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―台所―
…いえ、何でもありません。
これ、どうすればいいのかなーっと。
[頓着しない様子の王に、もう一度だけ深い溜息を吐き。
どこか投げやりな声でヴィオレットに聞きながらちょこまかと動く。どこで慣れたのか、それなりの手つきだ]
うわっ、時空王様。
[その唐突な登場に思わず皿を落としかけるも、危うい所でヴィオレットが支えて。邪魔にならないような位置で手伝い続けていたが]
…なーんか、嫌な予感、が。
[二人の王の会話に小さな声でポツリと呟いた]
[わあわあ言う少女の声も遠くて。
身体が目の前の少女へ倒れたのもわからず、意識は霧の彼方。
後ろにいた時空竜と旅人には蒼白な私の顔色は見えなかったであろうから。よもや倒れるとは思われなかったのであろう。
少女の伴侶たる雷撃の王の脱力した声が、場が動かし始めた]
ああ、ややこしくなる前にな。
……というか、それを楽しむのもどうかと思うんだが……。
[問題発言に、はあ、とため息一つ。
それから、眷属の方を振り返り]
……ああ、手、止めちまったな。
そろそろ仕上げて、運べるようにするか。
[なんでもないよな口調でさらり、と言ってのけた]
[いくら華奢でも下敷きにするはまずいと時の竜に伏した身体を抱き上げられたか、身体が浮いた感覚も遠く。
雷撃王とのアイコンタクトで介抱するものされるもの、そして傍観するものに分かれた様子もわからない。
ただ、旅人が窓を開けてくれたおかげか、苦しげに寄せられた眉はやがてゆるとほどけて。
濃霧を惑うように、ぼんやりと意識が戻ってきていた]
…ん……、
[無意識に打ったこめかみの上辺りに、白い繊手が伸びて。
薄く開けた菫色の瞳が揺らめいて、ぼうと辺りを見た]
相変わらずですね、時空王様も。
[自王に向け肩を竦めて見せ。
嫌な予感、は具体的には言葉にしないでおいた。
言霊が引き寄せても困るし、とか何とか]
分かりました。
皿はこっちのだけで足りますかね。
[何となく誤魔化されたカナとかも思いつつ。
頷いてヴィオレットの指している皿を取り出し盆に積み上げた]
[目の前の一連の騒動が収束?した所で、魂分かつ白梟へと意識を飛ばし、迷子たちの様子を追っていたのだが。
どうやら、こちらへ向かっているらしい、との言葉に、ほっと安堵の息をつく。
休ませていた聖なる麒麟が目を覚ましたのは、それとほぼ同時だったか]
……と、おや。
お目覚めですか。
うむ…
[今ここで、話すべきかどうかと迷う素振りで顎を撫でる]
いや、確証のあることではないのだが…
[雷撃の主としては珍しく、躊躇いがちに言葉を繋いだ]
しばらくどの界からも消えていた、心の魔と呼ばれる魔族が、どうやらあちこちに姿を見せ始めているようだと、な。
11人目、少女 ベアトリーチェ がやってきました。
少女 ベアトリーチェは、ランダム を希望しました(他の人には見えません)。
ま、彼女は以前からああだから、な。
[ひょい、と肩を竦めて返し]
ん、何とかなるだろ。
足りなければ足りないなりに、追加すればいいんだし、ま、様子を見て、というところか。
[ベアトリーチェは、眼をひらきました。
そのときにはもう、そこにいたのでした。
その前になにをしていたのか、その後になにをするのか、そんなことはちっとも覚えていません。
ただ、ただ、そこに在ったのです。]
……………?
[きょとり、きょろきょろ。辺りを見回します。
そこは、お屋敷みたいでした。人の気配が、たくさんします。それからなんだか、いいにおいがするのでした。]
……なんだろう?
[不思議に思いながら、ふわふわした足取りで、歩みはじめます。]
心の魔、ですか。
それはまた、物騒ですねえ。
[言いようとは裏腹に、男は笑みを保ったまま。
視線を投げた先で動きがあったことに、目を留めた]
お加減は如何ですか。
[時の竜の姿は、思いもかけず近くにあって。
かけられた声に私は安堵の息を零し、小さく顎を引いて応と返す]
…ええ、あの…わたくし、何か御迷惑を…?
[なんとなく既視感に状況を察しながら、しゅんと眉を下げる。
くらりとするのを抑えながら身を起こし、広くなった視界で探すのは愛し仔の姿。やはり姿が見えない事に、不安を宿した瞳で問いかけずにはいられない]
セレスは、見つかりましたか…?
了解です。正式な人数とかも分からないですしね。
それじゃ、先に運び始めます。
[仕上げのような部分は素人の自分では大して手伝えないだろうと、皿やカップを乗せた盆を持ち上げて台所から広間の方へ]
いや、そういうわけじゃないから、気にせずに。
[しゅん、とする様子に、苦笑しつつ返して]
ああ、セレスは、相方と一緒にこっちに向かってるから、大丈夫……って。
[安心させるよに言いかけた言葉は、ふと聞こえた言葉にぶつり、と途切れ]
……て、あの。
……今、なんというか物凄く、聞きたくない言葉が聞こえた気がしたんです、が。
[雷撃の王を見やる表情は、ちょっと真剣だったかも知れない]
ん、頼む。
[広間へ向かう姿を見送り。
時空王との会話で途切れた仕上げにかかろうとした所に感じる、新たな気配]
……ん?
[微かに覚えのある波動に、貴紫がゆる、と瞬き]
……ヴィオ、ちょっと、見て来い。
[短い言葉に応じて、すみれ色のふわもこ、きゅ、と鳴いてぱたぱたと]
[とてとてとてて。
そんな感じで、廊下を歩くは白梟を頭に乗せた少年。
その足取りは、どこかおっかなびっくり、という所か]
……ねー、白もふさん。
『……ヴィンターです、機竜殿』
[何度目なのか、このやり取り]
……ねー、白もふのヴィンターさん。
ここ、なんか、ふわふわするね?
『ふわふわ?』
……んと……空気の、感触?
ふわふわでゆらゆら。
時空竜に近くて、遠い感じ。
失礼しますよー。
[盆を抱えて、広間に入る。
顔見知りである雷撃王や翠樹王に深く一礼し。
見覚えの無い人物(ハンス)には若干軽い会釈を。
そして時空の竜らには僅か目を瞬くか]
えーと。その節はウチのがお世話になりまして。
そちらもお茶会メンバーだったんです、か?
[食器をテーブルに置きつつ、軽く首を傾げた]
[こわい感じはないのですけれど、やっぱり見覚えはない場所でした。
しばらくして、子どもの(といっても、ベアトリーチェだってもちろん子どもですけれども)声が聞こえた気がして、ぱっと足を止めます。どこからだろうとぐるり首を巡らせて、今度は曲がり角まで進んで、また足を止めました。
その先をそうっと覗きます。]
[返される苦笑は、哀しい事に見慣れてしまいつつあるもの。
ますます小さくなりながらも、告げられた言葉に目元が和む]
…それはようございました。
……?
[急に変わった様子を訝りつつも、旧知の方とのお話であろうと口を挟まず。
旅人からかけられた声に、こくりと頷きを返した]
はい、もう大丈夫にござりまする。
とんだ姿をお見せしてしまい、申し訳ございませぬ。
ああ、麒麟殿…ナターリエ殿だったか、お加減はいかがかな?
[聖獣の乙女に視線を向けて気遣う言葉をかけながら、嫌そうな顔の時空竜には、肩を竦めて見せる]
…あくまで、まだ噂にすぎない、のだがな。
どうやら、姿形も、あの時のまま、ということらしいぞ。
12人目、月闇王 カミーラ がやってきました。
月闇王 カミーラは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
―Kirschbaum―
[...は困った顔。]
[ハーヴェイとともにお茶会の準備に向かおうとしたのだが、双子(主に女の子が、だが)が「一緒にいくのーーーーっ!!!」と駄々を捏ね。]
[仕方なく、先にハーヴェイを見送って。]
もう……この子達は一体誰に似たのやら……。
[溜息一つ。]
[もしかしたらユリアンが心の中で突っ込んでいたかもしれない。「カミーラさんに、でしょ。」と。]
[膝を屈め、二人の子供の目線の高さでにっこり笑う。言葉遣いこそ変わねど、其処にあるのは月闇王としての顔ではなく、二人の母親としての顔。]
あのな、お父さんもお母さんも遊びに行く訳ではなく、お客様の御もてなしのお手伝いをするんだよ。
だからね、いい子で待っててくれるか?
[言い聞かせた後、カウンターの中のユリアンに向かって。]
この子達にもパフェ作ってやって。
[そう言った瞬間、双子達は顔を綻ばせながらカウンターの席によじ登るように座り、足をパタパタ。]
現金な子達だなぁ……一体誰に……。
[呆れたような、微笑ましげなような表情を浮かべつ、双子達の頭を軽く撫で。]
ま、すぐ帰って来るさ。ユリアン、後は任せたよ。
それじゃぁ、行ってくる。
……あれ?
[不意に、前方に感じた人の気配。
一つ瞬いて、足を止める]
……だーれ?
[首を傾げつつ、問う。
白梟は何か感じてか、ばさり、と一つ羽ばたいて]
おやおや。
お知り合いですか。
それも相当、因縁のありそうな反応で。
[途端、真剣に隻眼の男を見る青年へそう言うさまは、他人事だからと面白がっているに違いなかった]
ま?
[私は、とりあえず聞こえた言葉を復唱して、クインジーの首に腕を絡めた。]
いつ着いたの。
それに虚の子まで。そちらはうちの子の言ってた麒麟さんかな。
それと、あちらの方は誰?
何だか沢山お客様が増えたのね。
[私は挨拶の言葉を口にしてから、見たことのない男性を少し眺めた。*]
おや。どうも。
支度が出来ましたかね。
お手伝い、いたしましょうか。
[食器を運んで来た赤髪の青年に申し出る。
初めましての挨拶はない]
[入ってきた影輝の気配。
や、と言いつつ、手をひらりと振って]
いつぞやはどうも。
……いや、直接招かれた覚えはないんだけど、ねぇ。
[軽く返した後。
雷撃王の言葉に、凄く、物凄く、嫌そうな顔をした]
……出てこんでいいっつうの……。
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