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[ライヒアルトから受け取った玉ののる手の中。
ころり、転がし翡翠が揺れるを見詰める。
そうして宿で過ごすは半日ほど。
夕刻になれば、アーベルに本日のおすすめをきいて
それを夕食として頂きその日の糧とした]
ねぇ、アーベル。
昔、使わせてもらった部屋、空いてるかしら。
空いてるなら――…、明日から借りたいのだけど。
[アーベルに尋ねるのは家出を繰り返していた頃に
使っていた部屋が今あいているかどうか。
其処に泊まりたい旨を彼に伝える]
カルメンは何か良い方法が思きそうかしら。
[鍵を壊す方法について、彫刻家である彼女の意見も求めた。
何か使える道具でもあったなら、ただ力任せに壊すよりも音は立てずに済むのではないかと考えて。
なくても時間をかければどうにかなるものかもしれないが]
[視線感じて其方を見遣ればエーリッヒの隻眼と蒼が交わる。
こと、と首を傾げてみせるが
ブリジットと共にいるなら何も言わないまま視線を戻した。
夜が訪れる前に女は宿を出る。
寄り道もせずまっすぐ家に戻ると明かりを灯して
広げられたままのスケッチブックが置かれた机に向かう。
机の上にお守りの玉を一度置いて
代わりに手にとるのは貰い物のキャンディ。
暫くの間、キャンディの包みを眺めていたが]
おなかすいてない時に舐めるのは勿体ないかな。
[夕餉をしっかり食べた事もあり
それを口にするのを先延ばしにした**]
まあるいのも可愛いと思うけど。
[ノーラの想像する像を知らぬまま呟く女は
ぬいぐるみの狼のような子供受けするまるさを想像していた]
[鍵を壊す方法を問われ暫し考えて]
――…蹴破る、とか?
[とても豪快な手段を口にする。
木材の扉であるなら彫刻の要領で刳り貫くとか
そんな方法が頭を過ぎるのだけど]
布で覆って音を極力消すなら……
金槌を使う、とかかしら。
[うーん、と思案げな様子で呟いた**]
布で覆って、金槌で叩く?
やってみるか…?
[カルメンの声を聞き、シンへと窺うような声。
もし違う方法にするとして、
直接その場で考えれば良いかと、狼は其処で考えを放棄した。
――寝静まった時間。
しんとした空気が震える。
シンの姿を廊下で見ると、口元が笑みの形に変わる]
行こうぜ。
昨日はお前、欲求不満だろうから、
今日も、心臓食えばいい。
[思えば狩りを楽しんだのは自分だけだと、
苦笑じみた表情を浮かべ]
手を噛まれんのは、俺の方が良いだろ。
万一傷が残っても、いつものように寝てりゃ、誰も気付かねぇ。
たかだか子供の力だ、そこまで酷いとは思えない。
[死の間際に噛まれても、人間の子供の力は、そんなに強くないだろうと。
喉の奥まで拳を突っ込めば、口もそう閉じられまいとも考えを告げる]
まー、ドアを壊すのやってもいいけどな。
どっちやりたい?
[片方はドアを開ける方、
片方は手を噛ませ声を殺す方]
――こういうのって女が決める方が良いだろ。
[レディファーストの精神、なんて言葉でもって笑った。
狩りの前の身体は、愉しそうに鼓動を早くしている**]
―ロミの部屋―
[コンコン、とノックをする。
まだ眠っているかな、と思いつつもう一度。]
ろ、ロミ、ちぁん、
[声をかける。
返事も物音もしない。
ふと見下ろすと、鍵が壊されて外れた螺子が落ちていた]
――――――〜〜〜〜ッッ!
[弾かれたように、部屋へと飛び込んだ。
力任せに開いた扉が、大きな音を立てる。
倒れ臥す小さな身体に駆け寄って手を掛ける。
肩を起こしたのに、着いて来ないクビが逆に曲がって]
ァ、あ、あ、あアァァァおおおおおあアアァァァ!!!
[悲鳴と言うよりは、獣の咆哮のような声が
宿に響き渡った]
[その身を掻き抱いて蹲る。
彼女の腹が不自然にへこむのは臓腑が失われているせい。
何かを噛んでいたかのような口は、
まるで恐怖を訴えているようにも見えて、]
わ、ワタし、の、せい……ダ、…
ゴメンなさい…
ままマタ、こ、ここコンナ、…
もモウ2度と、っててテ…
ゴメンなさい…
わタシが、こ、コロしした…
ゴメンなさい…
[そのまま、ブツブツと虚ろな目は何も映さず*]
可愛いかしら。
[イメージのズレに戸惑いながら囁いて]
試してみる価値はありそうね。
用意をお願いできるかしら。
[ウェンの声に返しながら、カルメンに頼んだ。
夜になるとヨハナの死によって憂鬱になっていた気分を振り払い、人の形は保ちつつもより力を使いやすい姿となり廊下へ出た]
いいの? ならいただくわ。
お腹が空くと、ぼんやりしやすくなってしまうし。
[苦笑するウェンに小首を傾げつつ。
最近空腹を覚えやすくなっていることを思い、服の上から腹を手で擦りながら遠慮せずに頷いた]
ウェンは紳士ね。
[レディファーストと笑うウェンに、唇が艶やかな弧を描いた]
それもお願いしていいのなら。
私は手を見せる必要が出来てしまうかもしれないもの。
[腕輪のことだ。まだすぐには直りそうにない話だったが、着けてくれといわれたら腕を晒さなければいけないので、万が一を考える]
でもそれなら、心臓は分けあわない?
痛い思いをする分の褒賞はあるべきだと思うのよ。
[子供の力とはいえ、窮鼠猫を噛むように無傷でいられるとは限らないだろう。提案しながら布を取っ手に巻き付け、カルメンから受け取った金槌を振り下ろした]
―回想―
[ライヒやノーラ、ウェンデル達の会話を聞きながら作業していると、
カルメン>>49から話し掛けられて。]
あの部屋なら空いてるよ。
カルメンのもう一つの家、だし。
[にこ、と笑いながら鍵を手渡して。
いつもと同じように戸締まりなどの確認をして、
その日を終えた。]
[鈍い音が響く。一度では終わらずに二度三度と繰り返し、時間が掛かっていることに焦りを見せる]
まだ無理かしら。
[巻いた布をずらしてみると、壊しきれてはいなかったが螺子が歪んで飛び出してきていた。指で摘まみ引き抜いて、力任せに取っ手を引けば、ようやく壊れて鍵は用を成さなくなる]
ウェン。
[お願い、と扉を開いて合図を送った*]
/*
おっと、赤でサンドイッチしてしまいました。
アーベルさんごめんなさいねw
さてと。ヨハナさん発見ロールも流れは考えてありますが。
動くかしら、動かれないかしら。もう少しだけ、様子見。
―翌日―
[普段通りに起きると、いつものルーチンを開始し始め。
獣の咆哮のような声>>53が聞こえたのは、掃除の途中だったか。]
…ごめん、母さん、行ってくる。
[た、と聞こえた部屋の方へ駆けて。]
…ゲルダ、さん?
………ロミちゃん!?
[室内の状況に目を見開いた。]
リネン室から、シーツ持ってくる。
[短く告げて、真白のシーツを取りにリネン室へ。
戻ってきた時には数枚のシーツとタオルを手にしていた**]
…――――――、
[名前を呼ばれて、緩慢な動きで顔を上げる。
短く告げられる言葉にパチリと瞬いて]
あ、―ベゥ。
[呟いた声は小さく。
彼が戻った時に手にしていた布を見ても、
暫くは掻き抱いた死体を腕から離そうとしない*]
― 夜半 ―
太った人狼はノロいんじゃね。
[可愛いとかには何も言わないが、そんな主張。
良いのかと問うには首肯を返した]
俺はそんなに腹減ってねぇし。
わかった。んじゃ、お前が開けて、俺が押さえる。
――ん?
あー、そんなら一口、くれ。
[それで十分だと伝えれば、金槌を振り下ろすを見守った]
[鍵が壊され、扉が開かれる。
シンが己の名を呼ぶのに、狼は頷き、ぐっと足に力を入れる。
ほんの数歩の距離を詰めるのは、一瞬。
ロミは起きていただろうか。
寝ていたにせよ、その口を一度手のひらで塞ぎ、
すぐに薄く開いた唇を、拳で割った。
子の表情は、見ない。
餌づくような音を、喉が漏らす]
シン
[来い、と。
少女の体を前に呼ぶのは、毒の様な甘い肉体に、歓喜した声**]
― 前日/宿屋 ―
[ベアトリーチェからはどんな話が聞けただろうかか。何か用事があると断られたら、この地方ではどんな風に御伽噺が伝わっているのかを手の空いてる人に聞いたりして過ごし。
ランプの油が何度か取り替えられても、ヨハナは戻ってこなかった]
様子を拝見してきましょう。
泣き疲れてしまわれたのかもしれませんから。
[誰か一緒に来る者はあっただろうか。
女性一人の所に行くのだからと男性にはやんわりと断りを伝えて、場所を聞いた自衛団長の家に向かう]
― 前日/団長の家 ―
どうしてもというのなら私の背中を見張っていてください。
泣き腫らした姿など、あまり見られたくないものですわ。
親しい方には特に。
[当然のように団員の監視もついてきて、追い払うことができずにそう譲歩を迫った]
失礼します。
[鍵が掛かっていなかったのは、立ち寄っただけのつもりだったからだろうか。慎ましやかだけれど居心地のよさそうな居間を抜け、奥の部屋を覗いて大きく息を呑んだ。
ぶらん、ぶらんと揺れる白い縄。
床に倒れた椅子。
広げられた白い布に広がる滲み。
苦悶に歪んでいる顔]
……奥様っ!
[小さく叫んで、天井から吊り下げられた身体に手を伸ばす。
自衛団員もすぐに機織部屋へ入ってきて、索状になった布を切り、ヨハナを床に横たえた。
温もりはまだ微かに残っていたが、息も鼓動も完全に絶えていた。
蘇生法を試そうとした者が、力なく首を振る]
どうしてこんなことを。
団長さんはあなたを疑っても手を出そうとはなさらなかったのでしょう。それだけ生きて欲しかったのではないのですか。
[ガタガタと運び出すための準備に走るのは団員達に任せて。
開いたままの瞼を閉じさせ、ハンカチで口の周りや目尻を拭う。頬には硬く張り付いた痕もあった。泣いて泣いて、泣いた末にこの手段を選んだのだろう]
生きろ、とは言われませんでしたか?
私はそれを支えに生きている。
自分から命を絶つようなことは出来ません。
[それでも共感してしまいそうになり、声に非難の調子を含めた]
それとも、誰も殺したくありませんでしたか。
もしそうなら、優しいけれど……愚かですわ。
[言ってから、死者に掛ける言葉ではないと口を噤んで項垂れた。
そうしていると離れるようにと肩を掴まれ、大人しく従った。
もう夜が近かったか、ランプの灯される前の広場は薄暗く。
宿に戻ると、ヨハナが自殺して遺体は自衛団が運んだことを俯きがちに伝えた**]
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