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< 散る光を黒の瞳に写し、暫し眺めた後に歩み出す。
石の影響を受けた所為か、少し、眩暈がした。
直接対峙したものよりは、格段にましなのだろうが。
平時よりも遅い足取りで、精神の力に霞む影輝の残滓を辿り――違和感 >
……、消えた?
< 小さく声を上げる。
それでも感じられた場所へと向う。
一室から、微かに冷気が漏れていた。倒れる影は、流水の竜だ。
一瞥してからその先を行くと、壁を頼りに歩く歳若い女の姿。実際には、幾つも歳を重ねているのは知っている >
ブリジット。
< 静かに、声を投げた >
―西殿結界内・回廊ダッシュ―
[走りながら聞こえたダーヴィットには。]
悪いけど、エーッリッヒのは癒し実行済み!
無機物領域は無理ー!
一旦時空のに、内側の時止めて仮死状態にでもしてもらえ!
ダーヴィットは、悪ぃがもうちょい待って!
[走り出したら止まらない、ではないが。
流石に剣を持ったまま、ほかの事に手をかける事は出来ない。]
―東伝・回廊―
[壁伝いに幾らか歩いたところで、背後から声を掛けられてはっと振り向く]
……ノーラ!
無事だったのね。良かった……。
[ほぅと安堵の息を零し、微かに笑んだ]
氷破竜 ブリジットは、精神竜 アーベル を投票先に選びました。
[駆けていく先、ふと、目に入ったのは琥珀の煌めき]
……風精、招魂……。
[小さな呟きに応じ、手にしたロッドの緑柱石が光を零す。
いつも操る風は、ザムエルの周囲に置いてきている。
今、使えるのは『風雷棒』を媒介にしたもののみなのだ]
……止めてこいっ!
[走りつつ、ロッドを縦に一振り。
琥珀を散らすものの足元へ向け、放つのは足払いの風]
―西殿回廊―
[会話をしながらでは流石に大変だったのか。
後一歩で手が届く、再びその距離までは詰められた]
お願い―…!
[右腕を、精一杯に伸ばす]
―西殿結界内・回廊ダッシュ―
意志?ああ、そういや何か言ってたっけか。
壊れるって、剣がかー?
だったらノーラ殿あたりは喜ぶだろうなぁ!
[へらへら笑いながら、全く微塵も深刻さも反省の色もない。
エルザの問いには、緩く首を振った。
走りながらだが。]
おいさんの望みは…。
[言いかけて、一旦沈黙。]
今は、望んだ先が見て見たいわな。
果てには何があるのやらーっと。
[走れば琥珀が後に続く。ちらり、ちらりと薄く光り。]
[翼のままでは背負えないので、当然いわゆる姫抱きで。]
…時空。
確かに彼女なら。
[探して、なんとかしてくれるよう頼みに。]
< 無事を喜ぶ様子に、知りはしないのだと悟る。
しかしそれを表には出さず >
……一体、何が。
< 彼女の傍へと寄り、僅か左に顔を傾けた >
―東伝・回廊―
[ゆるりと一度首を振り、]
どこから説明すれば良いのか分からないけれど……。
[口元に手を当て、悩ましげにして]
……アーベルが、揺らされたものだった。
それで剣を狙って、さっき襲ってきたの。
この際だから……大丈夫よね。
ザムエルが、剣を持っていて、それで……そうだ、彼の姿は見ていない?
[影輝の竜へと、尋ねた]
―西殿結界内・回廊ダッシュ―
[琥珀は、何かを捕らえたようにクレメンスの周りを舞い。
ぉ、と小さく何か言った所で。
エルザの手が伸びる。丁度腰のあたりの布をつかまれ。
たところで足払いの風がクリーンヒット。足が華麗に縺れて前に転がった。
エルザを巻き込んで。]
だあああああ!!
[ごろごろ二人で一緒に転がりながら、突き当たりの壁にずどん。イイ音が。
この場合、きっと一番可哀相なのは卵姫だと思われる。
おっさんはやっぱり3秒で立ち上がるわけなのだから。]
いえ。
< 左右に首を振る。嘘ではない。
沈黙を一拍置き、ブリジットの進んでいた方角に眼差しを向けた >
ザムエルが所有している事は、知っていました。
影輝の気配が感じられましたから。
そして、今は――感じられない。
[上着に手が届く。ギュッと握ったその時だった]
え…。
[どんな転ばれ方をしたのだろう。
掴む手を離す間も無く、共に転がる羽目となり。
壁に強く頭を打ち付ける形で止まった。
流石に掴んでいた手の力も緩んでしまうだろうか]
/*
…こんな感じ、かな。
これはクレメンス完全に逃げる気なのだろうなぁ。
剣どっちも奪えないのか。
…こっちは墓だから仕方ないのかな、うん。
[予想外の派手な物音にげ、と呟きつつ。
それでも、そちらへ向けてダッシュで走る。
壁に突っ込んだ様子にあちゃ、とか声が上がるものの]
……おっちゃん、逃がさねぇぜっ!
[エルザが追っていた、という事は、聖魔剣を持っている可能性がある、と。
そこまで論理的に解析できてはいないかも知れないが]
っせい!
[接近後、前転で視界から消えるフェイントをかけた後。
立ち上がりにジャンプを重ねて、ロッドを元気良く振り下ろす]
―東伝・回廊―
……逃げられなかった、か……。
[もっと早く、色々な手を打てれば良かった。
そう悔やんでも、今はもう遅い。水竜が言っていた通り、これからが大切なのだと
自分に言い聞かせて]
剣の気配自体が感じられないということは……、どこか遠くへ行ってしまったのかしら。
―西殿結界内・回廊突き当たり―
おっとこりゃ失礼。
でも原因はそこの風竜だからね!
[したたかに頭を打ち付けて、きゅぅと倒れこんでいるエルザの頭を、労わるように軽く撫でた。無論癒しは入れてあるが、揺れた頭の中身まではすぐに戻らないだろうか。
その間、怒涛の勢いで近づいてくる疾風の竜。
一瞬、視界からは消える。そしてジャンプした瞬間、上を見上げれば目が合っただろうか。]
…残念。ここでフェイントは悪手だぜ?
[ぺろりと舌をだし。その場から、瞬時に掻き消えた。]
まっすぐ首を取りに来るのが正解だなーという声と、琥珀の煌きだけがその場に残された。
わからない。
剣の存在そのものが分かるわけではないから、
力が抑え込まれただけかもしれない。
< 先程まで首飾り――もう一振りの剣を有していた腕を掴む。
黒布の下の手は、傷痕こそないものの、痛みを残していた >
ともかく、行ってみましょう。
残滓は辿れる、筈。
< 言うなり、先へ進もうと一歩踏みだす >
もし、二つが手に渡れば、どうなるのでしょうね。
ちっ……!
[消えた様子に、舌打ち一つ]
……次会ったら覚えとけ……。
[妙に殺気立つのは、先ほど感じ取った虚竜王の波動の影響か、他に理由があるのか]
つか、だいじょぶ?
[それでも、エルザに声をかけた時にはいつもと変わってないから、やっぱりなんか理由があるのかも知れない]
―東伝・回廊―
……お願い。
もしかしたら、まだ何か対応できるかもしれないから……。
[こくりと頷いて、先に進みだした影輝の竜へと続く]
二つが、揃ったら――
確か、一つになるんだったかしら?でも、殆ど扱い切れないと……
……世界の終わりでも、やってくるのでしょうかね。
―西殿結界内・何処かの部屋―
[居所がすぐに知れたのは、おそらく部屋にかけられていた封印のせいだろう。自身の対の一つ。その残滓に引き寄せられたかのように、部屋の中央に突然現われて。
窓際のオティーリエに情緒の欠片も無く飛びついたのは、最近飛びついてなかった分が多分に含まれております。
確かめるように触れたら。
まぁとうぜん床に沈められたわけだが。]
ッツ…。
[流し込まれた癒しの力は、けれど頭よりも全身に薄く広がって。当然脳震盪状態からの回復は覚束無く]
あ、まっ…!
[慌てて立ち上がろうとするも、支えに突いた左腕に力が入らない。ぺたりと座り込み、消える姿を見送る羽目になって]
…逃げられてしまいました。
[右手で額を押さえつつ、ゆるく首を横に振ってティルに答えた]
聖魔剣、持っていらっしゃったのに。
[無念そうに唇を噛む。
上着を掴んだときに感じた。既に推測ではなく、確信であった]
< 揺れる焔が積み重なった惨劇の跡を照らす。
生まれた影を踏み、影輝の力を遡る >
終わりが訪れれば、次は、始まり。
今の理のない、新たな世界がつくられる――
< 確証のない、疑問交じりの科白。
氷破の竜よりも、歩みは幾らか速い >
そうであれば、良いのに。
< 距離は幾らか離れつつあった >
―東伝・回廊―
終わりと始まりは、表裏一体――か。
[幾分歩く速度の早い、影輝の竜の後に続きながら]
……もし、そうだとしたら。
新しい世界が見れなさそうなのは、残念ね。
[ゆるり首を振り、少し開いた差を埋めるべく、早足になる]
あー……やっぱり。
[エルザの言葉に、ため息一つ]
つーか、空間渡るわ3秒で復活するわ、ずるっこだっつーの。
[人の特殊能力にケチつけちゃいけません。
それはともかく]
しっかし、めんどーだなぁ……。
爺ちゃん、こっち来てたけど、神斬剣持ってなかった。
精神のに取られたとなると、両方向こうに渡っちまったって事になる。
……こうなると、頼みは竜王さんたちの隠し玉、か。
[以前、ギュンターが言っていた事。
揺らされたものが二振り共に剣を得ても、昇華はできない、という話]
もっとも、それにだけ頼るわけにゃ、いかねぇけどな。
/*
つか、便利に跳びすぎだからクレさんwwwwww
それ、時空レベルだからwwwwww
生命とか精神は無敵化しやすいんだから気をつけれwwwww
終わり自体は、恐ろしくないですか?
< 不意に、振り向いた。
その瞬間、詰まりかけた距離、
足下で揺らめくのはブリジット自身の影 >
―東殿・回廊―
[急に振り返られ、ブリジットは瞳を瞬かせて]
ああ、そうね。
なんだか、気付いたら終わってそうだったから。
痛かったり、苦しかったり、熱かったりするのは、ちょっと難儀かしらね。
[井戸端で話すかのように、どこか苦笑めいて呟いた]
この世界には、良いところもある。
……良いところがある分、その裏には悪いところもあるのだろうけれど……。
[心竜の青年の事を思い出しながら、呟く]
どうして…!
[小さいけれど叩きつけるような叫びは消えた生命竜へ。
またはぐらかされた。そんな気分もあった]
御師様も奪われて、ですか。
[ゾクリとした感覚は、単なる気のせいでももうあるまい]
そこは結局話してもらせませんでした。
養父があそこに居るのに意味があるらしいというだけで。
ええ、どうにかして剣を。
このままでは本当に、暴走すらしかねません…!
[胸元に手を当てる。今は頭痛やらの方が強いけれど、消えてもいない不快さの伝わってくる痛み]
―西殿結界内・何処かの部屋―
まーた痩せてきてないか?肉食ったか肉。食堂ちゃんと行けよ?
[へらり床に沈んだまま笑う様子に、相変わらずの月闇の対応。
立ち上がり攻防はいくらか続いたろうか。
調子にのっているのは、きっと二人しか居ないから。…というよりは、少々気が抜けたからか。
まぁそんな些細な違いは、オティーリエには限りなく関係なくどうでもいいことなのだろうが。
いい加減青筋どころか殺気以上の何かががはっきり見えかけてきた所で、危機感感じて離れ逃げ。服の中に入れておいたものをテーブルに置いた。
直接渡さなかったのは、なるべくなら触れずにいたほうがいいという思いの表われか。
先ほど受けた頭痛は、まだ鈍く頭に残っている。
それは、けっして表に出しはしないけれど。]
ノーラ殿からお土産だ。取られないように気をつけな。
…んじゃ、聖魔剣、任せたわ。
[ひらり手を振りながら…アーベルがやられたかもしれない、とは言わなかった。
何事かを聞く前に、再び姿は消える。]
[ゆっくりと立ち上がる。まだ少しふらつくしバランスが取り難い。だが歩けないほどじゃない]
探しましょう。
まだこの結界内にいらっしゃるはずです。
[上げた顔はどこか悲壮にすら見える*表情で*]
剣の暴走、か……。
[水鏡の前で火炎の竜と交わした言葉を思い出す]
無理に力を使おうとすれば、全部消える、って解釈でいいんだよな、結局。
……そんなリスクまで背負って……それで、手にした『自由』なんて。
結局、力に伴う色々に縛られるだけで、きっと、今よりも動けなくなるのがオチだって事。
……なぁんで、わかんねぇのかなぁ。
[思い返すのは、先に聞いた、精神の竜の願い]
/*
申し訳ありません、流石に限界で。
動かし他はご自由にお願いします。
説得されれば探索以外もすると思います。今なら簡易治癒と体力分与はそこそこに使える、予定。
ええ、そうです。
[全部消える、の言葉に頷いた]
神にすら干渉するもの。退けるもの。
そのエネルギーが純粋に噴出したなら。そこに残るものは何もない。そう、或いは神すらも。
[それは伝承の中でも推測に近い部分だろうけれど]
…本当に、どうして…。
[呟く声はどこか*力なく*]
……そうですね。
全ては表裏一体。
光があるから闇があるように。
< 氷破の竜の足下の影が、地面から剥がれ宙に浮かび上がる。
ブリジットそっくりの姿を象った黒は、ゆらゆらと揺らぎ、形を変える。一時大きく膨れ上がり、ぐるりと渦を巻いた。主たる彼女に襲い掛かるような動きを見せるも、一時視界を覆ったのみで、直ぐに霧散する。
灯りをともす焔は弱まり、光と闇の境も縮まる。
影も大分、薄らいでいたようだった >
自身が消えるから、ではないの。
< 何事もなかったかのように、言葉を続ける。
今まさに、消えた影を見詰めながら >
ひとりの力で為せることなど、知れているのに。
―東殿・回廊―
[己の影に、目を瞬かせて。
影が襲い掛かるように見えると、僅かに身構えるも。
間も無く霧散して、目の前に再び、影輝の竜の姿が見えた]
ああ……自身が消えてしまうから、か。それもありといえばありね。
[苦笑して呟き、そして続けられた言葉に、こう答えた]
そう。ひとりの力じゃ出来ることなんて高が知れている。
だから、手助けする。協力しあったりもする。
[少し目を伏せ、呟く]
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