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綺麗な目だと思うがな
[死体からもケネスからも目を離し、男は再びシャーロットを見た]
生きているうちにわかるのも居るんだったか
己は残念ながら該当者ではないが――
とりあえずは片付けるか
[窓の向こう、外を見た]
わざわざ、こんな夜に男と女がいりゃあなあ。
それとも晩餐と決め付けて切りかかりゃ良かったかい?
[皮肉には舐めた言葉を返し、補足された言葉に片方の眉毛を上げる]
あ゛ー、ソイツは残念。まだ獣は悠々と生きてるって訳か。
あら、それはありがと。
後で鏡見てこようかしら。
[褒められれば嬉しく思うのは、この状況でも変わらない。クインジーに微笑み礼を言う]
そう、クインジーには何も解らないと言うことね。
今のところは信じておくわ。
片付けると言うよりは…弔いね。
[つられ、外へと視線を向けた]
[シャーロットが見分ける者と察しても驚きは薄い。目の色を褒める声につられ滅紫と紅紫の瞳を見ても、へーとやる気のない相槌を打つだけ]
生きてる内になあ……
案外、ソイツがそうだったかもしれないぜ?
[隠れ蓑の減る発言に目を眇め、自分のことは言い出さずネリーを無精髭だらけの顎で示す。窓の外を見るクインジーに、攻撃も埋葬も手を出す気はないとばかりに両手をポケットに突っ込んだ。その中には皮鞘付きのナイフがあるがそ知らぬ顔]
切りかかって来るなら敵と見なしやり返すだけよ。
私、刃を向けてくる者には容赦しないわ。
[どこか自信に満ちた言。滅紫と紅紫の瞳は睨むように鋭く無精髭の男に向かう]
ええ、そう言うことになるわね。
誰がそうなのか、未だに解らずじまいだけれど。
[無精髭の男へ向ける視線は油断無い]
それは光栄――とでも言えば良いか?
[男は口元だけで笑った]
死体となれば、弔いも、片付けも、変わらないさ
――まぁ、誰が何であろうとも、ここに死体が一つ増え、
己は終焉の獣を殺す
それになんの変わりもない
外に出しておく
さすがにこんな夜中に掘る気はないからな
手伝ってくれりゃ楽だが――
[二人を見た右の目は、最後の窓で、*月光を見た*]
……そうね、そうかも知れない。
けど生きていたとしても、他の目に晒されないなら居ようが居まいが同じよ。
ネリーがそうだったかも分からない。
…それに頼らず終焉の使者を探すしかないわ。
今までと何ら変わらない。
[無精髭の男の物言いには同意を返しつつも、自分の考えを述べる]
私が取れる手段は、結局一つしか無いんだもの。
そいつは勇ましいこった。
だが、どうせなら獣を殺りな。
[シャーロットに短い口笛吹いて向けられる視線に口を歪める。無精髭に囲まれたそれが笑いと察するには見難い]
もし、まだ生きてる内に見分けられる者が無事なら獣見つけりゃ大騒ぎ始めるだろうさ。
獣と2対1…いや狂ったヤツもいれば3対1か。それで勝てる自信があるってある馬鹿ならしらねえがな。
[完全に人事の口調で言い切り、死体を抱き上げるクインジーへ目線を動かす。手を出さないが去りもしない]
…肉体労働はあまりしたくないのだけれど。
扉を開けるくらいはしてあげるわ?
[ネリーを抱えるクインジーにはおどけたような言葉を返した]
のんだくれ ケネスが「時間を進める」を選択しました
そうしたいものね。
けれど人が向かってくる可能性が無いわけでは無いもの。
むざむざやられなんてしてやらないわ。
私は死にたい訳じゃない。
[無精髭の男にきっぱりと言葉を返す]
一人で全て片付けられると言うなら、任せてしまいたいものだわ。
そう簡単には行かないとは思うけれど。
騒ぎ出すのは期待しないで待っておくわ。
[クインジーの言葉を聞いても動こうとしない相手を横目に見、緋色を踏みながら玄関へと向かう。両手が塞がったクインジーが出入りしやすいように、その扉を*開けるのだった*]
血なんざつけりゃ腹減らした獣が寄って来らあ。
手伝いなんざ勘弁だ。
[血に触れれば「見て」しまうかもしれないとは言わず。月に一瞥だけくれて、動き出した二人から一定の距離を置き*見ていた*]
村長の娘 シャーロットは、学生 ラッセル を投票先に選びました。
お尋ね者 クインジーは、教師 イザベラ を投票先に選びました。
己も襲われたくないが、手を下した以上仕方ない
[ケネスの隠すことなど思いもつかず、男はそう言って歩を進める]
[シャーロットの靴の痕、滴り落ちる血の筋が、玄関へと向かって続いていった]
[あたりをつけて、昨日、アーヴァインを弔った近くに運び、緋のそばに横たえる]
後は明るくなってからだな
先に風呂に入るか?
――ああ、お前が分かるというのは誰にも口にしないから、安心しろ
[どちらにせよ、夜明け前に自分も風呂に入るのは*変わらない*]
[やがて月が中天に掛かる頃]
[扉が小さく開き、闇のなか滑るように忍びこんできたのは、男の同胞たる少年]
[男は寝台の上、しなやかに身を起こし待ち受ける。]
[伸ばされた冷たい手、触れるのは熱い素肌。]
[壊れるを恐れるように少年の指が、滑らかな膚のうえを探る。]
[まだ幼さの残る顔に浮かぶ微笑は、あどけなさとともに匂い立つ艶めかしさを備えていて、男の欲望を耐え難いほど煽った。]
[男は裸の胸のうちに少年を抱き取り、]
おまえは、
俺が初めて出会った同族だから、
幼すぎて無知だから、自分が俺を好いていると思い込んでいるのだろう…?
おまえは、最初に見たものを親鳥と信じて追いかける、雛鳥と同じだ。
[その耳元に、嘲弄する響きの嗤いを吹き込む。]
そろそろ、誰か死ぬ頃かしら。
[数式で埋もれた部屋。灯りもつけずに、ぼうっと座っている。]
ふう………。
[傍らには投げ捨てられた手帳。
左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼
左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼
左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼
左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼左眼
とびっしり埋め尽くされている。]
…………。
[すくりと立ち上がり、どこかへふらっと出るようだ。]
[「こんな顔だったんですね。」
あのとき鏡を見て、口にした言葉はそれだけだった。
努めて無感動を装おうとしたが、声は震えていたかもしれない。
右眼は、鏡にうつるその左眼をしっかり捉えていたかもしれない。
「こんな顔だったんですね。」
その言葉を絞り出すのが*やっとだった*。]
だからこれもお前にとっては、
母の乳房を求める仔狼が、与えられたぬくもりにじゃれ付いているだけに過ぎない。
[すい、と紅い後ろ髪を一房掬い取り、指に巻きつけて玩ぶ。]
[昨晩のこと。
音楽室に食事を運んできた男が、或る問いを投げかけた。
『お前たちは、誰が終焉の使者――獣だと思っている?』
ギルバートは、静かに首を振る。]
……まだ、俺には分からない。
ここに居る人間と長く話しているわけではないから。
もし何か便利な道具があって、獣を探し出すことができたら素敵なのだろうね。もしそれを持っている人がいるのなら、是非名乗り出てきて欲しいところなのだけれど……難しいかな?
それより。
貴方は……何か、俺達の見立てでもしようとしたのかな?
いきなり単刀直入に聞いてくるなんて、奇妙な気がしたから。
[傷を帯びた隻眼の男の右目を、己の右目で覗き込む。]
「神の力」を借りることができない、醜い人間である俺にできることなんか……その人の目を見て、何を考えているのか、本当に信頼できる人かどうか、見極めることくらいしかない。
そして、極端な信頼や、渦巻くような疑念が沸くほど、貴方は俺に近くない――…だから、たとえ何かが分かったとしても、俺が貴方に話すには、あと場面が2つや3つ進まなければならないような気がするんだ。
[クインジーを見つめる琥珀色の瞳を細めて、笑った。]
――…ごめんね。
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