情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[本当は少し、カチューシャに悪いとも思った。
村に残る幼馴染は3人きり。
カチューシャはロランに親しく、料理も上手い。
ほんのちょっぴり、仲の良さに妬けたことすらある。
それは随分、子どもじみた我儘であったのだけれど。
ロランも、カチューシャも大切だった。
だからどちらの一番でもいたかった。
自分だって、どちらも本当に大切に思っていたのに]
[子どもじみた思いだと分かってた。
けれども、少し。…本当に少しだけ]
…ロランとの秘密みたいで、嬉しかった。
[そっと白状をする。
誰にも何も届かない、今、ここでなら]
……ん、
[彼は兄を喰らうのだという。
こわくない、と。密やかな声に呟き返して瞑目した。
───紅い月が、同胞の目が紅く染め上げている]
兄貴、……ごめんね。
ボク…は、
[止めない。止められない。
兄は呆然と立ち尽くして見えた。そうだろう。
目の前で自分は死んでしまった。
憎むなら、と兄は言った。殺されてもいいと言った。
勘違いだったと言った。
ならばあの行為はきっと、
───…自分を守るためだったのだろう]
[あれがなくとも、いつか恋人は死んだだろう。
兄もきっと死んだだろう。
自分が殺した。いつか殺したに違いない。
この牙にかけ、その血肉を啜ったに相違ない。
彼らを殺したのは自分。
大切な人たちを苦しめたのも自分]
────…。
[言葉なく、その光景を見守る。
目を逸らさずにすべて見た。
兄の首にナイフが振り下ろされるのも見た]
……、…
[ごめんね。と、唇だけで形をつくる。
向けたは喰らわれる兄へか、涙止まらぬ同胞へか。
自らにも判然とはしない。どちらへも、であった]
…───ん。
そうしたら、ボクはずっと、ロランの傍にいる。
[ロランの声に、こくと頷く>>*6
聞えなくても構わなかった。
けれど……想いが、少しでも伝われば良いと願う。
この血肉が、彼の孤独を癒せばいいと──想う]
[さわりさわりと花が静かに揺れている。
花々に抱きしめられたような気がした。
そんな資格ないはずなのに、
優しく慰められたような気がした。
───大好きな、イヴァンの微笑みを見るようだった]
[目を閉じる。
じわりと眦に涙浮かぶ心地がした。
ただ一人の同胞、
寂しい彼の元へも温もりが届けば良いと思う。
…その腕に、触れられれば良いのにと願う]
― ユーリーの家 ―
[夜が白々と明けるまで、幼馴染との思い出を思い返してる。
日の光が窓から差し込んできた頃、家の中で動く物音がする。
けれど、起きて行く事はしなかった。
一睡も出来なかった顔は酷い事になっている]
――……キリル……
[目を閉じて居れば、兄やイヴァン、キリルの姿が脳裏に浮かび。
嘆くロランと、妹をなくしたレイスの姿も浮かんだ。
思考はまとまる事もなくちぢに乱れて。
ミハイルが泊まっていたのなら、その物音も聞こえなくなった頃、ようやく起き上がった]
――会いに、行かなくちゃ。
[レイスか、ロランか。
どちらかが息断えた姿で見つけられるだろうことは解っている。
それでも、どちらにも生きた姿で会えれば良いと願っていた]
[ユーリーが用意した食事は、食欲がなかったから、レンズ豆のスープだけいただいた。
日常を思い起こさせる素朴な味に、ほんのすこし目元を和ませ。
食卓の上を綺麗に片付けてから家を出た]
[花が揺れる。
揺れながら低く詩のない唄を歌う]
[肉体から溶け出した何かが、懐かしい何かに触れた気がした]
『キリル』『キリル』
[花が歌う。弾んで歌う。
まるで祭りの篝火で、青年が恋人の姿を見つけてぴょんとかけよるみたいに]
[幸せだった。
あっという間に壊れていった]
[殺された。
そりゃまあ痛かったし嫌だったし訳が分からなかった]
[日常を愛してた。愛してた相手の裏面まで見切れてなかった。未練はきっと数え切れないほど]
『……………』
[あぁ、まぁしょうがないか。
花はさらさらわらう。きっと紅い血と一緒に何かそういうものは手放してしまった気がした]
[まるであの紅花が黄色い染料を水に溶かしきってしまうみたいに]
[キリルの家に泊まったときに使う予定だったものは、ユーリーの家での着替えになった。
黒ではないけれど、深い茶色のワンピースを選んだのは、兄の死を悼むためであったのに、今ではイヴァンやキリル、イライダを悼むためのものだ。
イライダの死は、昨日、ユーリーの家に落ち着いてから、ユーリーからか、またはミハイルから聞いていた]
[花が揺れる。畑から畑へ]
[そういえば、少し前にイライダの感触に触れたなと思った。
ふらふらさらさら揺れる。
風に任せていれば、旧友の魂にもふれられる気がした]
『ごめんな』
『シーマ。ごめん』
[謝る。何に対して?
彼の恐れを共有できなかったことに対して。
彼の仇を愛していることに対して。
幸せになれなかったことに対して。
醜さを隠していたことに対して]
[シーマに馬ァ鹿と後頭部を叩かれたような気がした]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新