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─数年後─
[一人の女性が歩いている。
まだ、大人と呼ぶには少し早い、真っ白い髪をした女性。
眸は色素が薄いのか黄色味がかっているが、白目かと見紛う程に白い。
彼女は村の外れに建てられていたという集会場の場所を訪れた。既に、木造の家屋は忌まわしい記憶と共に撤去されんと言いたげに、そこには荒れ地がただ残っているだけで、僅かに、ぽつぽつと疎らに生えた雑草の合間に小さな花が見えているだけだった。
五月の爽やかな風が、緩と嘗て名乗っていた少女の髪を撫でていった。]
[さぁ……さら……ららら……ざぁ……]
[靡く髪に散った小さな花びらが紛れ込み、細い指で摘む]
[右手には色鮮やかな花の束]
[薄紙で幾重にも包まれている]
[さぁ………ささらさ……]
[凪いでゆく風]
[とまれば]
[石で出来た慰霊碑へと、その花の束を捧げた]
[刻まれた名前達を口にする事なく読み]
[目を瞑る]
[軽快な馬の足音がする]
[荷馬車が止まる音]
[やがて肩に手が置かれ]
[長い沈黙]
[どれくらい経ったのか]
[何十秒にも感じられれば、何時間も経ってしまった、何日も経ってしまったようにも錯覚してしまう]
「行きましょう」
[紅をさした女の唇が動き、ブリジットは頷く]
[薄い色素の眸を瞬かせ]
[再び]
[荷馬車の音がし始め]
[遠ざかった]
[春の優しい風が吹く、昼下がりの*事だった*]
―集会場二階・個室―
[目が覚めた。覚めてしまった]
…覚めなきゃ良かったのに。
[夢現に聞いた、闇のような声が言うように。
眠るまま、永遠に目覚めなければ]
[枕元にいる白い仔猫を撫でる。
仔猫は僅かに震えて目を開いた]
[そっと、寝惚けている仔猫を抱き上げる。
階下に下りて、厨房を抜けて裏口に向かった]
―→集会場外・裏手―
[皆の眠る――器だけが残る土の盛り上がり。
目の覚めた仔猫は自分の腕から降りて、にぃと鳴いた]
…10日くらいしか経ってないのにな。
[一緒に居たのは。
失い始めたのは]
[ずっと、ずっと、喪失感が酷くて]
……ごめん、な。
[謝罪の言葉が口を突く]
[もう皆の心は、それぞれの場所に往ったと知っているけれど]
[にゃぁ、と。また白い仔猫が声を上げた]
―→集会場内・居間―
[ソファを見遣る。
此処に残るもう一人の生存者はまだ寝ていた]
[長く眠っているのはこの数日の疲労からか。
それとも肩の傷が齎す熱の所為か。
恐らくはそのどちらもなのだろう]
[彼も自分も力を持つ者で。
それが云うには、能力者が揃うと人狼事件発生の条件がひとつ埋まることになる。
だからハインリヒは必ず此処を出て行くだろう]
[そうして俺は、一人になる]
[白い仔猫と]
[動かない機械の犬と]
[誰も居ない墓を]
[たった一人で護り続ける]
[もう応えを返さないそれを服越しに握る]
[ブローディア、と。彫られた花の名を名乗ったそれを]
…なぁ。
俺が死んだら、事件発生の確率、減るんじゃねぇ?
[応えは矢張り、返らない。
責めるような痛みも走ることはない]
[それは人狼事件の条件消滅を以って眠りに落ちた]
なぁ…お前も連れてくべきだよな…?
[そうすれば、もう二度と]
[階段を登り、部屋に戻る。
機械犬を抱いて答えの返らぬ問いを宙に投げ続ける]
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