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[本当に欲しいのは頭痛薬だったけれど。
深くを語る事は出来ぬゆえ]
はい。特定のものも有れば嬉しいですが、それで構いません。
[抑揚に欠けた声で告げ、再度頭を下げた]
ありがとうございます。
待ってますね。
[さらり、と髪が揺れる。
扉の先、寝台の上で広げられる薬箱を、廊下から眺めた]
―二階自室―
……あ。
[プツリ、と集中が途切れた。
途中何も休まなかったわけではないが、意識はずっと作業に向き続けていて。どれだけ時間が経ったのかも分からない]
間に合うかな。
[呟きは声になったかならないか。
左手の下の翼は広がって。しかしまだ羽搏くには足りず]
……休憩。
[ただ、今はもう続けられないのも分かる。
大きな溜息を吐くと、ゆっくりと立ち上がり部屋を出た]
……長引く可能性は、高い。
[ナターリエの疑問に、短くこう返す。
可能性、という言い回しはしていても、それはほぼ確信。
事が既に起きている──『始まっている』事は、否定の意思について回る頭痛が物語っていた]
勿論、何事もないのであれば。
それを、望みたいが……な。
[先ほどのゼルギウスの動きそのままに椅子の上で体をよじり、立ち上がって軽く背筋を伸ばして]
うん。椅子の上で寝るもんじゃないな。
話がわからなくなるのが怖くて部屋に戻るのを止したんだが……眠ってしまっちゃ意味がねえや。
っ、
[人がいるとは予想してなかったため、小さく息を飲んだ]
……ああ、アーベル先生。
どうされたんですか、こんなところで。
[自分にも返る問いと、気づいたのは発してから]
─二階自室─
昼に調合してて正解だったかな。
分けても十分なくらいはあるんだ。
[ゲルダが聞いてるかどうかは知らないが]
[そんなことを言いながら小箱に必要な薬を詰め終える]
痛み止め各種、傷薬、解熱剤、それと必要か分からないけど導眠剤も入れておいた。
包帯も少しだけど入れておいたよ。
[道具を片付けて小箱を手に持ち]
[扉へと歩んでゲルダの下へ]
[入れたものの説明をしながらその小箱を差し出した]
長引くか…。
[ライヒアルトの返答につぶやいてから]
ライヒアルトは、俺達よりもいろいろと、
その人狼についてとか知ってそうだな。
少し、気分転換にね。
今は戻るところ。
[手の中の箱を軽く放り][掴み]
[ポケットへ戻す]
君は?
[当然の如く][疑問を返す]
[ふいに、視界の隅にイヴァンが起きたのが見え、軽く手を振る。
呟きは遠く耳には届かない。]
おはようイヴァン。昨日からずっと寝ていたみたいだが。
どこか悪かったのか?
[流石に酒が、と言うには長すぎて。]
[マテウスの言葉に、視線は一度、そちらへ。
それから、未だに手をつけていないカップへと、一度、落ちる]
……少なくとも。
ここに集められた中では、それなりに知識はある方である、という自覚はある。
[間を置いて、発した言葉は静かなもの]
おはよう、イヴァン。
[目を覚ました様子のイヴァンに気づき挨拶]
どこか具合でも悪くしたんなら無理せずにゼルギウスに見てもらったほうがいいぞ。
こじらせると余計に始末におけないからな。
ん?
[手を離せば扉が開いて出てくる小柄な影]
エーファちゃん、だっけ。
調子はどうかな。
[ぼう、とした様子の少女に声を掛けた]
…お身体によくありませんよ。
[仮にも教師に言う台詞ではない。
苦笑。そして、沈黙。]
私は…、その。手紙を読もうと。
部屋に戻り辛くて。
[嘘を吐くのは不得手で。
たどたどしく、事実を告げた]
ギュンターは時間的にはもう死んでいることにしたいなー。
まぁ、表で誰かが接触したら変えなきゃだけど。
殺すタイミングが難しい。
[ナターリエの問いには曖昧な微笑みを浮かべ]
うん、まあな。頭痛だ頭痛。ゼルギウスの薬がよく効いたみたいで、ずっと眠っちまったな。
変わったことは、特にないか?
…。
[ライヒアルトの答えに、そうか、とも言わぬまま。
軽く黙し指を唇に当てる。
あれだけ違うと、そう言い聞かせていたが。
ゆっくりと端から壊れていくような。
それでも、まだ。
何事も無く過ごせる事を願いたかった。
マテウスとライヒアルトをゆると交互に見る。
思考するように、探るように。]
―二階廊下―
お代はどうしましょうか?
今は持ち合わせが余り無いんですけど。
[説明の言葉一つ一つに頷きを。
差し出された小箱の中を受け取り、中身を確認して]
導眠剤ですか。
無理にでも休ませたい相手がいたら、食事か何かに仕込むかもしれません。
[冗談に似た言葉もやはり変わらない表情のまま。
受け取った小箱を大切そうに、そっと胸に抱いた]
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