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ひとりはさみし…
ふたりはこいし…
…我でも寂しさ埋められようか。
[それはどちらの寂しさか。
ふたりであればどちらもか。
わらうようななくような声に、琥珀は惑いゆら揺れる。]
ああ、我は我以外にはなれぬ。
それもまた……じゃな。
[紫黒と朱色弓なれば、僅か唇綻ばせよう。]
空は素直だね、
なきたいときになく。
[重ねていた片手を離して]
埋められようよ、きっと。
左様に望むのであれば。
[傘はそのままに歩み出す]
……素直になるは、あな難しいや。
[誰に言うでもなく呟いて、琥珀を伏せる。
離れぬように、衣触れて濡らさぬように、歩みを揃え戻りゆく。]
〔雨にますます白にけぶる野をゆきて、
二輪の花が並びて館へと戻り着けば、
童子ら笑みを浮かべつつ迎えよう。
傘を畳み差出される布を手に取るも、
深紫の髪にも藍墨茶の衣にも滴なく、
けれど尚も女は顔にそれを当てる。〕
[館に着けば童子たち、笑みつつ布を差し出して。
短く礼述べ受け取るも、衣から滴り落つる雫を見やり、申し訳ない顔になる。]
これでは畳を汚してしまう。
すまぬが、湯殿を借していただけようか。
……あやめ殿、傘ありがとじゃ。…またの。
[顔に布当てるおなごの様子に、かける言葉を探せずに。
口から出るは短き礼だけ。
ただ、再会のそれを付けたのは、ほんの僅かな進歩であろうか。]
[やがて湯殿で温もれば、部屋にてしばし*まどろもう*]
〔白を見送ることはなく、
言の葉返すこともなく、
音のみにて去りしを知る。
上げし面に浮かぶは常より柔らかき貌、
借りたる部屋の一つへと入り戸を閉めて、
帯を解きて纏いし衣を緩と地に落とす。
白き胸元に刻まれしは深紫の花一輪、
*朱爪にて花弁をなぞりて息を吐く* ]
[名の知れぬ幼児の胸にありし花の痣、
大人らはそれゆえあやめと名付けしよ。
あやめは菖蒲にて文目にて綾目なり。
されど女の所業は花の意を失はせて、
やがては人の心すら喪はせけむ。]
[てのひら]
[濡らした滴を掴む]
[珠はすぐに消えてしまう]
[雨足が強くなるのだろうか]
[館に向かっていたはずが]
[そこは森の中]
[黒と白が連れだって]
[時間はどれほど経つだろうか]
あすこに戻れるんかなぁ
[ちいさく欠伸]
……きっと大丈夫じゃぁ
じゃって、こわないもん
[濡れた掌が受け止める]
……じぃっとしとろうかなぁ
雨、やむとよかぁ
[だけれど子どもにそれは退屈]
[樹の下に隠れ雨宿り]
[その筈が]
[濡れるの構わず森の奥へ]
中/
ちょっとだけ戻ってこれたのじゃ。
さて、投票はいかがしたものか。
我以外に村人は一人しかおらぬ…恐らく他の方には投票してはなるまいて、そを探すはいと難しや。
…言葉少なき狼おれば、はよう言わねば間違えるぞ?
投票を委任します。
学生 エリカは、くの一 アヤメ に投票を委任しました。
[ぴちゃ]
[足元で水が跳ねる]
[濡れるの構わぬその様に]
[動物たちはあきれるか]
花、花、実
こげな実、食べられるんじゃろかぁ?
[ちいさな丈の樹の実を眺め]
[それから再び森の探検]
[着物はぴとり]
[肌に吸い付いて]
中/
夜は遅うなるやもしれぬので、はやめに委任しておこう。
あやめ殿は恐らく天狗の使いじゃろて。
して、大切なことを忘れておったわ。
誰そニヨろかな、天のスクリプト殿の言う通り。
ぽちっとじゃ☆ <<自警団員 ガウェイン>>×<<少年 ネロ>>
きっと、誰もこわないんじゃ
お守りもあるんじゃ
だいじょうぶ
[こぼれた言葉は望むよう]
[動いていても体は冷えたか]
[ちいさくちいさく、くしゃみして]
びしょびしょじゃぁ……
ちょっとやむん待ってよかなぁ
[*すこし大きな樹の下に*]
少年 ネロは、烏賊 ラス を能力(占う)の対象に選びました。
[遠く聞こえた神鳴りは、見る間に雨を引き連れて、ふらりふらりと森の中、彷徨う男の上にも届く]
やれ、降ってきたかい。
[足を早めて、木陰を探せば、濡れた子供に出くわそうか?]
[雨はなかなか降りやまず]
[いつしか根元に座り込み]
[口が動くは、数え歌か]
[と、視界の端に色を捉えて]
からすにいさまじゃぁ。
濡れてまうよー?
[声を掛ける]
[立ち上がってスペースをあけようと]
おや、ねいろ坊。
[呼ばれて木陰に駆け込めば、子供は既に濡れネズミ]
濡れてまうじゃないだろうよ。坊の方が、ずぶ濡れだ。
風邪ひいちまうよ?
[言いながら子供の前に屈み込む]
大丈夫じゃよ。
とつぜん降ってきたから、濡れてしもうたんじゃ。
[しゃがみこんだ大兄と目の高さが合う]
[にこっと笑って]
[だけど、やっぱり寒いのか]
[小さくくしゃみを片手で抑える]
きゃぁっ
[突然抱えられて、さすがに悲鳴]
か、からすにいさま!
おら、おもかぁ!
[あわあわわたわた]
[じたじたとその腕から逃れようと]
[だが子供の力は強くはない]
なんの、薬の箱より随分軽い。
ほらほら、暴れずに掴まっておいで。
俺も少しは濡れたけど、坊よりはまだ温かかろう。
[じたじたと慌てる子供を確りと抱きかかえ、泣きだす赤子をあやすよに、背をぽんぽんと叩いて笑う]
そんなことあらんよぅっ
あかんーっ
[じたじたじたじた]
[暴れはするも]
[怪我を負わせてはなるまいと、それは弱く]
[優しい手と]
[笑顔]
[それを見て、大人しくなって]
……うー。
からすにいさま、おら、歩けるんよ……?
[だけれど着物をくいと握るか]
[それはほぼ無意識に]
[大人しくなった子供の背をまた、ぽんとあやして、すぐには動かず、さらさらと降る雨を見上げる]
ねいろ坊は、何がそんなに怖いんだい?
やれさて、雨はまだ止まぬのか。
なにがかなしゅうてなくのだろう。
[呟き落として眼差しを内へと戻す]
ほぅら、そこゆく童子。
要らぬ布はないかな、少し使いたい。
[撫でられるのは温かく]
[きゅっと、その着物を握る手に力がこもる]
……おら。
…………もう、こわくあらんよ?
[今朝の夢を思い出して]
ちがうん、こわかったん。
じゃけん、今はこわぁないよ。
……みんな、いっしょじゃも。
[館の中の小さな部屋。
ふわふわと、ゆらゆらと。
夢現の狭間を彷徨いて。
きつく閉ざして隠れた紅緋は。
現映すを拒むよに。
確りと鞠をかき抱き。
ゆらり、ゆらりと漂いて]
〔くすくす、笑ひ声も消え去りて、
しとしと、雨の静かに降り続く。
音なく進めらる足が止まりしは、
幾つか並ぶ小さき部屋の一つにて。
傾ぐ首につられて揺れる深紫、
同じく揺らる戸に映る薄き影法師。〕
そうかい、そいつは良かった。
[ゆるりと目を細めて、応えた声は柔らかく]
人と違ったものが見えても、人と違ったものが在っても、そいつは坊のせいじゃない。
だから構わず、好きなひとと一緒に居ればいいんだよ。
[独り言のようにそう言って、子供を確り抱いたまま、銀糸の雨に駆け出してゆく]
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