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[今日も書斎に閉じこもって本を読み耽っています。
本を読み始めると、夢中になってしまうのは、牧師の悪い癖でした。
幾度か扉を叩く音と、牧師を呼ぶ少女の声に、
ようやく訪問者に気付いて、本から顔を上げるのです]
……おや。
どなたでしょうか。
[本を机の上に置いて立ち上がり、
入口へと歩いて行くと、扉をゆっくりと開けました]
〔何度か扉を叩いて、何度か声をあげて。
そろそろ疲れて帰ってしまおうかって頃に、扉は開いた。〕
わっ、こんにちは、牧師さま。
〔にっこり笑って、丁寧にお辞儀をする。〕
ええと、お忙しかったですか?
アナ、お祈りと、おはなしを聞きに、来たんです。
はい、こんにちは。
いいえ、忙しくはありませんよ。
[牧師は少女の申し出に、にっこりと微笑みを浮かべます]
それは良い心がけですね。どうぞ、お入り下さい……っと。
ああ、足元が汚れていますね。少しお待ち下さい。
確か、ドロテアさんが用意してくれていたはずです。
この辺に……ああ、ありました。
[牧師は近くの棚を漁った後、
少女に、真っ白なタオルを差し出します]
えへへ。
今度のお兄ちゃんのおはなしは、
こわいおはなしだから。
悪いことがあったらいけない、って思って。
〔メルセデスにタオルを渡れされて、アナの笑いは、照れたものから恥ずかしがるものへと変わった。
ありがとうございます、
ちっちゃくお礼を言って、ごしごしと足を拭くと、白い布に黒や茶がうつった。〕
水溜まりがたくさんあったから、つい。
汚れちゃったから、きれいに、洗います。
〔水場はどこかと、メルセデスに尋ねるアナ。〕
そうですね。怖いお話でしたけれど。
神様にちゃんとお祈りすれば、平気ですよ。
[牧師は少女が足を拭く様子を微笑んで眺めた後、
教会の入口付近に置かれた汲み水のある
場所まで案内しながら言いました]
でも、今度のホラントさんのお話は、
どこから出てきたんでしょうね。
ご存知ありませんか?
ほんとう? よかった。
お父さんもお母さんも、遠くへ行ってしまったから、
〔指さす先は、空の彼方。〕
お兄ちゃんになにかあったら、悲しいから。
〔メルセデスに連れられて水場に着いたアナは、タオルを洗って、かたくかたく絞る。力はあまりなくって、まだ、タオルはちょっと重たい。でも、汚れは取れたみたいだ。〕
うんと、お兄ちゃん、そういうことは秘密だって言うんです。
でも、最近、今までより遠くに、お出かけしているみたい。
ときどき、帰りが遅いんです。
たぶん、黒い森のほうだと思うんだけれど。
〔もう一度お礼をして、タオルを返そうとしながらアナは言う。〕
[少女の指が差した先
遠いお空を見上げます]
お父さんも、お母さんも、
ちゃんと、アナさんたちを見守っていらっしゃいますよ。
アナさんは、お兄さん思いの優しい子ですね。
[牧師は少女の頭を撫でようと、そっと手を近づけました]
黒い森の方ですか。それは心配ですね。
ドミニクさんにもお話して、
それとなく気をつけておいて頂きましょうか。
[牧師は少女から、まだ水気が残る綺麗になったタオルを受け取ると、ぎゅうっと力をこめて絞ります。
ぽたり、ぽたりと水滴が地面へと落ちていきました]
そんなこと、ないです。
だって、ふたりきりの、きょうだいだもの。
〔当然だというように言いながらも、撫でられるアナはうれしそう。〕
ありがとうございます、牧師さま。
木こりさんなら、力が強いから、きっと、だいじょうぶですよね。
〔まだ残っていたしずくが落ちていくのを目にすると、アナは自分の手を見る。握ったり開いたり、力がないのを残念に思っているみたいだ。〕
牧師さまは、人狼のこと、知ってらっしゃいますか?
兄弟で仲が良いのは、喜ぶべきことです。
そうですね、本当に。
力持ちで、優しくて頼りになる方です。
[少女の頭を撫でながら、木こりの評価を口にします。
少女の問いかけに、牧師は僅かに眉間に皺を寄せます]
ええ……。
といっても、お会いしたことはありませんけれど。
普段は人に化けて、本性を現すと人を襲う悪い生き物だそうです。
[聖なるシンボルを手に、十字を切って神に祈ります]
そういうお話でしたら、ゼルマさんが色々と詳しくご存知かもしれませんね。
〔メルセデスの話を聞きながら、アナはむずかしい顔。
ひとつひとつ聞いては頷いて見せるけれど、どこまで分かっているのやら。〕
……牧師さま、アナにもお祈りさせてください。
こわいことが、ほんとうになりませんように、って。
〔両の手を組み、暮れ始めた空を見上げて、アナは言う。
お祈りを終えたあとには、ホラントと住む自分の家へと帰っていくんだ。**〕
ええ、よろこんで。
一生懸命お祈りすれば、
きっと神様はお願いを聞いて下さいますよ。
[少女の真剣な表情に、心配ないと穏やかな笑顔を向けます]
どうか、かみさま……。
[お祈りをする少女の隣で、
牧師も同じように神へとお祈りを捧げます]
それではアナさん、
気をつけてお帰りくださいね。
[暮れ始めた空の下、牧師は家へと帰っていく少女を見送って、
再び教会の書斎へと*入るのでした*]
旅芸人 ツィンカが村を出て行きました。
−宿の裏の畑 午後−
[女将の戻らない宿の裏では老女が畑の手入れにいそしんでいました。
いつしか、遠くから黒雲が迫っていました。ゼルマは手を止めて空を仰ぎ見ました。黒猫も気配を感じて側に寄ってきます。]
雨の季節が始まるわね。
[遠くに雷鳴が響き空の片隅が一瞬だけ明るくなりました。]
ヴァイス、急いで片付けましょう。
[ゼルマと老猫は急いで野菜を収穫すると宿に戻ることにしました。]
−宿屋の帳場 日暮れ時−
[ゼルマが戻ると書き置きが残されていました。
ツィンカが宿賃を置いて発っていたようです。]
寂しくなるわねぇ。野菜取りすぎてしまったかも。
[ヴァイスの啼き声も少し寂しげです。
ゼルマは気を取り直して夕食の支度を*続けるのでした。*]
くしゅん。
[ロビーのいすの上で、旅人は小さくくしゃみをしました。
昨日の晩、そこでそのまま眠ってしまったものですから、少しだけ調子が悪いのです。]
おや、これは。
彼女は行ってしまったのか。
残念だな。
[旅人はツェンカの残していった書き置きを見つけて、つぶやきました。]
[夕食の準備が整い、料理を並べはじめたところで、誰かの気配がしました。]
あら、ルイさん。丁度夕飯ができたところですよ。
[ ゼルマが指差す食堂には料理が湯気をたてていました。
ベーコンとほうれん草のサラダ、
ナスとツナのトマトソーススパゲティ、
牛ひき肉入りガスパチョ、
フォカッチャ、
エスプレッソ、りんご風味のトルコ紅茶
ティラミス ]
一応は冷めても食べられるものにしたのですけど。
なにぶん女将が戻りませんのでご不自由をおかけしますがお許しください。私はちょっと台所で片付けをしていますので。
[老女は旅人にゆっくりと*お辞儀をするのでした。*]
そういえば、蛍がいると言っていたな。
[旅人がツェンカのことばを思い出していると、夕飯ができたと声が聞こえます。]
夕食が終わったら、外に出てみようか。
[さいわいなことに、今は雨の音は聞こえません。
旅人はそう決めて、呼ばれたほうに歩いていきました。]
[宿から戻ると、牧師様はずっと書斎にいらした様子でした。]
……あそこに入られると、時間を忘れてしまわれるのですよねぇ……。
[次の日も、朝から書斎へ向かわれ牧師様の様子に小さく呟いてから、いつものお勤めを果たします。
一通りのお仕事が済むと、雑貨屋さんへ。
それは、アナがお祈りにくる、少し前の事でした。]
/*
アナちゃんに会わなかった理由付けに悩んでいたなんて、そんな。
それにしても、どうなりますかしら。
一応、くろねこも広報はしていますけれど……。
不自由なんてとんでもない。
いつもありがとう。
[お婆さんのことばに、旅人はふるふると首をふりました。
そうして今日も、感謝のことばと一緒にご飯をいただくのです。]
[雑貨屋さんでお買い物。
お喋り好きな店主さんに聞かれるのは、ホラントの噂話や、最近訪れた旅人たちの事。
それに色々と答えている間に、いつの間にか時間は過ぎてしまいました。]
あら、いけない。
そろそろ、戻らないといけませんね。
それじゃ、また参りますわ。
[丁寧なお辞儀をしてから買い物袋を両腕で抱え、外へと出ます。]
今日こそ、ちゃんと支度をしませんと……。
[教会に戻ると、出てきた時と同じく静かでした。]
まだ、書斎にいらっしゃるのかしら。
[ちいさく呟くと、てきぱきとお夕飯の準備を始めます。
ゼルマにはまだまだ敵いませんけれど。
ずっとやっているから、こちらも得意な事の一つなのです。]
[ゆっくりと食事をとって、もちろんティラミスまできれいに食べ終えてから、旅人は食器を台所に持っていきました。]
ありがとう。おいしかった。
[旅人はお婆さんに言いました。
ヴァイスが許してくれるなら、そっと指でヴァイスののどをなでてあげます。
それから、旅人はマントを着て、宿の外に出ました。
とんがりぼうしはまだぬれているので、今日はおるすばんです。]
[森近くの小屋で、木こりは一息ついて顔を上げました。
時間を探り窓の外を見る前に腹が鳴ります。]
……ちと頑張りすぎたか。
まだゼルマさんの飯が残ってるといいが。
[ない場合を考えて、固くなったパンを齧り外に出ます。]
おや、隠居 ベリエス が来たようです。
隠居 ベリエスは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
ホホホ、ホラントのやつまた騒いどるのか。
[日課になっているお散歩の途中。
ホラントの噂話を耳にしたおじいさんは、のんびりとした笑い声をあげました]
……そういえば、蛍が綺麗だと、ツィンカが言っていたわね。
[夕飯の支度が済むと、ちいさく呟いて窓の外を見ます。]
飛んでいるかはわからないけれど、お散歩がてら、見に行ってみようかしら?
/*
そしてメモでは字数制限があるのでこちらで。
ツィンカ、箱環境の件での退村はとても残念だったのですが、箱環境整わない状態での参加は精神的に辛いだろうなと思い大人しく見送ったのでした。
メモでは素っ気なさげですみません。
箱更新はトラブルなく終わればいいのですが、そうでない場合、週末に部品交換しないといけなくなったりとかもあるんですよね。そこら辺の経験談からツィンカのお気持ちは分かるのでした。
入村開始時から率先して雰囲気を作ってくださってありがとうございましたと密やかな感謝を。
またの機会があることを願っております。
人狼の影か、あの村の事を思い出すのう。
……おや、良い匂いじゃ。
[おじいさんが鼻をひくひくとさせたのは、教会の前を通り掛かった時のこと。
そういえば、そろそろ夕ご飯の時間です]
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