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……一緒に?
一人で眠るのは不安だった…?
ごめん、俺そういう所疎いから…。
[彼女の意図は不安だけではなかったのかも知れないけれど。
そこまでは考えが至らずに]
[少女はルーサーと青年のやり取りを静かに見守りながら息を潜めている。]
[さらり――]
[花の香りが零れ…]
[かさり――]
[花籠が少女の衣服を掠める…]
―廊下―
[広間を出、前を見ると青年の姿が見えた。階段を上っていく2人の姿は丁度入れ違いになったらしく、見ることは出来なかった。小さく会釈をしながらふと、奥の部屋へと目を止める。
その部屋の中に何があるのかは彼女も聞かされてはいなかった]
如何かなさいました?
[目の前の青年に視線を戻し、尋ねる]
[ 少女の問い掛けに顔を僅か斜め後方に向け、視線だけで其の部屋の方角を見遣る。何を訊ねているかは容易に理解出来、目を戻せば口許に軽く握った手を当て、]
……開かずの扉、とでも云うんでしょうか。
鍵の掛かった儘の部屋がありまして。殆どは解放されているのに、珍しいなと。
[曖昧に笑みを浮かべながら返す言葉も、矢張り何処か曖昧か。]
ちがうわ、そうじゃなくて。
いくら大丈夫だと言っても、無理な体勢で寝たら疲れが残ってしまうもの。
…あなたがそばにいてくれるのがわかったから不安なんて思ってなかったわ。
[それは本当のことだから、言葉はすんなり表せた。
――それにわたしには、それしかない。
この言葉は言わなかったけれど。]
/中/
ネリーはハーヴに行ったのかー。
あ、違…ハーヴが声を掛けたのか。
ギルが不憫でなりません(ほろり)
俺が女だったら飛んで行くんだが…(苦笑)
[何かを口ごもるメイに、静かに笑いかけ。]
…言って楽になることならば、聞いて差し上げても構いませんよ。
…言いたくなければ無理には聞きません。
[背を向けて、ピアノの縁に身を預け。]
…感謝しますよ、メイ。
少し、楽になれた気がします。
[その音色のおかげで、と。]
……仕方ありませんね。
すみませんが、通らせていただきますよ、っと。
[青年の反応にしびれを切らせたのだろう。
ウェンディの手を引き、青年の横をすり抜けアーヴァインの部屋に滑り込む。]
あんなに過剰な反応をされると、流石にへこみますね。ふう。
―→アーヴァインの部屋―
−回想−
[次に目が覚めたのは、いや、覚まされたのは夕方で。
部屋を掃除しようと入ってきた使用人のおばさんが、布団の異様な盛り上がりに気付き、それを剥いだ為だった。]
ぅーーー。いま…なんじですかぁ…?
[眠気と渇きで擦れた声で問えば、夕刻である事、そして晩餐会が催されるが無理せず休んでも、と心配を込めた声がかけられた。]
んーーー、大丈夫じゃないかなぁ。お腹も空いてきたし。
[汗だらけの額に手をやり自分で熱が引いた事を確認して、大丈夫だいじょうぶと笑顔を返す。
湿ったシャツを脱ぎ、それでやけに慣れた様子で身体を拭うと、鞄ごと浴室へ移動し、軽く汗を流して着替えした。]
一晩くらいなら平気さ。
今夜眠れば取り戻せる。
[それは本当の事だから、笑顔で]
不安はなかった…?本当?
…俺が君に……
いや、なんでもない…ありがとう。
ああ…
私も、あの部屋の中は存じ上げなくて。
[嘘を吐く理由も特には見あたらないから、正直な言葉を告げた]
元からいた方なら、何か知っていらっしゃるかもしれませんが…
[何となく言葉を濁す。
主も使用人もここにはもうおらず、割と良く訪れていると聞く目の前の青年も知らぬと言うのだから、可能性は薄く思えた]
[緊迫した空気から開放され、息を吐くルーサーに同意を重ねるように、少女もまた。細く長く息を吐く。
部屋に入れば、立ち込める錆びた匂い――
その匂いに、改めてこの屋敷の主人は亡き者だと実感させられる]
――願わくば…主の下で安らげることを…
[祈りの言葉を口にして、少女は摘んできたばかりの花を手向ける。
唇からは、微かな鎮魂歌が伝っていた――]
[自分の前を通り過ぎる黒尽くめの男には]
[明らかな警戒を示すが]
[手を引かれ][通り過ぎる]
[金髪の少女の視線]
[それには][途惑いに似た][物問いたげな眸を]
えっと……。
ありがとう、ございます。
[似たような事を、少し前にハーヴェイにも言われたな、と思い出しつつ、小さく呟いて]
でも……えっと……良かったです。
お役に立てたなら。
[元々は自分のために弾いていたのだけど。
それで誰かが安らげたなら、それはそれで嬉しく思えて。
作った笑みではない、本当に安堵した笑みがふと浮かんだ]
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