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[飛び出したサクラを、追って、漆黒の獣は彼女を追い詰める。
彼女は必死に逃げたのかもしれない、けれども獣は彼女を逃がさない。
追い詰められ、廊下の先、行き止まりはすぐそこ、もう逃げられない。
無慈悲に振るわれる爪は彼女の腹を切り裂き、噛み付く牙は彼女の首を食いちぎる。
あたりに散る、彼女のものだった命を示す赤、それはやがて黒く変色していくことになるのだろうが。
血溜りの中、横たわるサクラの死体と、足跡もつけずにたたずむ漆黒の獣、
獣が鳴く声、そのコエは赤の世界に響く]
『まだまだ、血も命もゲームを終わらせるには足りていない。
死ぬ者を、命を選ぶのだ』
[聞こえるコエに、ボクは少しばかりの動じるような色をを赤の世界に滲ませていた]
え……
な――……うそ……いや、いやあ!
[露島の肩越しに見えた絵。
デフォルメされているけど、誰が誰かわかる、その絵の中に――桜子に該当する絵は見えなくて。
恐怖に囚れる。
露島が、友梨が、なにか言ったかもしれないけどそれも聞こえなくて、この場にいたくなくてとっさに駆け出した。
向かう先も何も決めずに――そして、この行動が、命を無くすことに系がるとも知らずに――]
[そして―――
恐慌におちいった桜子は、どこかで、恐怖の元とであったのだ。
それが誰だったのか、どうやって殺されたのか――
自らの骸の傍で踞る桜子は、覚えて、いない**]
─学長室前─
赤ログ?
[春枝の返答に、眉根を寄せた。
春を庇う理由はなかったけれど、別のところから苛立ちが来ていた]
意味が分からないな。
……ていうか、
[そこには彼女なりの理論があったのかも知れない。
けれど、聞いてやる気はなかったから、
それよりも先に携帯電話を取り出す。
傍にいる霊能者のことなど、頭になかった]
―生徒会室→―
[生徒会室をユリと一緒にボクは飛び出して、二人とも出るのが遅れたためサクラの姿も足音ももう聞こえない遠く。実際は聞こえていても、ボクがそれを拾えるほどに余裕がなかっただけなのかもしれないけどもね?
ボクは、なんとか、落ち着かない気持ちを抑えて、思考にさまざまな色が滲むのを感じながら]
百乃喜さんと宮町さんが、消えていたんだ…
百乃喜さんには見えてたみたいで、
[ユリにそう説明をしながら、急ごうと思う気持ちは裏腹に、体は思うように動いてくれない。
走るのだが、急げない、結果としてサクラを探すのは遅れることになり。
ユリはボクを心配していただろうか?]
ごめん、急がなきゃ、いけないのに。
[急いだところで、出た結果はもう変わらない、心のどこかでそう言っているボクもいる。
階段の傍にきたところで階下から血のにおいが漂ってくる]
―→階廊下の行き止まり―
[ボクは階下に、降りていく、徐々に血の匂いは濃く、自然と足はそちらに向けることになる。
一階まで降りて廊下の先、暗がりのほう、確かそこは行き止まりのほう、そこに何かが転がっているのが見える]
桐谷さん、つらいなら、ここにいて、ボクが見てくるから。
[途切れ途切れになりながら、ユリを心配する声をボクはかけていた]
演劇部 ケイコは、生徒会書記2年 ハルヒ を心の中で指差しました。
[聞こえる心配するコエ、それは隣のユリからのもの。
ボクは一緒に階下へと降りながら表で伝えた言葉に続けて]
誰かが、宮町さんを、殺した。
[その誰かが、幼馴染だということを、ボクはまだ知らない。
『仲間』でも、なんでもない、別にボクが動揺する、理由のないはずの相手、その死に、ボクは、普通ではいられなかった]
[狼だと言われた彼女はどんな反応を返しただろうか。
数度のやりとり、と言えたかも怪しい応酬の後、やがて部屋を飛び出して行った。
とは言え、足を引きずっている彼女に追い付くのは容易い。
階段に差し掛かったところで追いつくと、尚も逃げようとした春枝は足を滑らせる。
――それだけなら、軽い“事故”で済んだかも知れなかった]
……悪いけど、
[小さく呟いたその意味は、相手に届いたとしても、意味は分からなかったかも知れない]
それ、おれの“役目”だからさ、
取らないでよ。
[川島は手を伸ばして、
その背を軽く、押した]
[転げ落ちた春枝が止まったのは、階段の踊り場。
マリーと同じ場所だったのは、ただの偶然なのだろうけれど。
打ちどころが悪かったのか、首でも折れているのか、彼女はぴくりとも動かない。
階段の上から一部始終を見ていた川島は、息を整えながら手すりに掴まり、姿勢を立て直す]
[断言する春>>12。
意志が固いと察すれば何も問わず彼に付き従う]
――…春。
あの子には蛍がついてるよ。
[慰めにも似た言葉。
何を案じているのか分からないまま
薄闇に包まれた廊下をひた走り春枝の姿を探す]
/*
ボクがキリングだったら階段から落とすつもりだった。
ハル、どこまでシンパシーを感じさせる殺し方をするんだい
─ →一階廊下の行き止まり─
[進むごとに臭いがきつくなる。
ある程度進んだけれど、やっぱり途中で足が止まった]
…ごめん、アタシ、これ以上は…。
[視線の先には暗がり、何かあるような気がしたけれど、これ以上足が進まない。
誠の言葉に頷いて、臭いから逃げるように少し後退った]
生徒会書記2年 ハルヒが時計を進めました。
─学長室前─
……川島?
[問いかけへの春枝の返事を遮るように、携帯を取り出す春陽。
それは、これで見るのが三度目の行動で。
告げられた言葉に、ひとつ、瞬いた]
狼……って。
宮町が?
[言いながら、二人を見比べる。
数度のやり取りの後、駆け出す春枝を追う、春陽]
て、ちょ!
ちょお、待て、お前ら!
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