15 緋月繚乱
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ウミ
[マコトとタチモリの壮絶な死闘をマコトの背後から俯瞰していた
結果は傷付きながらもマコトが勝ち、勝者は敗者を喰らう
その様子を表情を変えず見守っていたが、マコトの自嘲を含んだ言葉に僅かに目を伏せると]
私の望んだ通り、マコトは生きてくれた
……でも、マコトにとって生きることは幸福？ それとも呪い？
[ポツリと呟く問い。風に消えていったその問いに答えるものは誰も居ない]
嗚呼、でも。それでも私はマコトに生きて貰いたい
…………たとえそれがマコトを苦しめる呪いであっても
[そう言い、背後から触れられないマコトの肩を掻き抱く]
ウミ
うあ、ごみん。調べ物から戻ってきたらいい感じに決着ついてたから、自分的エピでっち上げたんだけど
マジごみん
あ、わちきは上で終了だから。気にせず投下どぞ
ヨウスケ
余裕なんか、あるわけないよ。
……いきなり大事な奴奪られて、自分すら何時殺られっか分かんねぇのに。
[止まっていた足が、再び動き出す。
ボールの床にぶつかる音の合間に、軽い音を響かせ、]
…んなこと言うなよ。
[少年のすぐ側まで来れば、す、と屈み、右手が横に薙ぐように動く。
地と掌の間を行き来するボールを奪おうと。]
マコト
[鈴の音。それはどこか遠くから響こうか。
その音に目を細めた時、何か、感じた気がして、ゆるりと瞬く。
響く鈴の音は、桜花の鈴。
その音が聴こえなくなった時、司は闇に堕ちるのだと。
刻まれた『知識』が囁く。
そして、それはまだ……聴こえる]
……だから、だいじょうぶ。
俺は、俺のままで……。
[生きるよ、と。
小さな呟きはどこへ向けられたのか]
例え……それが、呪いだとしても、ね。
[それが、殺めた者の責だから、と。
その呟きは、*風に溶けて*]
ヨウコ
[茜色に染まった公園。
そこにある桜の古木の前、一人の少女がぼんやりとしていた。
徐々に暗さを増してゆく時間、大樹の根元で少女は一人佇む]
さくら、さくら
[小さく口ずさむのは、学校で習ったばかりの歌]
にほひぞ、いずる
[けれど続いたのはそれとは違う歌詞。
それは何処で教わった歌だっただろうか]
ヨウコ
ねえ。
さくらのしたには「したい」がうまっているんだって。
[誰もいない公園で。
少女は桜に語りかける]
ここにもうまっているの？
[一瞬、樹上に桜色の影が見えた気がした。
ゆらりと揺れたそれは、宵闇の幻夢だったのだろうか]
ヨウコ
[遠くに微かに響くのは。
笛の音だろうか、鈴の音だろうか]
やみにしずむや、ひかりにまうや。
たましいはそらへ。
おもいはどこかへ。
[桜を見上げながら少女は呟く]
――皆、在るべき場所へと行けたの？
[流れた声は少女のものであり少女のものではなかった]
ショウ
あったら、怖ぇーよな。
[冗談めかした言葉。]
わかってる、けど―――
[伸びる手に反応が遅れて、ボールが落ちかける。
けれど掌に力を籠めて持ち堪えると、
片足を軸にして半身を捻り自らの身体を盾にし、
そのまま踏み込んで抜き去ろうとしたところで、
動きが止まった。殆ど無意識の動作。]
…っに、すんだよっ
マコト
[空がその色彩を違えて行くその時間。
そこに惹かれたのは、近くて遠き鈴の音を捉えたからか]
…………。
[足を止め、見やる。
視線の先には、見知らぬ少女。
だが、その少女の紡ぐ歌は、彼にとっては酷く馴染み深く。
それに引かれるよに、公園の桜へと近づいたその時、少女が呟いた、言葉]
マコト
……在るべき場所を求めたものは、在るべき場所へ。
それ以外は、さて、どうだろうね。
[それに、答えるともなしに小さく呟いて。
次いで、桜の梢を見やる]
『……聞いても、答えやしない……よな、お前は』
[ほんの一瞬視界を掠めた影に向けて。
問う。
当然の如く、答えはなくて。
……ふと、笑みが掠めた]
ヨウスケ
どんな奴だよ、それ。
[冗談めいた言葉には軽い返しをしながら。
伸ばした手はボールに触れはすれど、奪うことはできず。
流れるような動作の後で、動きを止めた背を見つめる。
両の手はポケットに収められ。]
…ほら。あんだろ？
護りたいモノ。
ヨウコ
[少女はクルリと振り返る。
黒髪がフワリと揺れて。
仮面のような表情で青年を見上げた]
おにいちゃん、だぁれ？
[その答も聞かぬ間に、再び桜へと顔を向け]
おにいちゃんはしってる？
ここのさくらには「したい」がうまっているのかな。
おにいちゃんにはきこえる？
あのふえのねいろや、すずのおと。
[それは誰に聞いても否定された問い。
表情は変わらぬままに、青年へと視線を戻した]
マコト
[誰、という問いには笑むのみで答えず。
続けて投げられた言葉には、度の入らぬ薄い眼鏡の奥で瞳を細めるか]
……この桜に、か……。
それはわからないけれど。
[言いつつ、桜の梢を見上げて]
ああ。
綺麗な音色と響き、俺にも聴こえるよ。
[静かに、静かにこう返す]
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