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ふむ……実に興味深いご指摘ですね。
[ナサニエルの意見を、メモにとる。]
「忘れたい何か」があるから、選ばれた。
なるほど、それは興味深い考察ですね。
もしかしたら、実際忘れているかもしれないわけです。
[首を捻りながら、メモを眺める。]
お前もそう死に急がないことだ
[イザベラに言いながら、丁度目に入ったナサニエルへと言葉を投げる]
倒れていたんだから、休んでいたらどうだ
今すぐに何か起きることもないだろう
そこのお前も
[向かう視線はハーヴェイへ]
血の臭いをいつまでもさせているな
もし万が一、人狼が居るとして――お前は良い餌になるんじゃないか
忘れたい、何か。
[小さく呟き、左の腕を押さえる。
刹那、浮かんだ翳りを振り払うよに、蒼氷はしばし閉じられる]
『番人』には、これ以上は何も期待できそうにないだろ。
言うだけは言った、って感じだしな。
[開かれた蒼氷は、常磐へと向いて。
それから、窓の向こうの月へと向かう]
……少し外、歩くか。
[零れたのは、小さな呟き]
それは結構なことです。
少なくとも、仮定の域を出る推察をするには、
未だ必要とする情報が足りないのですよね。
[シャーロットの言葉を受けて、諦めたようにメモを閉じる。]
貴方。見たところ、優秀そうな印象を受けます。
そのような優秀な遺伝子が、血液という形で
外部に流れるのは大変勿体のないことです。
飲み干して、貴方に肖りたいものです。
その方が、有益な気がしないでもありません。
[にこりとハーヴェイに。]
どうも安定しない……
だいぶ、思い出せてはいるのだが。
[記憶の上書きに伴う負担に、脳髄が悲鳴を上げているのだろうか。]
夜は冷えますから。
[呟く言の葉は、何処までが真実か]
[熱は与えるのみ。奪う事は無い]
さあ。
作為など、何一つございませんが。
[碧眼を伏せ、身体を離す]
――では。
[かけられた息をかわす様]
[女は、歩みを始める]
[それは外へ向かう*方角へ*]
……大きなお世話。
[クインジーに返すのは、吐き捨てるよな一言。
彼が扉の方へと向かったが為か。
外へ出るために、そちらへ向かう、という選択肢は選び難く、しばしその場で逡巡する]
そりゃどうも……と、言う所かね、ここは。
もっとも、そう言われてはいそうですか、ではどうぞ、と分けられるもんでもないが。
[イザベラに対しては軽く、肩を竦めて見せた]
そう言うことよ。
現状はあまりにも漠然とし過ぎてる。
[メモを閉じるイザベラに肯定の言葉を返し。人が散開するような様相に、使用されたティーセットを片付け始めた]
私は少し休んでこようかしら。
考え過ぎて疲れちゃったわ。
ああ、残ってるクッキー、食べたい人が食べてしまって良いから。
紅茶も残ってるけど、冷めてると思うから飲みたいなら淹れ直してね。
[ポットとクッキーの皿の横に未使用のティーセットを並べ、使用済みのティーセットをトレイに乗せて立ち上がった]
[ともあれ、ここにいても何が変わる訳でもない、という思いはあり。
逡巡の後、手をかけたのは、窓]
……ああ、悪いが、中から閉めといてくれ。
[広間にいる者たちにこう、声をかけ。
返事を聞くより早く開け放つと、窓枠を身軽に乗り越え、月の照らす世界へと*飛び出した*]
忘れたい、何か。
[落ちた視線は布に包まれた足に向く。
踝の痕は翠からも隠されている]
足掻いて、抗って。
そうすれば違う終わりを迎えられるでしょうか。
[口元だけで笑う男に投げた言葉は、確認の響きを帯びて]
その通りのようです。
私も少し…。
[立ち上がり、一瞬の停滞を挟んで椅子の傍を離れる]
死に急いでいる心算はありませんよ。
自分の限界は知っています……その筈です。
ああ、すみません。
意地を張っているのではないですよ。
目眩さえ治まれば……多分。
それに幾分かましになってきました。
[少しまだ疲れの残る顔に刷毛で刷いたような脆い笑みを浮かべた。]
あ。
[窓から抜け出してゆく青年は止めるまもなく。
残された声に何となく従い、開け放たれた窓に近寄り閉じた]
…失礼します。
[それから広間に残っている人々へ礼をして。
ゆっくりと扉から*出て行った*]
[部屋を出てゆく面々を見送り、軽く会釈をする。
それからゆっくりと大きな息を吐き、]
[どさり、とソファに倒れ込むように深く身を委ねた。]
ふーん、作為ねえ…。
[かわされた白い面で長い睫毛が伏せられ、離れていく姿を見送る。与えられた熱が消えて行く]
あーあ、行っちまった。
素直に乗りゃ美味しい思いが出来たかねえ?
惜しいことしたかも知れねえが…今はお前が一番さ。
[抱えた酒瓶の一本を持ち直し、音高く口付ける]
あ、ちょっと。
[窓から出て行くハーヴェイに声をかけるも、既にその身は外へと躍り出て]
…一階だから良いものを。
二階とかだったらどうするつもりだったのかしら。
[一度トレイを置いて窓を閉めるかとも思ったが、それはネリーがしてくれたようなのでそのままその様子を眺め。広間を出て行くクインジーとネリーを見送る]
ナサニエルも、眩暈が治まらないようならそこで休んでおくのよ。
また途中で倒れたりされてもかなわないわ。
[ソファーに身を委ねる様子を見やってから、「それじゃ」と告げて自分も広間を辞した]
女の尻追っかけるのも悪くねえが、一晩の宿の為に貸しでも作っとくか。
[外への扉を一瞥し、重いブーツを前に動かす。途中見かけたクインジーに内心の冷や汗を隠し、シャーロットとすれ違いに広間へ戻る]
私はかつてナサニエルだった、
今はしかし『 』だ。
[確認するように呟く。]
……いや。
今も私は覚えている。
まだ、私があなたをどんなふうに想ったのか覚えている。
ほらよ、気付け持ってきてやったぞ。
[ソファーに沈む青年に場違いに緊迫感のない声を投げ、無遠慮に踏み込んで面々を見回す。ぼさぼさの髪と同色の髭面が呆れを示した]
…おいおい、何そろって湿気た面してんだ。
この世の終わりでも来たわけじゃあるめえしなあ?
[物憂げに、仰のいていた顔を髭面の男に向ける。
瞳は暗い青に沈み、視線に力は無く、]
[掲げられた酒壜にだけ、口の端を僅か持ち上げた。*]
[キッチンへ向かおうと廊下を歩くと、反対側からナサニエルを運んできたもう一人の男性が歩いてくる。あ、と声を出しかけたが、それは漂ってくる特有の匂いにより飲み込まれた。暗がりの中、眉根に皺が寄っていたのは果たして相手には見て取れただろうか]
……お酒くさーい!
どれだけ飲んだらああなるって言うのよ。
[その言葉を発したのは、もちろん相手の姿が見えなくなってから。ナサニエルの恩人と言う認識から一転、酒臭い男として認識された]
[その後はキッチンへと向かいティーセットを片付けて。全て終わると階段を上り空いている部屋を見つけて中へと入った。疲れのみならず、話を聞いての緊張もあったのだろう。それが解けると共に睡魔に襲われ、ベッドへと横になると直ぐに意識は*闇の中へ*]
[終焉。
己が発した疑問を切欠に、頭上で飛び交う話題。
物思う瞳は何も語らずにいたが、
話題が収束する頃、顔を下へと向け、
伸ばした爪先を弄びながら呟きを落とす]
終わりの刻の為に、選ばれた。
それは、誰の為で、何の為で。
[言葉の群れから、一つ一つを掬い取る。
けれど、掴み取れはしない。
音もなく、滑り落ちていく]
……やっぱり、よく、わからないね。
[疎らに人の散りゆく室内に、視線を走らせる。
薪の爆ぜ、朽ちていく音が鼓膜に響く。
焔を生み、黒く染まり、潰えるさまを見送った]
分からないけれど。
滅ばないなら、壊れないのだろうか。
皆はすぐに、壊れてしまうから。
[戸惑いも憂いもなく、ただ、淡々と]
貴方のような人は、きっと、好き。
こうして話す人も、初めてだから。
[愛を囁くには稚くも無機質な聲が返る]
[傍らに置いていた画材を拾い上げ、
立ち上がり埃を払う]
ん、さみしくなった。
[少なくなった人気に独り言ちる頃、男が一人、入って来る。
名は知らぬから呼ぶことは叶わなかったが、
能面とも異なる、しかし表情の薄い顔を向けた]
この世の終わりは来るか知らないけれど、
あなたの終わりは来るかもしれないよ。
そういう話を、していたんだ。
[ほんの一部だけを拾って、言葉を返す。
直後、僅かばかり眉根が寄った]
……変な臭い。
[瓶が差し出される先、
ソファに身を預ける男へと視線を移す]
美味しくなさそう、薬?
[掠めるような笑みは目に入らず、疑問を発した]
ナサニエル――だっけ。
ナットは、きちんと飲んで、ゆっくり休んでね。
治らないで動けないのは、辛いだろうから。
[様相を暫し見詰めた後、勘違いをしたまま広間を出て行く。
薄暗い廊下を歩む足裏に、古びた城の冷たさが*伝わった*]
知っていれば、俺と関わろうとはすまい。
お前は生まれたての仔と同じだな。
においが……あたらしい。聲も稚い。
[探るように聲で相手の『聴く耳』の縁を撫でてゆく。]
きっと、知らないのだと思う。
全てを憶えているわけではないけれど。
誰もいない部屋――其処に居たから。
[労りの声を発した後、加えられる言葉]
[人には聴こえぬ、密やかな会話]
ナットは、どうだった。
ナットは、昔から、ナットだった?
ああ、聞きたいけれど、今は休んで欲しくもある。
良くなったら、教えてくれる――?
[昔話を強請る子供のように問うて、離れた]
そうなの?
[微か聲が震えた][擽ったそうに]
僕には貴方の匂いも聲も、
よくわからないけれど。
奥底が、あたたかくなる気がする。
[紡ぐ音無き音色に、抑揚が生まれる]
そのうちに。
話そう、お前に――
共に終わる世界を見るであろう、お前に。
すべてを。
[水面に投げられた小石のゆらゆらと沈みゆくごと、男の聲は深く深く底へと沈んでいった。*]
あ゛ーん、俺の終わり?
人形見てえな面して言うことが穏やかじゃねえな。
[薄暗がりで見たシャーロットより格段に表情のないラッセルの言にも大して衝撃を受けず。ナサニエルへ歩み寄り手にした瓶の小さい方を差し出す]
ほらよ、その顔なら自力で飲めんだろ。
[戻す手で自分も瓶の蓋を開け、一口含んで髭面を歪ませる]
くはー、最高に効くぜえ。
変な匂いもまずそうな味も、薬ってなら納得かい?
[ラッセルの方に酒臭い息を吐き、テーブルにあったクッキーを鷲掴んで大口開けて放り込む。噛み砕きながら暖炉に目をつけ、その傍に胡坐をかく]
まあまあじゃねえか。
しっかし何の統一感もねえ連中だな。
一体なんであんたらこんなところに集まってんだ?
[図々しく暖を取りながら上げた声は現状をつかむ為ではなく*単なる興味本位でしかない*]
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