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ああ……──。
…良い匂いだ。
あまり近付いては抑えが利かなくなりそうだな。
[震えは歓喜にも似たもので。
恍惚とした声が響く]
…どこへ行ってしまったの?
[風に揺れる白い夜着のまま。]
どこへ行ってしまったの?
…わたしの…。
[彷徨う歩みは裸足のまま。]
何を、探しているんだったかしら…。
[佇む姿は、まるで迷子のよう。]
[高らかに笑う主を見て、震えは徐々に収まったが。
今度は泣いていたようだった。
ロストを、初めての、待ち望んでいた大切な主を失った事は僕の中にまだ重く残っている。
だが全て失ったわけではない。
仕える主はもう一人、こんなにも力強くワラっている。
その事実に微か喜びを感じてもいて。]
…全ては、主様の心のままに。
この血に宴を。弔いの花を。
[声は冷静というよりは、小さく儚いものだった。]
[遠く。声が、する]
――る――いな、
[煩いな、
そう紡いだ心算の音は、言葉にならない。
額に手を当て、眼にかかる髪を掻きあげる。
触れている筈の手は、感触を上手く伝えてくれない]
[怖い。怖い。怖い。怖い。
心臓が早鐘のように鳴っている。
物も言わず、診療所の前に駆け込んでくる。
地面に転がった二つの体が見えて――
否応無い事実が頭に浮かぶ。
それを拒否したくて、膝をついてその顔を覗き込んだ。]
…………アー、ベル。
[しかし。
胸を貫かれた青年の顔は、昨夜から、ずっとずっと会いたかった彼のもので。
改めて、現実はユーディットに、非情な事実を告げた。]
[頭をなでられる感触にも気がついても、流れ落ちだした感情はとまらない。
手を引かれれば、ふらりと引き寄せられるように動き出す。
『歩けるか?』の問いには、まだ嗚咽がとまらずに言葉が紡げなくて。
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、顔を縦に振った]
[ザクリ、と切り付けられるかのような痛み。
遠い赤より伝わってくる高揚感と高らかな声]
( Wer bin ―― ? )
( 私は――…… )
[前を走る二人、奥に居る二人。
続いていこうかと思ったが、匂いと、その場を支配する雰囲気に呑まれ、足が竦んで動けない。]
…ユリアン、血の匂い…。
だれか、むこうで。
[肩から伝わる震えに、こちらも微か震える手を重ね置いた。]
紅き血の宴。
そこに咲いた華やかな花を。
ロストの弔いとして捧げよう。
報復の対象により作り出される、朱の花を。
[ゲイトの儚い声に力強く返す。
全てを愉しむような、はきとした言葉で]
[駆け出し、たどり着いた先。
そこに転がる、二つの体。
周囲を染める色彩は、容易に、状況を物語る]
……っ!
[しばし、言葉が失せ、それから]
この……馬鹿野郎が。
[零れ落ちたのは、掠れた声]
無理はするな、って……言ったろうが!
[苛立ちを込めたが向けられる先は明確か。
緑はしばし、青を見つめた後。
折り重なる姿へと向けられる]
[伸ばした左腕は異形のそれ。
引き寄せた右腕はヒトのそれ。
二つの腕が「見え」た]
…ああ。
[無意識の呟きに、一気に思考が立ち上がった]
――負けたのですね。
[悔しさとも悲しさとも、いっそ嬉しさともつかない感情が閃く]
[しかしロストのことは仲間とは思っておらず。
体の良い駒としか見ていなかった]
だがお前は俺が仲間へと呼び起こしたもの。
子に近いお前に、弔いの華だけは手向けてやろう。
[愉しげに口端が持ち上がる。
ロストの存在は己を愉しませてくれもした。
その礼くらいはしてやろうと、決意を心の片隅へと仕舞った]
アーベル。アーベル、何、やってるの。
[差し伸ばされた手は、アーベルの身体を掻き抱く。
膝をついて座り込んだまま、アーベルを横抱きにする。
深い傷が無数に付いた、血に塗れた身体。
中でも胸の傷は深く、大量の血がそこから流れ落ちていた。
それにも構わず、ユーディットは呼ぶ。]
アーベル。ねえ。
うそでしょ。
そんな、だって、そんな簡単に、探偵は、死んだりしない、でしょう?
ねえ。
[白いエプロンが、アーベルの血で朱に染まる。
くしゃ、と顔を歪ませた。]
ねえ、起きて、おねがい。
おねがいだから。
そうか。偉いな。お前は。
[ティルの頭を再び撫でて、診療所から離れようとする。その時になって初めて自分の脚も震えていることに気づく。]
…本当に偉いよ。お前は。
[空いた片手で膝を軽く叩き震える脚をごまかしならがらティルを連れて歩きそうとする。と、前方に数人こちらに向かってくる姿が見えて]
……ああ。
昨日も、嗅いだ。
[真っ直ぐ前を見た状態でイレーネに返しながら眉根が寄る。
重ねられる手に僅かハッとし]
イレーネは、行かない方が良い。
…今日の事だって、あるんだから。
[イレーネも自分同様手が震えている。
恐れを見せるその様子に、行かない方が良いと釘を刺した]
[遠く響く、もう届かない世界とは別に。
近くに揺れる気配]
………。
[吾子を探す母の声。スッと冷えてゆく感覚。
それを口にしたのは自分ではない。だがそれを勧め、見ていたのは間違いなく自分だった]
…………。
[そして腕に甦る感触。
もう一つの声は、その主のものと感じられて]
……、
[いつしか血の臭いのする場所――診療所の付近に辿り着き。ざわめくそこに近付いていく。こつり、こつりと、硬い、だがどこか浮いたような足音]
やあ、諸君。
ブリジット=フレーゲが……
[見えた数人の人影に挨拶をしかけ、途中で途切れさせる。立ち止まり、一度頭を押さえ俯いて]
ユーディ……。
[アーベルをかき抱いて呼びかけ続ける姿に、ふ、と目を伏せる。
彼女が抱く想いが何か。
それ位は察しがつくから。
けれど]
……もう、起きない、よ。
[それが現実なのも、わかっているから。
小さく、告げる]
[手を引かれるままに、ふらふらと歩き出す。
あとは、何を言われても反応を示さずに。他の人の姿が見えても、挨拶もせずに。
地面に、ぽとりぽとりと涙が落ちて、染みをつくった]
[起きてる。
言葉を返そうとして、
不意に、無意味な事に気付いた。
途切れていた記憶が蘇る]
死んでも、解放されないわけね。
負けたとも言えないんじゃない?
[遅れて、微かに聴こえた声を知覚した]
エウリノ…。
[赤い世界の涙はまだ止まらなかったけれど。
力強い声には段々と心が落ち着いてきた。]
ロスト様、ロスト様。
痛かったかな、最後、痛そうだった。
[かの人の断末魔は、赤い世界にも届いていた。
思い出せばまた涙が出てくるのだが、思わずにはいられない。]
花、ああ花を、寂しくないように花を…用意しないと…。
[足音に後ろを振り向くとブリジットの姿が見え。
いつもの名乗りを上げようとしたところで言葉が途切れる]
……先生?
[遠慮がちに声をかける。
声が聞こえないのか、ブリジットは頭を押え俯いている]
[答えはない。答えるはずもない。]
…………。
[泣きそうな表情でアーベルの顔を暫し見つめる。
エーリッヒの小さな声が、微かに耳に届き。形になって。
その意味がゆっくりと脳に染み込み。
――ユーディットは、アーベルの死を、受け容れた。
黙ったまま、ごしごしっと袖で目元を拭うと、その手でアーベルの目蓋を閉じさせる。
アーベルの身体を地面に寝かせると、ふら、と立ち上がった。]
[申し合わせたようにほぼ全員が診療所に集まっていることに気づき]
よ、よぅ。
[場に全く合っていない間の抜けた挨拶が口からこぼれた]
[ユリアンにはこくりと頷いて。それ以上は進まない。
青く震えたままでいたら、ティルを連れ立つハインリヒの姿が見えて、微かに頭を下げた。]
ハインリヒさん…。
[『一体向こうには何があったんですか』と口を開きかけたが、ティルの様子に問うていいのか躊躇う。]
わたし…?
…わたし。
誰だったかしら?
何処だったかしら…
[透けるその身は、こころすらも希薄。
振り向く淡い瞳は、何も映していない。]
…わたしは。
[無くしたのは、存在意義。
残ったのは、強い強い喪失感。
ぽっかりと穴が開いたのは、背中?お腹?それとも胸の中?]
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