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[明日の式典の間は、一度村中の全ての日が落とされ、
舞台で焚かれ、シャーマンの祈りが込められた火を
各自持ち帰ることになるだろう。]
[実行委員が先導し、街灯の替わりの雪灯篭に火を灯しながら
民は各々一番大切にしているランプに火を貰い自宅へ。
そうやって、ゆっくりと広場から灯火が村の至るところへ。]
[……明日は一日村中に雪灯篭を作る事が仕事になるだろう。]
妖精の存在を信じられないのは…仕方のないことだと思います…。
[――私達は、捕まえられるのを嫌いますから。と、
小さな声で呟いて。
それ以上は、何も言えずに…。俯いて、瞳を閉じる。]
[――あの時も、答えずに来てしまった問い。]
「……何故だ?」
『妖精との約束を破ってしまったリディや、妖精なんて嫌いになってしまったベアトリーチェ。
そして誰より…ご主人様が攫われて欲しくなかった。』
「何か、不満でもあったか。」
『不満なんて…何も無い。
だけど、否定してしまったら……何故辞めるのか。
言うまで絶対に許してくれないと思ったから…違うって言えなかった。』
[暗くなった現在、舞台の設営は終盤で。
天井を覆うようにかけられた白い布がトーンダウンした祭りの喧騒に揺れる。]
「今日の所はこのあたりだな。」
[実行委員の誰かがそうつげ、準備に駆り出された面々が開放される。]
――そう、やっとお勤めも終わりね。
[小さく呟き…自身に宿る妖精に声をかけた。
頭の中で、怒られないですむ、とは言うモノの、あまり…嬉しそうには聞こえない声]
…まぁ…今更なのよ。
最初っから…ユリアンを見守っていれば良かったんだから。
[その呟きは喧騒へと消える。
向かう先は…広場]
……………………
[明日の夜には祭りは終り日常が帰ってくる…はずである。]
[そうは言っても、祭りの最中に欠けていった
いくつかの日常がはたして戻ってくるかはわからず。]
[青年は小さく溜息をつきつつ、
準備から開放されたので舞台裏を後にする。]
[その手には二つのガラスが交わり合った装飾。
色は黄色と透明で…光を表していた]
…でも、ね。
ユリアンにとっては、良いチャンスだったんじゃない?
ミリィにも、本当の気持ち、言えたんだし…ミリィは聞いてたかは知らないけどね。
家族にも…本音を言える、チャンスなんだし。
[軽く目を細めると、小さく呟き…]
…だって、ユリアンはユリアンだもの。
まぁ、少し…悲しいけど。
……ミハエル様の信用が、無かったんじゃなくて…。
私が………勝手だった、だけ…なんです…。
『――正直に全て話したら。ご主人様は優しいから、行かせてくれないと思ったんです…。』
[――瞳を閉じたまま、ぽつりと、囁くように。]
『ねぇ、ユーリィ』
……なんだよ?
『一つ、聞きたいんだけど』
……なに?
『……逃げられると、思ってる?』
は……?
[相棒の投げた問いはやや唐突で。
知らず、とぼけた声が出た]
[…すれ違う人々は、火を灯したランプを持っていて。
ソレを見ながら広場へとたどり着き…]
…ともかく…王様には言っておいてよね…
仕事させるんなら、ちゃんと聞く耳持ちなさい、って。
[くす、と小さく笑うと…
雪灯籠からランプに灯を移した]
[青年が舞台裏から…屋台に寄って糖分を補給しようとしたところで
ぼんやりと舞台を眺めるユリアンを見つける。]
[非日常により欠けたに地上が戻るかの要…に、なるのだろうか?]
[そのボンヤリした姿は、とてもそうは思えず。]
[青年は甘いグリューワインと、甘さを押さえたグリューワインの2つを用意し
ボンヤリしたユリアンの後に忍びより
甘くない方のマグカップを、その頭へ軽くぶつけるようにおく。]
逃げるって、何から?
『取りあえず、王じゃなくて。
それ以外のイロイロ』
親父以外のイロイロぉ……?
何だよ、それ。
『…………』
[言われた言葉の意味を理解しあぐねて問えば、相棒、処置なし、と言わんばかりにため息をついた]
[俯いたユーディットを見――溜息。]
[寝台から立ち上がれば、ゆっくりと歩み寄って]
[ぽふり。]
[普段より背の低い少女の頭を撫でる。母が自分にそうするように]
……僕は。
自分の事にばかり感けて。君の心情を理解もせず。
悩んでいるだなんて、知らずにいた。
[翠玉の双眸を、ゆっくりと閉じる]
主として、……不甲斐無いと、思った。
君の勝手を怒りに来たのもある、が。
僕の勝手を謝罪に来たのが、第一だ。
それと。
僕は君を、解雇したつもりはない。
君は約束を守ったのに、僕は守っていないのだから。
……んなっ!?
[頭にぶつかる、軽い衝撃。
その衝撃に物思いから我に返り、はっと振り返る]
一体な……アーベル?
[青の瞳をきょとん、とさせつつ。
カップを手にした青年の名を、ややとぼけた声で呼び]
[ランプに火を灯すと、ガラスはその光で辺りを照らす。
黄色の硝子。
透明な硝子。
そして、曇り硝子。
…金と銀の光を出すつもりで]
ぇ?何?
…良いじゃない。
これぐらいの…手間賃は。
[ポツリと零すと、その視界にユリアンとアーベルの姿が入り…軽く手を振った]
[飲み終わった紙のカップは捨てて、
子供は砂糖の花をもう一瓶、買った。
それから、広場へは向かわず、
村の外れの方へと歩き出す。
人波に飲まれるように、子供は、
丘へと向かう。]
―村の外れの丘―
ノーラさん?
[白い月の冷たい光が、
白い雪を照らしてる。
村の中はあかりでたくさん。
だけれど子供は、
その白の方が好きだった。]
王様の馬を集めても。
兵隊をたくさん集めても。
全てが綺麗に元に戻ることは有り得ないのかもしれない。
――それなら、せめて。
終わるまで、全てを見届けようと。
[覇気の抜けた姿に、もう1つ溜息]
……準備は済んだの…か?
[結界をこわす、妖精王を引き摺り出す…
…………そしてミリィを迎えに行く。]
……ミハエルに先をこされているみたいだが。
[と、先にユーディットに会いにいった少年の事を持ち出す。]
[ホットチョコレートの入ったマグカップを両手で包んで
そっと自室の窓を覗き込めば、ガラスが白く幕を作った。
それに、さほど気にした様子を見せないまま
窓の外から見える、準備作業の進められる広場をぼんやり眺めて]
[問いに、一つ瞬いて。
それから、ああ、と頷く]
やらなきゃならない事は、全部片付けた。
後は、時間を待つだけだな。
[先をこされて、といわれれば、ただ、苦笑するしかなく]
ま、それは……仕方ねぇだろ。
[ため息混じりに言った後、手を振るイレーナに、こちらも手を振り返し]
……あの灯りを見るとさ?
もうすぐ終わっちゃうんだなーっていっつも思うんだよね。
まぁ、村中が灯ると…すっごく綺麗には違いなんだけどさ。
少しだけ寂しくなるの。
[小さく笑みを浮かべたまま
――誰に投げかけるでも無く、ぽつりと呟いて]
―――――。
[ランプを持って二人の元へと向かい…]
…ん、準備はすんだの?
[そう言うと、辺りを見回し]
…コレを見ると…
もうそろそろ、終わり、って感じだね。
…やっぱり。
惚れた女には迷惑かけるわ
年下に先を越されるわ…………成功…させろよ。
そうじゃないと、あんまりに情けない。
[空いた手を、ポン…と、
叩いてるのか撫でてるのかわからない強さでユリアンの頭に。]
そして、ちゃんと言うんだぞ。
[あきれたような溜息。ゆっくりと近づく気配。そして――
ぽふり。
頭に触れた温もりに、刹那…身を震わせて。そのまま
――雪のように静かに降る言葉に、耳を傾ける。]
ああ、やるだけの事はやった。
後は、時間を待つだけってとこだな。
[再び投げられた問いに、同じような答えを返して。
それから、自分もゆっくりと、周囲を見回す]
ん……そうだな。
祭りももう、終わり……か。
いちごがもやされるれ…!!(呆然)
けど本当限界…。今日地下鉄も地元沿線も3つづつ乗り過ごしたCO…。
ちなみに、地下鉄は終点より1つ手前が下車駅。
(=終点について、戻ってまた過ぎたらしい。)
………お、おやすみなさい(力尽きた)
……言いたい放題だな……まあ、否定できねーけど。
[言われた言葉と、頭に乗せられた手にやや、むっとしたような表情を覗かせるも。
最後の一言にそれは影を潜め、ああ、という短い返事が零れ落ちた]
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