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[掛けられた少女の声に、私は髪を揺らして振り返る。
淡い菫色の瞳には、愁いを浮かべたままに]
御無事で…何よりです…
[動揺ゆえか、怯えの色はどこか薄く]
いや、こればかりは、どうにも。
ある意味、仕方ない事なんで、ね……。
[だから、気に病む事じゃない、と、短く告げる。
呪印の抑止がなければ、力を抑えきれず、その縛りに逆らえば痛みを感じるのは道理、と。
それら全ては理解の上。
と、説明しないのが問題なのはわかっているのかいないのか]
……いや、別に、何もしなくて……も?
[声の最後の部分が跳ね上がったのは、動きの意味が取れなかったからか。
それでも、触れる前に制しようとするのは、恐らく無意識の動き]
うん、ありがとう。
ええと…あなたも大丈夫?
[咄嗟に名前が出てこなかったようです。この間ご挨拶だけはしたような気もしますが、名乗りあったかどうか]
他の人も無事なのかな…?
ああ……俺は、ね。
ちょっと、古傷が痛んでる程度だから。
[ブリジットに頷きながらこう返す。
……相変わらず、白梟が物言いたげなのは、黙殺、黙殺]
さっきのは、ガード・ドロイド。
本来は、機鋼界のガード用のシステムのはずなんだが……どうやら、暴走しているらしい。
[続いた問いへの答えは、ため息まじり]
[頬を舐めようとしたのは、獣の性。
なれど拒絶の動きに気付けば、触れる事なく離れる。
その動きに柔らかな白金の髪は舞い、私の表情を隠したであろう。
――哀しみの色の濃くなった瞳と、どこか感情の薄い表情を]
…余計な事を申しました。すみませぬ…。
[そのままもう、振り返ることはなく]
古傷…?
[思い出すのは100年前別れた時の事。
あの時の彼は確か片方の目が。
白梟が何か言いたそうにしているのも見えて、じーっと見た]
暴走…もしかして出会うと問答無用で攻撃される?
[咄嗟に出そうになった声は軽く口元に手をやって止めて]
……謝らなくてもいいんだけど、ね。
実際、大丈夫に見えないのは、自覚してるし。
[それでも、と。
閉じこもるのが悪い所、と言われ続けているのは知ってはいたが]
「……時空竜〜……」
[振り返らずに離れる様子に、傍らのセレスがむー、とむくれて見せたものの。
それにはただ、苦笑を向けるのみ]
[私は少女の言葉に、頷きを返して睫毛を伏せる。
無事と…偽りでなくも真実でなき言葉を告げるは躊躇われた故に]
そうですね…二階は無事なようでしたが。
…他の方の様子、見てまいりまする。
[そのまま皆の横をすり抜けて、外の方へと出て行く。
咎められても、遠くには行きませぬからと*微笑を浮かべて*]
まあ、600年も生きてますと、傷は色々負ったりする訳で。
[じー、と見つめる視線に、困ったように苦笑して]
……100年前のとは、関わりないよ。
あれは、治ってなかったら、この姿は取れないし、ね?
[完全に無関係、とは言えないが、それが直接の原因ではないので、軽くこう言って]
……少なくとも、友好的な反応は期待できないかな。
[続く疑問には、一転、静かな口調で返し]
[コエは腕輪を通して聞こえたなれど、応える言葉は見つからずに。
私はそのまま外へと出てゆく。
彼の仔の事が脳裏を掠めものの、白梟も共に在るのだからと思考を逸らす。足手纏いになる私とあるより、*その方が良いであろうと*]
[屋敷へ帰ってくると]
…………広間が広い。
[数刻前、同じようなことをアーベルが考えていたとは知らずに、ぽつり。]
えらく風の通りがよくなっちゃって。何、カチコミ?
[広間にいる面子へ問いかけ。]
……て、一人では……。
[すり抜けるよに出て行くナターリエに声をかけるものの、その歩みを止める事はできず。
はあ、とため息一つ、額に手を当て前髪をぐしゃ、とかき上げて]
……まあ、なんと言うか。
一言で言うと、物騒なお客さんがやってきました、と。
[入れ替わるようにやって来たミリィの問いには、ため息混じりにこう返す]
[応えはなく。
零れたのは、ただ、ため息か]
「……時空竜……」
[物言いたげな視線を向けるセレスの頭を、ぽふり、と撫でて]
……どうにも、ね。
これが、俺の因果だから……でも。
あ、一人だと…。
[ナターリエに掛けた声は微笑と共に否定されて。
屋敷の中ならまぁ大丈夫かなと、お願いすることにして見送った]
そうなんだ?
でも傷が残ってたりするのなら無理しちゃダメなんだよ?
[そう言って意識の無い白猫と火竜をチラリと見たり]
お話し合いは通じそうにない、よねやっぱり…。
[困惑の表情でそう言って。
戻ってきた気配にそちらを振り向いた]
あ、ミリィさん。
何だか暴走が起きているんだって?
[詳しいことまでは説明できず、とりあえずそんな返事を]
必要以上に踏み込ませない事。
それは、破れない戒め。
……もう、二度と。
俺は……。
[呟きは、誰にも届く事無く、心の奥に、ただ、落ちて]
[続いた呟きは、誰の耳にも届く事無く、ただ、時空竜の心に落ちるのみ。
微か、翳った翠と紫を、セレスは不思議そうに、白梟は同じくどこか翳った瞳で、ただ、見つめて]
はい、はい、と。
[無理するな、と言われたのは、これで何度目だったか。
そんな事を考えつつ、頷いて]
元々、害意あるものを問答無用で排除するシステムだからね……『話し合う』という概念が存在してないというべきかな?
……その辺りも含めて、さっさと事態を解決しないと。
ドロイドの停止は、中央塔の完成室からしかできないはずだから。
[それもそれで厄介なんだが、と呟きつつ]
……取りあえず、片付けて……お茶、淹れようか。
[このままではいられないし、と思いながら、ごく軽い口調で*こんな提案をしてみたり*]
それじゃ、絶対に無理ね。
そうじゃなくても無理なことが多いんだもの。
[荒事は苦手なのに…と小さく溜息をつきつつ]
中央塔って、今は入れない場所よね。
本当にどうすれば見つかるんだろう…。
[難しい顔になるが、オトフリートの提案を聞いて]
そうね、じゃあ私お片付けする!
[壊れたものの欠片やら何やらも散乱する室内を見てそう答えた。
とりあえず大きなものから除けてゆこうとしゃがんで。
…途中で指や膝を浅く切ったりもしていますが]
そりゃまた、穏やかでないですね。
ここまで来たとなると、逃げ場ってないんじゃないですか?
負傷者とか倒れた人が居るとしたら、拙いですね。
……て言うか、もう手遅れですか。
[部屋にかすかに漂う血の臭いに、はぁとため息。]
これも、機鋼竜の仕業とかなんですか?
―西部エリア・広葉樹の森―
……うっわぁ。
[どうしよう。遠くから聞こえて来た大きな音に眉を寄せる。
まだ随分遠くだし「声」も大きいから逃げるのは簡単だけれど
屋敷まで、戻れるかな?…考えて見るけれど、そこまでは判らない。
ガード…、えっと、ドルド?ドロロ…何だっけ?…まぁいいや。が、
暴走してるから気をつけろって聞いてたのに。…怒られるかなぁ。
…でも、まさかこんなに危ないとは思わなかったんだ]
…アルもいないし。
[あれから、戻って来てない。
やっぱり心配はしてないけど…このままじゃ、ちょっとオレがヤバイ。
アルがいないと、あんなのに襲われたら一発だ。]
―早朝―
[食材が足りなさそうだという認識は彼にもあったわけで、目覚めてすぐに、小川に向かった。]
おお、いるいる♪
[川魚の群れを見つけると、左手を小川の中に浸して…]
パチパチパチッ!
[一瞬、川面にも火花が散り、ぷかぷかと感電したお魚さん達が浮かんでくる]
よし、大漁!
[しっかり持参した籠の中に、数十匹の魚を放り込む。これで夕食はなんとかなるだろうか?]
菜食の方もいるからなあ…帰りに畑にも寄っていくか。
うん…。
そういうことっぽいね。
[ミリィの言葉に頷きを返しながらお掃除を始めて。
途中で小さく何か呟いて指を咥えてたり]
探し物するのも大変になっちゃった。
でも急がないとだめだよね。
―小川→畑―
[虫っぽいのの、残骸に遭遇]
………なんですか、これ……?
[慌てて駆け出す]
―畑→屋敷―
[色々大惨事っぽい]
…………お嬢の、ヒステリー?
[今一番近い「声」は、多分飛んだら逃げられるんだろうけど
…オレがやると疲れるから、やりたくない。それに、上を回ってるらしいのもいるし。
相手が機鋼だからかしらないけれど、魂の声が殆どしないから
集中しないと、大きい声でもすぐに聞こえなくなっちゃう]
……うーん、困った。
[やっぱり、逃げながら帰るしかないのかも?
でも中央部を越えて東に向かえば一番早いだろうけど、
逆に多分一番見付かりやすいんだろうな]
―何だか広くなってる広間―
わっ!
[突然の大声に思わず膝を突きました。ちょっと痛い]
ええと、うん。多分とりあえず。
ユリアンさんも大丈夫?
[まだ惨状は片付ききっていませんけれど]
(ふぅん。まあ、違うんだけどね)
[ブリジットの言葉に心中で呟く。
ああ言ったが、当人は原因がギュンターであることを承知。まあ、無差別ゆえ先ほどのように自分も襲撃を受けるが、止める気は更々ないのだが]
[ブリジットの言葉にふぅんと頷くと、部屋の片づけを手伝う。その手際は左手一本にもかかわらず、ブリジットよりも幾分よく。
そこへ飛び込んできたユリアンに、どうもと挨拶すると]
ドロイドのカチコミだそうです。
[又聞きゆえ、とってもアバウト。]
…南かな。
[一つ頷いて、迂回ルートを決めた。
北の方が隠れ場所は多い気がするけど、山岳地帯がある。
…雷鳴の影響で、ガードド(判らないから略)がショートすれば良いけど、
もし元気に充電されたら、……絶対一人で太刀打ちなんてむりぽいし。
だったら、見通し良くても流水のエリアの方が絶対いい。
……よね、多分。]
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