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[イレーネの声に、ふっと表情を緩ませる。]
私もだよ…。
[例えば君や、ナターリエ。]
[クレメンスは、呟き頷くと、イレーネとナターリエが二人とも二階へ上がってゆくのを見送った。]
教師 オトフリートは、研究生 エーリッヒ を投票先に選びました。
[ミハエルに傷を押さえてもらったことにも反応せず、ぼうっと目を見開いて]
エーリッヒ…?
[そっと近づくが、青年はもう動かない]
[…死?]
[死んだ?…死なせた?]
[誰が…どうして]
心配をしていない訳じゃない。
けれど…
[続く言葉は、消えてゆく。
今、語るべき話では、まだ、ないのだろう。
彼から聞く事は──…何も聞かないとしたのだから。]
[二人が二階へあがっていったのを見送り終えると、]
そうだね、ベアトリーチェ。
[花びらに添えられるのは、きっと血風なのだろう。
神は哄笑をしている。
人狼の血を持つもの達が少しずつ狂い始めている事を。]
――二階廊下――
[廊下に上がったところからは、見た目は何も異様なものはなくて。
それがかえって不気味で。
ドアの開いている部屋がある。確か、エーリッヒの・・・]
・・・錆びくさい。
[あぁ、このまえの朝の光景がよみがえる。
部屋に近づくほどに香って]
―2nd floor―
[二階へあがると、...の目には廊下にいる人が捕らえられた。
アーベルと、ユリアンの姿。]
何が、あったのですか?
[問いかけて、そちらに近寄ろうと。]
ランプ屋 イレーネは、研究生 エーリッヒ を投票先に選びました。
ランプ屋 イレーネは、シスター ナターリエ を能力(占う)の対象に選びました。
──広間──
[クレメンスは、ベアトリーチェの後ろから覆うように机に両手を置き、彼女にだけ囁き尋ねる]
ベアトリーチェ、もしも誰かを起こすなら、
君は誰をまず選ぶ?
[アーベルとユリアンに、ナターリエと一緒に駆け寄った。
そこからは、部屋の惨状が、見え]
・・・エーリッヒ・・・エルザ・・・ミハエル!
[みんな、血だらけ]
[頭では理解していた]
[自分がエーリッヒを殺したことを]
[けれど感情はまだそれに追いつかず]
[エルザの動きにつられるままに]
[動かなくなってしまった青年を]
[広がる紅を見つめて]
[傍らで甲高い悲鳴が響き渡った]
[少年の掠れた声には、彼よりもその傍らのユリアンが反応して。
手当てできる人を呼んでくる、と走り出そうとした矢先に、シスターが声をかけてきた]
…………。
[振り返り、目にした姿に、重なる。
遠い過去の映像。
しかし、エルザが怪我を、と訴えるユリアンの声が、それをかき消し。
蒼は室内の紅へと]
……エーリッヒが、壊れた。
[自分はただ、簡潔に問いの答えを口にする]
えるざ。
だいじょうぶなんだ。
もう、だいじょうぶ…
[彼女を支えるように]
[否、彼女に縋るように]
だい、じょう…
[掠れた声で繰り返す]
[それも徐々に小さくなり]
エーリッヒさんが
[アーベルの言葉に、ああそれなら彼は死んでいるのかと。
ふと、彼の様子もおかしいような気がして、じっと見る。]
……最初から、ヤツは、壊れてたのかもしれねぇな。
自分の感情……恐れや、疑心。
そんなモンを、あの笑いの下に隠してた。
[いつか、書斎で見た姿。
感情を必死で制御しようとしていた青年。
それを、思い出して]
……感情の抑止がきつすぎれば、それはちょっとの衝撃で弾け、精神を壊す。
それが、起きただけにすぎん。
[淡々と、語る。
じっと見つめるシスターの視線には気づいても、そちらを見る事はなく]
…だめ。
[首を横に振る]
[まだその瞳に正気は戻りきっていなかったけれど]
あなたじゃ、ないわ。ミハエル。
[童女のような、ひどくあどけない表情]
…あなたじゃ、な…
[くらり]
[気が遠くなったか]
僕が、殺した。
[溜息をつくように]
僕が殺したんだ。
エルザは、悪くない。
[焦点の結ばない瞳でそう呟く]
[それは声になる前に歌姫の手で止められたけれど]
[声が、悲鳴に近い声が、出た。
アーベルのいつもの簡潔な説明を聞いて]
・・・エーリッヒ・・・が・・・。
[アーベル自身も、どこか変に思う。首を傾げる余裕はないが]
[神父の目を、じっと見つめて。]
やさしいひと、だいすきなひと、たいせつなひとから。
…あとまわしにすればするほど、いやなものをみることになるもの。
いやなもの、みせたくないよ。
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