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……ま。
気にしても始まらん、か。
[しばしの思案の後、ため息をつく。
事態が変革するなら、いずれは知れる事でもある、と。
そんな、嬉しくない予測──否、確信もあるが]
ん。
[視線を巡らせる。
降りてくる、黒。
開け放してきた窓から追ってきた猫が駆け寄ってくるのに口元を微か、綻ばせつつ小さな温もりを抱き上げて]
……中、戻るか……。
[呟いて、振り返った先。
何かを探すような姿が目に入った]
[黒を纏った人影を見つけた瞬間、口が動いた。
しかし振り返った男の姿は、想定とは異なるものだと知り]
………、ライヒアルトさん。
[飲み込んで、名を紡ぎ直す]
猫の散歩ですか。
[鳴き声が耳元を掠め、取り成すように尋ねた]
[呼びかける、声。
先に答えたのは、腕の中に抱えた猫だった。
屈託のない鳴き声が上がる]
別に、猫の、という訳でもないが。
……大体、そんな所だ。
[実際の目的は違ったわけだが、語る必要もない、と判じて曖昧な返事を返す]
[ウェンデルとライヒアルトの会話する様子に]
おはよう、ライヒアルト、ウェンデル。
二人そろって朝の散歩か?
[よぉと手をあげて挨拶]
大体、ですか。
[訝りを残した返答]
こんなときに、自ら散歩に出られるとは思いませんでしたので。
てっきり、猫が飛び出してしまったのかと。
[疑念が出るのは抑えられない]
[上からかかる声に、ふと視線をそちらへと。
見えた姿に、表には出さぬものの、僅かな安堵を感じたのは否めない。
少なくとも、自分の『過去』についての一端を知る相手ではあるから]
……俺は、そんなところだ。
こちらは、どうか知らんが。
[端的な答えをマテウスに返して]
こんな時だから、少しでも外の空気に接したい、と思う節もあるだろう。
……閉じこもっていても、何も、かわらん。
[ウェンデルの向ける疑念は気づいていても、それに触れようとはせず。
猫を撫でつつ、こう返す]
ああ、そうか手紙だすのにもあいつら仲介しないといけないのか。
[ウェンデルの答えに納得いったようにし、
ライヒアルトの答えには]
外の空気には同意だな。
散歩くらならうるさくいわれることもないだろうしな。
散歩まで制限されるようでは、やりきれんぞ……。
[は、とため息を一つつき]
もっとも、監視はしっかりされているだろうがな。
散歩に託けて逃げないように、と。
…確かに、気分転換は必要ですね。
今の時間なら、禁止まではされないでしょう。
[同意を示しながらも緊張が解けないのは、疑念の相手と、長年会っていなかった人物である所為]
[ライヒアルトの台詞を肯定するように、ざくりと雪を踏む音がした。
視線を向けた先には、自衛団員の姿]
ああ、それで…
[さっきは団長とかけあってたのか?と軽い冗談話のつもりで続けようとして、
ウェンデルの存在とさきほどのライヒアルトに思うところがあり、
一瞬の間をおいて]
どうだ?
少しは気分ははれたか?
[一瞬の間にライヒアルトは気づくであろうか?]
[雪を踏む音に、つられるように視線をそちらへと向ける。
そこに立つのは、自衛団員。
向けられる視線には、様々な感情が込められているようで]
……やれ、やれ。
職務忠実なのはいい事だが……。
やりきれんな、これは。
[疑念や不信を向けられるのには、ある意味では慣れているが。
さすがに、辛い]
[そこに佇む者達の反応に、思うことはあろうが何かしら言葉を発することなく、団員はまっすぐにウェンデルに向かって来て、封筒を差し出した。
表面に視線を走らせる。見知った字に、名前]
……ありがとうございます。
[感謝を述べて、受け取った]
神父さまに、宜しくお伝え下さい。
[開封はせぬまま、踵を返す団員の背に投げかけ]
そう、ですね。
私の目的も達せられましたから。
何より、冷える。
[二者に振り向いて、言った。
両の手で、封筒をしっかと握る。手紙だけではない、けれど硬くもない厚み。白い包帯に残された、くすんだ赤から視線を外した]
[掛けられた言葉の、僅かな空白。
暗き翠は微かに細められる]
……ああ。
完全には、無理、だがな。
[静かな答え。いつから、どれだけ聞いていたのか。
今問うべきではない、と理解しつつも疑問は尽きず]
……ああ。
長く外にいて、病人を増やしても仕方ない。
[ひとまず、提案には同意を示した]
まったくだな。
医者の不養生は、洒落にならん。
[マテウスの言葉に頷いて、中へと足を向ける。
吹き抜ける風に、コートの黒がふわり、翻った]
/*
あと717pt 独り言 あと1717pt
ふと見たらなんか数字がお目出度かったので、発言前に残してみるのこと(お前。
…。
[視界を覆うような、黒]
[広間へと入ると、ライヒアルトからは少し離れた位置に佇み]
貴方は、何故、そのような格好を?
[かねてからの疑問を口にする。
封筒はまだ、開かず手の内]
[中に入ると、抱えていた猫がなぁ、と鳴きつつ見上げてくる。
言わんとするところはわかるから、腕を緩めて解放し。
暖炉前へと駆ける様子を横目に、コートを脱いで椅子の背にかけた]
……ああ。
以前は、関わりがあったからな。
その、名残みたいなもんだ。
[投げられた問いに、返すのは端的な答え]
以前は。
まだ主を思う心を、お持ちであるがゆえに?
[ろくに防寒対策もせずに外に出たため、短時間とはいえ心底冷えている。
暖炉前へと足を向けると、猫がその横を通り抜けていった]
……すみません、お願いします。
ものは、お任せします。
[戻ってくるなり厨房へと向かうマテウスには、そう頼んだ]
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