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[鋏と香袋は、落とさぬように懐へと仕舞う。
血の匂いを纏い、イライダの家を目指し駆けた]
窓を破ろうか……、いや。
呼び鈴押せば、案外簡単かな…?
物音に気付いて、逃げ出されちゃ敵わない。
[朱い瞳を眇めて、短い思案を置く。
どう?というように同胞に目を向け、同意返るなら呼び鈴を押す。
伸ばす指先、それは既に恋人の血に染まって赤い]
/*
今日からコミット進行だったと思うので動く。
明るくなってからイヴァンところ行こう。
葡萄酒の樽は必要なくなったからおいとくとして
カチューシャにデザートワイン、と
妹に手紙、は……まあ、墓で書けばいいか。
[素っ気ない声に、言葉を失う。
続ける言葉を少しだけ悩む様子の後、
おずおずと言葉をつむぐ]
…キリルのしたいように、して、いいよ。
[イヴァンが死ぬと言うこと。
彼女の詞から、きっとその場を見たのだろうと思う]
/*
赤襲撃…誰がやるんだ…。
キリルがやるのかな。
俺起きちゃうとロラン動けなくなるとか…思いつつ。
ロラン赤じゃなかったらどうしようwwwwwwwww
カチューシャ?まさかぁ… はは…
[一番だいじだと思う相手が目の前で死ぬという、
そんな心情を悟る事はできない。
また、そんな相手を大事な肉親が手に掛けるなどと言う事にいたっては、想像すらできない。
囁き届く相手を想う。
想像出来ない苦しみを、悲しみを想う。
だけどもそれは、本能に上書きされて。
その事実を悲しいとすら、思う事は出来ない]
ロラン、
[同胞の声に、幼馴染の気遣いを感じた気がした。
だから名前を呼んで、少しの間口を閉ざすけれども]
…ありがと。
でもしたいことなんて…───ない。
[いや、ひとつだけある。この飢えを満たすことだ]
[ロランが見渡しながら言う>>23のには「ははっ」と笑って。]
まぁ、細々したもんはいろいろと、な…。
[銃や罠の為の部品やら材料が、無造作に木箱あたりに突っ込んである。
壁にはロープや、網…。
一応の気遣いとして、流石に刃物は入ってすぐに目につく場所には置いていなかった。]
お前の寝床は、こっちだ…。
[入ってすぐの広間から、ローズウッドの扉を開いて案内する。
ベッドが二つ並んで置いてある、両親の寝室だった部屋。
不要な物は捨てたり、使ってくれそうな人に渡してしまったから、その部屋には散らかるほどの物は置いていない。
部屋にロランを通したなら、何か必要なことがあれば手伝い。
自身もベッドに横たわっただろう。]
[分かっている。
この事実、この感情に囚われ足を止めたなら、
恐らくはもう、二度と走ることは出来なくなってしまうだろう。
獲物を狩れない狼は、死ぬ。
本能がそう知るから、揺らぐ感情は飢餓の下に覆い隠されていく]
キリル。
―――キりる、
[本能が理性塗込める中、ギリギリに保つロランか
相方の名前を呼ぶ。
呼べる知性が有る間、何度も。
そっとミハイルの家を抜け出す。
自身を心配してくれるひと。
裏切る行為に1度だけ目を瞑った]
キリる、
…俺が、
[開け放つ窓。
身を投げるように飛び出せば、
既にK銀の狼はロランの体を受け止めるべく待っていた]
ロラン、
…────、ん。
[以前なら笑みひとつでも浮かべただろう、
名を呼ぶ声には、ただ一度呼び返して頷くだけ。
けれど短い応えには、拒絶する気配もまた、ないもの]
………イヴァンを食べて。
大事と一緒になることは、叶ったの。
[理性が勝ったのは雲が赤い月を隠すから。
問うか迷った言葉を、静かに紡いだ]
[沈黙に、言葉は返さない。
予想はしていた。
彼女が彼女の大事な恋人を失うことを。
彼女が彼女の大事な肉親を失うことを。
彼女が彼女の大事な幼馴染を失うことを。
想像と現実は違う。
思考を巡らせる間も、ロランを背に載せたK銀の狼は
夜の村を駆け抜け。
イライダの眠る家が見えていた]
[ひやりと硬い鋏を顔に寄せれば、金属と血の匂いがする。
ぺろりと舌で、こびり付いた血を舐めた]
……、
[ひやりとした金属が、手の内で暖かくなる。
それが人の温もりのようで、少しだけ目を閉ざした]
ロラン。
[黒銀の狼の姿見えれば、鋏は再び仕舞われる。
懐には獣避けの香袋もあったから、
匂いに敏感な狼たちは気付きもしようか。
それに頓着する風もなく、獲物の家に目を向ける]
呼び鈴を鳴らすよ。
[先の会話には触れず、狩りの話を向けた]
[扉が開いてミハイルが姿を現す。
男は彼を見て安堵の色を浮かべた]
ん、足を怪我したらしいんだが、
[思わず答えてから一度左右に首を振り]
イヴァン…!
イヴァンがやられた。
レイスかキリルか――…わからないけど、
二人が居て、イヴァンが倒れてて……
血溜まりが――…っ
[呼吸が乱れ上手く言葉が紡げない。
途切れ途切れの説明でどれだけ伝わるかは謎だった]
[ミハイルに促され家の中へと入り
カチューシャを示された椅子へと座らせる]
――…イヴァンが殺された。
[搾り出すような声で其れを伝える。
糸が切れたかのように男の腰が椅子へと落ちた。
深い呼吸を繰り返し考えるような間]
ミハイル、占い師の話を覚えているかい。
――…黙っていて済まない。
僕が、その占い師で――…
人狼を、……みつけた。
みつけてしまったんだ。
[柳眉を寄せて、ミハイルへと視線をあわせる]
――…キリルが、人狼、なんだ。
[微か震える声でそれを伝える。
キリルと近しいカチューシャは如何思うだろう。
彼女の顔を見られず、ミハイルへと花色を向けたまま
前日にイヴァンを視て人間だと知ったことも告げたのだった**]
[飢えを満たすためにやってきている。
ミハイルを送ろうと、軽口交わした彼女の家の前。
玄関の灯りは消えていたから、空を見上げる。
直ぐ上野窓が開いていた。
狼の跳躍ならば、届く高さ]
…キリ、ル
[遠慮がちに呟く声。
彼女の姿を待つ。
掴んだたてがみの下、K銀の毛並みが波打った]
…ん、
[淡々とした顔は、月に照らされれば冷たいものと見えようか。
普段表情豊かと評された顔に、今は一切の感情が浮かんではいない。
ロランの視線を追い、上を見遣った。
窓が開いているのを認めたが]
うん。
[頷き返るのに、呼び鈴へを伸ばす。
月明かりの所為だけでなく、
その姿は、腕も指先も既に赤く斑に染まっていた]
─ イライダの家 ─
[既に夜更け、空には紅い月が輝いている。
狼たちが少し、こちらを気にする風をみせた。
懐に仕舞った香袋の所為とは気付かず、軽く首を傾げる。
香袋の発する匂いは、今は感覚を邪魔しない。
或いはそれは、既に身に纏った血の匂いの所為かも知れなかった。
既にこの身は、恋人の流した血を浴びている]
…イライダ?
[やはり赤く染まった指先で呼び鈴を鳴らした。
既に血は乾いてしまい、肌は軽く引き攣れている。
だから辺りにべたりと血のつくことはないにせよ、
どこかその痕跡くらいは残ろうか]
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