手に気付かない。
けれど、その言葉はちゃんと耳に届く]
そっか、うん。それなら、よかった。
またね?
[顔だけ振り向いて、小さく振られる手に笑う。
千花も円らな目でイレーネを見つめ、小さく鳴いた]
−→Kirschbaum−
―朝/Kirschbaum2F 東の部屋―
[ベッドの上に日が刺した。
白い肌はそれに照らされ、色素の薄い睫毛がかすかに震えた。
開かれたのはあおの瞳。
昨夜、意識を失うように眠ってしまったからか、今もだるそうに右を向く。
そうして服が破れたのを思い出した。]
着替えないと。
[ゆっくりと起き上がり、服を脱ぎすてる。
今まで長い袖に隠れていた右の腕は、枯れ木のように細く、乾いて、固くなっていた]
―昨夜・広場、時計の下―
まるで酔漢のようだから誰も気には留めないだろうが、朝までそのままで居ると自警団に咎められるぞ。そうなる前に目を覚ますのだな。
[桜かおる季節とはいえ、丑三つ時には気温が下がる。語る吐息は仄かな白色を帯び]
[大地の精へ発されたのと同じような、白梟の小さな制止に]
封印の領域を司るものを侵犯して喰らう事が出来るものか、と言いたいところだが、触れるつもりなど端から無いから安心しろ。
…弱者へ手を述べるのも結構だが、自らを犠牲にするのは愚かだ。ひとつの屍は朽ちて他者の糧となるが、そこへ進んで並ぶものは居ない。充分に泳げぬものが溺れるものへ手を伸ばしても水中へ没するものがひとり増えるだけだ。
[勝手な視点で言うだけ言って、宿への道を辿った。]
―広場、時計の下―
[そして朝が訪れ、いままた広場を訪れたとき、そこへオトフリートの姿は無く、時計の針の動く小さな音が昨日のとおりに時折聞こえた。Kirschbaumへ戻ったのだろうか。
ミハエルは泉の縁へ掛けて、行き交う人波を見るともなく眺めた。]
[動かそうとしても、あまり、動かない。
少し困ったような顔。]
だから駄目だと言うのだよ、つた。
ケイがいるからもっているけれど。
[ゆっくりと着替えて、首もとの小瓶に触れる。]
……君があたらしい居場所にゆくまで、ずっと待っているつもりだったよ。
でももう無理なら……ふたつにひとつ。
それはどちらも手元にあるんだ
賭けるか、ただただ永き時を、君を樹に守らせてしあわせを願うか
君はどちらを望んでいるの……?
[そうして*ひとりごとは途絶えた*]
―Kirschbaum3F自室/昼―
[窓辺にもたれて、のんびり煙草を吸っている。
春風に混じる、異国の花とスパイスの香り。
相方からの連絡は、今のところ無い。
多少は気になるが…こういうことは自分よりも彼の方がずっと得意としているから、任せたほうが効率的だと判ってはいる。]
−Kirschbaum−
[ドアベルを鳴らし、扉をくぐる。
店中を見渡して探し人の姿がない事を確かめ、のんびり待つ気で裏メニューを注文する]
ハーヴ、いつもの。
…今朝は、静かだね。
[アマンダの率直な感想に、店の主は苦笑を浮かべる。
もちろんアマンダは気付かずに、出された花のグラスを傾けた]
<PL>
>>氷破>なるほど、上手いね。そうきたか。
照れるじゃねーかバーロー(誰
寝過ぎた朝の弁解巻き戻しはいつも難しいです。
ていうかどう頑張ったらこの時点で残り1000ptとかになるのかと小一時間二時間。私が狼だったら、ログ軽量化のために敢えて多弁者から襲撃しますね。うん。
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