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、もうっ
いったい、何、がー…っ
[けふけふと咳込みながら、悲鳴の元になった背中の何かを確かめようと手を伸ばして。
もふ、とした毛並みに触ったと思ったらぺたりとした感触が手を伝って腕に移ってきた。
そうして目視できる所までやってきたのは、つい今しがた見たのと同じ大きな尻尾を持った小動物]
……もしかして、さっきの子?
[そう問えば、返事の様に小さな鳴き声を返すリスに気勢を削がれ、けふん、と力の抜けた咳をついた**]
[とはいえまだ立ち上がるまでには至らず、
どこかおろおろした様子にも見える妖精に、
何と言葉をかけたらよいのでしょうか……と思っていると、
視界を横切る小さな影がまた一つ。>>36
もっともこちらは私にとって馴染み深いものでしたが]
……!
[ゼルマおばあ様の連れている黒猫さん――フィリックスです。
何がそんなに気になって駆けだしているのでしょうか。ひょっとしてさっきのリス……?
飼い主たるゼルマおばあ様も追いかけてきましたが、
おばあ様のお目当てはフィリックスとは一緒ではないご様子です]
…………満足したら、きのこもおとなしく手元におさまってくれるでしょうか。
[妖精に声をかけるゼルマおばあ様を横目にぽつり。>>37
無事に事が運ぶかはわかりません。それでも、]
……私からもお願いです。
もう一度歌ってくれないでしょうか。
おばあさまの言う通りきのこもなんだか楽しそうでしたし、
それに私も、妖精さんの歌が好きになっちゃいましたし……
[じいっと妖精を見つめて頼み込めば、やがて、
『……もう一度やってみる』という、か細いながらも確かな返事が寄越されました]
[ふわふわ、ふわり。
妖精は月の光を吸い込んだかのように青く染まったきのこに近付いて、
きのこをその場に縫い留めるかのような歌を澄んだ声で響かせます。
心なしか、先程よりずっと大きな声で歌っているような……。
だからでしょうか、
歌に合わせて傘の部分を振っているきのこの数もひとつやふたつではありませんでした。
きのこにお顔がついておりましたら、
きっととってもほのぼのとした表情をしていたことでしょう]
……これは、すごい、ですわね……。
っと、ゼルマおばあ様も今のうちに。
捕まえちゃいましょう。
……!
[今私の手の中にはもっふりとしたきのこの感触があります。
胞子をふき出すこともなく実に大人しくしております]
や、……やりましたわ!
ってそうだ籠の中に入れちゃいませんと……!
[慌てて私は籠へと一歩を踏み出します。
その後は小動物に足止めされることもなく途中で転ぶこともなく、
捕まえた青いきのこひとつを籠の中へ入れることができました*]
はい、いらっしゃい。
[フフ、と笑いながら受け止めたキノコを抱き込んで、ゆるりと振り返る]
ドロテアちゃんも上手くいったみたいねぇ。
本当に素敵な歌だものねぇ。
[同じように籠へとキノコを納め、ニッコリ笑った*]
[……そういえば青いきのこが現れるようになってから、
すっかり素手で捕まえてばかりになってましたわね……なんとなく。
イゾルデさんが貸してくれた虫取り網、
まったくお役に立たなかったわけではないのです。
ただ、きのこの逆襲に遭ったりうっかり空振ったりしてしまっただけで。
もっと採集上手な人なら網を使ってもバンバン捕まえられたのではないでしょうか。
今は邪魔にならないよう草むらに置いております。
あとで丁重にお返ししませんと]
ふふ、ここにも妖精さんの歌のファンがおりますわ♪
[ゼルマおばあ様の言葉を聞いてそう言った私は、
当の妖精さんより嬉しそうにしていました。
素敵な歌。
もっと色んな方に聴いてほしい気もしますが、
この妖精さん、あんまり観客が増えたら隠れてしまいそうでもあります。
……噂は噂のまま、その方が綺麗なのかもしれませんね――とも思いつつ]
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