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[ これで良かったのだと自分を納得させるしかなかった。]
フィグネリア、
大丈夫かい。
[ イヴァンとニキータから離れ、この場では一番不安がそうに見える彼女に話しかけながら、膝をつき目線を合わせ肩に手を置く。]
[ニキータからは、「人狼」のような匂いはしなかった。
それが全員に匂うわけでないのは、母の言葉から何となくわかっていて。
それからタチアナを見る。
最初にニキータを人狼でないといったのは彼女だった。イヴァンの言葉もあったけれど。
タチアナに聞くかどうか迷って、やっぱり口にする]
タチアナさんは、ニキータさんを人狼じゃないと言っていたけど……ただ近しいからの信用というわけじゃないのなら、他に、そう思う方はいらっしゃいますか?
[意味がない、と言う言葉が聞こえて少し俯いた]
―広間―
馬鹿、とは、失礼な。
[向けた視線にも、言葉にも棘は無い。
すう、と、深く呼吸をするも肺に入るのは血の薫りばかり]
すまないが、頼めると有難い。
――…気にするのは、そこなのか。
[らしい、とは思いつつも、指摘せずにはいられなかった。
ふっと一度、顔を伏せて、唇の血を舐めとる。
その時の表情は、きっと誰にも見えない。
それから、手当てを頼むためアレクセイに素直に右腕を差し出した]
[駆け寄るイヴァンの方へ倒れ込むのが精一杯だった。
受け止めてくれた肩の固さや体温を、
感じる事さえ血と共に零れ失せて行く。
ごめん。
言葉は音になっただろうか。
さいごに、
血に塗れたイヴァンの手を握ったことしか覚えていない*]
ヴィクトールさん……。私は、大丈夫です。
驚きはしたけど、……それだけで。
[肩に置かれる手に小さく首を振って]
タチアナさんが言ったように、私もニキータさんが人狼ではない、と思うから。もっと早くに確信が持てれば、止められたかも知れないのに。
……。
[死んだ後でわかったところで、何になるというのか。
頭を振った拍子に落ちた髪が俯いた顔を隠す]
[微かに零れる、熱混じりの聲]
アレクセイは、狙わない。
――…本当に惜しいけれど。
[少なくとも、ヴィレムが居る間には、と。
その点については聲に乗せない]
タチアナは、 ベルナルト を能力(占う)の対象に選びました。
タチアナは、ランダム を投票先に選びました。
……、
僕は確信が持てなかった。
イヴァンの言葉に説得力はあったけれど。
僕の方が君より村に居て長いのに。
本当は誰も疑いたくないのに。
……、
君の方が、聡いみたいだね。
[ 村の人間を知っている分、疑いを向けきれないのもあった。]
[ イヴァンを選んだのは理由がなかった訳ではない。
強く飢えを感じる相手として三名がいた。
アレクセイ
タチアナ
そして、イヴァン。
このうち、アレクセイと、そしてタチアナもまた殺したくないという気持ちがあったために、イヴァンが選ばれた。]
言われたくないなら、阿呆な事を言うな。
――せっかくの客をそんな事で失うのは惜しい。
[軽口めいた言葉。
差し出された右手を見て、ここに来た時、使った救急箱の方へと視線をやった。
アリョールの動作は見ていたけれど、それを気にする事はなく]
少し待ってろ。
消毒する。
[そう言って、救急箱を取りにいく。
持ってくると、その場で消毒し、それから包帯を巻きつける。
痛いだの言われても手加減なんてするつもりはなく。
ただ治療を終える時、小さく、彼女にだけ囁いた**]
お前に背負わせた、ごめん。
もしアレクセイを狙えば、
君の命もないものと思ってほしい。
[ 暗に告発すると聲に含ませる。]
イヴァンを選んだが、
襲うのはどうするんだ。
[ 昨晩のマグダラの襲撃の様子は見たが。
襲う相手を選んだだけで終わるとは流石に楽観していない。]
/*
まあアレクセイは、本当に村人でいいんだろうかと疑いつつ、むしろ狼の目を多く見つつ、それでもそこを知らん振りで生かそうとしてるので、それでいいか。
[項垂れたままの男は泣きそうな顔をしていた。
鼻の奥につんとしたものを感じるが
泣くのを堪えるように、すん、と小さく鼻を鳴らす。
生気を失ったニキータの眸に映り込む己の情けない顔。
他の誰にも見せずにいたから
其れを知るのは、傍に在る彼のみで]
謝るのは俺の方だ。
ニキータ。
[微かな音がそう囁く。
一縷の望みが捨てられぬのか脈を取るため
ニキータの首筋に手を宛がう。
そうして漸く、彼の双眸に手を翳し
おやすみの言葉と共に其れをそっと閉じさせた]
―広間―
馬鹿の次は、阿呆か。
なんだか散々な言われ様だな。
[手当てを受ける頃になり、漸く周囲を見回せる余裕が生まれる。
幾つか漏れ聞こえてくる話の断片を聞きつつも、口を挟めるまでの余裕はまだ無い。
ただ、垣間見えるタチアナの表情と声音に少しの後悔を覚えるだけだ]
――…。
[抗議の声ひとつ上げず、無言でアレクセイを見遣る。
一つだけ、彼には聞いてみたい事があった。
けれど、それを口にする前に小さな囁きが聞こえてしまって。
少しだけ胸が苦しくなり、聞く機会を逃してしまった。
代わりにぽつりと零すのは]
君が、謝る必要など、無いんだ。
[聞こえるかどうか定かでないほどに本当に本当に小さな声]
……その通り、だね。
それでも人狼ではないと確信出来る相手はいるよ。
アレクセイだ。
彼は僕を昨晩ずっと看病してくれていた。
彼が狼なら僕を襲えた筈だ。
[ ヴィクトールは、
フィグネリアの額にかかった金糸を指で寄せた。]
君も狼でなければ良いと思ってる。
[ 眸の奥を見る。]
[ヴィクトールからシーツを受け取る。
顔を上げて、ありがとう、と礼を言うが
それは小さすぎて彼に届かなかったかもしれない。
赤に濡れた手が触れた箇所から、白は染まってしまう]
――……。
[沈む心に呼応するように重い息が吐出された。
丁寧な手つきでニキータの身体をシーツに包む。
そうして、アナスタシアの時と同じように
イヴァンはニキータを地下へと運んだ*]
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