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─BAR─
[彼は、少し肌寒くなったBARの室内で目覚めると、BARのカウンターを見つめた。首を回して立ち上がると、ローズマリーが眠る裏部屋の扉を考え込むように見た。
暫くして、卵とソーセージを取り出してくるとフライパンを探し出して火にかける。油を垂らすと満遍なくフライパン全体に広がるように傾けさせながら回して、卵を二個割った。
ジュ‥と油が弾ける音がして、白身の裏が真っ白に染まる。塩胡椒を振りかけて、白身が半分以上固まってきたら、少しだけ水を零して蓋をし蒸し焼きにした。水が跳ね返る音が長く続いて、やがてチリチリとした音が聞こえてくると、蓋をあけてお皿に取り出す。ソーセージを炒めて卵の傍に添えると、フライパンと蓋を洗った。]
おはようございます、ローズマリーさん。
[彼は、コンコンと扉をノックした。]
─BAR─
[反応がないのを見ると、彼はパンを切って水をコップに注ぎ少し遅い朝食を取り始めた。それから、使った食器を洗い、もう一度裏部屋に向かう。]
嘆き島に帰ります。
昨晩は泊めて頂いて、ありがとうございました。
朝ごはんを作っておきましたから、よかったら食べて下さい。
自警団の人達には、きちんとした調査をするのなら協力しますし、何時間でも拘束されますが、投票で処刑先を決めるという確かではない事には協力出来ないと…伝えて下さい。
[今ここで帰るという事は、投票権を放棄する事ではあったけれど(本当に可能かどうかは分からないけれど)、ローズマリー達がもしかしたら死ぬかもしれない事…ここ数日で出会った旅人達の事が処刑で死ぬかもしれない事──勿論、その中に人狼がいるらしい──後ろ髪が引かれたけれど、
彼はBARの扉を開けて、*嘆き島に帰る。*]
―自宅―
[あくる日の午後。
...は雑貨屋のアルバイトを早退して自宅に戻っていた。
誰もいない一人きりの家である。
お茶でも淹れようとケトルを火にかけると、窓辺のソファに腰掛けた。
柔らかい冬の日差しに、ちらちらとわずかな埃がきらめいている。]
お母さん。私どうしよう
[独り言のように母を呼ぶ。]
昨日ね、自警団の人達が来たの。
[そしてそのまま母に話すことで、...は昨日あった出来事を自分の中で整理していった。]
[...は物心ついたときから母エレノアと二人きりの暮らしだった。
父は彼女が生まれる前になくなったそうだ。
だから彼女は、一緒に過ごした短い時間のことを時々切なそうに話す母の物語の中でしか父を知らない。
その母の宝物に、父がお守りに残したものだから、と大事にしまって触らせてくれなかった箱があった。
小さい頃好奇心に負けて開けたとき、物凄く怒られたのを覚えている。
あのとき一度だけ見た銃が、母の命を奪った。
何故母が銃などを外に持ち出したのかは、今となっては判らない。
ただ、それは件の人狼騒ぎの始まりと時期を同じくしていたから、若しかすると何かしらの事件に巻き込まれたのかもしれないと言う見方もあったようだ。]
私、どうしたら良い?
[本当はすべて投げ出して逃げ出したい。
でも捕まったら?怪しいから処刑しようって言われたら?
...はぎゅっと目をつぶり首を振った。]
大丈夫だよね、私、真面目に生きてただけだもん。
何もしていないもの、きっと皆わかってくれるよね。ちゃんと本物の犯人が見つかるよね。
[言って、不意に昨日のことが思い出され、...は言葉を切った。
ネリー。]
[判ってる。
本当はただネリーに一緒にがんばろうって言って欲しかったからああ言ったんだって。
彼女より先にユージーンがいやだと言っていれば、私もいやだって言っただろう。
酒場の・・・ローズマリーさんだったっけ、彼女が話し合おうと言えば、そうだ話し合おうって言ったはずだ。
どれも嘘じゃなくて、どれも嘘の気がする。
自分はきっと誰かと一緒のことを言って連帯感を持ちたかっただけだ。
相手から私を信じるよってサインが欲しかったんだ。
そうして少しでも日常を取り戻したくて。
甘い夢想に期待して、現実に断られた。
すがろうとした相手の、拒絶の目。]
ねえ、私・・・どうしたら良いんだろう・・・
[主をなくした古いソファは、黙って話を聞くばかり。
絶対に自分の味方でいてくれるであろう母の姿は、そこにない。
奥で、ケトルがカンカンと*小さな音を立てていた。*]
(ふふふ
ばかねぇ。
どうしたらいい?だなんて。
したいようにすればいいのに。
いじわるする人なんて
なくしちゃえばいいじゃない。
かんたんでしょ?
かんたんだったでしょ?
おばかさんなシャーロット。
うふふ )
―舞台の上―
[彼の白い手が、白いブランコにつかまる。手の平には豆だらけだと、誰が知っているだろう。細く見える体が、実はとてもしっかりとしているのだと。
彼女は、嬉しそうにそれを見る。
彼女も、彼も、二人ともがクラウン。道化師。
誰かの笑顔のために演技をし、
自分のつらさは、押し隠す。]
[クラウンの吹く笛の音。優しく高い、華やかな音。
動物たちが踊り、
舞台が切り替わるしるし。
彼 彼女
は
道化師だから。
すべて笑顔が塗り隠してくれる。]
[踊れ踊れ、宙に浮け。空たかくから落ちてなるものか。
彼女たちは「サーカス」だから。
人狼。
忌々しいうわさも消してしまえ。]
―BAR・裏部屋(スタッフルーム)―
…また…。
[ノックの音にぼんやりと目を開けた。ユージーンの声がする。外はもう明るい。
裏部屋で一人、本気で寝てしまったらしい。嘆き島に帰れなくなったユージーンが店で休むと言っていたのは覚えている。
横たわったまま、ユージーンの声を聞いていた。]
「嘆き島に帰ります。
自警団の人達には…投票で処刑先を決めるという確かではない事には協力出来ないと…伝えて下さい。」
[ドアの外から聞こえてくるその声は、数万光年向こうから聞こえてくるもののようだった。]
帰る…帰れる…の。
[声にならない。昨日にも増して頭は痛みを増す。
遠ざかって行く足音を、横たわったまま聞いていた。]
踊り子 キャロルが「時間を進める」を選択しました
―舞台の上―
[高い高い空を飛ぶ。フィナーレの演目、サーカスの花。
空中を舞う人々の一人。
相手の手につかまるために手を離す。
考え事を、したのが悪いか。
一度、手がすべる。
タイミングがずれたことには、気づいた。
落ちた。
落ちる。
ぽんと弾む。
どよめきが聞こえる。
すっと目を閉じた。]
[一瞬の動揺は消して、もう一度、梯子を上る。
するすると、するすると。
縄の梯子が揺れている。
一人、一人、一人、一人、二匹。
頭の中を回る言葉は、ここにいる間は捨てなければ。
紅い口唇を笑みの形に、再びブランコにつかまった。
そして舞台の成功。
歓声のあちらがわに、苦しみなんて見えもしない。]
―テント―
まだ、ダメだな、おれも。
[感情に動かされてはいけない。なぜならそこは、夢だから。
処刑、という言葉が蘇る。
沈めるために、笛を取り出し、そっと吹き始めた。
奏でられるは、故郷のメロディではなく、
楽しげな、リズミカルな*音楽*]
[そういえば詳しいことを聞いていなかったが、昨日集会場に集められた人はかなり多かった。
ネリー、シャーロット、ユージーン、カミーラさん、キャロル、サーカスの人。
そのほかにも背の高い女性が居たり、子供が居たという話も聞いた。あれは全て容疑者なのか。
自警団員は一体何人を呼び寄せたのだろう?]
…キャロル?
あれ、帰ってきているのか…。どうして?
[彼女…の父、ダニエルが浮かんだ。
常連のダニエル翁は一昨日もこの店に来ていた。自分は醜態をさらしてしまっているだろう。
どうもここのところ、酒との相性が悪いようだ。]
原因はわたし…なのだけどね。
[ローズマリーは酒を出すこと、客と酒を交わすことを「仕事」とは思わずにこなしていた。
体力と配慮の要ることではあったが、それは先代ママであるオードリーのポリシーであり、
ママのその人柄に魅せられた常連客がそのままローズマリーの店に居ついてくれているのも事実だから。
それが最近出来なくなってきている。]
[とにかく、キャロルが帰って来ているのなら、久々に話してみたいこともある。
あの子も苦労しているのだろうから。
昼過ぎまでそのまままどろみ、体を起こした。
店に出ると、すっかりさめてしまった卵とソーセージが。]
ユージーン…朝食代も請求しなきゃね。
[微笑んで卵をフライパンで温めなおし、口にする。
バターの香りが広がった。
店を掃除し、身支度を整え、*教会へ向かった*]
─漁師小屋近くの崖→漁師小屋─
[自警団の言う事は奇妙だった。
容疑者だけで集まって処刑投票をしろ、と言う割に行動は自由で、街の内部であるのなら自宅や職場に戻る事も可能だと言う。何人かが当然の様に戻って行き、キャロル同様に父親の家に戻る事にした。]
─漁師小屋─
[飼い主に似て気の荒い犬が吠えている。
キャロルの姿を見つけると声が止んだ。街に居た頃よりもさらに女らしく外見が変わり、香水の香りを漂わせるようになっても、それでも犬にはその人自身の匂いが分かるのだろうか。]
…ただいま。
って、扉が開けっ放しだね。
親父は結局、あのまま、自警団にしょっぴかれちまったのかい。まあ、人狼に襲われずに済む分、牢屋ん中の方が安全かもしれない。
[しっぽを振る犬を撫でてやりながら、割れたカップや、手入れの途中で放置されたままになっている父親の道具を眺める。嘆息。床を掃いてから、犬の鎖を解いて、犬小屋よりはまだマシなけれど粗末な小屋の中に入れてやる。]
お前も、親父と一緒で随分年寄りになってしまってるはずだもの。
海風は冷たいわ。
家の中に入るといい…。
/PL/
>>*13
どっちでもいいですよ。
ベテラン狂人は、ほら昔に他の狼と活動してたとかそんな感じ。
シャロが元から狼なら自分は初心者狂人で(笑)
>>*14
了解しました。
適当にどっちかに出ます。
それにしても表での関係が濃い三人だなぁ(笑)
−集会場−
[宿題をしながら]
昨晩ここにいた人の中に人狼が・・・いるのかしらね?
【あの】自警団長さんが連れてきた人だし・・・あそこに立ち入れたからって私まで疑っちゃうんだもんね・・・嫌になるわ。
集会場に・・・飲み物はミルクしかないみたいね。
[犬を撫でながら、手近なアルコールの瓶を手に取りラッパ飲みにする。]
人狼を中途半端に囲い込んで野放し。
あたし達は容疑者だから、誰が人狼の被害に遭っても仕方ないってか。
かと言って皆殺しにする勇気はまだ無いってトコ?
ああ、駄目ね。
親父が過去の人狼事件を知ってたみたいだから、何か記録でもと思ったけど、あの人、自分の名前しか字が書けないんだったわ。[そんな事も忘れちまうなんて、と呟く。]…ママがいたらいざ知らず。
[キャロルの父親は老人と言って良かったが、母親は違っていた。キャロルを長く学校へ行かせたがったのも母親で。随分歳が離れた夫婦だった。
イザベラ先生はお元気でいらっしゃるだろうか、と一瞬考える。このなりで会いに行こうとは思えなかったが、キャロルは当時それなりに悪く無い生徒だったはずだ。先生の事は結構好きだった。
──風が窓を叩く音が冷たい。
嘆き島と呼ばれる墓ばかりが並ぶ寂しい島が見える。]
ママのお墓には、親父と一緒に行くつもりだったわ。だから、まだグレンの所にも行けてなかった。グレンの話をしたら、やっぱりお前はあの幼なじみと出来てたんだろって、殴られるんだろうけど。
―嘆き島・墓地管理小屋―
[椅子に座り、目の前の机に置かれたお茶が入ったコップを見つめている。口をつけていない。]
「ねえ、ユージーン君。」
[と、代理人は調理台に腰上辺りをもたれかけさせて口を開いた。]
「やっぱり君は帰るべきだと思うよ。自警団の人達に黙って帰ってきたんだろう?それに君はまだ、容疑者には違いない。義務は果たさないといけないよ。」
義務ですか?
投票をして誰かを処刑する事をするのが、義務ですか。自警団の命令で…
「違うよ。君が人狼ではないと疑惑を晴らす事がだよ。こうは考えられないかい?それ以上、絞り込めれないのだと。人狼が誰か分かる人が一人、死者が人狼か人間か分かる人が一人、人狼から皆を守れる人が一人、人狼の協力者が一人、人狼が二匹いるのだろう?何らかの方法で、それまでしか絞り込めなかった。そして公式発表した以上、それは事実で、互いに投票し合って処刑先を決めるのも公式発表だよ。それに悪いアイディアじゃあない。」
え…?
(PL
なるほど、それですかベテラン狂人!
たまにはそういう狂人が引っ張る展開も面白そうだから、皆さんがよければやってみましょうか♪
私の方は最近狼人格が覚醒したばかりらしく、どうやらまだ人人格と分裂しているようですね。
表の関係も濃いけど、ミッキーの顔グラも濃い(ぼそり))
違うのよ…違う。
グレンは優しかっただけ。
あたしみたいなオカマでも馬鹿にせずに庇ってくれる様な、良い男だっただけ。良い男過ぎて、軍隊みたいな野蛮な場所は合わなかったの。
[畜生、アイツらグレンを殺しやがって、と押し殺した様に呟いて、粗末なテーブルを叩く。
何かを否定する様に首を振って立ち上がり、頬笑むと、キャロルはすっかり毛皮の色褪せた老犬に、コンロの上の鍋に残っていた残飯を与える。]
やっぱり、1人でもお墓参りに行って来る。
お前はここに居るんだよ。
[墓前に備える物など何も無かった。
犬に言い聞かせて、飲みかけのアルコールと帰郷する時から持っている鞄を持って、キャロルは嘆き島へと向かう事にした。
漁師小屋から少し歩いた所で、自警団二人に囲まれた近所の住人に出会う。彼等も集会所に連れていかれるのだろうか一瞬思ったが、逆だった。彼等は人狼騒ぎが怖くて、一旦親類を頼って街を離れるのだと言う。キャロルが容疑者である事を知っている彼等の視線は、異様で張り付いた様に不快な物だった。容疑者でなくても、オカマであると言うだけで嘲笑の対象だっただろうが。]
―嘆き島・墓地管理小屋―
「例えばだよ、人狼が人狼に投票すれば、投票した事でその人の人狼の疑いは少なくなるだろ?生き残れるとしたら、仲間内で告発し合う事が考えられる。そうすれば、二匹よりも簡単に最後の一匹を捕まえて、あの処刑台で始末する事が出来るじゃないか。」
それは、理想論です。
「そうだろうね。
ねえ君、人狼であっても投票はしたくないのかい?」
[彼は質問に驚いたように代理人を見つめたけれど、躊躇いがちに頷いた。]
「自分が容疑者に選ばれずに、村人達が投票し合って処刑する事が決まったのを聞いたら、止めようとしたかい?」
[彼は答えなかった。
多分、見ているだけだったかもしれない。]
あたしが死んでも悲しむ人間なんて、居ないでしょうね。いいのよ…たまたま戻って来たけど、一度は捨てた街なんですもの。
ママとグレンのお墓があるあの島に、無粋な処刑台が建設されたとか──そんなニュースを新聞で読んでしまったから、うっかり戻って来ちまった。
[海風で乱れた髪をかきあげ、桟橋を渡って嘆き島へ向かう。海鳥の声が五月蝿い。]
―嘆き島・墓地管理小屋―
[代理人はやれやれと肩をすくめると、コップにお茶を注いで飲み干した。]
「今日は泊まっていっても構わないと思うけれど、明日には帰るべきだ。
ああそう――僕は君が人狼でも、此処では襲わないと思っているよ。この小屋から僕が居なくなれば一番怪しまれるのは君だからね。」
[彼はコップに視線を落としたまま、何度か瞬きした。カタンと立ち上がると、一口だけ飲んで、ありがとうございます。とお茶のお礼を言って、小屋の外に出た。
海には一艘、嘆き島に渡ってくる船が見えた。]
─嘆き島─
[カツンとヒールの音を響かせて島に降り立つ。
こんな日にこの島を訪れる者など居ないのだろうか、墓地はただ静かだった。管理小屋に挨拶をして、まずは母親の墓を目指す。枯れかけた白い花が墓前に備えられており、それは父親が通っていた事を示していた。暫くの間、黙祷を捧げ、次にグレンの墓へ向かう。
母親の墓とは違い、誰も訪れた痕跡の無いグレンの墓を、瓶に残ったアルコールで乱暴に清める。溜め息をついていいのか、怒っていいのか、涙を流すべきなのか、消化しきれない感情を持て余してグレンの墓石から視線を逸らした時、キャロルは向こう側の人影に気付いた。
──ユージーンだった。]
[向うが気付くか気付かないか分からない。が、黙って頭を下げる。]
『昨日、集会所に来ていた…あたしと同じ容疑者の。
何処かで見た顔だと思ったら、やっぱり嘆き島の手伝いの……。(今は手伝いじゃないのかしら。管理人室に居たのは知らない人だった。)名前はなんだったかしら…ね?』
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